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「an Arms Watcher」◆(2010/07/27)中国、この先10年で空母6隻建造 原子力空母視野 −米議会
「an Arms Watcher」◆(2010/07/30)中国、3艦隊合同演習 −南シナ海
「An Arms Watcher」◆(2010/11/27)中国空母「ワリヤーグ」 2011年に進水か
「An Arms Watcher」◆(2011/04/08)〔中国〕国営メディアついに,空母を報道 2020年までに原子力空母開発か
「An Arms Watcher」◆(2011/06/08)中国軍幹部,空母建造を認める
「An Arms Watcher」◆(2011/08/11)中国初空母,試験航行へ −米,説明求める
「An Arms Watcher」◆(2011/08/12)配備は南シナ海か,空母就役しても航空部隊は2015年以降か
「An Arms Watcher」◆(2011/08/13)空母,戦力にはあと10年必要,艦載機部隊の養成も進行で,航行中に試験を実施か
「An Arms Watcher」◆(2011/07/13)中国空母,試験航行延期にー「技術的な問題」
「An Arms Watcher」◆(2011/08/01)空母修復作業終了―試験航行へ,中国
「An Arms Watcher」◆(2011/09/22)中国,新型潜水艦に空母キラーを搭載か
「An Arms Watcher」◆(2011/12/02)中国空母,再び試験航海へ
「CNN」◆(2012/11/26)中国,空母艦載機の離着艦に成功 実戦レベルまで数年か
「D.B.E. 三二型」(2011/01/16)◆「日本も空母持っていた.なぜ中国ばかり」中国高官反発
「D.B.E. 三二型」(2011/08/10)◆中国初の空母,試験航行=海洋権益にらみ威嚇効果
「D.B.E. 三二型」(2012/01/08)◆空母キラーと呼ばれる「DF-21D」が米空母を攻撃する想像図
「Defense News」◆(2012/09/25)China Unveils Another Stealth Fighter During Panetta Trip
obiekt_JP in twitter(2011/12/12)
◆朝日新聞がフェイク画像に引っ掛かったようだ.
>中国初の空母,海上で艦載機と合同訓練:朝日新聞
最近,中国の軍事マニアがロシア空母の画像を加工して作った冗談写真なのに…
問題のフェイク画像がこれ
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/146199057474392064
http://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/146199812776267776
「Strategy Page」◆(2013/04/23) SURFACE FORCES : China Forms Its First Carrier Escort Group
「Strategy Page」◆(2013/05/01) NAVAL
AIR: China Seeks A Nimitz Moment
中国,「ニミッツ」級空母の情報を収集
The Mystery of the Hapless Varyag(リンク切れ?,ワリヤーグの現状を紹介)
「Times of India」◆(2013/05/12) China forms first carrier-borne aviation force
「VOR」◆(2012/08/29)中国初の空母,第10回の出航
「VOR」◆(2012/09/28)中国,空母グループ結成か
「VOR」◆(2012/11/25)中国 演習空母に初めて戦闘機が着陸
「VOR」◆(2013/04/24) 中国,2隻目の空母建設に着手
「VOR」◆(2013/06/11) 中国空母「遼寧」,演習のため海へ
「産経」◆(2013/04/24) 着艦装置は「民間技術」 仏生産力再建相
フランス「中国に売ったハープーン・グリッドシステムは軍事技術の範疇じゃないよ(キリッ」
「人民網」◇(2012/07/31)中国の空母,9回目の試験航海から帰還
「人民網」◇(2012/08/31)中国の空母プラットフォームが10回目の試験航海から帰還
「人民網」◇(2012/09/24)中国初の空母プラットフォームを23日に海軍に引渡し
「人民網」◇(2012/09/28)国防部:空母戦闘群の構成・配置問題について回答
「人民網」◇(2012/09/28)国防部:空母の艦載機は国産機を基に自主開発
「人民網」◇(2012/09/28)国防部:中国の2隻目の空母についての噂を否定
「人民網」◆(2012/10/18)空母が放射線・生化学兵器の除染作業を実施
「人民網」◇(2012/11/29)中国の空母,大排水量の原子力空母が発展方向に
「人民網」◆(2013/03/07) 空母「遼寧」,遠洋試験航行へ
「人民網」◇(2013/04/24) 中国の次の空母はさらに大型化の見込み
「東京の郊外より・・・」◆(2010-11-09)中国海軍の何を恐れるか
米国防大学のコール教授曰く,
「中国海軍が空母を造りたいなら,多数建造して欲しい.
なぜなら空母なら,我が潜水艦の絶好の目標だから.
私が恐れるとしたら,中国が2万トン級の複数の艦艇に,百機の無人機を搭載した場合」
「ニューズウィーク」◆(2012/11/01)初の空母に込めた中国の見栄
「東京の郊外より・・・」◆(2011/06/29)論争:中国空母は脅威か?
「六課」:中国は,2010年に訓練航母「施琅」(シーラン)の航海試験を開始する
「六課」:中国はロシアの「アドミラル・クズネツォフ」と同一の空母を造る
「六課」◆(2010-02-16)訓練航母「施琅」(旧ソ連空母ワリャーグ)近影(2010年2月2日)
【質問】
かなり以前から中国が空母を保有するという話が囁かれてますが,ロシアから中古の空母をスクラップとして購入した事以外には具体的な動きを聞きません.
これは中国は本気で空母を欲しがっていないのか,それとも技術的に空母を作れないのでしょうか?
【回答】
保有したいのは確かだけれども,すぐには実現不可能でしょう.
中国は80年代から空母保有のための研究を行っていました.
また中国海軍は,96年3月の台湾海峡危機の際,台湾海峡に展開した米空母機動部隊に手も足も出せず切歯扼腕した経験から,空母保有に相当の関心があるのは間違いありません.
しかし,政治的な判断から中央軍事委員会が空母建造を保留したとも言われています.
さらにその実現には多くの技術的・経済的困難が伴います.
中国には一万トン以上の排水量の水上戦闘艦を建造した実績が無いですし,水上戦闘艦の儀装品の多くが輸入もしくはライセンス生産品という現状では,航空機まで含めた独自の空母用戦闘システム開発はかなり困難かと.
先日3胴船形式の軽空母を建造というニュースも流れましたが,実現性は相当に怪しいシロモノでしょう.
ただし,長期的には中国海軍は空母保有のためのプランを捨てることなく,今後も建造への努力を続けていくものと思われます.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/02/07
青文字:加筆改修部分
空母保有の意思はある可能性が高い.
なぜなら中国は空母に積極的にリソースを割き始めているからだ.
世界の艦船2006年3月号のアンドレイ・V・ポルトフ氏の記事及び5月号の宇垣氏の記事によれば,中国海軍は急速に
「空母1隻と艦載機に1兆円かける」
方向に動きつつある.
具体的には,ワリャーグへの中国側造船官や各分野による専門家による調査,分析は2005年2月に終了し,4月からは再生作業が始まってる.
後7月までに船体全体の中国海軍色への塗装作業が行われているとの事だ.
また,中国はロシアからワリャーグの設計資料や技術図,設計図などを全て購入したといわれているようで,ワリャーグの復活は容易とすら言われている.
さらに言えば,中国の軍需関連産業を統括する国防科学技術工業委員会の張副主任が記者会見で,関係部門が空母の保有を真剣に研究・検討しているとすら明言している.
【質問】
中国軍の軍人は,自国の空母保有についてどう考えているのか?
【回答】
佐藤守のブログによれば,中国軍内部でも不要論・不経済論が大半を占めているという.
保有賛成派もその点は認めているものの,
「空母は軍のシンボル」
「台湾問題を『解決』するためには必要」
だとして,保有に固執している模様.
以下引用.
――――――
http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20071129
(承前) 午後のセッションは,「中日政治,安全問題」であった.
川村団長が「中国の空母保有と海洋進出」と題して,中国の空母保有への動き,空母建造の課題,中国海軍の任務に対する空母の適合性という,かなり露骨な内容について詳細に述べ,結論として
「限られた任務にしか効率性が認められない空母を保有するために,巨額の投資をすることは壮大な無駄遣いになる」
とやんわり?釘を刺した.
これに対して元海軍戦闘機パイロットであった李少将が長々と反論した.
専門家としては
「川村提督の指摘は正鵠を得ている」
「中国の軍内部でも不要論と不経済論が大半を占めている」
としながらも,呉海軍少将が訪米して米太平洋司令官と会談したとき,司令官は「建造すべきだ」と言った.
例えば主要国はみな空母を持っている.
日本も昔は強大な空母群を持っていた.
米・英・仏・伊・・・インド,タイまで持っているのに,どうして中国は持てないのか?
ケ小平主席は「軍は主権のシンボル」だといった.
「空母は軍のシンボル」である.
役に立つ立たないは論外,多数の軍人の願望である.
米国は10隻の空母をもつのに中国が購入したら何故脅威なのか?
建造の可不可は,科学技術のシンボルであり,決意次第である.
1950年に毛沢東は一万年かかっても必ず原爆を持つと宣言したが,結果的に短期間に原爆を持った.
艦載機については,今は持たないが,将来は必ず持つ.
勿論米国に売ってもらえるものではなくとも,技術的に学び取ることは可能である.
自力建造は可能だと信じている,資金の問題についても中国は出せる.
巨大な外貨準備高を持っているから造れるのは事実である,と強硬論を述べた.
そして
「自国の空母の姿を見られずに退官したのは残念.
国民も空母を持ちたいと思っていると思う.
その証拠に,30年前に小学生が空母建造費用として2元寄付したことがある.
ある企業家は2000〜3000万元を出した.
これこそ中国人民の民意の赴くところであるというのだから恐れ入る.
更に空母は台湾問題解決に役に立つといい,あくまで問題を平和裡に解決したいが,万策尽きて必要な場合は,直接的軍事力行使ではなく「封じ込め」策を講じるだろう.
空母なしでは台湾を封じ込めることは有効ではない,台湾を攻撃するということではなく,抑止(圧迫して降参させる)戦略である,軍事力が強ければ強いほど,台湾問題は解決する,とまで言った.
――――――
この見解に対し,佐藤は
それを貫くものは「中華思想」そのものであった.
という感想を述べているが,どちらかといえば,昨今中国で台頭している悪性ナショナリズムの産物であろう.
それはともかく,中国に浪費させることができるというのなら,今後,むしろ中国の空母保有に賛成する反中派が現れる可能性もある.
▼ 【追記】
しかし,これまた思いきった建造に踏み切りました.
中国海軍は空母を最高で5隻建造,海上戦闘能力の増強を開始しました.
2015年には,中国海軍初の空母が稼働を開始します.
中国が空母5隻建造へ 空母は2015年に稼働=中国メディア
とはいえ,空母には経費がかかるのは,この日記でもお伝えした通りです.
また,空母の人員はいいとしても,5隻ともなるとさすがに資金力は持つのかどうか.
確かに今は,中国の高度経済成長があるからいいのですが,この経済成長が5隻の空母を揃い上げ,それで維持できるのかという問題もあります.
また,私のとあるマイミクさんとも話したのですが,中国空母と日米が激突するとなれば,それは南シナ海になる可能性があります.
さらにインド洋では,インド海軍との空母機動部隊と衝突もありえます.
尖閣諸島付近をうろつく中国海軍の監視船といい,朝鮮半島情勢といい,東アジアの軍事緊張は中国を中心に回っていると言ってもいいでしょう.
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年11月28日14:22
もしこの報道が本当なら,政治が軍事的合理性を乗り越えた事例が,もう一つ増えたということになるだろう.▲
【質問】
中国の空母保有賛成派は,なぜ空母を欲しているのか?
【回答】
zyesutaさんのブログの記事を見て思った事があります.
中国海軍は何故熱心に空母を保有したがるかです.
書かれてある通り,第一列島線の内側での局地戦争を戦い抜くための理由もありますが,実はもう一つ理由があるのです.
それはインド海軍の空母への対抗策です.
中国海軍は何を考えているのか 建軍から未来まで:リアリズムと防衛を学ぶ
中国海軍はおそらく,STOBAR型の空母の建造に力を入れていますが,現状ではせいぜい1隻建造し,さらに試験航海やら訓練やらで,「連合艦隊」の設置までに至るにはまだまだ時間はかかるでしょう.
しかし中国の仮想敵国・インドでは,既に2隻の空母を保有しています.
さらには国産空母「ヴィクラント」を就役させ,2番艦も2017年までに建造する予定で,最終的には3隻体制になります.
〔略〕
インド海軍 - Wikipedia
ヴィクラント (空母・2代)- Wikipedia
インド海軍が空母3隻体制に・うち2隻は国産:Garbagenews.com
そうなると,アフリカからの資源輸入のためのシーレーンは,仮想敵国であるインド海軍によって脅かされる事になります.
日本や韓国,台湾みたく,シーレーンをアメリカに一任など中国は出来ません,
というか大国であるという面子もあるので,アメリカに頭など下げられません.
そんな事をしたら,人権問題でねじ込んでくる可能性があるからです.
さらに中国は,同じく軍備増強で脅威を抱くロシアが,艦載機を売らないとみるや,Su-33のコピーに乗り出し,今年の5月にはコピーの生産が報じられました.
ロシア製戦闘機をこっそりコピー?空母の艦載機として使用:レコードチャイナ
ちなみにインドは,ロシアから正規にMiG29Kを調達しており,ロシアにとっては中国よりインドが信用出来るというところでしょう.
ですから中印対立時には,ロシアは中国よりインドを支援する可能性があります.
またコピーだと所詮,オリジナルのような性能は期待できませんが,オリジナルだとたとえ輸出用にダウングレードされていても,オリジナルと同等の性能は期待できます.
そして空母建造数でも中国はインドに負けています.
中国が空母建造に力を入れるのは,こういう背景があるのです.
台湾侵攻や尖閣上陸なら,空母は必要ありません.
全ては独自でシーレーンを守るという,中国の決意があるからなのです.
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年10月27日14:31
青文字:加筆改修部分
【質問】
〔中国の空母保有をもって中国脅威論を唱える人がいますが,〕確かに空母があれば外征は可能です.
しかし空母保有=外征ではないでしょう?
フロム in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【回答】
〔攻撃型〕空母ってのはな,基本的に本土から離れた海域でそれなりのレベルの軍事行動を起こすのに必要な訳だ.
当然,沿岸に留まるなり国土防衛に専念する限りは必要の無いシロモノ.
ましてや英仏のように海外に植民地を持つわけでもない中韓がそれを持とうという訳だ,それは即ち「外征の意図在り」と見做されて然るべきもの.
タイのように見栄だけで買って,維持費すら儘ならず,岸壁の女王と化すのなら兎も角な.
〔また,中国は〕空母だけでなく,大型揚陸艦の建造も急ピッチで進んでいます.
今まで中国海軍はLSTタイプの玉坎級という小さな揚陸艦しか持っていなかったのですが,最近,フランスが中国向けに輸出を決めた35000馬力級船舶用ディーゼルエンジンのリストには,「ドック型揚陸艦用」とはっきり書かれていました.
これは玉坎級の倍以上の馬力なので,排水量は恐らく1万トンを超えます.
彼らは外洋へ出ようとしている.
原子力潜水艦を日本領海に侵入させて海峡を突破した事件もありましたし.
【質問】
中国が空母整備を検討し始めたのは何時頃か?
【回答】
「近海積極防衛戦略」を打ち出した80年代後半からだという.
以下引用.
中国海軍が長期的に空母の整備を検討し始めたのは,先の「近海積極防衛戦略」が打ち出された直後の80年代後半だったと言われている.
中国海軍はこれによって将来実現すべきものとして,南シナ海と東シナ海で作戦可能な能力,自立した制海・制空能力,強力な即応反撃能力,強力な水陸戦能力,一定の核抑止能力という5つの能力を明示したためである.
この段階から中国海軍では,排水量2万t台のV/STOL軽空母から6万t台の大型正規空母までが研究されることとなったが,なにしろ1990年代までの中国は,巨大な農業国であり,国内には正規空母どころか軽空母の開発・建造基盤さえ存在しなかった.
そこで1989年の天安門事件を契機に,再びソ連/ロシアとの間で軍事技術面の結びつきを強化し始めると,空母の設計・開発に関してもロシア側の協力を仰ぐこととなり,1994年にはネフスコイエ設計局との間で中国海軍の要求に基く空母の設計契約を結ぶことになったのだった.
宇垣大成 from 「世界の艦船」2005年4月号,p.111
【質問】
中国が空母を実用化させる上での難題は何か?
【回答】
艦載型早期警戒機をどうするのかという点だという.
以下引用.
正規空母の艦載機としては,主力の戦闘機以上に難しい問題がある.艦載型早期警戒機(AEW)をどうするのかという点だ.
空中での早期警戒と戦闘の指揮を司るAEWは,能力的に満足な空母艦載航空戦力を構成する上では不可欠な機種だが,現在までにこれを開発・生産してきた国はアメリカ以外にはなく,中国がアメリカからE‐2CホークアイAEWを導入できる可能性は,政治的な理由から殆どあるまい.
一方ロシアでは,これまでに早期警戒用のレーダーを艦載ヘリコプターKa-31に搭載して運用試験を行っているが,能力的にこれがE-2Cに匹敵するはずはなく,中国海軍にとっても満足できるものではなかろう.
こうなると中国は,国内で艦載AEW機を開発しなければならなくなるのだが,本質的に高度なエレクトロニクスの塊を,現在の中国が自力で開発できるわけはなく,イスラエルやロシアからの技術支援が得られるとしても,今後,短期間に有力な機体が出現する可能性は,まずなさそうだ.
宇垣大成 from 「世界の艦船」2005年4月号,p.112
さて,続報.
上記で「(中国)海軍にとっても満足できるものではなかろう」と述べられているKa-31早期警戒ヘリコプターを,20機もロシアから購入する見込みのようです(^^;
【中国,ロシアから再び兵器購入(4月28日・香港中評社)】
ロシアの報道によると,中国軍はロシアから上陸作戦用装備と対潜哨戒機を購入する.
その内訳は,Ka-29兵員輸送ヘリコプター40機,Ka-31早期警戒ヘリコプター20機,そしてベリエフBe-200対潜哨戒飛行艇15機.
報道によると,中露両国は今年の秋にも正式に輸出契約にサインするとの事.
Ka-29はKa-27対潜ヘリを元に製作された汎用ヘリ.
7.62ミリ機銃×4,AT-6対戦車ミサイル,80ミリロケット弾を搭載可能.最高速度は280km/h,
航続距離は1003km.
Ka-31もKa-27対潜ヘリを元に製作された早期警戒ヘリ.
高度3000mで巡航飛行しながら,E-801MOkoレーダーで同時に20の空中目標の探知が可能.
戦闘機の探知距離は最大110km.
水上艦艇の探知距離は200km.
現在,中国海軍の固定翼の水上/対潜用哨戒機は,運輸8を改造した運-8J,運-8X(合計10機前後)と水轟-5(10機未満)のみなので,Be-200の導入は中国海軍の対潜哨戒機の不足を補うものになると思われる.
海軍陸戦隊の保有している汎用ヘリは,シュペルフルロンのライセンス生産型の直昇-8とドーファンのライセンス生産型の直昇-9.
前者は大型のため運用可能な艦が限られ,後者は搭載能力の制限という問題を有している.
Ka-29は両機の中間の大きさで運用上手ごろなサイズである事,対地攻撃能力を有しており,悪天候下での運用にも適しているのが利点と推測される.
Ka-31早期警戒へりの採用は,中国海軍にとって欠如していた空中早期警戒能力を保持させることになる.
また運輸-8Xとともに,水平線外距離の敵水上艦隊の探知・攻撃能力を得るためにも欠かせない装備となる.http://military.china.com/zh_cn/critical3/27/20060430/13289115.html
から要約.
Ka-31はE-801 MOko レーダーで同時に20の空中目標を探知可能.
警戒高度は3,000m.
探知距離は対空が最大110km.対水上では最大200km.
E-2Cには劣るだろうけど,無いよりは遥かにマシ.
現在,ロシア海軍のアドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフには財政難から2機しか搭載されていないが,ある程度まとまった数を搭載すれば,それなりには有効と思われ.
シア・クァンファ in mixi
【質問】
中国の建造する空母は,どのようなものになると予想されるか?
【回答】
朝日新聞Webサイト『アサヒ・コム』より.
――――――
http://www.asahi.com/international/update/0109/TKY200901090003.html
中国の空母建造,ロシア大使が「協力を検討」
【北京=峯村健司】
中国軍初の国産空母建造を巡り,ロシアのラゾフ駐中国大使は8日付の中国紙・南方週末のインタビューで「我が国には空母建造の技術があり,協力を検討している」と述べた.
その上で,条件として「両国の利益になり,ロシアの国際的義務の範囲を超えない」ことを挙げ,周辺国の脅威論に配慮を示した.
〔略〕
8日付の香港紙・香港商報によると,建造する空母の甲板は長さ320メートル,幅70メートルで排水量は6万トン.
船名は「北京号」か「上海号」が候補に挙がっている.
また,8日付の中国誌・看天下は,空母建造は09年から着手する可能性が高く,完成時期は「遠くない」と報じた.
(2009年1月9日6時19分)
――――――
『香港商報』の記事
http://www.hkcd.com.hk/content/2009-01/08/content_2216851.htm
によると,中国空母は,通常動力型の085型,核動力型の089型の2タイプが有りますが,(船体)設計は同一であり,全長320m,幅70m,標準排水量6万トン,満載排水量8万トン.
外見は米空母キティホークに似ているが,内部構造は旧ソ連原子力空母ウリヤノフスクに則っているとの事です.
旧ソ連原子力空母ウリヤノフスク
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/4820597.html
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/26392303.html
『日本周辺国の軍事兵器』中国航空母艦計画
http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/%c3%e6%b9%f1%b9%d2%b6%f5%ca%ec%b4%cf%b7%d7%b2%e8
によると,中国は,既にウリヤノフスク級の設計図を入手しているとの事です.
ウリヤノフスクは,ウクライナの造船所で建造されており,ソ連邦解体後,独立したウクライナに接収されました.
ですからこの造船所(チェルノモルスキー・ザヴォート)には,ウリヤノフスク級の設計図が残されている筈です.
中国がこれを入手する事は,困難を伴わないでしょう.
話を『香港商報』に戻すと,通常動力型の085型の1番艦は,2009年から建造を開始し,2015〜2017年に「下水(進水)」を予定しているとの事です.
085型は2隻建造され,その後は核動力型の089型へ移行します.
ただしこの記事によると,核動力型の089型の建造は,まだ決定されておらず,建造されるか否かは,2020年以降の中国の経済力次第になるそうです.
一部で
「中国が空母を建造すれば,国が崩壊するだろう」
などという「(希望的)観測」(つーか,願望)が出ていますが,あくまでも,「懐具合」に左右される計画であるという点に注目する必要が有る.
(だいたい,国を潰すような「空母」って・・・純金とダイヤモンドとプラチナで造るのかよ・・・)
『香港商報』とやらの情報の信憑性には疑問符が付くものの,どのみち,中国が建造する「航母」は,6万トンを越える事は間違いないようです.
『香港商報』の情報通りなら,ロシアのアドミラル・クズネツォフよりも大きい艦になります.
さてロシアも,近い将来に航空母艦の建造を計画している事は,当ブログでも度々取り上げています.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/folder/1033270.html
『グローバルセキュリティ』より.
――――――
ロシア新原子力航空母艦
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/cvn-newcon.htm
"the new carrier would be on the order of 40,000 tons of full water displacement, smaller than the 50,000"
(新航空母艦は,満載排水量4万トン以上であり,5万トンよりは小さくなる)
――――――
といった具合に,長年の技術的ブランクを考慮したのか,それとも予算面やコストなどを考慮したのかは不明ですが(たぶん両方),あまり大型の艦は造らないつもりです.
搭載機も30機程度ですが,動力は原子力になるようです.
こちらは,ロシア海軍の唯一の現役空母アドミラル・クズネツォフよりも小さい艦になります.
というわけで,これまでの情報を纏めると,中国の新航空母艦は,ロシアの新航空母艦よりも大きい艦になるようです.
しかし動力に関しては,中国空母は,最初は通常動力艦(ディーゼル?)で,将来は原子力艦を造る計画であるのに対し,ロシア空母は,最初から原子力艦の建造が有力視されています.
昨年,メドベージェフ大統領が「(新空母の)動力は原子力であるべきだ」と発言しました.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/34855900.html
これが極一部で
「メドベージェフ大統領は,原子力空母を建造すると"宣言"した」
などど言われたが,それ以前(2007年)から,新空母は原子力艦になるという事がロシア海軍総司令官によって明言されており,メドベージェフ発言も,特に目新しいものでは無い.
ただ,「原子力」と聞いて,ロシアがウリヤノフスク級のような大型空母を造るなどと思い込んでいる人も居ますが(^^;
ロシア(旧ソ連)と中国の,これまでの原子力艦船の建造実績を考慮すれば,この差は当然でしょう.
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2009/1/10(土) 午前 10:46
【質問】
中国空母は,何年後に出現すると考えられるか?
【回答】
宇垣説によれば,早くても2015年以降になるという.
以下引用.
仮にこれまで述べてきた船体と動力・推進方式,各種艦載機の導入に,ある程度までの目途を得たとして,中国海軍が今後の1〜2年後までにネフスコイエ設計局の仕様に基く船体の建造に着手したとすると,1番艦の完成までには5〜6年ほどはかかるから,船体だけは2010年代の前半期には姿を現すかもしれない.
しかし,これまで述べたように,空母はその艦載航空戦力が実現して初めて意味を持つものなのであり,現状から推察するに,中国がこの問題を2010年代前半までに技術的・基盤的に解決できるとは考えにくい.
AEW機をも含めて主力機種の開発が,今後の10年以内に大きく進歩したとしても,空母の航空部隊は陸上にも基地を必要とし,パイロットのみならず,整備要員も纏めて育成しなければならないので,組織的・物的インフラの全てを一から整備しなければならない中国海軍が,今直ちにこの一大事業に取り組み始めたとしても,これらの基盤がある程度まで整い,1番艦の訓練運用が,航空部隊を含めてどうにか可能になるには,短くとも今後10年はかかる事になる.
中国海軍には実際,空母整備の計画以外にも,新世代の各種潜水艦の整備計画や,戦略核抑止力としてのSLBM開発計画があり,空母以前に護衛艦となる排水量5,000〜6,000t級の汎用駆逐艦をある程度まで,少なくとも十数隻単位で整備する必要があるなど,課題は多い.
しかし,これらをあえて度外視して空母の整備を急いでも,これまで述べた事情からすれば,中国海軍の最初の正規空母が戦力としてカウントしうるようになるのは,早くても2015年以降のこととなりそうだ.
また,空母を常時1隻戦力として機能させるには,常識的には最低3隻・3個航空団が必要だから,中国海軍がこうした能力を実現するのは,全てが順調に進捗した場合でも2020年代の中頃になることだろう.
宇垣大成 from 「世界の艦船」2005年4月号,p.113
「2015年」という数字は,今年3月にアメリカ議会で開かれた軍事専門家による公聴会でも出てきているので,ある程度は軍事専門家の間で「定説」となっていると思われ.
ちなみに,その他の部分では
・空母は排水量45,000〜60,000tクラス
・艦載機はSu-30MKK(の艦載版)など30〜40機
・随伴艦は2003年以降に建造された「広州」級などの防空能力に優れた駆逐艦
という輪郭でほぼ一致.
巷で話題の旧ソ連空母ワリャーグの再就航については「半信半疑」.
さすがに,第一線の空母として配備されると考える専門家は少なかったようです(笑)
シア・クァンファ in mixi
よって,以下の話は,「船を浮かべる」というレベルの話に過ぎず,戦力として計算できるようになるのは,もっと先の話.
直ちに「重大な軍事圧力」になるかどうかは大いに疑問.
中国,2年後に空母戦闘群を配備か
【ワシントン=山本秀也】米国の中国語誌「多維月刊」(電子版)は1日,中国が2年後をメドに初の空母導入に踏み切ると報じた.
大連のドックで改装作業が進む旧ソ連製の六万トン級空母ワリヤーグが1番艦として転用され,南シナ海の海南島三亜に配備されるとしている.
中国の空母導入をめぐっては,3月に米議会で開かれた軍事専門家による公聴会でも,ワリヤーグを含めた6万トン級艦艇の配備を確実視する分析が示されていた.
三亜を母港とする空母戦闘群の配備が事実とすれば,台湾海峡のほか,6カ国・地域が領有権を争うスプラトリー(中国名・南沙)諸島や付近を通る日本のシーレーン(海上交通路)に対する重大な軍事圧力となる.
ただし,ジャーナリストのアンドレイ・V・ポルトフは,「先般,大連でワリヤーグを目撃したロシア海軍の関係者」の話として,中国はワリヤーグを,実験艦を兼ねた第一線空母として再生しようとしている,との見方を伝えている.
詳しくは,「世界の艦船」2006年3月号,p.153(A.
V. Polutov著述)を参照されたし.
【関連リンク】
「ロシア・ソ連海軍」:中国の航母(旧)ワリャーグ近影(2008年6月20日)
【質問】
中国は空母をロシアから買うんですよね?
国防上問題じゃね?
【回答】
艦載機のパイロットだけではなく,空母を動かす人員の育成から始めないと駄目.
現時点での中国海軍のその辺の人的リソースは絶望的までに足りない.特に質の面では.
補足だが「解放軍報」のウェブ版を(翻訳ソフトを通して)読む限り,人的リソースに加えて,初歩的なノウハウもないように思える.
「駆逐艦の魚雷を撃とうと思ったらバッテリーがアガッていた」
だの,
「ミサイルの配線が焼けていて,演習でも撃てなかった」
だの,
最後は「英雄的な解放軍兵士の活躍で解決した」などという,お決まりのオチをつけてはいるが,根本的には何とも香ばしい記事が散見される.
軍事板
▼http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200611210119
は,「ワリヤーグ,正規空母として復活か?」を伝える記事だが,このページの一番上のワリヤーグの写真と,下のページの停泊中の同型艦クズネツォフの写真とを比べてみよう.
http://tuku.military.china.com/military/html/2005-06-19/1199078_185989987.htm
ワリヤーグは,喫水線下の部分(黒いところ)が随分と海面上に出ているが・・・・
中身はスカスカじゃないのか?(笑)
写真をもう一枚.
以下のページにあるのは,退役後,係留保管中のロシア空母アドミラル・ゴルシコフ(1999年撮影)
http://tuku.military.china.com/military/html/2006-03-15/1020487_391946354.htm
同艦は1995年に退役したから,当然,この時点では燃料も弾薬も積載されていないよね.
このゴルシコフと比べても,ワリヤーグ喫水線下部分は出すぎだと思わない?
軍事板
▲
ただし,ジャーナリストのアンドレイ・V・ポルトフは,多大な影響を与えうる脅威となるだろうと見ている.
曰く,将来,中国の,日本などに対する示威行動にはワリヤーグが出て来るだろうし,有事の際には,中国は日本にも攻撃を加えてくる可能性は高い.
日本は本土および近海の防衛システムを,空母機動部隊の襲来を想定したものに大改編せねばならなくなるだろう……
詳しくは,「世界の艦船」2006年3月号,p.153(A.
V. Polutov著述)を参照されたし.
旧ワリャーグの最新写真です
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Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/6/8(金) 午後 7:41
【関連リンク】
「ロシア・ソ連海軍」:旧ソ連海軍VSTOL空母ミンスク近影
「ロシア・ソ連海軍」:航母ミンスク・ワールド
「ロシア・ソ連海軍」:中国で修理中の旧ソ連空母キエフ(2003年)
「ロシア・ソ連海軍」:霧中の航母ワリャーグ(2008年4月4日)
【質問】
中国はこれまで何隻の空母を所有したのか?
【回答】
・メルボルン,
・キエフ,
・ミンスク,
・ワリヤーグ
の4隻.
他に,フランスにもコンタクトを取っている.
この4隻は今のところ,いずれも実戦力とはなっておらず,その見こみも殆どないが,空母建造技術蓄積には多いに役立ったと推測されている.
以下引用.
1985年にオーストラリア海軍の退役空母メルボルン Melbourne をスクラップとして購入したのが,「中国海軍航空母艦史」の始まりである.
当時,中国海軍の多種多様な研究所や設計局が同艦の構造や設備を子細に調査し,中でも青島の海軍研究所は蒸気カタパルトを念入りに調べていた.
9年後の1994年,同艦はスクラップとしてようやく解体されたが,カタパルトなど一部の設備はいまだに保管されている.
1990年代中頃,中国はロシア海軍のキエフとミンスクを購入すると,メルボルン同様,両艦を徹底的に調査した.
「外国の退役艦艇や兵器をスクラップとして購入し,調査・分析して国産艦艇や兵器の開発に役立てるのは,中国の伝統的お家芸」
というのがロシア海軍関係者の間の常識だ.
また,ロシアはスクラップの売却と並行してキエフ級の改型を提案したが,中国はその性能に満足せず,ロシア設計局も急場凌ぎのプランであることを認めている.
同じ頃,中国はフランスともコンタクトを取り,フランスはクレマンソー Clemenceau 級空母の改造プランを提案,中国はシャルル・ドゴール Charles de Gaulle 級原子力空母の設計資料や建造支援を提案したが,互いに相容れず交渉は物別れに終わった.
結局,中国はメルボルン,キエフ,ミンスクなどを参考として国産空母(排水量48,000t,蒸気カタパルト2基,搭載機24機)の設計に着手したが,ワリヤーグ購入というチャンスが現れたため,その作業はストップした.
「世界の艦船」2006年3月号,p.151(A. V. Polutov著述)
ついでに,中国が購入した旧ソ連「空母」の居場所をおさらい.
・ミンスク:深セン,香港の近く
・キエフ:天津,渤海湾
・ワリャーグ:大連,旅順の近く
シア・クァンファ(夏光華) ◆BFSytpS.uc
【質問】
中国はワリヤーグ買収に際し,最初から軍事利用の意思はあったのか?
【回答】
あった,と言わざるを得ない.
視察員は明らかに現役軍人であり,同艦を買収した観光会社は,軍のダミー企業であった可能性濃厚.
以下引用.
ニコライエフ造船所の関係者は,当時の様子を次のように回想する.
「中国の視察員達は軍の関与を全く隠蔽せず,設計や建造に関する資料や情報を積極的に集めると同時に,ワリヤーグの建造に関わったニコライエフ造船所の技師や労働者に,中国造船所への転職を提案していた」
1997年6月,ウクライナ政府当局は中国側と予備商談を開いたが,背後では中国軍やその情報機関高官が暗躍し,買い手を幾度となく変更して撹乱するかと思えば,露骨な賄賂攻勢を仕掛けてきた.
その結果,国際入札に勝利したのはマカオの観光会社で,同社はワリヤーグが大連に到着後,姿を消したのである.
〔略〕
ワリヤーグの購入は,中国海軍にとって画期的な転換点と言える.
というのも,ワリヤーグの購入と並行して中国がニコライエフ造船所や設計局の技師,設計缶に中国での就職を斡旋していた事は先に記したが,それ以外にも中国の設計や建造をテーマとする講義や講演のために彼らを招聘しており,ロシア当局によると,現在,ウクライナやロシアの高級専門家の多くが中国の研究所や造船所で講師,技師,設計官などとして働いているという.
さらに中国はロシアからワリヤーグの設計資料や技術図,設計図などを全て(!)購入したと言われ,これが事実なら,ワリヤーグの復活は容易であろう.
「世界の艦船」2006年3月号,p.150(A. V. Polutov著述)
【質問】
ワリヤーグ売買の際の契約では,軍事利用はしてはならないことになっていたのでは?
【回答】
確かにそのような契約条項はあった.
しかし,超国家的な契約遵守強制機関の存在しない国際社会にあっては,そんなものは古紙同然の価値しかない.
1998年4月に同社〔マカオの観光会社〕がワリヤーグを2600万ドルで購入したときの契約には,軍艦として再生することを禁ずる項目があったが,これも同社の消滅と共に霧散してしまった.
ワリヤーグの現在の所有者は,大連造船所系列の株式会社だが,大連造船所は中国海軍のための国営会社であるから,同艦は事実上,中国海軍の管理下にあると言える.
ワリヤーグは,船内にカジノ,ディスコ,デパート,博物館,劇場などを持つ洋上5つ星ホテルになるはずだったので,ニコライエフ造船所は「ホテルに不要」な設備や機械などを解体・撤去したが,作業に携わった造船所の関係者は,
「主機とそれに関連する設備,電気系統はそっくり残っており,切断されたケーブルやパイプなども再生しやすい状態だった」
と強調する.
「世界の艦船」2006年3月号,p.150(A. V. Polutov著述)
すなわち,どうやら,ウクライナ政府・造船所関係者も,そのことは了解済みだった模様.中国の賄賂攻勢が効いたか?
【質問】
旧ワリヤーグ中国回航のすったもんだを教えてください.
【回答】
空母ワリヤーグの復活を懸念するアメリカとNATO諸国は,トルコ政府が通航許可を出さないよう様々な圧力をかけたため,トルコと中国の交渉は長引き,中国がトルコへの観光客を倍増させることや,数千万ドルもの保険料を中国が支払うことを条件に,トルコ政府はようやく通行を許可.
(「通行料」を吊り上げるため,わざと交渉を長引かせたような印象も,なくはないが)
しかし地中海に入って2日目の深夜,暴風のため曳航索が切断,ワリヤーグは漂流を始め,翌朝,ワリヤーグが島に衝突する寸前に再曳航に成功したという.
ワリヤーグが島に衝突していたら,今ごろは「ムルマンスク」と同じように残骸を晒していたかもしれない.
以下引用.
――――――
トルコはワリヤーグが海峡経由で極東に向かうとの情報を入手すると,
「55,000tもの未完成の巨艦が狭隘な海峡を通過するのは大変危険であり,かつ未完成とはいえ空母は空母,その通行を許可するわけにはいかない」
と公言した.
これに対し中国側は,
「現在ワリヤーグに兵装はなく,軍艦としての再生計画もない」
と強調した.
だが,空母ワリヤーグの復活を懸念するアメリカとNATO諸国は,トルコ政府が通航許可を出さないよう様々な圧力をかけたため,トルコと中国の通航許可を巡る交渉は,延延16ヵ月に及んだ.
しかし2001年初頭,トルコを訪問した中国のタン・ジャ・シュアン副外相は,ワリヤーグの海峡通過に際してその安全を保障するとともに,通航許可の見返りとして、トルコを訪れる中国人観光客の数を大幅に増加させることを正式に約束した.
トルコにとって観光収入は重要な財源であることから,万一の事態を想定した数千万ドルもの保険料を中国が支払うことを条件に,トルコ政府は通行を許可したのだった.
もっとも,この状況は中国にとっては正に「前門の虎,後門の狼」で,失敗は絶対に許されなかった.というのも,すでに中国はニコライエフ造船所への多大な停泊料という出費を強いられていたからである.
2000年6月,オランダ,ノルウェー,ロシアの曳船3隻に付き添われてニコライエフ造船所を後にしたワリヤーグは,506日間に渡るトルコと中国の交渉期間中はトルコ領海近くに漂泊し,2001年11月ようやく海峡を通過して地中海に入った.
だが,ワリヤーグの試練はまだ終わりではなかった.
地中海に入って2日目の深夜,暴風のため曳航索が切断,ワリヤーグのエーゲ海の島々の間を漂流しだしたのである!
翌朝,ワリヤーグが島に衝突する寸前に,世界最大のロシア曳船ニコライ・チケル Nikoray Chiker がワリヤーグへ曳索を渡すのに成功して同艦を救ったが,ノルウェーの曳船が曳索を渡す際,乗組員1人が死亡した.
曳航中のエピソードとして,次のような話が作業関係者から伝えられている.
「地中海を航行中,突如フランス海軍のヘリコプターがワリヤーグの飛行甲板に着艦,ヘリのクルーは飛行甲板の耐熱板数枚をあっという間に引き剥がすと飛び去っていった.
当時,耐熱板はロシア先端技術の一つだったから,フランスは自国空母の参考にと持ち帰ったのであろう」
――――――「世界の艦船」2006年3月号,p.150-151(A. V. Polutov著述)
最後のエピソードはヨタ臭いが.
【質問】
旧ソ連空母ワリャーグの機関の復旧を,中国が自力で行うことは可能だろうか?
【回答】
〔略〕
台湾軍事雑誌/航母ワリャーグ復活?
http://www.fyjs.cn/viewarticle.php?id=189354
ワリャーグの機関(蒸気タービン)の復旧についても書かれていますが,この雑誌曰く,中共(中国)は,何十年にも渡って蒸気タービン機関搭載の国産艦を建造した実績が有るから,ワリャーグの蒸気タービンの修理は問題なく実行できるとの事です.
ただ,中国がこれまでに建造した国産艦(旅大型など)に搭載していた「国産」蒸気タービン機関は,半世紀前にソ連から入手したコトリン型駆逐艦の機関であり,ワリャーグの機関とは世代が違います.
具体的な数値で言うと,コトリン型駆逐艦の蒸気タービンは,ボイラー1缶あたり18,000馬力ぶんの蒸気を作り出せますが,ワリャーグ(アドミラル・クズネツォフ級)の蒸気タービンは,ボイラー1缶あたり25,000馬力です.
旧ソ連は,コトリン型やスヴェルドロフ級巡洋艦などに使われた蒸気タービンの後,高圧ボイラーの新型蒸気タービンを開発し,キンダ型巡洋艦に初めて搭載.
この時は,ボイラー1缶あたり22,500馬力でした.
その後に建造されたソ連海軍の蒸気タービン艦も,基本的には同じ機関です.
そしてワリャーグ(クズネツォフ級)の蒸気タービンは,キンダ型の機関の改良型(出力アップ型)です.
中国は,1990年代末から2000年代中頃に掛けて4隻のソブレメンヌイ級駆逐艦を購入しており,同級の機関も,キンダ型の機関の改良型(出力アップ型)です.
(ただし,クズネツォフ級の蒸気タービンと同一ではありませんが)
しかし,その中国が購入したソブレメンヌイ級駆逐艦のオーバーホールは,ロシアの艦船修理工場まで持って行って実施される
(http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/36971168.html参照)
との事ですから,今のところ中国は,「"高圧ボイラー"蒸気タービン機関」の大規模なオーバーホールを自力で行なう所までは到達していないようです.
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」,
2009/6/6(土) 午後 10:50
青文字:加筆改修部分
【質問】
以下の記事ですが,本当に韓国に対して「ワリヤーグ」カードは有効?
○小さくなる米国に,変わるアジアの安全保障−日本経済新聞社編集委員 鈴置高史さんに聞く朝鮮半島情勢【番外編その3】−
>そして今,黄海の入り口にある「Sokotra Rock」という暗礁を巡り,中韓がもめ始めました.(中略)韓国では「中国が空母を投入し攻めてくる」と大騒ぎになりました.(鈴置)
>ここで「何かあれば空母『ワリヤーグ』を出すぞ」という無言の脅しが効いてくるわけです.(鈴置)
>今,中国にあるワリヤーグは運用を開始すれば,中国名をつけることになるでしょう.ちなみに私の書いた近未来小説『朝鮮半島201Z年』では「黄海」と命名されます.黄海の海上優勢を確保するためのフネだからです.
(鈴置)
【回答】
「黄海の海上優勢を確保するためのフネ」って,「そんな馬鹿な」の一言なんですが.
“「何かあれば空母『ワリヤーグ』を出すぞ」という無言の脅し”って,民間レベルならともかく,政府・軍レベルでそれは無いわ.
いくらなんでも韓国を舐めすぎ.
あんな狭い海域に空母を投入って,意味無い.
航空戦力投射なら,空軍で十分間に合うでしょう,空軍で.
空母を投入する意味がない.
韓国当局がそこまで空母の運用に無知と思うのは如何だろうか?
寧ろ韓国潜水艦の脅威を考えたら,中国があの海域に空母を投入するとは思えないんだけど?
また,それ以前の問題として,未だ旧ワリヤーグは,艦載機を運用するのに多くの問題を残しており,直ぐには使い物にはならないと言う事実を無視している.
機関が出力不足で,CTOL艦載機の発着艦に必要な速度を出すのが困難な事.
アスレティングワイヤーが無く,その入手も困難である事.
乗せる艦載機が未だに用意できずにいる事.
また,パイロットの訓練すら未だに本格的には始められないなど,問題が山積みしてるんですがね,チャイニーズ・エアクラフトキャリアーは.
鉄底海峡 in mixi,2012年05月19日15:28
青文字:加筆改修部分
【質問】
質問ですが,上海にある大きい公園に数年前行ったら空母が記念艦みたく置いてありました.
艦名など分かりますか?
【回答】
これのことかな?
中段辺り左側.
http://www.ogb.com.cn/tsjd.asp
これはシミュレーションの航空母艦.
正規の攻撃型航空母艦の艦型を元にして作った,コンクリート製の原寸大模型.
飛行甲板,艦楼,主要装備も再現されている.
全長220メートル,幅46メートル,高さ48メートル.
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