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 【link】

「arcの日記」◆(2011/03/16) MIT原子力理工学部による改訂版・福島第一原発事故解説

「Eco Japan」◆(2011/06/22) 動画で見る炉心溶融

「Togetter」◆(2011/05/31) 菊池誠 @kikumaco_x 先生とのやり取りに端を発する高橋健太郎 @kentarotakahash さんによるメルトダウンの定義をどう捉えているかのTwitterアンケート

「Togetter」◆(2014-06-06) 核分裂しか眼中にない人に「衝撃波」を理解させる試み

「Togetter」◆(2014-06-07) 米国、原子力暴走事故関連動画

「VOR」◆(2012/12/15)東京電力 議会委員会の出した結論に同意

「VOR」◆(2012/12/16)日本 福島に原子力災害に備えたセンター設立

「アルファルファモザイク」◆(2011/04/30)福島原発事故最大のアンタッチャブル…電源喪失は津波が原因ではなかった

「ガジェット通信」◆(2011/03/22)福島原発事故時系列まとめ「福島第一原発3号機中央制御室に明かりがともる」

「既婚者の墓場」◆(2014/06/24) 震災の後、出来婚した仲の良い男と話をしていると「嫁と子供は西日本に避難してて今遊び放題。独身を満喫してる。原発事故様々」

「原子力安全・保安院」 > 東日本大震災の影響について > 東京電力株式会社から送付された原子力災害対策特別措置法第10条に基づく通報資料等の公表について

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2011/12/20)廃炉費用の扱いで帰趨が決定 東京電力の実質国有化問題

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/01/10)東京電力,「債務の株式化」を検討 再建に向けた“神経戦”は大詰め

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/02/17)【岸博幸のクリエイティブ国富論】なぜ東電・経団連・財務省は反対するのか 東電国有化を巡る非常識な主張

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/11/22)“想定内”のはずの東電追加支援 国民負担増で政権は消極姿勢に

「ニコニコ大百科」◆東電エースの人とは (トウデンエースノヒトとは)


 【質問】
 福島第1原発被災事故発生までの経緯は?

 【回答】
http://w.livedoor.jp/hukusimagenpatsu/
より,著作権の発生しない事実関係のみを抜粋し,他に現在分かっている事実を追記すると,以下のようになる.

2011年3月16日 19:19 ヘリで事故原発への水投下見送り

2011年3月16日 16:39 福島第1原発,1〜3号機の燃料棒は半分近くが依然露出

2011年3月15日 13:42 福島原発4号機火災

2011年3月15日 07:59 福島第1原発2号機で爆発音 保安院発表

2011年3月15日 06:46 枝野官房長官会見 「サプレッションプール(水蒸気を水に変える装置)に欠損が見られる.ただし,周辺の放射線濃度は急激な情報は示していない」

2011年3月15日 05:40 枝野官房長官会見 東京電力と政府で福島原子力発電事故統合対策本部を設置,場所は東京電力社内.海江田大臣が本部で対応する.

2011年3月14日 米原子力規制委,日本から正式支援要請 技術的助言を検討

2011年3月14日 福島第1原発事故で,オフサイトセンターから陸自,退避検討

2011年3月14日 23時ごろ NHKより 福島第1原発2号機で燃料棒再びすべて露出

2011年3月14日 20:40 東京電力会見 「福島第1原発2号機は依然,燃料が露出している可能性がある.海水を注入している.3号機は水素爆発と推定している.格納容器は健全性を保っている.この爆発によって負傷者が出ている」

2011年3月14日 20:39 福島2号機の海水注入ポンプ,職員パトロール中に燃料切れで停止

2011年3月14日 20:33 東京電力によると,職員がパトロールに出掛けて目を離したすきに,ポンプの燃料が切れた. 【共同通信】

2011年3月14日 20:21 東京電力によると,福島第1原発2号機で燃料棒の下部約30cmの高さまで水位が回復. 【共同通信】

2011年3月14日 20:11 福島第1原発2号機で,燃料棒がむき出しになったのは,海水を注入するポンプの燃料が切れたのが原因. 【共同通信】

2011年3月14日 19:58 福島第1原発2号機で燃料が水面から完全に露出,原子炉は空だきと東京電力. 【共同通信】

2011年3月14日 19:47 福島第1原発2号機,燃料棒が露出 冷却機能失う

2011年3月14日 13:16 福島原発3号機,炉心溶融の可能性 爆発で11人負傷

2011年3月14日 12:40 枝野官房長官会見 「格納容器の健全性は維持している」

2011年3月14日 12:30ごろ 日本テレビにて不明の7名の所在を確認.ケガ人は合わせて6名に.

2011年3月14日 12:09 東京電力会見 3号機の爆発に伴い社員2名,協力会社1名が打撲.行方不明が7名(協力会社1名,自衛隊6名).原子炉の上部からの水位 -1800mm

2011年3月14日 12:04 原子力安全・保安員会見 11:01 に東電より「水素爆発があった模様.パレメータ上は格納容器の健全性は保たれている」と報告を受けた.

2011年3月14日 11:44 東電会見 福島第1原発性門前 20マイクロシーベルト/h を計測

2011年3月14日 11:40 枝野官房長官会見 「福島第1原発3号機にて爆発があった.1号機と同様の爆発と思われる.現地の所長に確認したところ格納容器は健全.大量の放射性物質が飛散する可能性は低い.20km圏内にいる人は建物の中に退避してください」

2011年3月14日 11:36ごろ 日本テレビにて保安員より福島第1原発から20km圏内にいる人は屋内に退避するようにと連絡

2011年3月14日 11:20ごろ NHK総合にて福島第1原発3号機で爆発音があったとの報道

2011年3月14日 11:09ごろ 日本テレビにて福島第1原発3号機から煙の報道

2011年3月14日 10:38 原子力保安院,福島3号機「格納容器の圧力が設計値超え」

2011年3月14日 7時ごろ 福島第1原発3号機,格納容器の圧力上昇 作業員が一時退避

2011年3月14日 05:51 福島第2原発1号機,冷却機能が復旧

2011年3月14日 02:30ごろ 福島第1原発 緊急事態の通報 国の基準を上回る放射線量

2011年3月14日 01:14 福島第2原発1,2号機を冷却開始

2011年3月13日 22:38 仏大使館が首都圏のフランス人に関東を離れるよう勧告

2011年3月13日 21:48 海水注入後も水位に変化なし=福島第1原発1,3号機―東電

2011年3月13日 17:15 注水の効果ない可能性 福島第1原発3号機

2011年3月13日 16:58 被ばくした可能性の住民50人を除染

2011年3月13日 15:30ごろ 福島第1原発3号機,「水素爆発の可能性も」枝野長官

2011年3月13日 14:35 原発納入の東芝社長と菅総理が会談

2011年3月13日 15:05 メールで「有害な雨」流布 消防庁が否定

2011年3月13日 13:29 応援の新潟県職員が被ばく

2011年3月13日 13時ごろ アメリカABCが潜在的メルトダウンと報道

2011年3月13日 13時すぎ 3号機冷却のため海水を注入 福島第1原発

2011年3月13日 11:57 米,原子力専門家2人を日本派遣 メーカーも支援用意

2011年3月13日 11時30分ごろ 3号機,約2.1mほど水位が燃料棒の頂部を上回るようになった

2011年3月13日 11時ごろ 3号機,原子炉内の燃料棒が約1.3mほど水から露出していた

2011年3月13日 09:55 TBSで福島第一の3号機の燃料棒が4mのうち3m露出していると報道

2011年3月13日 09:25 3号機,ホウ酸を含んだ真水を消火ポンプで注入

2011年3月13日 09:20 3号機,圧力が下がったことを確認

2011年3月13日 08:41 3号機の圧力解放弁を開放

2011年3月13日 03:30ごろ 枝野官房長官会見 「9人が被曝可能性」

2011年3月12日夜 東芝,自衛隊の輸送機を使って三重工場から,冷却用タービン3機を福島第1原発に運搬

2011年3月12日 20:45 再臨界を防ぐため,1号機への硼酸投入開始

2011年3月12日 20:20 1号機海水注入再開

2011年3月12日 20:05 海江田経産相,1号機への海水注入を命令

2011年3月12日 20:00頃 枝野官房長官:福島原発でなんらかの爆発的事象があったと確認

2011年3月12日 19:55 菅首相,1号機への海水注入を指示

2011年3月12日 19:25 1号機海水注入中断……のはずが,実は所長の独断で,中断せず続行

2011年3月12日 19:04 1号機に海水の試験注入開始

2011年3月12日 19時ごろ 避難対象地域を,半径10km圏内から同20km圏内に,同第2原発は同3km圏内から同10km圏内に拡大.

2011年3月12日 15:36 1号炉で水素爆発

2011年3月12日06:50頃,1号機の大部分の燃料が原子炉圧力容器底部に落下.圧力容器が一部損傷.測定されている原子炉圧力容器回りの温度などから推測するに,損傷は限定的(=圧力容器の溶融貫通は起こっていない模様)(東電の解析,2011.5.15

2011年3月12日06:00頃には,1号機の全ての燃料棒が炉心支持板上に崩落し,燃料ペレット溶融(東電の解析,2011.5.15

2011年3月12日 05:45 福島第1原発の半径10km以内の住民に避難指示.対象は51,207人.

2011年3月12日 00:17 福島第1原発2号機 依然電力供給不能

2011年3月11日 23:16 福島第1原発1,2号機 電力供給不能に

2011年3月11日 22:08 福島第1原発・原子炉水位低下で3kmの住民に避難指示 枝野官房長官「念のための措置」

2011年3月11日 22:00前 枝野官房長官が会見 「放射能漏れのおそれはない」

2011年3月11日19:50頃,1号機炉心中央部の燃料棒が,炉心支持板上に崩落(東電の解析,2011.5.15

2011年3月11日19:30頃,1号機炉心中央部において,燃料棒溶融開始(東電の解析,2011.5.15

2011年3月11日18:00頃,1号機の冷却水の水位が,有効燃料頂部に到達(=燃料の最も上の部分を下回って,燃料が露出.この直後,炉心温度が上昇し,燃料の融点に到達(=溶け始めた)(東電の解析,2011.5.15

2011年3月11日 15:41 福島第1原発,自動停止した3基のバックアップのための非常用ディーゼル発電が故障し,冷却用の電力が供給不能に

2011年3月11日15:30以降,1号機で原子炉の水位が急激に下がり始める(東電の解析,2011.5.15

2011年3月11日 15:00ごろ 福島第1原発 1号機から3号機が自動停止.4号機から6号機は点検中で動いなかった.

2011年3月11日 14:50 大津波警報 が出る

2011年3月11日 14:46 地震発生

 なお,上記のソースは,特に断りの無い限り,大半が報道であり,東電や原子力安全保安院の発表とは,必ずしも完全には一致しないし,必ずしも正確とは限らない.
 また,
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110515k.pdf
には,2011.5.15時点における,最新の「原子炉内部の状況推定」が掲載されているので,それと照合されたし.

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 【質問】
 福島第一原発1〜4号炉は東日本大震災時,なぜ全電源喪失したのか?

 【回答】
 以下の順序を経た結果.

1) 地震発生と同時に,運転中だった1〜3号機において,原子炉の緊急停止装置が自動で作動.
 発電が停止したので,所内に電気が供給されなくなり,電源が外部電源へ切り替えられた.

2) 地震により,外部電源を供給するための送電鉄塔が倒壊,また,屋内設備(遮断器)も地震で破損.
 そのため,地震発生より数分以内に,外部電源が来なくなった.

3) 外部電源喪失により,所内の非常用電源であるディーゼル発電機が作動開始.
 だが地震発生より約49分後,津波が到達.
 ディーゼル発電機,および所内に電気を送るための配電盤の多くは,建物の1階か地下1階に設置されていたため,浸水によって故障.

 1〜号機において生き残ったのは,3号機の中地下1階にあった直流電源(バッテリー)のみだったという.

 なお,どういうわけか,上記原因のうち,送電鉄塔の倒壊だけを殊更強調するかのような言説が,しばしば見られるが,そのような単一原因に無理に帰結させようとする見方は,事故再発防止の観点からは有害無益.
 単一原因に無理に帰結させようとする見方の有害無益さは,失敗学の畑村洋太郎が,繰り返し述べているところのものである.

 この言説はどうやら,元を辿っていくと,吉井英勝議員(日本共産党)の国会質問が起源であるらしい.
 しかし,該当する国会議事録(平成23年4月27日)を見ると,該当箇所は,原因についての真摯な議論ではなく,以下のように吉井が主張したいがための,いわゆる「ためにする質問」の一部にすぎない.

>○吉井委員 いや,エネルギーの安全保障だけの問題じゃなくて,私が今言っていますのは,国際カルテルや多国籍企業の世界支配の時代になってきているんですよ,
>こういうときに国際的な独禁政策をどうするのか,公正取引をどう実現していくのか.このことについて,これは国内だけだったら公取で頑張ってもらうわけですよ.

 「世界支配」て,あーた…

 【参考ページ】
『ニュートン別冊 検証 福島原発 1000日ドキュメント』(ニュートン・プレス,2014/5/15),p.30-31 & 36-37
福島第一原子力発電所事故の概要 (02-07-03-01) - ATOMICA -
国会議事録(平成23年4月27日)


 【質問】
 福島第一原発の電源喪失対策には,どのような問題点があったのか?

 【回答】
 「長時間の全電源喪失は起こらない」との前提の下に,全てが構築・運営されていた点.
 畑村洋太郎委員長の政府事故調では,これが
>今回の事故の直接的な原因
であると明言している.

 具体的には,東京電力は,複数号機が同時に損壊故障する事態を想定していなかった.
 電源融通(隣接プラントからの480V及び6.9kVの接続)の対策こちらより引用)は,外部事象によって隣接の複数プラントの電源が一斉に喪失し得ることを考慮しておらず,機能しなかった.

 そして,非常用電源についても,非常用DG や電源盤の設置場所を多重化・多様化して,その独立性を確保するなどの措置は講じられておらず,直流電源を喪失する事態への備えもなされていなかった.
 非常用ディーゼル発電機が,全て地下に設置されており,また全電源をハブとして中継している配電盤1カ所も地下に存在していた.
 そのため水没し,機能しなかった.

(なお,

>この問題について,「溢水勉強会」により事業者側は事前に把握していた可能性がある.

と,国会事故調は指摘しているが,東電事故調は,

>原子力安全・保安院の中で使用された添付の資料「外部溢水勉強会検討結果につ
>いて」の「はじめに」の項に,「津波に対する発電所の安全性は十分に確保されている」
>と記載されている

すなわち,安全であると「溢水勉強会」自身が言っていたじゃないか,と反論している)

 さらに,このような場合を想定した手順書の整備や社員教育もなされておらず,このような事態に対処するために必要な資機材の備蓄もなされていなかった.
 東京電力の事故時運転手順書(いわゆる事象ベース及び徴候ベース)のいずれを見ても,複数号機において,スクラム停止後,全交流電源が喪失し,それが何日も続くといった事態は想定されておらず,数時間,1 日と経過していけば,交流電源が復旧することを前提とした手順書となっていた.
 その一方で,交流電源はどのように復旧していくかのプロセスについては,明示されていなかった.
 また,東京電力が平成14 年に作成したアクシデントマネジメント整備報告書では,
「全てのAC 電源が喪失する事象では,事象の進展が遅く,時間的余裕が大きいことから」
とわざわざ規定しているが,なぜ事象の進展が遅くなるのか,その根拠は不明である.
 訓練についても,例えば,福島第一原発では,平成23 年2 月下旬頃,地震が発生して一つのプラントで外部電源が喪失し,変圧器が壊れ,次いで非常用ディーゼル発電機(DG)が起動せず,交流電源が喪失するといった事象が段階的に進行して,原災法第10 条に基づく通報を行ったという想定でシミュレーション訓練を行ったが,その場合も,一定の期間が経過すれば,非常用DG が復旧するということを前提とし,それまでの期間,どうやって切り抜けるかを模擬したに過ぎなかった.
 さらに,東京電力では,長時間の全電源喪失を念頭に置いた発電所内での通信手段の整備がなされていなかった.
 そのため事故の際,通常使用していたPHS はバッテリー枯渇により使用できなくなり,その後は無線機が用いられたが,送受信場所の制約があるなど,円滑な情報連絡には不十分だった.

 【参考ページ】
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/SaishyuHon06.pdf
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3856371/naiic.go.jp/blog/reports/main-report/reserved/1st-2/
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0303.pdf
一般財団法人日本再建イニシアティヴ編『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(ディスカヴァー,2012/03/11),p.276-278


 【質問】
 福島第一原発の防波堤は,どのようなものだったのか?

 【回答】
 この図の,上から順に
・北防波堤
・東防波堤(内側の防波堤)
・南防波堤
があった.
(図はgoogleマップから取得して加工したもの)
 高さはそれぞれ
・北防波堤において海抜7m(北面側),10m(南方向へ折れ曲がっている部分),5.5m(海に向かって南東へ伸びている部分)
・東防波堤において海抜5m
・南防波堤において海抜5.5m
あった.

 なお,近藤俶郎他『海岸工学概論』(森北出版,2005/02)によれば,一般論として,津波を最終防御施設たる堤防のみで防ごうとすると,やたらと高さが大きくなって,港湾利用の点でも景観の点でも現実的ではないという.
 それはすなわち,堤防のみをもって津波対策に満足してはいけないという事にもなろう.

 【参考ページ】
http://www.umeshunkyo.or.jp/108/prom/219/page.html


 【質問】
 福島第一原発の津波対策には,どのような問題があったのか?

 【回答】
 国会事故調では,以下の点を指摘している.
a) 福島第一原発は40年以上前の地震学の知識に基づいて建設された.
 その後の研究の進歩によって,建設時の想定を超える津波が起きる可能性が高いことや,その場合すぐに炉心損傷に至る脆弱性を持つことが,繰り返し指摘されていた.
 しかし,東電はこの危険性を軽視し,安全裕度のない不十分な対策にとどめていた.
b) 津波の高さを評価する土木学会の手法が,電力業界が深く関与した不透明な手続きで策定されたにもかかわらず,津波対策の標準手法として用いた.
c) 東電は不公正な手続きで算出された低い津波発生頻度を根拠として,対策を施さないことを正当化しようとし,また,津波の確率論的安全評価が技術的に不確実であるという理由で実施せず,対策の検討を先延ばしにしていた.

 これに対し,東電事故調では,以下のように暗に反論している.
d) プラントの設置後も新たに得られる知見(運転経験を含む)をその都度,設備面運用面の観点から,積極的に取り込んでいる.
e) 貞観津波については,津波堆積物調査の結果,福島県南部では津波堆積物を確認できなかった.
 また,今回の地震は,地震本部の見解に基づく地震でも,貞観地震でもなく,より広範囲を震源域とする巨大な地震であったことが判明している.
f) 土木学会の「津波評価技術」は,国へ提出する評価にも使用されている.
 津波高さについては,津波に関する知見・学説等が出された場合は,土木学会の「津波評価技術」以外にも,試算も含め,自主的に検討・調査等を実施.
 その一環として,津波評価に必要な波源モデル等の知見が定まっていない中,以下の2つの仮定に基づく試算や津波堆積物調査を実施.

 すなわち,国会の「電力業界癒着説」に対し,「想定外の天災」説に帰結させようとしているふしが見られる.

 一方,政府事故調は,
「津波を始め,自然災害によって炉心が重大な損傷を受ける事態に至る事故の対策が不十分であり,福島第一原発が設計基準を超える津波に襲われるリスクについても,結果として十分な対応を講じていなかった」
としつつも,
g) 当時の地震学者の間では,地震は過去に発生したものが繰り返すものであり,過去に発生しなかった地震は将来も起こらないとする考え方が一般的であった.
 そのため,福島県沖で発生する可能性のある地震については,陸寄りの領域においては,平成14 年頃の時点では,過去約400 年間の記録に基づき,最大でも塩屋崎沖で発生した福島県東方沖地震(昭和13 年)のようなM7.5 クラスとされていた.
 平成20 年頃からは,貞観地震の波源モデルが徐々に明らかにされつつあったが,依然として福島県沿岸に貞観地震によりどの程度の津波が来襲し,また,地震波源がどこまでの広がりを持つものであったかは必ずしも明確でなかった.
h) 今回の東北地方太平洋沖地震津波は,日本海溝寄りの津波地震であった明治三陸地震タイプの津波がより南の領域で起こったものと,より陸寄りの領域での貞観地震タイプの津波という,これまで別々に考えられてきた二つの地震津波の同時発生であったとするのが現時点での解釈の一つとされている.
 しかしながら,両者の同時発生は地震学界では想定できていなかった.
とも述べている.


 【質問】
 なぜ福島第1原発の水素爆発は起きたのですか?

 【回答】
 1号機では地震発生16時間後に,燃料が全て溶解し,圧力容器,格納容器の一部が破損.
 燃料被覆管のジルコニウムと酸素が反応してできた水素が漏れ,建屋内に溜まっていたためと,現時点では推測されている.[1][2]

 東電がデータを解析した結果,1号機で約750kg,2号機は最低でも350kg・最大で800kg,3号機は600〜700kgの水素が発生
 燃料がすべて水に漬かっている間は発生していなかったが,燃料が露出すると急増.
 その後1日程度,増え続けていた.
 1号機では3/12 06:00頃には約750kgに達し,15:30頃に建屋が水素爆発.
 3号機では水位によって2つの解析パターンがあるが,14日午前までに最大で700kgが発生し,11:00頃に建屋が爆発した.
 原子炉への注水が最も長く続けられた2号機では,水素の発生開始も遅れ,その間に,原子炉建屋の上部にある水素を逃がすための換気口を開けており,それによって爆発を免れた可能性があるという[2]

 東電元幹部(匿名)は,
「燃料が空焚きになって,大量の水素が発生するとは思っていなかった.
 過信だといわれても仕方ない」
と話したという[1]

 また,福島第1原発1〜5号機の格納容器,「マーク1」は上部が狭いため,水素が高濃度に集まり易く,危険な高圧になり易い構造になっていた.
 同原発で働いた経験のある東電元幹部(匿名)は,
「(マーク1の)格納容器は小さく,圧力変化が大きく,操作も難しい.
 水素が溜まりやすく,潜在的な危険は感じていた」
と話したという[1]

 一方,朝日新聞は,水素は漏れて溜まったのではなく,格納容器の損傷を防ぐ目的で行われたベント(排気)で,建屋外に出したはずの水素ガスが,別の排気管を通じて建屋内に逆流したことから起きた可能性が高い,としている.
 東電の内部資料などによると,1号機には,
(1) 原子炉建屋内のガスをフィルターを通じて外に出すための「非常用ガス処理系(SGTS)」
(2) 格納容器内のガスを外に出すための「耐圧ベント配管」
という,二つの非常用排気管が備えられていた.
 これらの排気管は合流して一つの管となり,建屋外の排気筒につながっている構造.
 1号機でベントが実施された際,(1)の弁が原子炉の緊急停止で自動的に開いた状態になり,電源喪失で操作できなくなっていた.
 このため,(2)を通じて建屋外に出るはずだった水素ガスが,合流点から(1)に入り,建屋内に逆流していた疑いが強い,としている.
 東電幹部(匿名)は,
「格納容器を守るためにベントをした判断には間違いはなかった」
としたうえで,
「電源喪失の中で,水素ガスの逆流への考慮が足りなかった.
 排気設備の設計に問題があったと言われてもやむを得ない」
とコメントしたという.[4]

 しかし,逆流防止装置がついていた3号機でも,水素爆発が起きていることから,この説明には疑問の余地もある.
 東電自身,逆流説には否定的である.
 東電の説明によれば,逆流が水素爆発の原因となった疑いが浮上したため,6/3までに,経済産業省原子力安全・保安院にこの内容を報告したが,4日になって2010年の定期検査の記録を再確認したところ,逆流が疑われていた,原子炉建屋に通じる排気管に2つある弁のうち,建屋からみて上流側の弁は電源が失われると自動的に閉じる仕組みになっていたという.[5]

 また,NRCのヤツコ委員長は,原子炉建屋の爆発をおこした水素は,各建屋内にある使用済み燃料プール火災から発生していたかもしれない,という発言をしている.[3]

 なお本項は,情報収集でき次第,逐次追記・改訂の予定.

 【参考ページ】
読売新聞,2011.6.9[1]
共同通信,2011/05/25 21:43[2]
「Gigazine」◆2011年03月12日 20時57分14秒
「極東ブログ」◆(2011.04.13)NRCは水素爆発の原因を炉ではなく使用済み燃料プールと見ている[3]
「地震速報【東北地方太平洋沖地震】」◆(2011/04/26)【原発問題】福島第一原発「排気の遅れ,水素爆発招いた」…米紙ウォールストリート・ジャーナルが事故分析★5
朝日新聞,2011年6月4日3時2分(板橋洋佳)[4]
朝日新聞,2011年6月5日1時45分[5]

【ぐんじさんぎょう】,2011/07/23 20:20
を加筆改修


 【質問】
 福島第1原発の水素爆発は,予想されていたことなのですか?

 【回答】
 全く予想されておらず,最初の爆発が3/12 15:36に1号機で起きた後も,官邸に詰めていた,経済産業省原子力安全・保安院や東電担当者は,
「そんなはずはない」
と繰り返し,政府が水素爆発であることを認めたのは,発生から5時間後だった.
 細野豪志・首相補佐官は,
「建屋の水素爆発を予測した専門家はいなかった」
としており,また,原子力安全委員会の斑目春樹委員長は,
「格納容器に窒素が補充されている.水素爆発はない」
と説明し,菅首相もこの説明を信じていたという.
 格納容器を窒素ガスで満たせば,水素濃度が低く抑えられ,爆発が起こらないというのは,原子力業界の「常識」だったという.
 また,山田知穂(ともほ).保安院原子力発電安全審査課長は,
「格納容器から建屋に水素は漏れない設計.
 安全審査でも,建屋の水素爆発は起きないと評価している」
としていた.

 なお本項は,情報収集でき次第,逐次追記・改訂の予定.

 【参考ページ】
読売新聞,2011.6.9

【ぐんじさんぎょう】,2011/07/15 20:20
を加筆改修

▼ 水素の流出経路が不明なのは仕方ないのかもしれませんが,それ以上に,停電に対応した水素検知器が無かったという点が意外でした.

 普通,建物に付属している火災報知機やガス検知器は,非常用電池がついています.
 火災などの事故があった場合,たいていの場合,停電もセットで来ますので.

季節労働者 in mixi,2011年07月21日 10:25


 【質問】
 国際原子力事象評価尺度って何?

 【回答】
 「国際原子力事象評価尺度(INES:International Nuclear Event Scale)」とは, 国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が協力して策定した,原子力施設および原子力利用で起きた事象に対する,世界共通の評価尺度.
 この「原子力事象」というのが,原子力施設と原子力利用で発生した事故・故障・トラブルなどのこと.
 そしてこの「事象」をレベル0からレベル7までに分類し,レベル1〜3を「異常な事象」,レベル4〜7を「事故」として大別している.
 日本では現在,原子力施設における事象発生後,直ちにこの尺度を適用した暫定評価を,原子力安全・保安院)から発表することにしており,正式評価は,学識経験者で構成される総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会に設置されたINES評価小委員会により行われ,その結果を原子力安全・保安院が公表するという制度になっている.

 福島第1原発事故では当初,レベル4と発表されていたが,後にレベル7へと引き上げられた.

 【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=11-01-04-01(図表引用元も)

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【ぐんじさんぎょう】,2011/04/11 20:00
を加筆改修


 【質問】
 メルトダウンって何?

 【回答】
 実のところ,公式の定義はない.
>The term is not officially defined by the International Atomic Energy Agency[1] or by the U.S. Nuclear Regulatory Commission.[2]
>http://en.wikipedia.org/wiki/Nuclear_meltdown

 事実,ATOMICAや,原子力安全・保安院のサイトを見ても,用語集などに「メルトダウン」の言葉はない.

 報道等を見ても,燃料棒が一部ないし全て溶けた「炉心溶融」が,そう呼ばれることもあれば,その溶融物が原子炉圧力容器や,原子炉格納容器の壁を溶融貫通することを,メルトダウンと呼ばれることもある.
(チェルノブイリと関連付けて言われる「メルトダウン」であれば,後者のほうである可能性が高い)

 ウィキペディア・ソースであることに留意する必要はあるが,そうした齟齬から混乱や不安が生じているとされている.
 以下に引用する.

--------------------------------
 5月12日の東京電力の記者会見でもメルトダウンが問題になった.
 この会見に関する読売新聞[9],msn産経ニュース[10]等一部報道では,東京電力が1号機の「メルトダウン」を認めたとなっている.
 しかし会見の映像によれば,東京電力はメルトダウンを,溶融した炉心(すなわち燃料)が圧力容器にとどまっている「という定義をするなら」「結構」で,つまりその状態であると考えているという.
 東京電力は従来圧力容器内の水位はもっと高いと思っていたが,水位計を修理して測ったところ水位が意外に低かった.
 燃料棒全体が原型を保っていてそれほど露出した燃料棒は非常に高温になるが,計測されている温度が低いということは,燃料は原型を保っていなくて,溶融して水に浸される状態にはなっているであろうということである.
 水漏れの原因は燃料溶融の高温で圧力容器に小さな穴が多数空いたせいであろうが,だからといって大きな穴があいて溶融燃料がストンと下の格納容器に落ちてしまった証拠はないという意味である.

 これに対して,一部報道記事は,東京電力がメルトダウンと認めたというのは嘘ではないとしても,「圧力容器から溶融燃料の多くが溶けて格納容器に落ちているという事実あるいは可能性」を東京電力が(否定してきたがここにきてはじめて)認めたという印象を与えている.東京電力は溶融燃料の多くや全部が格納容器に落ちた可能性がないともあるとも断定していない.
 今のところ格納容器までの落下までいっていないとわれわれはみていると言っているだけである.
 勝手に定義を作って視聴者の誤解を招く意味で,両者に責任がある.
 発表側も,確率的なことは確率をつけて発表することで,政府国民がリスク管理ができるということを考えず,控えめ控えめに発表している.
 その目的のためにこの語の定義をもてあそんでいる.

--------------------------------
※ 2011.5.13アクセス.2011.5.21に確認したところ,「蛇足」との理由で削除されている.以下同.

 同ページでは,
>メルトダウンという言葉がひとり歩きして,燃料の溶融度や位置やそれらの確率の,科学的な議論になっていない.
とまで述べている.

 逆に言えば,「メルトダウン」という言葉を連呼するかしないかが,その人に科学的議論を行う姿勢があるか否か,それとも単なるアジテーターか否かの,一つの目安となるだろう.

【ぐんじさんぎょう】,2011/05/18 09:30
を加筆改修

1号機の作業計画,見直し迫られる〜東電
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1599196&media_id=88

 〔略〕
炉心の構造物などが溶け落ちているといいう意味でなら,そういう事態ではない,と言っているのに,テロップにはメルトダウンの語が踊り,流れ,司会も,アシも,ニュース読みも,アナウンサーたちはメルトダウンを連呼し……
 正直,頭痛い.
 しかも,東電の社員の前の記者の質問は映像には出てなくて,いきなり東電の社員が,そういう意味でのメルトダウンの説明に入っているところからスタートするからね.
 あざといよ,本当に.

 もともとメルトダウンは厳密な意味での,学術用語じゃない.
 俗語であり,それこそ映画「チャイナシンドローム」の公開と,その数日後のスリーマイル島事故のおかげで,瞬く間に,世の中に広がった言葉だ.
 ただし,この当初言われていたメルトダウンというのは,完全な炉心構造物の熔融を指していた.
 チャイナシンドロームという言葉ももっと俗な表現にしただけで同義であり,要は,核分裂が暴走し,停止できなくなった原子炉内で,炉心がポットリと格納容器に落ち,それを熔かし,さらに地表へと溶け落ちていく……ということで使用されていた.
 で,下手すると地球の裏側=中国にまで届いちゃうぞ〜ってことで,チャイナシンドロームと.
 現実にはチェルノブイリのように,原子炉内でドカンと水蒸気爆発が起こるし,さらには水素爆発が連鎖するようなこともありえる.

 こういう経緯をオレなんかはよく知っているから,ただ燃料棒が溶けただけという現状には,メルトダウン,炉心熔融という言葉を安易に使うようなことはしない.
 燃料棒の損傷,破損,燃料(棒)熔融といったあたりの語を使い,チェルノブイリのような激しい事故とは区分したいと思うわけだ.

 このメルトダウンという言葉のイメージは,あまりにも強烈すぎる.
 煽るのにはもってこいだ.
 しかも,中途半端に原子力問題に注目している人が,一番はまり易い.
 煽るほうは,「燃料棒損傷」に対して舌を出しながらメルトダウンという言葉を適用しているのに,炉心構造の熔融という意味でメルトダウンをイメージしている人は,すわ一大事となってしまう.
 〔略〕

ソフトヒッター99 in mixi,2011年05月13日07:51

 よそからの拾い物なんだけど,メルトダウンの定義について……

――――――
 英語の(core) meltdownは,英語版Wikipediaの記事によれば,国際原子力機関(IAEA)や米・原子力規制委員会(NRC)などの公式用語ではない.

 国際規格としてはISO921の「炉心溶融(英語 core melt)」(=JIS Z 4001:1999「原子力用語」に採用) 「炉心の冷却が十分に行われない状態が続くことによって,溶融に至ること」)と同義と考えられそうである.

 しかし,おそらくmeltdownという語の 'down' という部分の印象や,炉心は核燃料のことであるのに,原子炉の 中核を成す構造物であるかのように聞こえる印象が影響している.
 そのため,メルトダウンは圧力容器の底を溶かして,格納容器に落ちることと勝手に定義されたり,チャイナ・シンドロームのように格納容器さえ溶かして,その台以下まで至ることと解釈されたりしている.

 このように,ひとつの言葉が人や機関によって,重大度の違う事故を指している.
 したがって,メルトダウン(meltdown)という語を使って質問したり説明したりすることは,日本語でも英語でも,「メルトダウンが起こっていない」「いや起こっている」といった不毛な議論の元となるので注意を要する.

――――――ニュース速報+板,2011/05/12(金)

▼ 実際にメルトダウンという言葉を忌避して,使わなかった報道機関もある.
 以下引用.

-----------------------------------------
 ウォール・ストリート・ジャーナルのピーター・ランダーズ・ワシントン支局次長は,
「報道に際し,あまり過激な書き方をしないよう心がけた」
と語る.
 「メルトダウン(炉心溶融)」という言葉も,
「定義が明確でなく,誤解を招きかねない表現」
だとして,あまり使わなかったという.

-----------------------------------------読売新聞 2011/06/08 31面

 また,朝日新聞も少なくとも13日付までの新聞までは,メルトダウンという言葉を一切使っていない.▲


 【質問】
 中間貯蔵って何?

 【回答】
 すぐに再処理に回せない使用済み核燃料を,一定期間保管することで,湿式貯蔵と乾式貯蔵の2種類に大別される.
 再処理までの調整として,30?50年間保管することを想定している.
 必要になれば取り出し,再処理しプルトニウムを回収することを想定しているので,公式にはリサイクル燃料資源貯蔵施設と名づけられているが,日本では原子炉格納容器のそばのプール,または敷地外貯蔵施設において貯蔵されているのが現状.

 【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=06-01-05-14
http://www.fepc.or.jp/present/cycle/chozou/index.html
http://www.city.mutsu.lg.jp/index.cfm/15,1312,30,226,html
http://www.city.mutsu.lg.jp/index.cfm/15,1309,30,226,html
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=04-07-03-16
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=04-07-03-15

atm110516.gif
http://www.fepc.or.jp/present/cycle/chozou/index.htmlより引用

むつ市に建設が計画されている中間貯蔵施設
http://www.city.mutsu.lg.jp/index.cfm/15,1312,30,226,htmlより引用

【ぐんじさんぎょう】,2011/05/22 20:50
を加筆改修


 【質問】
 なぜ原子炉は,核分裂が停止した後も,熱が出続けるのですか?

 【回答】
 原子炉では核分裂片から出る放射線も,大部分が熱になって発電に寄与しており,これが全体の約7%になる.
 ところが,核分裂片ができてから放射線が出るまでには,半減期に比例したタイムラグがある.
 そのタイムラグのため,核分裂が停止してからも,熱は(7%から徐々に減衰しながらも)放出され続けることになる.
 このような熱は,「残留熱」「崩壊熱」と呼ばれている.

 【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-01-02-12
http://www.nisa.meti.go.jp/word/30/0874.html
『わかりやすい原子力発電の基礎知識』(榎本聰明著,オーム社,1996.8.30),p.86

【ぐんじさんぎょう】,2011/04/29 20:30
を加筆改修

 地震があってすぐに,緊急停止=核分裂は止まっている福島.

 実験の挙句に,制御棒が3分の1しか入らず,核分裂が暴走して爆発したチェルノブイリ.

 この2つの決定的な違いが,ここから分かるはずなんだよな……

ソフトヒッター99 in mixi,2011年04月29日 00:05


 【質問】
 福島第1原発事故の深刻度の,レベル7への引き上げについて教えてください.

 【回答】
 原子力安全・保安院は,東京電力福島第1原発事故の深刻度を,レベル5からレベル7に突如引き上げました.
 これはチェルノブイリ原発事故と,同じ数値となります.
 理由は,事故発生の11日から今日に至るまでの放射性物質の量が,レベル7の基準である 「数万テラ・ベクレル以上(テラは1兆倍)」という計算に達したからだというのです.
福島原発事故,最悪の「レベル7」に引き上げ (読売新聞 - 04月12日 11:01)
チェルノブイリとは違う=枝野官房長官

 また,菅首相は専門家から聞いたと,記者会見で述べています.
レベル7引き上げは専門家の判断…首相 (読売新聞 - 04月12日 18:28)

 しかしこれには疑問があります.
 そもそもミリベクレルしかなかった量が,何故「計算したらテラ・ベクレルになった」という点です.
 実際,放射性物質が流出した理由は,1号機と3号機の水素爆発により,建物上部が吹き飛び,使用済み核燃料プールが露出して,そこから放射性物質が漏れだした事が理由だからです.
 それでもこんなに放射性物質が出るのでしょうか?

 さらに私のマイミクさんの日記からの引用になりますが,レベル6とレベル7はこのような事例を言うそうです.

――――――
パパ陰謀論立てちゃうぞ〜 :ソフトヒッター99さんの日記

レベル7=深刻な事故
 放射性物質の重大な外部放出:
 ヨウ素131等価で数万テラベクレル以上の放射性物質の外部放出.
 原子炉や放射性物質障壁が壊滅,再建不能.

レベル6=大事故
 放射性物質のかなりの外部放出:
 ヨウ素131等価で数千から数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出.
 原子炉や放射性物質障壁に致命的な被害.
――――――

 確かに福島第1原発は水素爆発により,放射性物質障壁は破損したものの,致命的または壊滅したとは言えません.
 原子炉に至っては,いろいろ破損はあるものの,これに該当するほど酷くはありません.

 さらに保安院より厳しい,フランスや国連の機関ですらも,せいぜいレベル6と言っているのに,何故暫定的とはいえレベル7にしたのか不可解です.
 しかもアメリカ側も何故か,この数値には賛同しています.
レベル7は米政府の見解と一致…ルース大使 (読売新聞 - 04月12日 19:50)

 まぁ確かに,アメリカ側としては西海岸への放射性物質が,偏西風で流れてくるのを恐れたからの発言でしょうが,何か日本側に頼まれて言われたような感じもしないでもないような感じです.

 何故突如引き上げたのか疑問を抱えますが,どうもこの記事がそのヒントになりそうです.
■民主,党内対立再燃も…統一選前半戦の敗北で (読売新聞 - 04月12日 11:00)

 〔略〕

 菅首相の専門家の発言を聞いたという話も疑問が残ります.
 既に与野党から批判が出ています.

 いずれにしてもこの,暫定的とはいえレベル7は,日本の経済や復興に影響を与えるのは避けられません.
 さらに外国では,レベル7にしておけば原発事故や核事故を起こしても許されるという事になりかねません.
 今回のレベル7は,将来に禍根を残す事になってしまう懸念があります.

 〔略〕

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年04月12日21:02
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 福島第一原発の全電源喪失の際,電源車との規格が合わないなんてことのないよう,あらかじめ統一しておくべきだったのでは?

 【回答】
 電圧降下という現象があります.
 これは,電圧を印加したケーブルや電線において,末端になるに従って電圧が低くなっていく現象です.
 電線やケーブルが持つ僅かな電気的抵抗により,電圧を印加し電流が流れることで発熱が生じ,電線全体が熱を発生させる負荷と同様になり,電圧が低下します.

 幹線設計をする場合,電圧降下を考慮した幹線計画をしないと,所定の電圧が確保できないために,送電先の負荷に悪影響を及ぼします.
 通信機器や電子機器は電圧変動に弱く,機能の停止などを引き起こすことがあります.

 そこで原子力仕様では,同時起動による電圧降下で使用不能になることを恐れ,通常は高めに設定しているようです.
 一般用が460Vであるのに対し,原子力仕様では480V.
 高圧側は6.6kVと6.9kVの違いです.
(もちろん違いのない原発もあります)
 480Vを使う原発の例がこちら.
 460Vを使っている例はこちらになります.
 両原発の違いですが,当サイトで調べてみましたがよく分かりません.
 負荷側の電動機等の条件から最適なものを選定しているということかもしれません.想像ですが.

 したがって480V規格の原発であれば,外部から電源を繋ぐ場合,機器を動かした時点で,何時もより電圧低くておかしい…と保護動作誤作動で停止する可能性が高くなります.
 全電源喪失という事態の中,そのようなことになれば,余計に危険ですね.
 これを解決するには,変圧器による昇圧か,事前の発電機車改造または新造が必要となります.

 もし仮に原発の施設側を460V規格に合わせて改造するとしますと,全て絶縁耐力が厳しくなる方向で,設定や界磁電流の上限,能力アップグレードなど,大掛かりなものになります.
 新造したほうがコストが安い可能性があります.
 また,上記のような理由による,電圧降下による使用不能のリスクも高まります.
 私見では,発電機車改造または新造のほうが,安全性とコストの両面においてベターかと存じます.

 まあ,そうした発電機車を事前に準備しておかなかったのが,今次事故で発覚した手抜かりという事になるかと.

 【参考ページ】
http://electric-facilities.jp/denki4/kouka.html



 【質問】
 『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』には,
>発電所内では3種類の交流電圧(6900V,480V,100V)が使用されている.
> 一般的に,電源車は6900Vと100Vを供給するものしかなく,派遣された電源車も,この2種類であった.
とある.
 「統一すべきだった」は,この一文が根拠では?

 【回答】
 この「100V」だが,他の事故調査委員会の報告書には出て来ない.
 たとえばこれは,電力融通の概念図.
 政府事故調より引用したものだ.

 どうやら,100Vのプラント配線は,原発というプラントを動かす上では,殆ど使われていないらしい.
 使われているとしたら,非常用白熱灯(直流)を除く蛍光灯照明や,オフィス用OA機器や,掃除機などの通常の家電製品くらいだろう.

 例外としては,放射能防護のための送風機や,線量計などの充電器程度.
 これは上記概念図の下のほうにも記載されている通り.
 主機には殆ど影響がない.

 このことは,大規模な工場を見学したことのある人なら想像はつくだろう.

 なので,「統一しても意味が無い」というのが結論.

 なお,上記は文献出典を欠いているため,もし誤りがあれば,遠慮なく御指摘願いたい.
 ただし論拠を添えて.

 【質問】
 福島原発被災事故の評価尺度が,「レベル7」に引き上げられましたが,この判断は妥当なものなのですか?

 【回答】
 疑問の声もある.

 ロシアの原子力企業「ロスアトム」のセルゲイ・ノビコフ広報は,
「原子炉損傷程度はレベル5未満」
「公正なレベル(INESスケール)は最大値レベル6と考える」
「レベル7は,事故時に深刻な人体への健康被害を伴うが,福島はそうではない」
と述べている.
 また,ロシア科学アカデミー原子力安全発展問題研究所のラファエル・アルトゥニァン(Рафаэль Арутюнян)副所長は,
「健康被害から見るとレベル4」
「まだ1人も死んでいない」
と述べている.

ИТАР-ТАСС:Объявление Японией седьмого уровня опасности на АЭС в Фукусиме является чрезмерным ? "Росатом" (イタル-タス通信:福島原子力発電所のリスクが第7レベルという日本の発表は過大である-ロスアトム)
日本語による要約記事⇒「レベル7は過大評価だ」ロシア専門家 - 社会ニュース : nikkansports.com

時事ドットコム:レベル7は「行き過ぎ」=ロシア原子力企業

ユーロニュース英語版

 上記3番目の記事によれば,ロスアトムの見解に仏原子力会社も同意しており,IAEAもそう判断するだろうとの旨も.

 ASN(フランス原子力安全機関)のラコスト Andre'-Claude Lacoste 総裁もまた,早い段階から福島第1原発被災事故の規模について,
「スリーマイル以上,チェルノブイリ未満」
との評価をしている.
 以下引用.
 ただし,リンクはもう失効しているかもしれない.

――――――
CNN.co.jp:スリーマイル島を上回る規模 仏当局者が見解(2011.3.15)
 ASNの総裁は15日,報道陣との会見で,原発事故の深刻さをレベル0―7の8段階に分けた国際原子力事象評価尺度(INES)で,福島原発事故はレベル6の状態にあると述べた.
――――――
――――――
「スリーマイル以上のレベル6なのに日本は小さく見せてる」…仏 [2011.03.15]

・フランス原子力安全機関(ASN)のラコスト総裁は14日,日本の福島第1原発の事故について「米国のスリーマイル島の事故(79年)より深刻だ」との見方を示した.
 AFP通信が伝えた.
 総裁は日本が事故の深刻度を,国際原子力機関(IAEA)が決めた8段階の尺度で「4」としていることについて,「(さらに深刻な)5以上で,6程度との感触がある」と指摘.
 この判断は「日本側からの情報に基づくものだ」とした.
 スリーマイル島事故はレベル「5」に指定されている.
 一方,総裁は日本の事故について,旧ソ連のチェルノブイリ事故(86年)のレベル「7」よりは深刻でないとの見方をしている.
――――――

 日本政府の判断は,放射性物質放出量が根拠になっており,INES(国際原子力事象評価尺度)のフローチャートに基づいて,放射性物質の放出量から機械的に評価をすると,確かに「レベル7」にはなる.
 だがチャートには,『このマニュアルの内容から,フローチャートだけ切り離して使うな』という注意書きがある.
INES - THE INTERNATIONAL NUCLEAR AND RADIOLOGICAL EVENT SCALE USER’S MANUAL: 2008 EDITION

 さらに言えば,それまでの暫定評価レベル5から,1ランク・アップではなくいきなり2ランク引き上げられたことについて,合理的な説明が2011.4.16現在まだ見られない.

 これらから判断する限り,現時点においては「レベル7への評価引き上げは,過剰反応」と言わざるを得ない.

 ただし情報が錯綜しているため,この見解は今後変わる可能性があるので,念のため.

 【参考ページ】
http://twitter.com/#!/nekoguruma/status/57830988587339776
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57834495356846080
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57835983181332480
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57836725401157632
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57837253216579584
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57838625483792384
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57840868803088384
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57841402276626432
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57843981421248512
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57844663859683329
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57845250110140417
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57848620451504128
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57855371473190912
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57861252126474240
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57872390914445312
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57935548605677568
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57936732389244928
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57938786641915904
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57941842951548928
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57946021266862080
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57948414377340928
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57961042264858624
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/57966912277188608
http://twitter.com/#!/yunyundetective/status/57967626231615488
「Slate Magazine」◆(2012/03/18)Fukushima isn't nearly as bad as Chernobyl.
「福島とチェルノブイリを一緒にするな」という記事

▼ 政府が,東京電力福島第一原発事故での深刻度を,暫定的にレベル7にまで引き上げた事について,各国から疑問の声が相次いでいます.
 ロシアの国営原子力企業ロスアトムのノビコフ報道官は,レベル4は低過ぎるがレベル7は高すぎる,レベル5より高くないという見解を出しています.
 さらにロシア科学アカデミー原子力エネルギー安全発展問題研究所のアルチュニャン副所長も,放射線量は 健康の影響からすれば,レベル4にも及ばない数値だと断言してます.
ロシア専門家は,引き上げに「行き過ぎ」「レベル4にも届かない」批判:MSN産経ニュース

 また,フランスの放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のグルメロン放射線防護局長も,事故は重大だがチェルノブイリクラスではなく,放射性物質の量もチェルノブイリにも劣り,さらに福島原発の回りだけ影響があるだけで,チェルノブイリ事故での欧州の影響は無きに等しいという見解を出しています.
チェルノブイリ級ではない フランス研究所が見解:時事通信

 となると,菅首相を始め政府や保安院の,この数値は何故出されたのか疑問が残ります.
 やはり政局絡みだとすれば,原発災害を政局に利用したとして,菅内閣以下民主党の責任が問われます.
 民主党という政党,2年後には存在しているのでしょうか・・・.

■追記
 IAEA(国際原子力機関)もチェルノブイリには遠く及ばないと,今回の引き上げには疑問の声明が出ています.
IAEA チェルノブイリに及ばず

 もうこれ,政局絡みとしか思えませんね・・・.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年04月13日11:34

 東京電力福島第1原発事故の,国際原子力事象評価尺度を原子力安全・保安院がレベル7にした問題で,マイミクのるーでる@柏葉さんから情報提供を頂きました.
 ありがとうございます.

 レベル6のウラル核惨事では780000デラベクレル,チェルノブイリでは5000000デラベクレルの放射性物質が放出されています.
 これはツイッターなので,要クロスチェックとなりますが,各国の原子力機関が今回のレベル7格上げに,疑問の声があるのを見ると,事実である可能性は極めて高いのです.
保安院発表『福島原発事故レベル7』についての考察:Togetter
lyiaseさんのつぶやき:Twitter

 さらに国際原子力事象評価尺度を見ても,福島の場合, 原子炉に壊滅的または致命的な被害があったとは思えず,やはりこのレベル7への格上げには疑問と疑惑が残ります.
国際原子力事象評価尺度 - Wikipedia

 となると,何が原因で格上げになったのか.断定はできませんが,民主党内での小沢・鳩山グループが,政局のために仕掛けた可能性が高くなります.
「レベル7,いまさら」小沢氏

 実際,海江田万里経済産業相は,この鳩山グループのメンバーであり,海江田氏が小沢氏や鳩山氏の意向を受けてレベル7にした・・・というのは考えすぎでしょうか?
 考え過ぎであって欲しいものです.

 このレベル7については既に,首相退陣論まで噴出しています.
■与野党から首相批判噴出…1か月過ぎてレベル7 (読売新聞 - 04月13日 14:27)

 〔略〕

■追記
 福島の放射性物質の量は37万デラベクレルでした.失礼しました.
 深くお詫び申し上げます.
 とはいえ,ウラル核惨事にも及ばないので,やはりレベル5が妥当というのが私の見解です.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年04月13日16:42

 そもそも,原子力安全協会理事長の佐藤一男によれば,INESの効用には限界もあるという.
 なぜなら,事故の背後に重要な意味があり,徹底分析して教訓を引き出さなければならないような事象でも,そのときには幸いにして結果が大したことなく終われば,低いレベル扱いされるからだという.
「だから,安全対策の専門家が,様々な事象を選び出して分析するときには,この尺度だけに目を奪われてはならないということになる」
と,佐藤は述べている.
『原子力安全の論理 改訂』,日刊工業出版社,2006.2.,p.201)

 やれレベル7だ,やれチェルノブイリ級だと騒ぐだけの人々に,そのような安全対策議論上の配慮が働いているようには,とうてい思われないのだが.



 【反論】
>全世界がレベル7引き上げは疑問視しています
>その証拠はロシア,フランスの意見です

 そりゃ,両国の一部にはそんな意見もあるわな

>IAEAもチェルノブイリには及ばないといってます

 及ばないだけで,引き上げ自体は否定してませんけどね

>民主党が政局に利用するためレベル7に引き上げたのです

 米国原子力規制委員長がレベル7引き上げも驚かないのは,ミンスが工作したからなんですね)

 レベル5が妥当です(キリッ)

あれもインボー in FAQ BBS,2011/6/16(木) 12:19

 【再反論】
>全世界がレベル7引き上げは疑問視しています

 筆者は「全世界」なんて書いていない.
 各国とは書いたが.その国とはロシアとフランスである.

>そりゃ両国の一部にはそんな意見もあるわな

 だから「専門家」と書いたわけですが.
 ちゃんと見ましたかね?

>及ばないだけで,引き上げ自体は否定してませんけどね

 ええ,「否定している」なんて書いていませんけど.

>米国原子力規制委員長がレベル7引き上げも驚かないのは,ミンスが工作したからなんですね

 全然関係ない話を持ち出されてもね.
 こちらはロシアとフランス,IAEAの専門家の意見を引用しただけだし,アメリカの原子力委員会の話なんかしていないわけだが.

>レベル5が妥当です(キリッ)

 個人的な感想に(キリッ!なんて書かれてもね.

 そして問題なのは,一体どうしたいのかが書かれていない.
 FAQ BBSは本サイトの内容の訂正,削除を求めるためのものでもあるにも関わらず,反論者は「●●●といった形に訂正しろ」とも,削除しろとも書いていない.
 まぁ,それを求めるのは無理でしょう.
 彼等の目的は「構って貰いたい」だけなのだから.
 しかも読解力はまるでなし.

 せめて,
「あまりソースがはっきりしていないから削除してみては?」
とか,あまり正当な理由にはなりませんが,
「小沢さんや鳩山さんの陰謀みたく書いているのはけしからん! 削除せよ!」
というのならこちらも対応できますが,これでは対応できません.
 〔略〕

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年06月17日14:11

 他にも,上記【反論】は,

1) ソースが出されておらず,論として成立していない.

2) その後,この反論者は本サイト掲示板に再登場しておらず,書き逃げの荒らし行為に等しい.

3) 不自然な2レベル上げに対する説明がない.

4) チャートには,『このマニュアルの内容から,フローチャートだけ切り離して使うな』という注意書きがあることを,無視している.

など,問題点だらけ.
 よって,門前払いが妥当かと存じます.

 ちなみにその後,やはり福島第1原発事故を,チェルノブイリ事故と同列に置くことには,IAEAも疑問を感じたらしく,チェルノブイリ事故をレベル8に引き上げることを検討している――という報道もあったことを付記しておきます.

2011.8.23


 【質問】
 福島第1原発で,また再臨界が発生する可能性があるの?

 【回答】
 福島第1原発でまた再臨界が発生,という話がネットで流れました.
 ソースはブルームバーク日本版です.
IAEA原子力安全局:福島第一原発,局所的に再臨界の可能性も(1)

 こんな見出しなので,ネットでは「再臨界が起こる!」と言いだした人もいたそうです.
 しかし実態はこれでした.
再臨界の噂について(再臨界していない):kikulog

 今現在は発生しておらず,発生する可能性があったが今はないとの事で,これからもないとの事です.

 ・・・もう萎えますよ,ホント.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年03月31日18:45
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「海水で再臨界」ってどういうこと?

 【回答】
 再臨界とは,臨界から未臨界状態に移行後,再び臨界になること.
(臨界については,こちら参照)
 つまり,
「原子核に中性子が入る⇒核分裂が起こり,中性子が飛び出る⇒原子核に中性子が入る⇒……」
の繰り返しが,再び起こることなのだが,海水が入ると,その塩分が中性子線を吸収するので,ウランなどの原子核に入る中性子が,それだけ減ることになり,むしろ再臨界を起こしにくくする.
 そら,「海水で再臨界が起こる」なんて言ったことにされたら,斑目委員長が怒り出すはずやね.

 海水と再臨界とがワンセットで報じられた一件は,前にもあったが,それは別項にもあるように,
「海水中の物質から生じた放射化生成物が,再臨界の『可能性がある』証拠と見なされた」
という話.
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1301510533
に詳しい.

 上記ブログや報道を総合して考えると,以下のような話.

1) IAEAの原子力安全監督官であるデニス・フローリーが,
「 1号機の原子炉燃料棒の部分的な融解が原因となり,単独で核連鎖反応が起きる『局所的臨界』の可能性は,今後も否定できない」
と述べた.

2) それとは別に,フェレンツ・ダルノキ・ヴェレス博士は,塩素の同位体Cl38が検出されたという報道を元に,
「これは再臨界によるものである可能性がある」(再臨界で生じた中性子が,Cl38を作った可能性がある)
との論文を書き,それがタイム誌などで報じられた.
 もちろん,これには「ウランの自然崩壊でも中性子が発生するから,それで発生の説明がつく」との反論も出た.
 「Cl38」とセットで検出される筈の,「Na24」も検出されていなかった.

3) 東電が分析をやり直したところ,Cl38は検出されず,先の分析はプログラム・ミスによる誤りだったのだろうということで決着.

 しかもこれは,1号機への海水注入の中断――実際には現場の判断により,中断は行われなかったという報道も出ている――があった3/12より後の話.

▼ ではなぜ,内閣府のほうで「海水注入による再臨界」の話が出たのか?
 それはまだ,全くの謎.
 「官邸もよほど混乱していたんだろう」としか.

▼ 読売新聞記事によれば,どうやら,疑心暗鬼に陥っていた菅首相のイライラ爆発に,周囲が萎縮した結果の迷走である模様.
 以下,少し長いが引用.

------------------------------------------
 震災から丸1日余りたった3月12日午後3時36分頃,東京電力福島第1原子力発電所1号機で水素爆発が起き,原子炉建屋が吹き飛んだ.
 格納容器の圧力を下げるベントがようやく成功して,約1時間後.
 首相周辺にも安堵感が漂い始めた頃だった.

 官邸5階にいた菅首相(64)は,斑目春樹・内閣府原子力安全委員長(63)や東電,経済産業省原子力安全・保安院から
「ベントさえすれば大丈夫」
と聞いていた.
 期待を裏切られ,
「何で爆発したんだっ」
と怒鳴り散らしたが,説明を求められた経済産業省の幹部は,「あ〜」と頭を抱えるばかりだった.
 斑目委員長は,
「水素爆発で首相はナーバスになった」
と振り返る.

 1号機には早朝から計・約80tの真水が注入されたが,タンクの水が足りず,午後2時53分には注入が停止してしまった.
 水素爆発による瓦礫が散乱する現場では,廃炉を意味する海水注入の準備が進められた.
 6時5分には,海江田経産相(62)が東電に,原子炉への海水注入を命令.
 7時4分に注入が始まった.

 ところが,

水素爆発で疑心暗鬼になっていた首相は,午後6時ごろ,斑目委員長に,
「何か起こる可能性はないのか.
 再臨界についてはどうなんだ」
と質問を繰り返す.
 斑目委員長は
「可能性はゼロじゃない」
と答えた.
 海水注入を巡る迷走の始まりだった.
 首相は
「問題点を全て洗い出せ」
と命じた.
 官邸に連絡役として来ていた東電元副社長の武黒一郎フェロー(65)が,東電本店に,
「首相の了解が得られていない」
と伝え,本店は午後7時25分,中断を決めた.

 保安院などの「問題ない」という検討結果を受け,硼酸を入れて海水注入を行うことが指示されたのは,海江田経産相の命令から2時間後の7時55分.

 同原発の吉田昌郎所長(56)は,この間,本店の意向を無視する形で注入を継続していた.
「安全を最優先した,正しい判断だった」
 武藤栄副社長(60)は,5月26日の記者会見などで吉田所長の判断を支持し,
「(真水より)海水のほうが臨界しにくいのは自明だ」
と言い切った.
 にもかかわらず,本店が中断を決めたことには,
「具体的な施策まで首相が判断するという感じがあって,その判断がない中で注水を続けることは,難しい雰囲気があった」
と釈明した.

 危機における重要な決定が,官邸の「空気」で左右され,責任の所在は曖昧になった.

------------------------------------------読売新聞,2011.6.8,30面

 この,海水注入を巡る混乱について,細野豪志・首相補佐官(39)は,5月27日の記者会見で,
「現場を後押ししないといけないのに,情報がスムーズにやり取りできなかった」
と述べたという(読売新聞,2011/06/08)

▼ なお本項は,情報収集でき次第,逐次追記・改訂の予定.▲

 【参考ページ】
http://www.nisa.meti.go.jp/word/11/0480.html
http://www.j-cast.com/2011/03/31091858.html
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110515-OYT1T00561.htm
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1301510533
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110420-OYT1T00882.htm
http://nagatsuki07.iza.ne.jp/blog/entry/2236005/

atm110523.jpg
http://sankei.jp.msn.com/politics/photos/110523/plc11052307360002-p1.htmより引用)

【ぐんじさんぎょう】,2011/05/24 20:30
を加筆改修

 水=H2Oが,減速材・反射体となって,再臨界を助長するというケースがあるようなのですが,その条件がまだちょっとよく分からない.

――――――
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%89%E5%BF%83%E6%BA%B6%E8%9E%8D#.E5.86.8D.E8.87.A8.E7.95.8C

 また,別のタイプとして,溶融燃料の形状,配置,水との混合具合によって臨界条件が満たされてしまうようなことがあると(再臨界),飛び交う中性子が減衰しなくなって,連鎖反応が起こる.
 一瞬,核暴走が起こり,その結果エネルギーと新たな核分裂生成物が発生する.
 水は減速材として,連鎖反応を助長する方にはたらく.」

2011年05月23日 20:06 ソフトヒッター99

 中性子を減速しきれないと熱中性子になって,かえって原子核に捕われ易くなって核分裂を助長する,と.
 でもこれって,硼酸水を入れようが海水を入れようが,再臨界の条件が変わるだけで,結局一緒じゃないですかね.

2011年05月23日 20:17 ペッパー

 国会中継で斑目氏の話を聞いてた限りだと,海水によって冷却する事で起きる,複数の危険性みたいな説明の中で,腐食したり,冷却水の流入経路が塞がれる可能性も有ることを伝えたうえで,
「再臨界の可能性はゼロでは無い」
と言う風に伝えたみたいですが.
 これをどう解釈するかですよね.
 思ったんですが,専門家から複数の可能性の話を聞いておいて,命令を下す時に専門家の意見を聞かないで,トップダウンで決めるってのは,戦前の駄目な将校みたいですね.

2011年05月23日 20:40 遠吠犬

 海水と真水では,臨界の危険性は大差ないとは思いますが.
 核燃料の熱で海水が蒸発した後,核燃料の表面に塩分が張り付いたり,塩分と核燃料が合金を作った場合にどうなるのか・・というのは少し気になりますね.

 まあ,塩化ナトリウム自体,あまり沸点の高い成分ではないので,核燃料の熱で蒸発してしまいそうですが.

2011年05月24日 22:18 労働者

 「臨界安全管理」からすると,「最適化問題」というのがあって,核燃料そのものが融けたり,再処理他で水他に溶けている時に,どのような状態が一番臨界に近いか,というのは極めて難しい問題.
http://twitter.com/hebotanto/status/73009495432888321

 極めて専門的な話をすると,「原子炉」が臨界になりやすいように格子状の形状をしているのは,減速材(水領域他)確保による,中性子共鳴吸収の回避が目的.
 だから,それが崩れるような場合,減速材があったとしても,うまく中性子が共鳴吸収を回避できないため,未臨界方向へ.
http://twitter.com/hebotanto/status/73010310113529856

 ただし,過去の臨界事故例を見ると,核燃料が意図せずにタンク等に溜まってしまって,それを混合した瞬間に臨界事故を起こしたり,その逆で,沈殿してしまったために臨界事故を起こしたパターンも.
http://twitter.com/hebotanto/status/73010748678356992

 ……というぐらい,「臨界安全管理」は定性的に物が言えるようで,実は遙かに厳しいところ.
 ただ,淡水か海水かの影響はほとんど無く,当時の場合はホウ酸混合注入を継続できたか,希釈危惧はなかったか,の方が遙かに厳しい問題と考えるところ.
 後は解析待ちです.
 ご参考まで.
http://twitter.com/hebotanto/status/73011609227898880

 授業で必ず習うはずですがおさらい.
 共鳴吸収はどの物質でもあるが,原子炉で問題となるのはウラン等の共鳴吸収.
 臨界事故時の収束に大きな影響を与えるドップラー効果は,それによるもの.
http://twitter.com/hebotanto/status/73012089530236930

 そして忘れてはいけないのは,中性子の減速は連続的な物ではなく,離散的な物.つまり,飛び飛びに中性子が減速していくこと.
 また,共鳴吸収のピークではブラックホールであり,100%中性子は吸収されると考えて良いこと.
http://twitter.com/hebotanto/status/73012563436244993

 以上を考え合わせると,答えは非常に簡単.
 減速材(水)とウランを均質に混ぜるのではなくて,交互交互に分散する.
 すると,本来ならウランの共鳴吸収で失われるエネルギーを持つ中性子が,エスケープゾーンである減速材領域に有れば,幸いにしてその中性子が生き残ることに.
http://twitter.com/hebotanto/status/73013230489972736

 よって,原子炉は減速材とウラン等が「均質」に混ざり合うのではなくて,わざわざ交互交互になるようにして,それを繰り返す「均一」にするのが鉄則.
 以上のような,「均質」と「均一」の致命的な違いを理解するのが,原子炉物理の基礎中の基礎なのです.
 数式暗記では×.
http://twitter.com/hebotanto/status/73014099897884672

 以上,おさらいでした.
 そう考えられるようになると,現在の状況で何を心配しなければならないのか,少なくとも優先順位は付けられるようになると考えますよ.
http://twitter.com/hebotanto/status/73014613486223360

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より

 【関連リンク】
「Togetter」◆(2011/05/24)おさらい


 【質問】
 自発核分裂って何?

 【回答】
 外部から中性子などの衝撃や外部からのエネルギーを加えることをしないで,原子核が自然に核分裂を起こす核分裂現象をいう.
 要するに,人間が何もしていないのに,勝手に起こる核分裂のこと.
 原子番号Zが93以上の超ウラン元素で,自発核分裂の発生確率がより高い.
 とは言っても,カルフォルニウムCf252でも,全壊変のうちの96.9%はα壊変であって,自発核分裂が起こるのは3.1%だけ.

 偶数の質量数を持つ同位体は,強いアルファ線を出すとともに,自ら自発核分裂をする結果,中性子を放出するので,中性子被ばくに注意する必要がある.
 人工の自発核分裂性核種の252Cf(カリホルニウム252)は,原子炉の起動用中性子源や中性子ラジオグラフィなど,各種用途に広く用いられている.

 【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=337
http://www.atomin.go.jp/reference/atomic/fuel/index05.html
http://www.atomin.go.jp/reference/atomic/plutonium_science/index03.html
http://physico.tea-nifty.com/chu/2011/04/20-4b6c.html
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=08-01-03-16

【ぐんじさんぎょう】,2011/11/04 20:20
を加筆改修


 【質問】
 (自発核分裂は)結局,危険なんですかね?
 群馬に住んでるので,遠くに母子避難しようか悩んでます.

Kaiin mixi,2011年11月04日 06:53

 【回答】
 「自発核分裂」かどうか,「再臨界」かどうかは,危険かどうかとは直接には関係ありません.
 たとえ核爆発であろうと,それによる影響が1マイクロ・シーベルトもないなら,殆ど危険はないだろうといえますし,逆に先述のように,自発核分裂といえども,線量が大きければ危険だといえます.

 今回のケースに限って言えば,放射性物質であるキセノン133とキセノン135の濃度は,ともに1立方cm当たり約10万分の1ベクレルと微量[1].
 ベクレルがどのくらいの大きさなら危険なのかについては,別項を参照してください.

 もちろん,これ以前に放出された放射性物質は,地域によっては無視できないほどの放射線量を放っているところもありますから,それは気をつける必要があります.
 現在,自治体や市民団体が各地で計測していますので,気になるようでしたらそうした団体の計測結果を,グーグル検索などで調べると良いでしょう.
(ただしガイガー・カウンターも正しいやり方で計測しないと,誤った数値が出ることがありますし,安物の計測器ではそもそも,数値に大きく幅が出ますので,できましたら複数団体の数値を比較してチェックしたほうがいいかもしれません)

 ただ,別項でも述べましたように,一般に思われているほど,放射線による発癌リスクは高くなく,むしろ喫煙や,食事中の化学物質などのほうが,そのリスクは高いと,専門家は述べています.

 ですので,あまり神経質になるのも,かえって微量の放射線よりも体に悪いかと.

 【参考ページ】
[1]東電,「臨界でなく自発核分裂」…保安院は慎重 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

【ぐんじさんぎょう】,2011/11/08 20:20
を加筆改修


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