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「an Arms Watcher」◆(2010/07/04)中国海軍艦艇,再び沖縄近海を航行し太平洋に進出

「Defense News」◆(2012/09/29)Images Provide Clues to China's Naval Might

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「Strategy Page」◆(2013/01/26) SURFACE FORCES : China Puts Female Sailors To The Seagoing Test

「Strategy Page」◆(2013/01/27) SURFACE FORCES : China Versus The Scuba Commandos

「The Jamestown Foundation」:中国の「ソフト」海軍力は存在するか?
(2008年からのアデン湾沖への海洋警備活動への派遣と,その背景にある思想や目的について分析)

「人民網」◇(2013/01/18) 中国海洋発展研究会が設立

「人民網」◇(2013/01/18) 中国で最高精度の測量衛星「資源3号」

「人民網」◇(2013/04/17) 中国の国防白書発表,海洋問題を重視

「地政学を英国で学ぶ」●二〇一五年:中国海軍に敗れた米海軍

「地政学を英国で学ぶ」●二〇一五年:中国海軍に敗れた米海軍 その2

「地政学を英国で学ぶ」◆動き出す中国海軍

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/05/03)中国の海洋戦略:最近の動向

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/05/10)中国海軍の一連の動き:あるシンクタンクの分析

「地政学を英国で学ぶ」◆(2010/11/17)中国海軍による侵略の歴史

「東京の郊外より・・・」◆(2013-03-09) パキスタンの港が中国企業管理に

「日本周辺の軍事兵器」:中国海軍

「日本の情報・戦略を考える アメリカ通信」◆(2012/03/30) 「シーパワー」を目指す中国

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◆(2013/04/03) 中国は海洋強国たり得ない

「フォーリン・アフェアーズ・リポート」◆(2011/06/10)いまや大中国圏が形成され始めている.そして,影響圏形成の鍵を握るのが中国の海軍力だ.中国は,米海軍が東シナ海その他の中国沿海に入るのを阻止するための非対称戦略を整備している(R・カプラン)

「リアリズムと防衛を学ぶ」◆(2011/01/11)中国の離島侵攻プランと『戦略的辺彊』

「ロシアの声」◆(2011/06/12)中国海軍の拡大はどのような影響を与えるか

新「六課」◆(2012/04/23)ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2012」が始まった

新「六課」◆(2012/04/24)ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2012」の活動段階が始まった

新「六課」◆(2012/04/25)ロシア・中国海軍艦艇は黄海で演習を実施する

●書籍

『中国海軍と近代日中関係』(馮青著,錦正社,2011/11/29)

 清末の北洋海軍から,日清戦争後の海軍再建,その再建期に於ける日本海軍の役割,米国の関与,中華民国初期に於ける米国からの海軍再建借款履行に対する苦境と挫折,東北海軍の発展と日本との関係について述べた論考集.
 今まで余り光の当たっていない部分だけに,面白そうな命題.

------------眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2012/02/13(月)
青文字:加筆改修部分

『中国の海洋戦略にどう対処すべきか』(太田文雄&吉田真著,芙蓉書房出版,2011/8/9)

 まだ読んでませんが,良さげ.
 中国の最近の全般ドクトリン/海洋戦略/組織などを紹介しつつ,対策を提言.
 といっても,対策は内容に20%くらいの分量,
 対策よりも中国海洋戦略の分析に,重点が置かれています.
 なんか防衛白書の補足説明版な感じもしますが,最近の海自の中国に対する見方の一端が伺い知れる書籍ではないかと.
 防衛白書の補足資料という位置づけで取ると良いです.

 著者は元情報と元海幕の人ですね(現防大教授)
 これの陸空軍版も出ないかなぁ…特に陸希望.

------------Lans ◆xHvvunznRc :軍事板,2012/02/08(水)
青文字:加筆改修部分

 悪い本じゃないと思ったが,今年になって,防衛白書や防衛研究所の出版物からの無断引用が行われていたのが明らかになったのが残念.

------------軍事板,2012/02/08(水)

『万里の長城を,海に 21世紀の中国海軍』 Bernard D. Cole著<「リアリズムと防衛を学ぶ」◆(2011/01/17)

『東シナ海が危ない!』(上田愛彦他著,光人社,2007.1)

 パイプライン完成とともに操業開始を取り沙汰される,東シナ海ガス田をめぐる紛争,その実態とは?
 尖閣諸島に大挙上陸,占拠の可能性はどんなものか?
 厳然として今そこにある危機に,日本はどのように対処するべきでしょうか.
 専門家が,テーマ別に政治的,経済的,戦略的観点から複眼的視野で分析し,支那の危険度を透視した話題の作品です.
 著者は,上田愛彦予備役陸将[陸軍中将],高山雅司予備役海将補[海軍少将],杉山徹宗氏など,わが国唯一の軍事シンクタンク「ディフェンス・リサーチ・センター(DRC)」のメンバーです.

――――――おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)12月18日

 【質問】
 中国海軍のドクトリンはどこの影響を受けているのか?

 【回答】
 かつての仮想敵だったソ連時代の経験・思想から多くを学んでいるという.
 これは全世界的に展開しうる海軍の建設を,中国が企図しているため.

------------
 中国の海洋軍事ドクトリンは,2015年までに1,000浬,2025年以降は全世界的にその力を行使しうる海軍の建設を計画している.
 そして年々増加する潤沢な軍事予算により,艦艇やインフラの整備は進んでいるが,戦略や戦術などに関する知識・経験不足は否めず,冷戦時代の戦略仮想敵であるソ連(ロシア)海軍の思想や経験を拝借しているのが現状だ.
 ロシア太平洋艦隊の高官は,次のように述べている.
「中国は山東省周辺海域で行われた初の露中軍事演習『平和ミッション2005』を機に,揚陸作戦に必要な準備,部隊の展開,戦術や連携を学び,貴重な経験を手に入れた.
 また,中国軍参謀本部や海軍司令部は,旧ソ連海軍の大規模な演習を研究しており,特に空母機動部隊の運用や対処策に高い関心を寄せている」

------------「世界の艦船」2006年3月号,p.152(A. V. Polutov著述)

 まあ,米国海軍のそれは真似しようにも真似できるものではないからね.


 【質問 kérdés】
 A2ADは旧ソ連/ロシア海軍の対艦ミサイル飽和攻撃論と同じもの?

 【回答 válasz】

 中国軍のA2ADは旧ソ連/ロシア海軍からの対艦ミサイル飽和攻撃から学んだという記事が,The Diplomat誌に掲載されました.

What the Soviet Union Can Teach China About A2/AD | The Diplomat

 これはソ連海軍時代に,ロシア海軍の艦名にもなっているセルゲイ・ゴルシコフソ連海軍総司令官が生み出した戦術で,長距離の対艦ミサイルを爆撃機や大型水上戦闘艦,潜水艦から米海軍の空母機動部隊目掛けて一斉に発射し,敵防空能力を超えたミサイルを撃ち込む事で,米海軍の空母を撃沈または作戦能力を破壊するというものです.

ロシア海軍 - Wikipedia

 このためか中国海軍も,長距離かつ超音速の対艦ミサイルを開発しています.
 最新型だとYJ-12対艦ミサイルで射程は400km,マッハ2以上出るとも言われています.

中国YJ-12企及“双四” 暂时不可拦截_军事_中华网

 ※公里とは中国語ではkmという意味です.
中国の公里ってどんな単位 - 公里は km キロメートル米... - Yahoo!知恵袋

 しかしこの戦術は旧ソ連海軍の頃から問題がありました.
 どうやって敵艦隊を探知し攻撃するのかという事.
 ソ連海軍の場合,固定翼哨戒機はIL-38やTu-95の対潜哨戒型にあたるTu-142がありましたが,中国海軍には哨戒機はY-8MPAが10機,Y-8ASAが3機しかなく,Y-8MPAに至っては戦術データリンクが出来ません.
 去年ようやく国産新型固定翼哨戒機・高新6号の2号機が試験飛行を開始しています.

Y-8洋上偵察機(Y-8ASA) - 日本周辺国の軍事兵器

Y-8哨戒機(Y-8MPA) - 日本周辺国の軍事兵器

中国海軍が国産新型対潜哨戒機の試験飛行を開始!海上監視能力を強化 : 軍事・ミリタリー速報☆彡

 哨戒機が13機しかなく,3機しかデータリンクが出来ないという事は,80機のP-3Cを保有する海自や154機のP-3Cを保有する米海軍と比べて,艦艇探知能力はどうしても劣ってしまいます.
 つまり対艦ミサイル飽和攻撃を行いたくとも,艦隊を探知出来ないのではどうにもならないという事です.

 中国軍はそれを補うため,偵察衛星やOTHレーダーで艦隊を探知する手法に出ています.
 しかし偵察衛星では,艦隊が母港から出撃するのを確認は出来ても追跡は出来ず,OTHレーダーは気候条件により最大3000kmと言われる探知能力が変化したり,近距離の艦艇は探知が難しく,さらに精度も低いので日米艦隊の探知は難しいでしょう.

偵察衛星とは (テイサツエイセイとは) :ニコニコ大百科

専門家による中国の巡航ミサイル分析 - 海国防衛ジャーナル

シリーズ・米中対潜戦:最終回 続くアメリカの優位 - 海国防衛ジャーナル

 A2ADの対処をするならば,冷戦時代の戦略を戻せば済む話です.
 そして現代ではRMAとネットワークの戦いにより,冷戦時代の戦闘は現行の装備でも可能です.
 A2ADはあまりにも過大評価され過ぎています.
 もちろん過小評価も禁物ですが,冷戦時代のソ連海軍の対艦ミサイル飽和攻撃に対する迎撃を学んでいれば,強大な脅威とは言えないでしょう.

ねらっずーり in mixi, 2015年01月12日
青文字:加筆改修部分

 旧ソ連海軍(現ロシア海軍)が米海軍空母機動部隊の洋上航空戦力に対してソ連近海の聖域の確保のために考え出したのが,対艦ミサイル飽和攻撃でした.
 これは爆撃機,大型水上戦闘艦,潜水艦から敵空母めがけて一斉に対艦ミサイルを発射し,米空母部隊の防空能力の限界を越えた数の対艦ミサイルを撃ち込む事で,米空母を撃沈するという戦略でした.
 これはソ連海軍総司令官であったセルゲイ・ゴルシコフ海軍元帥が作成した作戦計画で,それは現在もなおロシア海軍に受け継がれています.

 ソ連海軍は長距離対艦ミサイルを開発し,19780年には長距離対艦巡航ミサイルであるSS-N-19(P-700「グラニート」が配備されています.
 グラニートはキーロフ級ミサイル巡洋艦やオスカー級原子力潜水艦,さらには空母「アドミラル・クズネツォフ」にも配備されました.

SS-N-19 - 航空軍事用語辞典++

 空からはTu-22M爆撃機から投射されるKh-22が1980年代の西側を震撼させました.
 極東地域には欧州にも配備されたSS-20(ロシア名・RSD-10)が配備され,日本全土を核戦争の恐怖に陥れました.
 さらに1984年にはソ連軍は対地巡航ミサイル・Kh-55を配備.
 これはTu-95には6~16発が搭載可能であり,地上発射型や潜水艦発射型も開発されました.
 当時極東ソ連空軍爆撃機部隊である第37航空軍は,ロシア空軍となった2009年の時点でもTu-22MやTu-95,Tu-160などの爆撃機を72機保有し,核弾頭搭載空中発射型巡航ミサイルを844発を装備しています.
 冷戦期はおそらく100機以上の爆撃機と1000発以上の巡航ミサイルが装備されていたのは,想像に難くありません.

 これに対する米軍と自衛隊の対応は,対艦ミサイルや巡航ミサイルの迎撃でした.
 米海軍と空自やE-2C早期警戒機を取得,30年以上に渡って運用しています.
 米空軍もE-3A早期警戒管制機を取得しました.
 さらに戦闘機のレーダーを更新し,空自のBADGEシステムなどの戦術データリンクシステムをBADGE改に更新.
 戦闘機の稼働率を上げ,飛行時間を増やしパイロットの熟練度を上げました.
 空自の戦闘機はAN/APG-63レーダーを搭載したF-15Jに更新を進め,同じく空自のF-4EJもレーダーを巡航ミサイルの迎撃に向かないAPQ-120から,当時としては最新鋭のAN/APG-66に更新されました.

 これにより巡航ミサイルの索敵や迎撃のための装備と人材が確保された事により,1980年代末までには巡航ミサイル迎撃態勢が完成の域に達しました.
 後の巡航ミサイル防衛は日米においては既に確立されていたのです.
 さらに自衛隊の迎撃能力は冷戦が終了した1990年代でも強化され,E-3Aと同じ索敵・航空管制能力を持つE-767早期警戒管制機が配備されました.
 E-767は後に巡航ミサイル索敵能力も付与されています.
 さらにE-2Cの後継AEWの選定が始まっています.
 そうなれば巡航ミサイルの索敵能力はさらに向上します.
 また,戦闘機も納期はやや微妙になってきましたが,F-35AがF-4EJに更新されます.

 中国やイランのA2ADもソ連軍による対艦・対地巡航ミサイル飽和攻撃論の二番煎じのように思えます.
 実際,中国もゴルシコフの海軍戦略を研究しているだろうと,某フォロワーさんとの会話でその話をお聞きしました.
 だとしたらA2ADのメインの一つである巡航ミサイルによる先制攻撃も,飽和攻撃を迎撃を以って無力化するのは現状の戦力でも可能で,将来はそれが強化されます.

 では何故,アメリカのシンクタンクや軍事調査機関はA2ADにこれだけ神経質になるのでしょうか?
 それは対艦ミサイル飽和攻撃に対処するために必要だったF-14を退役させてしまった事により,巡航ミサイル迎撃を専門とする装備がないからではないでしょうか.
 もっともこれ等は解決は出来ますし,現状でも対応は可能ですが,当方はアメリカ合衆国市民権を持っていない日本国籍を持つ者ですから,アメリカの内政にあたる国防政策にどうこう言う権利はありません.

 しかし一つだけ言えるのは,A2ADによる巡航ミサイル攻撃は脅威ではないとは言わないまでも,無力化は可能だという事です.
 弾道ミサイルも海自のSM-3,空自のPAC-3,それに配備が予定されいているTHAADが配備されれば迎撃は可能.
 もうSS-20の頃とは違い,軍事技術は日米ともに向上しています.
 戦闘機VS戦闘機,艦艇VS艦艇では挑まずに長距離ミサイルで攻撃してくるというのなら,むしろ,という気がします.
 そもそも冷戦時代でも戦闘機VS戦闘機,艦艇VS艦艇という概念は,既に終焉を迎えつつありました.
 艦艇には哨戒機や航空機,艦艇は潜水艦や戦闘機,爆撃機に対処するというのは,我が国を含めてどこの国でも行っている事です.
 このような現実を冷静に見れば,敵本土に対して日本本土から巡航ミサイルや弾道ミサイルで攻撃するという発想が,いかにナンセンスかがわかります.

ねらっずーり in mixi, 2014年08月03日
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 中国海軍に米軍は対抗できるの?

 【回答 válasz】
 それについては,
元駐タイ大使である岡崎久彦氏が代表を務めるNPO法人・岡崎研究所の論評が,2013年6月に発表されています.
 論評はWEDGE Infinityというサイトで紹介されており,その内容を見る事が出来ます.
 内容はToshi Yoshihara米海軍大学教授とJames Holmes米海軍大学教授が連名で米Diplomat誌で発表された論文を評するものでした.
 その論文を抜粋してみました.

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台頭する中国海軍への米国の対応策  WEDGE Infinity

 すなわち,中国は海軍を拡充し続けてきたにもかかわらず,米海軍の優位は揺らいでいないと言われてきたが,今や,その優位には確信が持てない.
 中国の艦対艦ミサイルは,米軍の空対艦ミサイルの射程を上回る.
 旅洋型ミサイル駆逐艦搭載のレーダーは,米国イージス艦と同様のフェイズド・アレー型に類似して見える.

 中国が保有する対艦巡航ミサイルは,120〜130カイリの射程を持つ.これに対応する米国のハープーン・ミサイルの射程は70マイルに過ぎない.

 米海軍は圧倒的優位の下で作戦することに慣れ過ぎ,実際の海上戦に対する装備,心構えを欠いている.
 イージス艦にしても,弾道ミサイル迎撃に艦内人員・スペースを取られており,艦体の強度,海上戦へ対する兵員の充分な訓練,対応能力を欠く.
------------

 旅洋型ミサイル駆逐艦とは052C型駆逐艦の事で,517H1型2次元対空レーダーを搭載しており海上作戦に置いて自艦のみならず,データ・リンクを通じて僚艦を含めた最適の攻撃方法を下す統合戦闘システムを採用していると言われています.
 また,探知距離も300kmとイージスシステムに引けはとりません.

052C型駆逐艦(ルヤンII型/旅洋II型):日本周辺国の軍事兵器

 中国軍の対艦巡航ミサイルとはおそらくYJ-62艦対艦ミサイルの事でしょう.
 最大射程が400km超でハープーンやASM-1C,ASM-2よりは射程が長いのは確かです.
 YJ-62で飽和攻撃でもされたら,いくら遠距離を航行してもひとたまりもないでしょう.

YJ-62艦対艦ミサイル(鷹撃62/C-602):日本周辺国の軍事兵器

 また,中国海軍はここ最近揚陸艦,フリゲート,コルベットを次々と増やしており近代化された艦艇はざっと57隻となります.
 世界1周の航海も行っており,確実に成長しているのは確かです.

堅実に増強していく中国海軍:海国防衛ジャーナル

中国海軍の練習艦「鄭和」が10年ぶり2回目の世界一周に出発=11カ国を歴訪―中国メディア:レコードチャイナ

 これに対する岡崎研究所の分析は以下のようになっています.

------------
 ただ,現代戦においては,索敵能力,レーダー電波の解析結果を前方に展開した戦闘機,艦船等に常時転送し,標的を定めて戦闘機等にミサイル発射命令を下す後方司令からのネットワーク能力が決定的なものであり,それらにおいて,米軍と自衛隊は中国軍を上回っているはずです.

 センサーとロボット兵器の発達により,世界の兵法は大きく変化しつつあります.
 尖閣上空の制空権確保にしても,昔のような戦闘機同士の空中戦はほぼあり得ないでしょう.
 戦闘機の数のみを比べても,あまり意味のない時代になりました.
 AWACSで探知した敵機に対し,戦闘機がはるか遠方からミサイルを発射して撃墜する時代になっているのです.
------------

 実際,中国軍には本格的な固定翼哨戒機が存在せず,あるとしても現在3〜5機程度.
 これに対し米海軍は153機,海自は75機のP-3Cを保有しており,アップデートもされています.
 中国海軍は対潜哨戒機「高新6号」が就役しようとしているようですが,日米並みに戦力化するための人材育成や各種テストには時間がかかります.
 その間に米海軍はP-3Cより高性能なP-8A,海自はP-1に更新しています.
 P-8AやP-1は高新6号よりも技術面で上回っています.

 また,上記のようにP-3Cもアップデートしていますので対潜・対水上艦索敵能力は向上しています.
 P-3Cに搭載されているAN/APS-115捜索用レーダーは200kmですが,これがアップデートされれば探知距離も目標追跡も向上します.

※参考ソース

Lockheed P-3 Orion:Wikipedia

Kawasaki P-1:Wikipedia

Boeing P-8 Poseidon:Wikipedia

中国初の大型対潜哨戒機「高新6号」がまもなく就役へ:SearchChina

 また,自衛隊にはJADGE(空自)やMOFシステム(海自),それと連携した師団通信システム(陸自)などの密なC4Iシステムを運用しており,米軍もNADGEやTADIL A,NTDSなどの自衛隊以上の高度なC4Iシステムを持っています.
 それによる戦術データリンクは高速化しており,さらに空自はE-767,米空軍はE-3Aなどの中国空軍のKJ-2000よりも技術面で高性能かつ長期に運用しているAWACSを保有しています.
 さらに空自も米空軍もF-15の改修やF-35導入を進め,岡崎研究所が言うように「AWACSで探知した敵機に対し,戦闘機がはるか遠方からミサイルを発射して撃墜する」,つまり視覚外戦闘(BVR)が可能になりました.

 ですのでハープーンやASM-1Cが射程が短くても,長距離からAWACSや哨戒機で敵を索敵,戦術データリンクで戦闘機や艦艇に情報を転送して,レーダーの死角から攻撃すれば問題はありません.
 兵站,索敵,情報は軍事の基本と言えます.
 日米は数々の戦闘やその教訓から学び,かつ年月をかけたデータを生かしています.
 これに対して中国は今始めたばかりという感じですか.

 ただ,中国海軍は確実に成長しています.
 それに対する抑止力を維持するためにも,空自と海自は装備の現状維持と改修または強化に努めていかなくてはなりません.

[後略]

ねらっずーり in mixi, 2013年11月24日
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 アメリカで何故A2AD脅威論が吹き荒れているの?

 【回答 válasz】
 アメリカのシンクタンクはここ最近中国のA2AD脅威論に関するレポートを発表しています.
 一部の戦略論を唱える軍事系ブログなどは,この話題でもちきりです.
 A2AD脅威論を元に米国防総省では,海軍と空軍による共同作戦「エア・シー・バトル」構想が持ちあがっています.
 というか今まで空軍と海軍の共同作戦とか考えなかったというだけでもちょっと驚きなのですが.

 それにしても不思議なのは何故アメリカでこうもA2AD脅威論が噴出しているのでしょうか.
 そのヒントというべきソースがありました.

アメリカ海軍は敵のA2ADにどう対処するか?:日本国際フォーラム

 米海軍ではF-14を2006年に,AIM-54フェニックス空対空ミサイルを2004年に退役させています.
 AIM-54はソ連軍による対艦ミサイルと巡航ミサイルによる飽和攻撃に対し,ミサイルを迎撃するために開発されたもので,F-14はAIM-54を運用出来る唯一のミサイルキャリアーでした.
 また,F-14の戦闘行動半径は1994kmでした.
 ちなみにF-15Jの戦闘行動半径が1800kmです.

CLEARED FOR TAKEOFF - 模型によるジェット戦闘機の世界 - F-14A トムキャット

F-15Jイーグル:J隊ヒストリー

 そこで米海軍第7艦隊に配備されている空母「ジョージ・ワシントン」に配備されている第5空母航空団を調べてみたところ,艦載される56機,そしていずれもF/A-18E/Fに更新されています.
 仮に40機を対艦ミサイルの迎撃に向かわせたとしたら,AIM-120の他にAIM-9をも迎撃に用いるとしたら240発の対艦ミサイルを迎撃できます.
 また,F/A-18Eは6発の空対空ミサイルに480ガロン増槽を3本を搭載すると,戦闘行動半径は1475kmとなります.
 これはF-14にも決して引けは取らないでしょう.

F/A-18E/F スーパーホーネット:EAGLET

 ただ,40機を迎撃に,残りの機体を空母防空用に回すと,台湾有事等では空母を派遣しても何も出来なくなる可能性があるのは確かです.
 それだったらカリフォルニア州コロナドから空母「ロナルド・レーガン」を引っ張ってくれば解決します.
 米中が軍事的に対立するようになれば,その段階で空母を増派するのは確実です.

 それに240発のAAM以外にも,アーレイ・バーグ級駆逐艦によるSM-2やSM-6の防空もあります.
 米海軍ではNIFC-CA (ニフカ)と呼ばれるC4ISRシステムにより,E-2Dと連動した運用構想があります.
 これにより対艦ミサイルや巡航ミサイルの迎撃が確実なものになります.

NIFC-CA (ニフカ):超音速巡航ミサイルを超水平線で迎撃する構想 - 海国防衛ジャーナル

 そしてこれ等を総合すると,対艦ミサイルや巡航ミサイルによる飽和攻撃に対しても十分に迎撃は可能だというのが一目瞭然です.
 F-14とAIM-54などの従来の飽和攻撃に対する迎撃手段を引退させてしまった事に対してパニックになっているようにしか思えません.
 とはいえ,従来の対艦ミサイルや巡航ミサイルの迎撃手段を退役させてしまったのは,確かに失策と言えるのは確かでしょう.

 また,米空軍による共同作戦を今頃提案するというのも何ともおかしい話.
 今までやって来なかったのかと驚かされます.
 JLENSのような巡航ミサイル迎撃のためのISRシステムすらもつい最近運用を開始し,巡航ミサイル迎撃訓練をしてこなかったというのも,何とも驚きなのですが.

 この点に比べたら自衛隊は,1980年代にはソ連軍による巡航ミサイル迎撃のための対策(E-2CというISR,F-15J,F-4EJ改というミサイルキャリアー,そしてそれを繋ぐネットワークであるBADGE改,それを運用するための稼働率と飛行時間)を完成させました.
 その後もE-767AWACSを配備し,ISRと空中管制を強化し,2007年にはKC-767を取得し運用しています.
 空自は巡航ミサイルや対艦ミサイルの飽和攻撃に対する迎撃手段を既に整えています.
 2009年にはJADGEシステムを運用,海自のMOFシステムと連動が可能なので,AEWやAWACSで発見した巡航ミサイルや対艦ミサイルを,海自のイージス護衛艦からも迎撃する事が可能になります.

 ついでに言うと,米軍基地を攻撃してくる巡航ミサイルの迎撃は自衛隊に任せ,対艦ミサイルの迎撃は1隻の空母の艦載機に,もう1隻の空母で有事に向かうという方式なら問題はないでしょう.

ねらっずーり in mixi, 2015年01月10日
青文字:加筆改修部分

[略]

 さて本題ですが,CSBAの提言ですがいくら何でもこれはないかと・・・.

Boeing Super Hornet faces emerging anti-access challenges:Flightglobal

USNがF/A-18E/Fのアップグレード開発に着手/第4世代戦闘機とA2AD環境/USMCがAV-8Bの寿命を2030年まで延長することを希望/F-22が訓練中に損傷:jaxonz R3 weblog

 フライトグローバルとその記事を翻訳したjaxonz R3 weblogの記事の要点は,次のようなものでした.
 なお,当方も元記事となったフライトグローバルの記事を自ら翻訳しています.

①中国やイランのA2AD戦略において,第4または第4.5世代戦闘機は立ち向かえるかどうが疑問である.
 それは1942年にF2Aバッファローで戦うのと同じである.

②対艦巡航ミサイルと対艦弾道ミサイルによる攻撃で空母が接近出来ない中で,空母部隊の作戦を補うステルス戦闘攻撃機が必要になる.
 それはF/A-XXである.
 F/A-18E/Fではそれは話にならず,またF-35Cでもその任務は達成は難しい.
 しかしF/A-XXが登場するは2030年以降になる.

③またF/A-18E/F以外でもF-15やF-16でもA2ADの阻止は厳しい.
 中国はJ-20戦闘機のような第5世代戦闘機(ステルス戦闘機)を,ロシアはPAK-FAでこれ等の戦闘機に対し優位に立つ.

 しかし,これどれもこれも的外れな話ばかりです.
 まず①ですが,そもそもJ-20はまだ実戦配備もされておらず,開発中の機体で量産化さえ怪しいという話も出ています.

中国の戦闘機「殲―20」に量産化の可能性はない(1):サーチナ

 またPAK-FAは,ロシアがここ最近中国への脅威を感じ始めた事に加え,共同開発国であるインドがカシミール紛争で中国との関係悪化の兆しが見えるなど,とても中国への売却の可能性はあり得ないでしょう.

カシミール:中国軍越境「居座り」…インド軍対峙:毎日新聞

 さらにJ-20が本当にF-22やF-35レベルのステルス戦闘機であるかどうかも怪しく,そのステルス性は形状制御だけの可能性が高いのです.
 ボーイングのアーミントン副社長は航空評論家の石川潤一氏に対して
「J-20? あれはデカイだけ」
とJ-20に否定的なコメントをしています.

Twitter / oldconnie: @kojiinet ボーイングのアーミントン副社長の「J-20? あれはデカイだけ」のひと言がいまだ忘れられませんw

 さらにまた,対艦巡航ミサイルはルックダウン能力のあるアビオニクスを搭載した戦闘機なら迎撃は可能なことに加え,米海軍の空母部隊にはイージスシステムを持つアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦が2隻護衛しています.
 イージスシステムは冷戦時代のソ連海軍の対艦ミサイルによる飽和攻撃から空母を守るために開発されたシステムですので,対艦ミサイルや対艦巡航ミサイルの迎撃は空母艦載の戦闘機(この場合,F/A-18E/FやF-35C)と共同で行えば十分に対処は可能です.

巡航ミサイルを迎撃できる戦闘機てありますか? レーザーとかじゃなく,ミサイルで - Yahoo!知恵袋

 また,対艦巡航ミサイルにしてもまず索敵をしない事には何にもならず,哨戒機等がまだ日米にも劣る中国海軍に果たして空母部隊の索敵は可能なのか疑問です.
 また,制御可能な制御可能な機動再突入体(MaRV)の開発に成功したとしても,落下時に照準を合わせるために減速しなければならず,マッハ10での突入は考えられず,マッハ5ならSM-3の初期タイプに,マッハ3だとMD非対応のSM-2でも撃墜出来ます.
 これは地上目標にも言える事で,マッハ3〜5ならPAC-3はもとよりPAC-2でも撃墜出来るでしょう.

中国の「対艦弾道ミサイル」が米空母艦隊の脅威? - 海国防衛ジャーナル

「対艦弾道ミサイルは対処可能」米議会調査局(CRS) : 週刊オブイェクト

 また,ステルス機による航空攻撃の可能性ですが,F-15やF-16F/A-18シリーズでもAESAレーダーやIRST(赤外線捜索追尾装置)を搭載すれば対処は可能です.
 赤外線の探知の軽減はさすがにステルス戦闘機でも無理.
 IRSTは今は引退したF-14で試験的に搭載され,後にF-35のIRSTにあたるETOSやEODASの参考ともなりました.

 既に我が国では,防衛省の「平成23年度概算要求の概要」によれば空自のF-15JにIRST装備に関する研究・開発が行われています.

中国「殲20」に米国はF-15アップグレード機で対策か‐ミリブロNews

我が国の防衛と予算 平成23年度概算要求の概要:防衛省(PDF注意)

 また,ステルス機は戦闘機やレーダーサイトからの微弱なレーダーには反応はしにくいものの,AWACSやAEWのように空中からのレーダーからならあっさり探知は可能です.
 J-20はそれこそ機体が大きいだけなら,あっさり探知は可能でしょう.

対ステルス兵器はあるんですか? レーダーとか.米軍,持ってそうな気がします.... - Yahoo!知恵袋

 この他,米海軍のEA-18Gや空自が計画しているEF-15のような電子戦機など,日米に有利な条件はいくらでもあります.

 CSBAの極端なまでのA2ADへの脅威論を見ると,巡航ミサイルや弾道ミサイルを迎撃しない,または出来ないという思い込みからなのかは不明ですが,必要以上に脅威を煽っているように思えます.
 A2ADは単なる陽動作戦または相手に領域への侵入を躊躇させるための宣伝戦の意味もあるのに,それを脅威だと喚くのは何だかかえって相手(この場合は中国やイラン)の思う壺だと思うのですが・・・

ねらっずーり in mixi, 2013年05月06日
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 自衛隊はA2ADに対抗でき得るの?

 【回答 válasz】
 A2AD作戦(戦略とも言われていますがA2ADは作戦・戦術級レベルの話ですので作戦と呼称する事にします)のもう一つの手段として,中距離/準中距離弾道ミサイル(IRBM/MRBM)による攻撃もあげられます.
 実際,中国軍第二砲兵が恐らくA2ADに用いるMRBMであるDF-21Cは150発保有していると言われています.

那覇基地航空祭2014と南西諸島防空防衛に関する幾つかの備忘録 - 北大路機関

 その150発のうちランチャーはわずか30基しかありません.
 これは巡航ミサイルにも言えますが,プラットフォームやランチャーの数で第1回目の攻撃でどれくらいのミサイルを発射出来るかという事がわかります.
 それにより迎撃に必要なミサイルの数,そしてそれを運用するプラットフォームの数がわかります.

中国は世界で最も弾道ミサイル開発に積極的な国 - 海国防衛ジャーナル

 30基程度のDF-21Cなら現状の戦力でもなんとかなります.
 海自のこんごう型護衛艦にはVLSは29+61セルが搭載されていますが,イージス護衛艦は基本的には艦隊防空が主任務であり,またVLAアスロックなど対潜任務も行いますので,前方にある29セルにSM-3が搭載されていると思われます.
 そうなると最低でも2隻を配備する必要がありますが,そのこんごう型護衛艦の後継であるあたご型護衛艦も,中期防衛力整備計画 (2011)ではイージスシステムをイージスBMD5.0に改修して弾道弾迎撃ミサイル発射能力を付与させることが決定しています.
 さらにイージス護衛艦2隻も増備される事が平成27年度概算要求で決定しています.
 そのあたご型護衛艦64+32セルのVLSを搭載していますが,32セル側にSM-3が搭載されていると思われます.
 そうなると30発のミサイルの倍のABM(弾道弾迎撃ミサイル)が配備されますし,イージス護衛艦8隻体制で中間段階(ミッドコース・フェイズ)で迎撃する事が可能になります.

 それに加えて地上から発射されるSM-3も加わる事になるかも知れません.
 防衛省がロッキード・マーティンのイージス陸上型に興味を示しているという事です.
 ちなみに陸上配備型イージスは「イージス・アショア」と呼ばれています.

Report: Japan Interested in Aegis Ashore for Ballistic Missile Defense - USNI News

★★日本も陸上配備イージス導入か.海自イージス艦も性能改修へ:航空宇宙ビジネス短信・T2

 イージス・アショアは元は欧州において,イランから発射されるIRBMやMRBMをミッドコース・フェイズで迎撃するため,イージス艦に搭載されているイージスシステムを地上に配備したもの.
 当然VLSも配備されており,地上から弾道ミサイルを追尾し,ミッドコース上でSM-3で撃墜するシステムです.

陸上型イージス:「イージス・アショア」による初のSM-3ブロック1B発射実験 - 海国防衛ジャーナル

 配備される場所にもよりますが,これだけミッドコース・フェイズで迎撃されるミサイルが増えれば,30基程度のDF-21Cはその倍のミサイルで迎撃か可能になります.
 その内の何発かを迎撃し漏らしてターミナル・フェイズに突入しても,空自に配備される事が決定しているTHAADや既に配備されているPAC-3で迎撃する事が可能です.
 このイージス・アショアですが,空自は既にPAC-3やTHAADで高射に割く人員はあまりないでしょうし,海自もそれは同じでしょう.
 そうなるとイージス・アショアを運用出来る余裕があるのは陸自という事になります.
 人員もありますし,戦車も北海道と九州だけに配備し,本州には機動戦闘車を配備するなどスリムになりつつありますので,人員とコストをイージス・アショアに投入する事が出来ます.

 BMD(ミサイル防衛)において海自と空自は参加しているものの,任務の特性から陸自の参加がありませんでした.
 しかしイージス・アショアが配備されれば,陸自もBMDに参加することが出来ます.
 もちろん人員を充てるにあたってはその教育は行われなければならず,海自や空自の教育部隊への要員の派遣や,米国内でのイージス・アショア訓練施設への演習も必要になります.
 装備も人員があっても運用するための度が無ければ,宝の持ち腐れになってしまうだけですからね.

 このように迎撃手段が存在する以上,日本も日本版A2ADと称して中国本土への弾道ミサイルや巡航ミサイルでの攻撃だなどという愚にもつかない事を言い出すより,まず冷静に頭を使って相手国からのミサイルをどう迎撃し,国民生活を守るかを考えるべきでしょう.
 それが総合抑止力だと当方は思います.

ねらっずーり in mixi, 2014年12月31日
青文字:加筆改修部分

 中国のA2ADではサイバー攻撃も手段の一つとされていますが,日米もサイバー攻撃に対抗するために動きだしました.
 今月中旬にサイバー攻撃に対する国際演習「サイバーストーム」が行われました.
 日本からもNISC(内閣官房情報セキュリティセンター)のメンバーが参加しました.

サイバー攻撃への備えを怠るな :日本経済新聞

サイバー戦争:それは脅威なのか -- 安全を保つためには:朝日新聞グローブ (GLOBE)

 サイバーストームは米国土安全保障省主催の国際演習です.
 サイバー攻撃にはただやみくもに予算をつけて人員を増やして,サイバー攻撃とか主張するの逆に愚かです.
 少数でもまずは人材の育成が必要なのです.
 戦闘機のパイロットや戦車兵,艦艇の隊員などは人材を育成して初めて運用されるのと同様,サイバーもまた人材が育ってこそ初めて機能するのです.

 また,サイバーは軍事だけの問題はなくなっているので,セキュリティ関連ソフトを開発・製造しているPCソフト会社など,国内外の企業とも提携してサイバー戦に乗り出すべきでしょう.

ねらっずーり in mixi, 2013年03月30日
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 日米による,中国に対する領域支配軍事戦略は可能ですか?

 【回答 válasz】

 中国軍の軍事戦略に接近阻止・領域拒否(A2AD)がありますが,現在ではA2ADとは言わず,領域支配軍事戦略と呼ばれています.

中国の「領域支配軍事戦略(AREA CONTROL MILITARY STRATEGY)」 - 海国防衛ジャーナル

 この領域支配軍事戦略とは中国軍が台湾侵攻や尖閣紛争,南沙諸島での紛争において,米海軍の空母機動部隊や海自の護衛艦隊の中国沿岸や戦闘海域への接近を阻止するための軍事戦略を意味します.

 ただ,中国海軍は海自や米海軍に比べて対潜・対水上戦・対空において劣っているのは否めません.
 そこで考え出した苦肉の策が,巡航ミサイルや弾道ミサイルによる敵地上基地の先制攻撃や対艦弾道ミサイルによる空母機動部隊への攻撃でした.

 しかし当方は,これは陽動作戦ではないかと見ています.
 米海軍航空隊や海自の護衛艦隊,空自に巡航ミサイルや弾道ミサイルの迎撃に向かわせる事で,戦闘海域に日米の航空優勢や海上優勢の牽制を行わせるというものです.

 これは逆に言えば,日米も中国沿岸に対して領域支配軍事戦略を取る事も可能と言えます.

 例えば海自のP-3Cの機首に搭載されているAN/APS-115は探知距離が200km,また,空自のE-767は最大探知距離が800kmでレーダー地平線を考慮しても,460kmの探知距離を持ちます.
 これは最大探知距離が560kmと言われるE-2Cも同様です.

短期集中連載・尖閣諸島での防衛について①両国海空軍の差(その2)

 この(図No. faq130203aw)は,青と緑がE-767とE-2Cの各1機ずつの探知距離,黄色がP-3CのAPS-115の探知距離です.
 中国沿岸の沖合をすっぽりと覆っています.
 なお,これはあくまでもP-3Cが2機での飛行なので,6機ぐらいで行動すれば,中国沿岸沖合に侵攻する中国海軍の艦艇の動きは完全に丸見えになってしまいます.

 ですので,中国沖合に出ようとする艦艇を,P-3Cに搭載されているASM-1Cや空自のF-2に搭載されているASM-2で撃破する事は可能なのです.
 ASM-1Cは最大射程が150km,ASM-2は150~170kmです.
 この射程からだと052型駆逐艦に搭載されている,最大探知距離200kmと言われるフェーズド・アレイ方式多機能レーダーや,054型フリゲイトに搭載されている海鷹S/C型(最大探知距離300km)には探知されるでしょうけど,中国海軍の艦対空ミサイル・HHQ-9Aは最大射程が120kmですので,P-3CやF-2はHHQ-9Aの射程距離から中国海軍の艦艇に先制攻撃が出来るのです.

 ただ,中国空軍のSu-30やSu-35によるインターセプターが懸念されますが,この作戦ならE-767やE-2Cの索敵範囲内にP-3Cが行動しているので,F-15J改修型で視覚外戦闘で相手を迎撃または牽制する事が可能になります.
 中国も空警2000というAWACSを保有していますが,E-767やE-2Cに逆に探知されてしまう可能性があり,うかつには運用出来ません.
 相手のAWACSに探知されてしまうと,AWACSの意味がなされなくなってしまいます.
 敵側に自分の作戦がバレてしまうからです.
 また自衛隊にはYS-11E等のスタンドオフジャマーを保有していますので,P-3Cのエスコートをするのに電子戦の支援も受けられます.

 あとは法的問題ですが,実は日本国憲法第9条は先制攻撃を認めているのです.

日本国憲法は意外と先制攻撃を認めている - リアリズムと防衛を学ぶ

 先制攻撃を認めているのなら,海上侵攻してこようとする敵艦隊を攻撃しても問題はないでしょう.

 自衛隊は米ソ冷戦時代から,北海道へのソ連軍による大規模着上陸に対するA2AD戦略を取ってきました.
 ハープーン以上の最大距離を持つ対艦ミサイルや,長距離探知が出来る哨戒機,地対艦ミサイル部隊などはいずれもソ連海軍に対するA2ADを想定したものでした.
 この当時はソ連海軍太平洋艦隊はキエフ級航空巡洋艦(空母)「ミンスク」やイワン・ロゴフ級強襲揚陸艦「イワン・ロゴフ」による大規模着上陸侵攻に対抗するために,陸自は北海道の第7師団を機甲師団化する一方で,水際に寄せ付けない装備と運用能力を揃えたのです.

ねらっずーり in mixi, 2013年02月03日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 1971年以降の中共海軍の略史を教えてください.

 【回答】
1971年
 中共が自国開発したとされる第一世代通常潜水艦が進水.
1974年
 中共初の原潜が就役.
1980年
 海軍艦艇18隻から編成された特殊混合編隊が,太平洋海域で中共初の長距離弾道弾試射任務を実施.
1981年
 近代化された軍艦「済南」に艦載機と衛星ナビゲーションを搭載.
1982年
 潜水艦発射弾道ミサイルの実験に成功.
 海軍艦艇70数隻が潜水艦発射弾道戦略ミサイルの実験任務に参加.
1983年
 中共最初のミサイル原潜が就役.
1984年
 海軍J506艦が中国初の遠洋実験通信衛星の打ち上げ任務に参加.
 海軍J121艦と艦載ヘリコプター及び308人の士官・兵士が南極遠征.
 中共南極観測所の長城駅を設立.
 中共海軍艦艇の遠距離航海の新記録を更新.
1985年11月16日
 ミサイル駆逐艦「合肥」,大型補給艦「豊倉(現在の名称は「(番+オオザト)陽湖」)」で編成された部隊がパキスタン,スリランカ,バングラデシュ3カ国を訪問.
 中共海軍部隊の外国訪問はこれが初めて.
1986年
 中共最初の完全密閉式NBC防御型フリゲート「黄石」が就役.
1988年
 SLBM(潜水艦発射型弾道弾)の試射に成功.
 水面下発射型戦略ミサイル能力を保有する,世界で5番目の国となった
 大陸まで1400キロ余りの南沙諸島に海軍部隊が海洋観測所を設立.
 中共の口実は「国際気象機関に100万組余りの気象資料を提供している」というもの.
1994年5月
 ミサイル駆逐艦「珠海」,ミサイルフリゲート「淮南」,潜水艦救難母艦(中共の呼び名は「遠洋救助船」)「長興島」で編成された部隊が,初めてロシアのウラジオストックを訪れ,北緯40度線を越えた.
1997年2月~5月
 ミサイル駆逐艦「ハルビン」,「珠海」,大型補給艦「南倉(現在の名称は「青海湖」)」で編成された部隊が,初めて太平洋を渡り,98日間にわたってアメリカ,メキシコ,ペルー,チリ4カ国を訪問.航程は2万4000海里.
2000年7月
 ミサイル駆逐艦「深セン」,大型補給艦「南倉(現在の名称は「青海湖」)」で編成された部隊が,マレーシア,タンザニア,南アフリカを訪問.
 このときの遠洋航海で,中共海軍艦艇は初めて太平洋,インド洋,大西洋,南インド洋を通ったほか,アフリカ大陸を初めて訪れ,喜望峰を初めて越えた.
2001年8月
 ミサイル駆逐艦「深セン」,大型補給艦「豊倉(現在の名称は「(番+オオザト)陽湖」)」で編成された部隊が初めてドイツ,イギリス,フランス,イタリア4カ国を訪問.
2002年5月~9月
 ミサイル駆逐艦「青島」,大型補給艦「太倉(現在の名称は「洪澤湖」)」で編成された部隊が,中共海軍初の世界一周を達成.世界5大州の10カ国・港を訪問した.
2003年10月
 中共とパキスタンの海軍部隊が東シナ海長江河口海域で海上合同演習実施.
 海空合同捜索・救助演習を行った.
 中共海軍初の外国海軍との合同演習だった.
2004年3月
 青島付近海域で,中仏海軍が初めて合同軍事演習.
2005年8月
 中共海軍が黄海海域で「平和使命-2005」中ロ合同軍事演習に初参加.
 中共海軍艦艇は相次いでパキスタン,インド,タイの海軍と合同捜索・救助を主目的とした軍事演習を実施.
 これは中共海軍が初めて海外で参加した演習となった.
2007年10月
 中共海軍は,中共が提唱して行われたシナ,オーストラリア,ニュージーランド三国による海上合同捜索・救助演習を南太平洋のタスマン海域で行った.
2008年
 中共海軍は4回にわたって,ブラジル,チリ,エクアドル,海自の四国海軍による航海訓練に参加.
 初めて士官・兵士を派遣した.
2008年5月14日
 中共海軍の特殊作戦隊が2750人の士官・兵士を四川地震の被災地に派遣.
 応急・震災救済の任務につく.
 特殊部隊の参加はこれがはじめて.
 北京五輪大会期間中,海軍は将校・兵士延べ10万人余り,艦艇941隻,航空機12機,車両1万台余りを動員.
 海上,競技場の保安,競技場施設の建設及び開幕式,閉幕式実演などの任務についた.
 海軍創設以来,最大の兵力と装備を派遣した.
2008年12月26日
 アデン湾,ソマリア海域における護衛任務につくため,ミサイル駆逐艦「武漢」,ミサイルフリゲート「海口」,大型補給艦「微山湖」からなる部隊が海南島の三亜から出航.
 4月初めまでに30回余り,計100隻余りの商船護衛任務を行った.
 派遣要員総数は700名規模.
2009年3月
 ミサイル駆逐艦「広州」がパキスタンに派遣され,多国籍合同軍事演習「平和-09」に参加.
 中共海軍は初めて特別作戦分隊を,陸上対テロ演習に参加させた.
 これは中共海軍が海上対テロにおける外国軍との協力と交流に,新しい進展を見せたことを示している.
2009年4月2日
 2次海賊対処派遣部隊のミサイル駆逐艦「深セン」,ミサイルフリゲート「黄山」が湛江を出航,太平洋を経由してインド洋のアデン湾に到着,海賊対処任務にあたった.
(1次隊の補給艦「微山湖」を現地で継続運用)
2009年7月16日
 3次海賊対処派遣部隊のミサイルフリゲート「徐州」,同「舟山」,大型補給艦「千島湖」が舟山を出航.090801より現地で任についた.
2009年10月30日
 4次海賊対処派遣部隊のミサイルフリゲート「馬鞍山」,同「温州」が舟山を出航.
(3次隊の大型補給艦「千島湖」を現地で継続運用)
2010年3月4日
 5次海賊対処派遣部隊のミサイル駆逐艦「広州」,ミサイルフリゲート「巣湖」,補給艦「微山湖」が海南島の三亜を出発した.
 部隊指揮官の張文旦上級大佐は,南海艦隊副参謀長である

 ちなみに,明の時代の支那で「鄭和の航海」というのがありました.
 鄭和が指揮する大艦隊は,明への朝貢を促すための大示威航海を1407年から7度にわたって行いました.
 その範囲は東南アジアをはじめ,インド・中近東,東アフリカにまで達しています.

 20世紀末から外洋海軍の海外派遣をはじめた中共は,2002年に艦艇部隊による「世界一周」を行い,「鄭和の再来」という形で仰々しく発表しました.
 現在の中共は,当時の明を意識しているフシが多々見受けられます.

 ちなみに当時のわが国は室町時代でした.

おきらく軍事研究会,平成22年(2010年)5月24日(月)


 【質問】
 以下の記事ですが,本当に黄海の制海権は中国に攻め込むのに必須?

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○小さくなる米国に,変わるアジアの安全保障-日本経済新聞社編集委員 鈴置高史さんに聞く朝鮮半島情勢【番外編その3】-

 黄海は首都,北京の玄関.
 中国にとって極めて重要な海です.
 日清戦争も日露戦争でも,日本が開戦劈頭にこの海で清国やロシアの海軍を打ち破り,海上優勢を確保しました.
 海洋勢力が中国大陸に攻め入るには,黄海の海上優勢が必須だからです.
 逆に中国からすれば,国を守るためには黄海の海上優勢を維持するのが必須です.(鈴置)
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 【回答】
 冒頭の
「黄海は首都,北京の玄関.中国にとって極めて重要な海です」
はまったく以ってそのとおりですが,それに続く
「日清戦争も日露戦争でも,日本が開戦劈頭にこの海で清国やロシアの海軍を打ち破り,海上優勢を確保しました」
はちょっとおかしい.
 確かに日清戦争の「豊島沖海戦」は,開戦劈頭に起きて日本が勝利しているが,これによって黄海の制海権を確保できたわけではない.
 清国北洋水師(現在の中国北海艦隊に相当する)は依然,日本よりも優勢な海軍戦力を保持しており,豊島沖海戦の約2ヵ月後の黄海海戦により,北洋水師の主力が撃破されるまで,日本の海上優勢は確定していない.
 そして何より,戦線が中国領まで拡大したとはいえ,日清戦争は朝鮮半島を巡る主導権争いでしかない.
 決して中国への侵略まで日本が考えていたわけでは無い,少なくともあの時点では.
 日本による海上優勢確保は,朝鮮半島への補給路確保のためのものであり,中国侵略のためではない.

 また,日露戦争では,確かに開戦劈頭に旅順港に奇襲攻撃をかけているが,その効果は極めて限定的であり,それにより黄海の海上優勢を確保出来たわけではなかった.
 旅順港には,未だロシア太平洋艦隊の主力が健在であり,ロシアが増援艦隊回航までは艦隊保全主義を採用していた事もあり,日本にとって脅威であり続けていた上に,ウラジオストックのイェッセン支隊による遊撃戦により,日本の海上輸送線は常に脅かされていた.
 日本が黄海の制海権を明確に確保したと言えるのは,陸軍第3軍により旅順要塞が落ち,太平洋艦隊主力が無力化してからだ.

 そもそも日露戦争も,日本の戦争目的は中国侵略ではなく,朝鮮半島へのロシア進出阻止である.
 日本海軍の海上優勢確保も黄海限定ではなく,大陸への補給線確保であり,日本海を含む,より広い範囲の海上優勢が求められていた.

 つまり,日清・日露戦争における海上優勢確保は中国(清国)への侵略目的ではなく,朝鮮半島及び旧満州地域に展開する陸軍への補給線の確保が目的であり,その手段として“敵海上戦力の撃滅”と言う手段がとられた結果,黄海の海上優勢“も”確保できたと言うに過ぎない.
 鈴置氏の主張は,結果から逆算した誤解でしかない.
 少なくとも,日本軍は日清戦争でも日露戦争でも,北京の攻略を実行する予定はなかった筈だ.
 日清戦争では直隷平野での決戦は考えられたが,それは敵野戦軍の撃滅を目的としたものであり,敵国の首都攻略を目的としていたわけではない.

 さらに言うのなら,“日本が”,“北京攻略を目的として”中国に攻め込むのなら,それは黄海の制海権は重要になって来るでしょうね,位置的に.
 ですが日本以外の国が,中国侵攻を意図とした場合,又は日本の場合でも,北京攻略を意図しない場合,果たしてそこまで重要かな?

 例えば昭和期の日中戦争は,第2次上海事変が発端です.
 第2次上海事変で出動した現地軍が暴走し,“当時の首都である南京”に進撃した.
 この場合,制海権確保は,中国側に碌な戦力が無かったので容易であったが,黄海は位置的に大して重要ではなく,東シナ海の制海権確保がより重要になって来る筈だ.
 現代の中国の第1・第2列島線構想でも,主戦場は東シナ海や南シナ海であり,黄海ではない.
 首都攻略と言うのは,中国のような広大すぎる国土を持つ国家に対して,大して有効な戦略ではない.と言うか,相手の面子を潰すだけで却って徹底抗戦を決断させる要因となりかねない.

 実際に日中戦争でも,南京陥落後も重慶に遷都して徹底抗戦,日本は手詰まりに陥ってしまった.
 また第2次大戦欧州戦線でも,ドイツがモスクワを落としても,それでソ連が敗北し得たかどうか怪しいと言われている.

 結論として,上記の記事における,
「海洋勢力が中国大陸に攻め入るには,黄海の海上優勢が必須」
「逆に中国からすれば,国を守るためには黄海の海上優勢を維持するのが必須」
と言うのは,必ずしも正解とはいえない.
「黄海は首都,北京の玄関.中国にとって極めて重要な海」
と言う点は同意できますけどね.

鉄底海峡 in mixi,2012年05月19日15:28
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 中国が海洋権益を獲得するときの常套手段は?

 【回答】
 「『情報』と国家戦略」(太田文雄著,芙蓉書房)によれば,
 1.領有権を主張
 2.海洋調査を開始
 3.海軍艦艇によるプレゼンスを図る
 4.実効支配を確立

図No. faq05b03)

 【質問】
 中国軍が日本に上陸部隊を送るためには,どれくらいの海軍が必要なのでつか?

 【回答】
 日本に辿り着くまでに一定数やられることを前提に,作戦を遂行できるだけの量と質を持った上陸部隊と,それを軍事行動として輸送できる船舶と,これらへの損害を許容値以下にできる護衛戦力.
 どれかが欠けても作戦は成り立たないが,不足部分を他の要素で埋め合わせる事はできる.10個師団を沈めたのに残りの上陸部隊が40個師団あるとか,日本の保有する対艦ミサイルの本数より多い高速輸送船とか,一隻で一個護衛隊群を壊滅させる水上戦闘艦艇とか.

 常識的に見て,最低限海上自衛隊の水上艦/潜水艦の攻撃を排除し,航空自衛隊の対艦攻撃を退け,陸上自衛隊の水際での行動を粉砕する必要がある.
 同程度の質の戦力を,せめて半数は保有できないと,中国軍幕僚は図演さえもやる気が失せるだろうな. 

ふみ

中国的揚陸演習
(画像掲示板より引用)


 【質問 kérdés】
 中国軍の機雷戦は日本にとって脅威になるの?

 【回答 válasz】

 中国軍の機雷戦がA2AD戦略の一つとして脅威であると,産経新聞の田中靖人のコラムにありました.
 田中靖人氏は産経新聞台北支局長です.

【田中靖人の中国軍事情勢】実は侮れない中国海軍の新型機雷の数々 もし大量の機雷でシーレーンを封鎖されたら…:産経新聞

 機雷には古くからある海面を漂う浮遊機雷,重りにより一定の海域に敷設される係維機雷,係維器に係維索を持って海底近くに機雷缶を係維する短係止機雷,海底に沈めておく沈底機雷,さらにはセンサーに感知すると目標物に追尾するホーミング機雷や上昇機雷があります.
 ホーミング機雷にはCAPTOR機雷のように魚雷射出するタイプの機雷もあります.
 田中氏のコラムによれば対潜ヘリを迎撃出来る機雷を開発中とも書かれていますが,実現性はあるかどうが疑問なところです.

 とはいえ,機雷をシーレーン上に敷設すれば,確かに海上輸送での脅威になるのは確か.
 実際,我が国では先の大戦で米軍による飢餓作戦日本近海やチョークポイントに機雷を敷設された事によりシーレーンが破壊され,我が国の敗戦が決定づけられた経緯があります.
 事実,海外からの物資不足で暴動が起きるのではないかと当時の政府の認識にありました.

 しかし我が国も戦後は,その二の舞はしないと占領下時代に海上保安庁に掃海部隊が創設され,1954年に海上自衛隊が発足すると海保の掃海部隊は海自の掃海部隊である掃海隊群に編入され,飢餓作戦で米軍が落とした機雷の掃海・掃討を行いました.
 これにより海自の掃海能力は対潜能力に匹敵すると言われていました.
 実際,現在でも海自の掃海艦艇は7種26隻と,米海軍はもとよりフランス海軍やイギリス海軍,ドイツ海軍に比べて艦艇も人員も多い事があげられます.

 それでも1991年のペルシャ湾派遣では,掃海器具などの装備においては米欧海軍の掃海部隊に比べて劣っている事が浮き彫りになり,これにより諸外国から掃海・掃討装備を導入した経緯があります.

海上自衛隊・艦艇 JMSDF

世界トップクラスの自衛隊の機雷掃海隊群,なぜ日本の掃海能力が求められているのか?飢餓作戦から現在へ | Stone Washer's Journal

 そして現在では,再び海自掃海隊群は世界でもトップクラスの掃海能力を持つ事になりました.
 最近でもペルシャ湾で多国籍掃海訓練に参加するなど,海外派遣においても実績を積み重ねています.

 ですので中国軍がシーレーンや日本の港湾において攻勢機雷戦を仕掛けてきても,機雷を掃海・掃討する事は可能ですので,この記事を見て脅威と思う必要性はないでしょう.
 巡航ミサイル迎撃は空自にとってのお家芸であるのと同じように,海自にとって掃海・掃討はお家芸なのですから.

 一方で機雷戦をされた場合,逆に海自潜水艦による中国海軍への攻勢機雷戦を仕掛ける事も可能になります.
 海自による攻勢機雷戦は敵地攻撃になりますが,これは合憲とされていますので問題はないでしょう.

 これは某マイミクさんから聞いた話ですが,軍事評論家の兵頭二十八氏によれば,日本の港湾は沖合から深くなるので攻勢機雷戦は難しいが,中国の港湾は東シナ海による浅瀬により攻勢機雷戦が可能との事です.
 これにより寧波や青島の中国海軍基地での機雷封鎖も可能になります.

ねらっずーり in mixi, 2016年05月08日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 呉勝利とは?

 【回答】
 呉勝利(Wu Shengli)は1945年生まれ.河北省出身.
 海軍福建基地司令員,東海艦隊副司令員,南海艦隊司令員.
 2004年から副総参謀長を勤め,昨年8月から海軍司令員.
 2007年7月,上将昇進.

おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)7月9日


 【質問】
 中国のコースト・ガードはどんなものか?

 【回答】
 (1) 港湾の税関監視を担当する海関総署.国務院直属の執行機関であり,関税徴収,密輸出入監視,不法薬物摘発,検疫を担当.
 最近になり,高速監視船が相当数就役している模様.

 (2) 人民武装警察の海上警備部門.実体はほぼ何も分かっていない.ジェーン軍艦年鑑すら,その保有船艇について確実な情報を何も持っていない.

 (3) 公安部の海上警備部門.国境地域,領水域での警察活動を担う辺防局(辺防部,辺境防衛局,辺防管理局と記述する資料も見られる)が存在し,海上保安庁の警備部門に対応しうる下部組織が確認されている.
 その実態,勢力,船艇数,航空機運用の有無は不明.
 日本の海上保安庁の警備部門との結びつきを近年深めている.

 (4) 警察権行使と港湾土木事業以外の海事行政をほぼ網羅する中国交通部海事局.
 船艇総数は1000隻以上とも,1400隻に達するとも言われる.
 最大級の船は海巡21 Haixun21で1859総t.それより大型で,ヘリコプターを搭載する海巡31を現在建造中.
 ただし警察権を行使しないことから,いずれも非武装.

 詳細は,「世界の艦船」2004年11月号,p.92-95(渡辺一正〔艦艇研究家〕記述)を参照されたし.


 【質問 kérdés】
 東シナ海中国フリゲート艦火器管制レーダー照射事件について教えてください.

 【回答 válasz】

 2013年1月30日,東シナ海で中国海軍の053H3型フリゲート艦を追跡中の海自のSH-60Jヘリと護衛艦「ゆうだち」「おおなみ」が,それぞれ火器管制レーダー照射のレーダー波を受ける事件が起きました.
 幸い,数分間だけで艦対空ミサイルや76A式37mm連装機関砲などは向けられませんでしたが,日中双方で大騒ぎになり問題になっています.

中国軍艦,海自艦に射撃レーダー照射 東シナ海で1月に:朝日新聞

053H3型フリゲイト(ジャンウェイII型/江衛II型) - 日本周辺国の軍事兵器

 火器管制レーダーの照射は所謂ロックオンを意味します.
 つまり目標を捉えて,あとはミサイルや機関砲で目標を迎撃するだけという事を意味します.
 中国外務省は報道で初めて知ったという論調から,いきなり日本側の捏造と言いだし,日本側もレーダー波を受けたという資料を公開に踏み切っています.
 2010年の尖閣諸島沖での海保巡視船と中国漁船の衝突事件でのビデオの公開を巡る騒動もあったので,今回自民党政府は積極的な情報公開を始めています.

中国外務省“レーダー照射は報道で知った”:NHK

レーダー照射はでっち上げ〜中国外務省:日本テレビ

レーダー照射の中国艦,政府が動画など公開方針:読売新聞

 さてここからが本題ですが,逆に言えば火器管制レーダーの照射を受けたのなら,こちらもECMをしかけてもよかったと思います.
 つまり敵艦の周波数を探り,そこからジャミング等を行うというものです.
 今回のレーダー照射では中国海軍のレーダーの周波数が得られたので,これは後の海自や空自の電子戦にも活用されるでしょう.
(その意味からすれば,今回の053H3型フリゲートのレーダー波照射は,中国にとっては拙かったような気もしますが,まぁ自業自得でしょう).
 海自の護衛艦にはそれぞれECMシステムが装備されていますので,次にレーダー波が照射されても簡単にECMで跳ね返す事が出来るでしょう.
 また,ヘリに照射されてもヘリ支援のためにECMを仕掛ける事が可能です.

 あと[中略],これを機会に空自でも対艦向けの戦闘攻撃機用のジャミングポットの導入やF-15Jの電子戦型の改修も行われるべきでしょう.
 米海軍ではALQ-99ジャミングポットの後継機種としてNext Generation Jammer (NGJ)の開発を進めています.
 F-2をNGJを運用出来るように改修,トーネードECRなどに使用されているレーダー波を探知できるシステムを搭載・運用出来るようにすべきでしょう.
 F-16CJに搭載されているAN/ASQ-213は,日本に売却されない可能性が高いからです.

 ちなみに,空自の次期F-Xに選定されたF-35AにはNGJを運用する計画が米軍にはないので,NGJは運用出来ない可能性があります

次世代ジャマーの選定を急ぐ米海軍:航空宇宙ビジネス短信・T2 軍事航空,ISR,無人機,安全保障,最新技術

 そこで米空軍では既に引退していますが,EF-111と同じように戦闘機を改造したエスコートジャマーとスタンドオフジャマーの両方の任務が可能な電子戦機が必要になります.
 そうなるとF-15Jの電子戦改造型が必要になるでしょう.
 百里の偵察飛行隊が偵察ポットの運用やRQ-4の導入で解隊される可能性が高くなったので,この百里の偵察飛行隊を電子戦部隊に改編してもいいかと思います.
 そうなればYS-11Eの要員をAWACSの追加調達等に振り分けられますので,貴重な人員を活用することが出来るでしょう.
 戦闘機はいくら作れても,人員はそうはいきません.

ねらっずーり in mixi, 2013年02月10日
青文字:加筆改修部分

 政府・防衛省は,中国海軍の053H3型フリゲートによる護衛艦「ゆうだち」への火器管制レーダー照射について,写真と映像を公開する方向で検討が進んでいます.
 ただ,レーダー波の周波数などは公開しない方針のようです.

中国レーダー照射,写真・映像公開検討 防衛相:日本経済新聞

 ところで元空自幹部で作家の数多久遠氏がブログで,ESM(電子支援手段)の重要性を書いています.
 私も同感です.
 ESMが無ければ次にレーダー照射をされても,ECMをしかけられません.

レーダー照射事件とESMの重要性:数多久遠のブログ シミュレーション小説と防衛雑感

 海自護衛艦「ゆうだち」にはNOLQ-3電波探知妨害装置とOLT-3電波妨害装置が装備されています.
 このうちNOLQ-3電波探知妨害装置は電波妨害(ジャミング)の他に,照射された電波の探知,分析をおこなったあと,目標識別,脅威評価,記録,表示を行います.
 今回のレーダー照射では当然053H3型の火器管制レーダーの周波数なども当然記録されているはずで,最重要のデータなだけにこちらの公開はまずないでしょう.
 恐らくNOLQ-3で得られたデータは,海自のみならず空自や陸自でも分析される事になるでしょう.

Destroyer DD-103 汎用護衛艦ゆうだち:Vessel And Ships Photo Gallery

電波探知妨害装置 NOLQ-3:基地祭に見る自衛隊装備品図鑑

 ESMは特に重要な分野で,空戦におけるAWACSやAEWと同じ意味合いを持ちます.
 空自ではESM任務を行うYS-11EB電子戦機(ELINT機)の後継機種として,C-2ELINT型が検討されています.

川崎C-2(C-X):KWATのほおむぺえじ一号一型

 海自は既にP-3Cを改修したEP-3電子戦機というELINT機があります.
 これ等のELINT機はそれぞれ統合運用すべきかと思います.
 また,F-15Jの電子戦型(ECM担当)の開発を進めるべきでしょう.
 技本では戦闘機搭載型電子防御装置(ジャマー)の開発を進めていますが,繋ぎとしてNGJをアメリカから輸入するという方法もあります.
 もっともこのNGJもまだ開発中なので,先に技本のジャマーが開発が進むかも知れません.

 また,陸自も無縁ではありません.
 千歳に配備されている第1電子隊の他にも,南西方面にESMとECMを任務とする電子戦部隊を創設する必要があります.
 そしてECMを担う部隊とESMを担う部隊の統合運用を行えば,今回のような事案が今後発生した場合に対処する事が出来るのです.

 さらに,ソフト面でも電子戦に対応できる人材を育成していくべきでしょう.

ねらっずーり in mixi, 2013年02月11日
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 2016年6月の中国海軍情報収集艦口永良部島沖合領海侵入事件について教えてください.

 【回答 válasz】
 2016年6月15日未明,鹿児島県口永良部島西方の沖合の領海に,中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が侵入しました.

中国海軍の情報収集艦,日本領海に侵入 屋久島周辺を一時航行:ハフィンポスト

 この事件について領海侵犯だという声がありますが,沿岸国の安全を害さないなければ通知なく領海を航行する事が出来る無害通航権を行使しただけです.
 したがって中国海軍情報収集艦が領海に侵入したというだけでやれ撃沈しろ,やれ拿捕しろというのは国際法規にも違反する行為であり,全く的外れな意見と言わざるを得ません.
 それは1969年に北朝鮮が行った米海軍情報収集艦「プエプロ」の拿捕と同じ過ちを犯してしまう事になります.

 ところで中国海軍の情報収集艦は何故口永良部島の領海に侵入したのか?
 それは日米印海軍合同演習「マラバール」に参加した日米印に対する牽制だったと見られています.
 実際,ドンディアオ級情報収集艦は米海軍空母「ジョン・C・ステニス」を追尾していたという報道があります.
 ステニスは情報収集艦に追尾されていた事から,海自やインド海軍の艦艇から距離を離れて航行していたと言われています.
 情報収集艦は文字通りSIGINT(通信傍受)など行うスパイ艦ですから,海自やインド海軍との交信や戦術データリンクを傍受されてしまう可能性があるからです.

中国艦,領海侵入した日に日米印の共同軍事訓練で米空母を追尾 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 一方で,中国海軍の艦艇の無害通航を認め続けると,慣れてしまうという危険があるという指摘もあります.

中国海軍が領海侵入:怖いのは「慣れてしまう」こと : 海国防衛ジャーナル

 また,インドでは9日には北東部アルナチャルプラデシュ州に中国陸軍の部隊が侵入,インド陸軍とにらみ合いになった他,3月にはカシミール地方に中国・パキスタンとインドが領有権を争っている地域に中国軍部隊が侵入,やはりにらみ合いになる事件が起きています.

中国軍がインド北東部に侵入 領有権主張,日米との連携強化に反発か(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 この件に関して某マイミクさんとも話したのですが,無害通航権を我が国も行使して南シナ海のファイアリークロスに汎用DDを派遣して,フィリピンのスービック港やベトナムのカムラン湾基地を準母港としてみてはどうでしょうか.
 DDHだと中国海軍は空母だと思っていますので,かえって相手を刺激してしまう可能性があります.
 当方は孫子の兵法における精神的衝撃から,DDHの南シナ海を提案した事がありますが,マラバールをフィリピン海で行っただけでも中国側はこの反応を示しますから,DDH派遣はかえって緊張を高めてしまう可能性があります.

 話は逸れますが,DDHは海外ではヘリ空母とされていますが,ひゅうが型やいずも型には空母にはないソナーが搭載されています.
 ソナーを搭載した全通甲板の艦艇は海自のいずも型とひゅうが型,イタリア海軍の「ジュゼッペ・ガルバルティ」のみです.
 ですのでDDHは軽空母というより航空駆逐艦と呼ぶべきでしょう.

 しかし中国海軍は空母と見做しますので,DDHの無害通航はむしろ緊張を高めてしまいます.
 DDGも北朝鮮のミサイル防衛の観点から派遣は無理.
 そうなると汎用DDを派遣した方が無難かと思います.
 最新型のあきつき型DDや一世代前のたかなみ型DD,むらさめ型DDを派遣し,こちらも中国側を牽制するのがベストな選択だと愚考いたします.

ねらっずーり in mixi, 2016年06月18日
青文字:加筆改修部分


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