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※「北韓」:朝鮮民主主義人民共和国の韓国側呼称."北朝鮮"と呼ぶより厭味.

殴ったら宣戦布告とみなすニダ
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次殴ったら、宣戦布告とみなすニダよ!
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次殴ったら、ホントーに宣戦布告とみなすニダよ!
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次殴ったら、ホンットーに宣戦布告とみなすニダよ!
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 【link】

「Defense News」◆(2012/06/12)U.S. Calls on North Korea To End &#8216;Provocative' Tone

「JB Press」:クリントン氏訪朝の背景を読み解く 進化したオバマ政権の対・北朝鮮政策

「VOR」◆(2012/05/08)米韓合同空軍演習「Max Thunder」始まる

「VOR」◆(2012/05/10)韓米日 より緊密な軍事協力を行う必要がある

「VOR」◆(2012/05/15)米国 韓国領内に戦術核を配備する計画なし

「VOR」◆(2012/06/15)米韓 北朝鮮に対し国際的義務遂行を求める

「VOR」◆(2012/07/29)米韓連合司令部解散

「VOR」◆(2012/08/18)金正恩第一書記「米韓合同演習は北東アジア全体に対する脅威」

「VOR」◆(2012/08/19)オバマ大統領 北朝鮮人権支援法を延長

「VOR」◆(2012/08/19)米韓軍事演習は新たな朝鮮戦争を扇動する可能性がある

「VOR」◆(2012/08/20)韓国で米韓軍事演習開始
「VOR」◆(2012/08/20)平壌 韓国への攻撃準備ある

「VOR」◆(2012/08/26)北朝,米韓との「死闘」へ準備

「VOR」◆(2012/09/11)米韓 北朝鮮占領を準備

「VOR」◆(2012/10/14)北朝鮮:米国は北朝鮮への武力によって圧力をかける計画を拒否しなかった

「VOR」◆(2012/10/18)北朝鮮 国連安保理に米国を訴える

「VOR」◆(2012/11/30)米ホワイトハウス代表 8月に北朝鮮を極秘訪問か?

「VOR」◆(2012/12/08)韓国PSYが米国民に謝罪
> 米のマスコミは2004年のコンサートで在韓米軍の兵士を侮蔑し,ネガディブに表現したと伝えた他,2002年には抗議の印として米の戦車の模型を壊したと伝えていた.
> PSYはこれについて,イラクにおける米の戦争と自分の学友2人が韓国で米軍用車両に轢かれて死亡した事に感情的に深く突き動かされたものだ,と説明.

「VOR」◆(2013/01/07) グーグル会長 北朝鮮を訪問

「VOR」◆(2013/03/12) 韓国の将官ら 米軍の指揮のとり方を学ぶ

「WSJ」◆(2013/07/04) U.S. Reiterates Call for North Korea to Free Missionary
 米国,韓系米国人宣教師の釈放を要求

「海洋戦略研究」:金国防委員長宣伝効果抜群
>「国務長官の夫である元大統領の訪問で,金正日総書記は国民や他国に対し,
>北朝鮮が国際社会に受け入れられたと発信できるようになる」

「海洋戦略研究」:米韓作戦計画5029完成

「海洋戦略研究」◆(2010/05/26)米韓軍事演習

「国際情報センター」:クリントン元米大統領の訪朝

「コリア国際研究所-KII」:金正日の権威を高めたクリントン訪朝

「コリア国際研究所-KII 」:【コラム】手の内が丸見えの金正日弔問団 北朝鮮の対応に変化なし

「コリア国際研究所-KII」:米国はまたもや金正日に塩を送るのか

「コリア国際研究所-KII」:注目されるボスワース訪朝

「スパイ&テロ」◆米軍の対北朝鮮作戦 (12/07)

「原田義昭 Blog」:クリントン元大統領訪朝,本当に喜ぶべきか

「ワールド&インテリジェンス」◆(2013/02/22) 戦時作戦統制権の韓国軍への移譲が延期へ??


 【質問】
 米朝外交には資源問題がどの程度絡んでいるのか?

 【回答】
 レアメタル,特にタングステンを巡る米中の駆け引きの舞台になっているという説がある.
 以下引用.

Wの衝撃

■北朝鮮の鉱物資源に群がる米中韓

 今年7月,1年1カ月もの間中断していた北朝鮮の核問題をめぐる第4回6カ国協議が再開され,現在は第5回6カ国協議の休会中となっている.
 拉致問題解決に向けた期待も高まるが,悲しくも国際政治の冷酷な現実がある.
 ヨミウリ・ウィークリーの2005年7月31日号の『「北」の鉱物資源狙う米・中・韓』と題する記事の中で,2003年から北朝鮮問題の班長(アジア大洋州北東アジア課)を務め,今年3月末に同省を退職したばかりの原田武夫が,
「北朝鮮がレアメタル(希少金属)の国というのは米国ウォール・ストリートの常識だ」とした上で,「米国が資源外交を展開しているのは確かであり,この鉱物資源をめぐる米中韓と北朝鮮当局との“裏取引”が成立したことが,7月の協議再開に結び付いたのではないか」
との見解を述べている.
 これを裏付けるように,今年5月に韓国政府系機関の大韓鉱業振興公社が北朝鮮最大の鉄鉱石鉱山の開発に,中国と共同で乗り出すことが明らかとなる.

 さらに7月に第10回南北経済協力推進委員会が発表した12項目からなる合意文には,韓国側のコメ50万トンを借款の形で支援する見返りに,北朝鮮の地下資源の開発・投資を韓国側に保証し,実質的な共同開発を進めることも含まれている.

 米国の狙いを知るためには時間を遡ればいい.
 1999年2月に行われた北朝鮮の地下核施設疑惑をめぐる米朝高官協議で,米側が提示した制裁緩和措置である.
 この措置には在米資産の凍結解除,経済制裁の一部緩和と並んで,亜鉛,金,タングステンなどの鉱山開発や農業分野で投資を希望する企業へのライセンスの発行などが柱となっていた.
 特にタングステンにはドロドロとした日本をも巻き込む歴史的な因縁がある.
 実は北朝鮮はこのタングステンの潜在的埋蔵国として知られている.

■1950年のタングステン危機と「W計画」

 1950年6月25日,朝鮮戦争が勃発,そのわずか2,3ヶ月で戦争に要する物資の国内備蓄量が危機的な状況になった.
 これがタングステン危機の始まりである.
 トルーマン政権は国家緊急事態を宣言し,タングステンの入手に奔走することになる.
 スウェーデン語で重い石の意味を指すタングステンは,貫通力を高めるための弾芯として1940年代半ばから戦車砲や戦闘機の機関砲などに使われてきた.
 1949年までの米国は,時には日本軍の目をかすめながら,蒋介石の友人であるK・C・リー率いるワーチャン貿易を通じてタングステンを入手してきたが,中国共産党の勝利によって中国の輸出先は米国からソ連へと変わる.
 米国は新たな供給国として韓国を選び,ソウル南東にある上東鉱山に触手を伸ばすが,朝鮮戦争勃発直後にこの鉱山が北朝鮮軍の手に落ちたためにタングステン危機が起こったのである.
 このタングステン危機の短期的な解決策として国防総省が目を付けたのが日本であった.
「陸軍のダミー会社であった昭和通商に頼まれて,昭和15年,16年の2回にわたって,当時の金で70ー80万円に相当するヘロインをヤミ価格で買い入れた.
 このヘロインは後に中国大陸に運ばれて南シナでタングステンと物々交換された.」
 これは,1945年12月,A級戦犯容疑で巣鴨プリズンに拘束され,48年12月に岸信介,笹川良一らとともに巣鴨拘置所を出所した児玉誉士夫の47年7月21日及び23日の調書内容である.
 児玉は,陸軍主導で1939年に三井物産,三菱商事,大倉商事の3社の出資によって設立された昭和通商や海軍管轄の児玉機関上海事務所を通じて,戦時中にタングステンやダイヤモンド,プラチナなどを調達し,終戦直後には闇市で売りさばき,その売上の一部が自由党の設立資金にまわされていた.
 この児玉調書からタングステン・ルートの情報をつかんだ国防総省と米中央情報局(CIA)によって,タングステンの元素記号Wを取った「W計画」が開始される.
 このW計画には戦前の米駐日大使ジョゼフ・グルーの部下だったユージーン・ドーマンを中心とするドーマン機関人脈や,CIAの前身のOSS(米戦略局)のケイ・スガハラなどが関与した.
 そして,児玉と協力しながら中国本土に隠されていた500トンのタングステンを市価の6割で国防総省に売却した.
 この代金と利益について,米ニューヨーク・タイムズ紙は,53年の選挙資金として日本の保守政治家に渡されたと伝えている.
 彼らは,理想主義のニューディール派が取り仕切る日本の民主化路線を激しく非難し,日本の再建には天皇制が精神的支柱として必須であり,財閥解体を即刻やめるべきだとする「逆コース戦略」を押し進めた.
 結果としてこの戦略が成功し,経済大国としての今日の日本につながるが,この背景にあったのは,冷戦時代の到来を象徴する朝鮮戦争勃発そのものであり,ジョージ・ケナンのソ連封じ込め政策によって日本がアジアの反共防波堤として位置付けられたためである.

 なお,このW計画は氷山の一角に過ぎず,CIAによる対日秘密資金工作は,冷戦が激化していく50年代初めから60年代まで広範に行われ,数百万ドルが保守政党へ,55年の保守合同以後は自民党に集中的に供与されていた.
 かつての旧ソ連が主導する各国共産党の国際組織コミンテルンを彷彿させるが,当時ソ連や中国のH2機関も日本共産党や社会党を通じた対日工作を行っており,これに対抗する狙いもあったものと思われる.

■タングステンから劣化ウラン弾へ

 タングステンに話を戻そう.現在の米国は弾芯に何を使っているのだろう?
 米国はタングステンから新たな弾芯へと切り替えるために,1950年代から軍事利用を目的とした実験を開始する.そして,その特性から戦車や装甲車に撃ち込むと,分厚い装甲を突き破り,車中を焼き尽くす威力を見出す.
 1978年頃にはこの新弾芯の生産・配備に入るが,これは戦車を主力とする北朝鮮の機甲旅団の韓国侵略のシナリオに対応するのが主な理由だったと言われている.
 この新弾芯が大量に実戦使用されたのは1991年の湾岸戦争である.
 以後,95年のボスニア紛争,99年のコソボ紛争,2001年のアフガニスタン攻撃,そして03年のイラク戦争でも使われる.
 これが劣化ウラン弾誕生の裏側である.

 劣化ウランは,タングステンと比べて「核のごみ」という性質上,極めて低コストである.
 そして,何よりもタングステンの資源埋蔵量の約4割が中国に偏在していることから,米国の潜在敵国である中国への依存を避けたいとの戦略的理由がある(W鉱石の埋蔵量参照).
 劣化ウランには放射能,金属的毒性から人体,環境への深刻な影響があることは,「湾岸戦争症候群」のデータから,米国こそが熟知している.
 従って,米軍産複合体も劣化ウランから再びタングステンへという世界的な潮流に逆らいながら,使用し続けるリスクも当然計算に入れていることだろう.

 中国は最新のイラクデータなどを活用しながら,世界の左派勢力を巻き込んだ劣化ウラン弾使用禁止の一大キャンペーンを行いつつ,北朝鮮を丸飲みすることでタングステンを手中に収め,米国を牽制しながら石油・天然ガス交渉に乗り出すのであろう.

 これに対して米国は劣化ウラン弾への非難の声を黙殺し,朝鮮半島の再民主化を大義名分にレジーム・チェンジ(体制変更)に向けた対北朝鮮工作を行いながら,新たなW計画を発動するのである.

■「新たなW計画」の実行部隊

 先月10月25日から2日間の日程でアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)主催の「日米同盟の変遷 防衛協力と統合の深化に向けて」と題するシンポジウムがキャピトル東急ホテルで行われた.
 ここに前原誠司やプロテスタントの石破茂らとともに登場したのがニコラス・エバースタットと安倍晋三である.
 ここに更なる因縁も見出せる.

 以前にも紹介したように,米軍産複合体の権化とも言うべきフェルディナンド・エバースタットという人物がいた.
 フェルディナンドは終戦直後の1945年9月にエバースタット・レポートを作成,戦争動員の迅速化と兵器開発の中枢としての国防総省,国家安全保障会議(NSC),CIAの創設を提案した.つまり,この3機関の生みの親でもある.

 W計画をきっかけにフェルディナンドが生み出したCIAを中心に,ドーマン機関人脈に児玉,岸,笹川などの巣鴨組が加わり,日本の裏と表を陰に陽に支配していくシステムが完成する.
 同時にこの人脈はブッシュ家をも巻き込みながら,勝共を合言葉に文鮮明率いる統一教会などとともに世界反共連盟(WACL)に結集,グローバルな反共ネットワークが出来上がる.
 今やこの反共ネットワークが原理主義的な宗教組織に匹敵する存在になっていることが,日本の保守系オピニオン誌の一部から読みとれる.
 このフェルディナンドの孫こそが,『北朝鮮最期の日』の筆者であり,AEIの客員研究員を勤めるニコラス・エバースタットである.
 そして,官房長官に就任した安倍晋三は,巣鴨組の岸信介の孫である.
 この二人が,冷戦終結の今も日米のネオコンやキリスト教右派を器用に操りながら,世代を越えて対北・対中強硬派人脈の中核として海洋勢力強硬派を構成する.
 彼らが目指す民主化とは,米中衝突に備えてタングステンを米国に送り届ける北朝鮮の豪腕フィクサーを育て上げることかもしれない.
 しかし,後にロッキード事件でバッサリ切り捨てられた児玉誉士夫の生涯から,彼らの恐ろしさが見えてくる.
 彼らと足並みを揃えるかのように,石原慎太郎・東京都知事は今月3日にワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し,米中間で紛争が起こった場合に
「中国にとって一番目障りな日米安保をたたくために,もし核を落とすなら沖縄,あるいは東京を狙うだろう」と指摘した上で,「市民社会を持つ米国は,戦争で生命の価値観に無神経な中国には勝てない.中国に対抗する手段は,経済による封じ込めだ」
と主張し,インドやロシアと連携を強化するよう提言している.
 一方でプロテスタントを中心とする海洋勢力強硬派の反共ネットワークとは距離を置きながらも,その動向を注視する集団が大陸勢力の中心に存在する.
 反共の本家本元として,神なき共産主義に宗教の自由を迫るカトリックの総本山,ヴァチカンである.
 吉田茂の孫として英米の海洋勢力本流人脈を受け継ぎながらも,カトリックとして大陸勢力につながる麻生太郎外務大臣誕生は,海洋勢力と大陸勢力とがぶつかる地の波乱の幕開けを暗示しているかのようだ.
 かつて,この二つの勢力に翻弄され,挫折したのが靖国神社にA級戦犯として祀られている松岡洋右である.日独伊三国同盟にソ連を加えた四国協商で米英に対抗するという野望から,スターリンに対して「政治的,社会的」ならぬ「道徳的共産主義」にまで踏み込んで,「日本には,道徳的共産主義がある.日ソでアングロサクソンの影響力をアジアから排除しよう」と懸命に訴えたことがある.
 この神なき共産主義への接近がヴァチカンをも刺激し,二つの勢力に加えユダヤ勢力をも結集させ,日本は太平洋戦争へと追い込まれていくのである.

 この歴史の教訓から,「敵」と「敵の敵」を冷静に見極めながら,「敵」への安易な接近や小泉首相や石原都知事のように表立って敵を刺激する行為は当面控えるべきであろう.
 むしろ,水面下で「敵の敵」を奮い立たせる工作に知恵を絞ればいい.
 さもなくば,石原都知事の語る核の惨劇が現実になる.
 あるいは,中国全土に劣化ウラン弾の雨が降り注ぐことになるのだろうか.

(本稿は,増田俊男氏が編集主幹を務める月刊『力の意志』2005年10月号掲載の
「北のタングステンをめぐるWの衝撃」
に加筆修正を加えたものである.
 なお松岡洋右の物語は,まもなく再開する予定のビッグ・リンカー・シリーズにて取り上げてみたい.)

●参考グラフ
W鉱石の埋蔵量(出典:ITIA,タングステン・モリブデン工業会HPより)
http://www.jtmia.com/J/J_statistic1.htm

●主要参考文献
ジャパニーズ・コネクション 海運王K・スガハラ外伝」 ハワード・B・ションバーガー著(文芸春秋,1995/12)
阿片と大砲 陸軍昭和通商の七年」 山本常雄著(PMC出版,1985/8)
インサイド・ザ・リーグ 世界をおおうテロ・ネットワーク」 ジョン・リー・アンダーソン,スコット・アンダーソン共著(社会思想社,1987/12)
CIA Spent Millions to Support Japanese Right in 50's and 60's  New York Times, October 9, 1994
Shintaro Ishihara, governor of Tokyo spoke at CSIS on "Japan's Future Potential."

(園田義明 from 萬晩報,2005/11/13)


 【珍説】
 米が北朝鮮を武装解除させるには,韓国と日本が多大な犠牲を被り,それを大義として自軍の損失を最小限に留めるための空爆という形になる.

(小林よしのり「新ゴーマニズム宣言・砂塵に舞う大義」,P.32)

 【事実】
 ならない.

 まず最初が
「空爆をやるつもりなら,3万7千の在韓米軍を引き上げなければならない」
「100万の北朝鮮軍が38度線を突破したら相当な犠牲が出るからだ」
という前提なのですが.

 この前提とそれ以降を要約すれば,

▼▼小林主体思想による,予想される米と北の戦争▼▼

 米が北への武力行使を決定

 武力行使をすれば北は南侵するので,それからの攻撃を避けるべく,在韓米軍は引き上げる

 これは北の空爆が迫る事になるから,北は専制攻撃に出ざるを得なくなる

韓国と日本がそれの大きな犠牲を受ける
(略)

 …小林(シャオリン)主席は今までに何度も,米軍の爆撃がいかに多大な威力が在るかを描いて来ましたよね?
 米が本気になったら,南侵する北朝鮮軍がどれほど大きな打撃を航空攻撃のみで受けるかは想像できないのでしょうか?
「米は戦争の大義のために,意図的に日韓が北から多大な犠牲を受けるように動く」
という考えは,何をどうしたらそう考えられるのか,自分には考えが及びません.

(キルロイ)


 【質問】
 北韓へのアプローチを巡り,ワシントンにコンセンサスはあるのか?

 【回答】
 ブッシュ政権内には
・危機を外交的に解決すべきだ
と、
・北韓の政権交代を目指すべきだ
という二つの意見が存在.
 米外交問題評議会(CFR)のエリック・ヘジンボサム曰く、
「ブッシュ政権はどちらの政策をとるべきなのか、非常に迷っている」

(Foreign Affairs)

 スコット・スナイダー〔太平洋フォーラム・戦略国際問題研究所(CSIS)シニア・アソシエート兼アジア財団シニア・アソシエート〕も,同様の見方をしている.
 以下引用.

スナイダー 今のやり方を支持する穏健派と,より厳しい対応を求める強硬派は,ブッシュ1期目の4年間,お互い戦い続け,疲れ切っている.
 その結果,穏健派と強硬派がバラバラの行動と発言をするようになっている.飴と鞭の政策を計画的に行っているわけではない.
 例えばボルトン国務次官(当時)がアジアに行き,北朝鮮に対する強硬策を主張すると,彼の後を追うようにケリー国務次官補(当時)とパウエル国務長官(当時)がアジアに行き,それを打ち消すことをいう.
 両者が全く別のことを言うので,アジア諸国は,米国は一体どうなっているのだと思っただろう.

――対立は国務省と国防総省との間ではないのか?

スナイダー それよりも国務省,国防総省,それに国家安全保障会議(NSC)内の地域派と機能派との対立のほうが激しい.

――機能派とは?

スナイダー 不拡散問題を担当している人達だ.
 地域派とは北朝鮮,韓国,それに中国など,それぞれの国を担当している人達だ.

 不拡散専門家(機能派)は会議でイラン,北朝鮮,それにロシアなどの核拡散問題について話す.彼らが扱うのは全て核拡散防止に関することだ.専門的な技術的知識を持っているが,核拡散を防げるかということしか考えていない.相手国または地域との微妙な関係は無視する.

 この10年間,機能派の影響力が強まってきた.
 機能派にとって北朝鮮問題を6者協議で扱うか,国連安保理にかけるかはどうでもいいことで,重要な事は北朝鮮の核開発を抑えることだ.

( from 「中央公論」, 2005/7, P.111-112)


 【質問】
 アメリカが北に10万トンの米を提供するという話がある.
 親米保守はこれをどう考えるのか?

(小林よしのり from SAPIO 2003/4/9)

 【事実】
 パウエルなどの政権内穏健派が,どちらかというと北朝鮮に宥和的に解決しようとしている姿勢である,というだけの話.
 別にブッシュ政権全体がそうだというわけではない.

http://korea.hanmir.com/ktj.cgi?url=news.hanmir.com/news.php%3fd%3d030225%26f%3dyh00e130

 北韓問題を巡る,ブッシュ政権内の意見対立については,すぐ上の項目を参照されたし.


 【質問】
 民主党のケリー候補が大統領選挙に勝利すれば,アメリカの対北韓政策は北韓にとって有利になりうるか?

 【回答】
 以下の記事を信頼するならば,それは大いに疑問である.

http://www.atimes.com/atimes/Korea/FC17Dg04.html
Pyongyang pins false hopes on Kerry By Yoel Sano

 金正日がケリー大統領候補を支持し,ケリー大統領なら有利に交渉が進むと思っているかのような報道があるが,大きな間違いである.
(1)  ケリーや今の民主党の北朝鮮政策はブッシュのそれと大して変わらない.
 だいたいケリーが甘い約束をしようにも,共和党の多い議会の圧力があるから,そういう甘い期待は全く夢にすぎない.
(2)  クリントンが1994年にしたような,北に甘い合意は今では不可能.
(3)  ケリーは6か国協議でなく二カ国の直接協議をいっているが,今の6か国協議のほうが,中国の調停やロシアの精神支援,日韓のアメリカへの柔軟化要請があるので北朝鮮に有利であり,二国間なら北はもっと厳しい立場に立たされる.
(4)  人権問題(飢餓や強制収容所や人体実験)と麻薬問題では,ケリーの民主党は 共和党以上に厳しいので,北朝鮮はこの問題でより厳しい追及を受ける.
(5)  民主党が軍事力使用を嫌うというのは嘘.FDRの第二次大戦参戦,トルーマンの原爆使用と朝鮮戦争,ケネディのキューバ危機,ジョンソンのベトナム戦争拡大,カーターはアフガニスタンで共産勢力対抗のためにイスラム過激派への支援にサインした.軍事オプションは常に存在.
(6)   ニューメキシコ知事の民主党,ビル・リチャードソンが,ケリー政権ならば北朝鮮政策に重要な地位を占めるようになる可能性はある.
(7)  二期目のブッシュは再選の心配をする必要はなく,議会のバックアップがあるので,北朝鮮の交渉相手として最も楽な相手かもしれない.

 【質問】
 オバマ政権は北韓に対し,どのようなスタンスで臨むだろうか?

 【回答】
 古森義久によれば,オバマが大統領選の際に行った言明が示唆するよりも,ずっと宥和的,ソフトである可能性が高いという.
 古森は,民主党系の専門家,K・A・ナムクン,レオン・シガル両氏が連名で,2008/10/19のワシントン・タイムズに発表した政策論文を紹介している.
 その論文は,米朝間の「相互の信頼」を築くことが大切であり,アメリカが北韓を正常な国にし,国際社会にも参加させるために,とにかく国交を樹立し,経済援助をも与える「包括的な新関係の確立」を試みるべきだと主張.
 そのプロセスには他の諸国との協力も必要だとして,中国,韓国,国連の名を挙げているが,日本に関しては日本人拉致はもちろんのこと日本自体に対する言及もゼロだという.

 同論文の要旨は次の通り.

(1) 北韓はアメリカから敵対的な態度をとられているために核兵器を保有したいのであり,アメリカがその態度を捨てれば,北側も核兵器開発計画を放棄するだろう.

(2) アメリカは北韓に核兵器を放棄させるために韓国や中国を含めて朝鮮半島の平和条約を結ぶ.

(3) アメリカは北韓が核兵器施設の破棄や検証を受け入れ,拡散停止の検証や国連との人権問題協議を受け入れることを条件に北韓との国交を樹立する.

(4) アメリカは北韓の核放棄などを条件に経済,金融,外交などの面での援助を与え,国際社会の正常な一員になるよう奨励する.

(5) アメリカはその過程で北韓が発電所や原子炉を新たに建設することへの支援を実施する.

 この両氏はいずれも民主党支持で,朝鮮半島や東アジア安保問題を専門とする学者として民主党議員の外交顧問などを務めてきたという.

 詳しくはブログ
「古森義久iza」,2008/10/22 12:39付
を参照されたし.

 なんというか,金大中〜盧武鉉政権が試して無残な失敗に終わった太陽政策を,アメリカが繰り返そうとするような主張であって,もしこれが実行されればKEDO合意以上の愚策としかならないだろう.


 【質問】
 スティーブン・ボズワースって誰?

 【回答】
 タフツ大学フレッチャー外交法律大学院長.
 オバマ大統領が彼を,北韓政策特別代表にうっかり指名してしまったものだから,さあ大変.
 リベラル派を自任するのはまだいいとしても,「圧力が効果的とは思わない」だの,「訪朝する用意がある」だの,「6ヶ国協議への復帰を期待する」だのと,闇雲に対話路線を推し進め,どうやらこれが北韓をして,
「アメリカは北韓に強い姿勢をとらない」
と思わせたらしい.
 田久保忠衛も,こう言ったとか.
「北朝鮮は一連の動きで,米国の反応を観察していましたが,それでもボズワースは路線を変えなかった.
 それで米国は舐められ,北朝鮮はプルトニウムの兵器化まで言及したのでしょう.
 日本にとっては何のメリットもない人物ですよ」

 詳しくは『週刊新潮』,2009.6.25号,p.36を参照されたし.


◆◆◆在韓米軍


 【質問】
 在日・在韓米軍は制度上,北韓に対して先制攻撃できないようになっている,というのは本当か?

 【回答】
 小川和久によれば,
「在極東米軍が国連軍の帽子を被っている限り,先制攻撃できないよう定められている」
という.
 以下,その論理.

 国連憲章は第7章で,安全保障理事会は,平和に対する脅威や平和の破壊,侵略行為の発生を認定し(39条),関係当事者に対して事態の悪化を防ぐために必要な暫定措置を要請し(40条),さらに外交関係の断絶や経済制裁などの非軍事的措置(41条),それが不十分なときは陸・海・空の兵力による軍事的措置(42条)の発動を決定し,加盟国に協力を要求することができます.
 〔略〕

 1953年7月に休戦協定が成立し,朝鮮戦争が休戦状態に入って半世紀以上が経過した今,国連軍はどうなったのでしょうか.解散していなくなったのでしょうか.
 実は,朝鮮戦争を戦った国連軍は現在もなお韓国と日本に駐留しています.
 韓国ではヨンサン(龍山)に国連軍司令部(司令官は在韓米軍司令官が兼任.要員400人)があり,15ヶ国で編成されています.
 日本では神奈川県のキャンプ座間に国連軍後方司令部(要員38人)がおり,8カ国で編成されています.
 日本にいる38人は国連軍要員として指名された米軍人と各国の代表(連絡要員)で,3〜4ヶ月に一回の合同会議を開催し,これには各国の駐在武官も出席します.
 日本は8カ国と「国連軍地位協定」(中身の大部分は日米協定と同じ)を結び,その24条には国連軍が朝鮮半島から撤退するまで有効と書いてあります.
 日本にある米軍基地のうちキャンプ座間,横田,横須賀,佐世保,嘉手納,普天間,ホワイトビーチの7ヶ所が国連軍基地に指定されており,そこでは日章旗,星条旗と並んで国連旗がはためいています.

 〔略〕

 アメリカは,朝鮮半島の有事などで米軍が国連軍として行動するときは,在日米軍と在韓米軍が全て国連軍になるという認識です.
 〔略〕
94年の北朝鮮の核危機の時,米軍が先制攻撃を検討している云々の話があった.
 私は「国連軍がいるから先制攻撃はできない」という見方でしたから,ある新聞記者を通じて外務省の考え方を確かめました.
 すると外務省は,
「国連軍は形骸化している.だから米軍の先制攻撃を阻止することなんてできない」
といっているとのことでした.
 これは国連軍について知らないからです.

 そこで韓国陸軍の高級幹部達に聞いたら,みんな
「アメリカは国連軍の帽子をかぶっている限り,先制攻撃などできないから悩んでいるのです.
 だから,北朝鮮を挑発して,北朝鮮がキレて手を出すのを待って,国連軍として反撃するしか方法はない」
という受け止め方をしていました.
 これは,北朝鮮がどうして国連に加盟したかを考えてみれば分かります.北朝鮮はアメリカの先制攻撃を避けるために国連に加盟したのです.
 そうしておけば,アメリカが攻撃のそぶりを見せたらすぐに国連に駆け込めばいい.常任理事国のソ連(ロシア),中国,場合によってはフランスまでもが反対してくれるから,国連軍としての米軍は動きがとれなくなるだけです.

 米ワシントンポスト記者だったD.オーバードーファーが書いた「2つのコリア」という本には,ペリー国防長官(当時)の「本当に戦争に至る危機をはらんでいた」との言葉が紹介され,先制攻撃のシナリオがあったように書かれています.
 その場合,最悪の想定では米軍40万人を増派し,米軍8〜10万の死者を含めて100万人の犠牲者が出るとされていました.
 しかし,先制攻撃は想定死者が多すぎるから諦めたという以前に,国連軍の枠組があるからできないのです.
 このときのアメリカの考え方は,大規模な兵力で北朝鮮に圧力をかけ,譲歩を引き出すことができればベスト,それでなければ第一線の小競り合いを「北朝鮮の軍事攻撃」とみなし,国連軍として一気に「反撃」するものだったと考えるのが自然です.

 2001年9.11同時多発テロの後,アメリカはテロ支援国家に対しては先制攻撃もできるというブッシュ・ドクトリンを打ち出しました.
 北朝鮮は恐怖に駆られ,それが2002年9月17日の日朝首脳会談に結びつきました.
 拉致問題で北朝鮮と交渉した日本政府高官の言葉からは,北朝鮮が「アメリカはなんでもやる」と強い危機感を抱いていたことが伺えます.

 このブッシュ・ドクトリンを受けて,イラク戦争で2003年4月に首都バグダッドが陥落すると,世界中のメディアは「次は北朝鮮か」と注目しました.
 けれどもアメリカは,北朝鮮については外交的な解決を図るという立場を明らかにしました.
 これはイラク・北朝鮮という2正面作戦を避けたいという理由もありますが,それ以前にイラクにしたような先制攻撃は不可能だったからです.
 以下にブッシュ・ドクトリンがあるといっても,アメリカは朝鮮国連軍を構成する15ヶ国中14カ国を説得する必要があります.
 そこにはイラク戦争に反対したフランスやカナダが入っています.
 要するに,北朝鮮に対する先制攻撃は不可能ということだったのです.

 このように,朝鮮戦争のときにできた国連軍は今日も存在し続けており,それは日韓合わせて438人という形だけのものではなく,万一のときは在日・在韓米軍が全て国連軍になるという実態を伴った存在で,北朝鮮に対して大きな抑止力となっています.
 逆に言えば,北が軍事的な冒険をしなければ戦争にはならないということでもあります.

 〔略〕
 また,日米安保条約第1条には国連憲章の下での条約であると記され,国連憲章第103条も条約に対する憲章の優越性を明記しているのですが,その点を日本政府が詰めたことはありません.
 〔略〕
 今こそ日本は,国連軍の存在意義を明確に認識し,これを有効に活用しなければなりません.
 北朝鮮に対して
「間違っても日本や韓国の領域にミサイルを落とすようなことをするなよ.そうなれば,国連軍としての米軍の攻撃で北朝鮮は消滅することになるぞ」
と言い続け,安全な国に変えていく必要があります.

小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12.5),p.238-244

 では,94年危機の際,金正日は米軍の攻撃に怯えてKEDO合意を呑んだ,という通説は間違いなのだろうか?,
また,同危機では小競り合いを軍事攻撃という口実にしようとしたというのなら,今後もいざというときは,それをやることで憲章24条をパスできるのではないだろうか? となると「枠組があるからできない」というのは単なる形式的問題だと言えるのではないだろうか?,
さらに,本当に先制攻撃が必要になった場合,日米安保の極東条項に対するすり抜けのような,24条すり抜けを米軍はやるんじゃないか?,
といった疑問もなくはないが.


 【質問】
 在韓米軍121病院とは?

 【回答】
 121病院は,米軍が海外で唯一持っている一般病院施設.韓国ヨンサンにある.
 米軍再編に伴い,2006/10/16に施設が野戦病院へと転換された.ただし,平時任務に関しては人員や治療・医療用具など,これまでどおり.

 18医療コマンドはハワイに司令部を移転し,韓国には旅団規模に縮小された医療部隊が医療任務に当たることとなる.
「米軍北爆,北鮮軍南進に備えた措置でしょう」
とはおきらく軍事研究会(平成18年(2006年)10月16日)の見解.


 【質問】
 韓国の在韓米軍経費負担はどのくらいか?

 【回答】
 約6億8000万ドルで,全体の38%.

 米側は現在,5割負担への引き上げを求めている.

 ソースは日経新聞,2006/10/3付に掲載された,ローレス米国防副次官発言.


 【質問】
 「作戦計画5027」の具体的内容は?

 【回答】
 同計画は,朝鮮半島で全面戦が発生した場合に備えた駐韓国連軍司令部(UNC)・韓米連合司令部(CFC)の作戦計画だが,報道によれば,「北朝鮮軍の撃滅」「北朝鮮政権の除去」「朝鮮半島統一環境の造成」などが,作戦目的として明示されているという.
 ただし,韓国国防部はこれを否定している.
 以下引用.

「北朝鮮の政権除去」を明示,韓米作戦計画を公開

 【ソウル10日聯合】民主労働党の権永吉(クォン・ヨンギル)議員は10日,韓国国防部と米国防総省が「北朝鮮軍の撃滅」「北朝鮮政権の除去」「朝鮮半島統一環境の造成」などを作戦目的として明示した「作戦計画5027−04」を2003年12月末に作成したと主張した.
 統一部の国政監査に先立ち配布した資料で,2002年12月5日に開催された第34回韓米定例安保協議会(SCM)で,当時の李俊(イ・ジュン)国防部長官とラムズフェルド米国防長官が署名した戦略計画指針を公開した.
 「作戦計画5027」は,朝鮮半島で全面戦が発生した場合に備えた駐韓国連軍司令部(UNC)・韓米連合司令部(CFC)の作戦計画で,これまで数回にわたり修正されてきたが,防御作戦の概念を越え作戦目的に「北朝鮮政権の除去」などが含まれたものが政府の公式文書として確認されたのはこれが初めて.
 権議員は,米国の軍事シンクタンク,グローバルセキュリティが公開した「作戦計画5027−04」には,イラク戦争のように精密爆撃技術を使い,特定の目標を攻撃する案が含まれており,金正日(キム・ジョンイル)総書記に対する暗殺作戦とともに,米国の新安保ドクトリンに従い,韓国政府との協議なしに奇襲的に北朝鮮を攻撃できるとする内容が含まれているようだと説明している.
 〔略〕

(聯合ニュース,2005/10/10)

 鄭〔統一部・鄭東泳(チョン・ドンヨン)〕長官は
「軍事機密に関連した判断は,国防部が専門的な観点からするのが望ましい.国益のためのもの,と判断しがたい」
 とし,最後まで答弁を拒んだ.
 国防部は,報道資料を通じて
「北朝鮮への先制攻撃に関連したいかなる計画もない」とし,「権議員の主張がわい曲されているが,軍事機密に関する事項であるため,これ以上具体的に説明できない」
と明らかにした.

(中央日報,2005/10/10)


 【質問】
 イラク戦争の影響で,在韓米軍の装備にも悪影響が出ているというのは本当か?

 【回答】
 報道では,主要装備の50〜80%が正常に作動できない状態にあったとされている.
 以下引用.

「在韓米軍の軍事装備,少なくとも50%が故障」 WP報道

 米紙ワシントンポストが5日報じたところによると米国が,イラク事態に軍装備を集中投入し,昨年,在韓米軍の主要装備の50〜80%が正常に作動できない状態にあった.
 とりわけ,米軍が韓半島の有事の際に備えて大邱(テグ)基地に保管中の戦争備蓄物資の79%が,軍作戦の基準に達していないとのこと.
 同紙は,米議会の調査機関である会計検査院(GAO)がまとめた未公開報告書の内容として,このように伝えた.
 GAOが昨年10月,在韓米軍の装備を検査したところ,主力兵器を含めて,少なくとも重装備の50%が正常に作動しにくい状態だった.
 また,タンク・ブラッドリ装甲車の場合,エンジンとトランスミッションが故障しているものも多かった.稼働のためには,1000時間以上の修理が必要なくらい故障が深刻なものもあった.
 砲身に亀裂が生じた野砲も発見された.

 部品の不足も深刻だ.
 同紙の指摘によると,イラクに大量の装備を移転し,こうした状況が招かれた.
 だが,同紙によると
「この6〜7カ月間,3400万ドル(約40億円)と整備士90人など総170人の専門担当者を緊急投入し,先月まで同問題を全て解決した」
というのが米国防総省の説明.

(中央日報,2005/10/5)

 アメリカ軍は,朝鮮半島の有事の際に,アメリカ本国から派遣される陸軍の部隊が直ちに行動に移れるよう,部隊が使う戦車や装甲車などを,あらかじめ韓国南東部のアメリカ軍基地「キャンプキャロル」に配備しています.
 これについてアメリカ議会の調査機関は,5日公表した報告書の中で,イラク戦争の際,こうした装備や兵器がイラクに輸送され,一部が戻っていないため,不足した状態になっていると指摘しました.
 特に修理のための部品は,必要な量の21%しか補充されていないとしています.
 また,韓国に残っている装備も整備が十分ではなく,屋外で雨ざらしになってさびているものがあるほか,故障も多いとしています.

(NHK,2005/10/6)


 【質問】
 在韓米軍は核を保有しているか?

 【回答】
 報道によれば,かつては計16ヶ所の施設に核兵器が配備されていたが,1991年に全て撤去されたという.
 以下引用.

91年まで16カ所に核兵器配置か 在韓米軍施設

 韓国与党ウリ党の崔星(チェ・ソン)議員は9日,米軍が韓国内に配備していた核兵器について,1958―91年にかけて計16カ所の在韓米軍施設に配置されていたことを示す,米国防総省などの資料を入手したと明らかにした.
 崔議員によると,機密解除された87年の同省資料などには,米軍がソウルや大邱,大田,群山などにある14カ所の基地などに「核兵器事故対策チーム」を配置したと明記.
 放射能感知装置なども配備され,このほかの機密解除資料などを合わせると,計16カ所の施設に核兵器が配備されていたとみられるという.
 また78年の米政府資料によると,群山の空軍基地には当時,少なくとも453発の核兵器を配置.しかし91年にブッシュ元大統領の命令で,在韓米軍の核兵器はすべて撤去されたという.

(産経新聞/共同,2005/10/9)

 同議員によると,58年から91年まで韓国には11種類の核兵器システムが配備されていたという.

(朝鮮日報,2005/10/9)

 ただし,反米路線で知られるウリ党がソースゆえ,誇張の可能性を警戒されたし.


 【質問】
 在韓米軍のF-117は,どのような任務に就いているのか?

 【回答】
 惠谷治によれば,平壌上空に侵入,金正日の居場所をあぶり出すために使われている,という.

 在韓米軍は,ヒューミントなどで入手した金正日の所在情報を確認するため,金正日が滞在していると推定される地点にF117を送り込んでいるのだという.
 そして,金正日の別荘上空で,急降下と急上昇を行っている.ジェット機が急降下するときの空気を切り裂くような衝撃音,急上昇するときのアフターバーナーによる凄まじい爆発音が,夜間に突然響き渡れば,金正日を警護している護衛総局は,米軍による空爆と勘違いし「将軍様」の安全確保に慌てふためき,避難のために地下を走る車両の準備や,最寄りの飛行場からの脱出機の手配など緊急事態の対応に奔走する.
 そうした電話連絡や無線通信は,ソウル北方に位置する議政府にある在韓米軍第501軍事諜報旅団によって傍受される.
 F117の急降下によって,金正日が滞在している場合と不在の場合の対処の違いは,501MIの傍受情報によって簡単に識別することが出来る.
 また,そうした傍受情報の蓄積によって,金正日の行動パターンも分析できるのである.

 現在の北朝鮮は,スクランブルもできないほど,航空燃料は貴重品扱いになっているようである.
 F117による北朝鮮上空の飛行は明らかな領空侵犯であり,本来ならば朝鮮通信や平壌放送が声高に「米帝非難」を繰り返すはずである.
 しかし,これまでのところ,そうした報道がないのは,空軍機がスクランブルに飛び立てない実態や,防空レーダーが無力であるという防空体制の欠陥を,内外に明らかにしてしまう結果を憂慮しているためと考えられる.

( from "SAPIO" 2005/8/28?号)

 ただ,この話については,以下のような指摘がある.

 この惠谷治の記事,信憑性に問題があると思われます.
 そもそもこんな秘密任務の内容をどうやって入手したのかという問題もありますが,確実に言えるのはF−117に関する間違いです.
 F−117にはアフターバーナーは装備されていません.
参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-117
http://www.tiheisennoame.net/aircraft/f117/f117.htm

 また,上記解説によれば,F−117は,その不安定な空力特性により,機動に様々な制限か課せられており,記事にあるような急上昇・急降下が行えるかどうか疑問です.
 仮に行ったとして,せっかくのステルス性も低下してしまいます.

(唯野 in FAQ BBS)

 本件については,ダメモトで惠谷に問い合わせてみる予定.

 なお,2005/9/10付・朝鮮日報によれば,米軍は偵察飛行を繰り返し,8月にはそれが170余回になったという.
 以下引用.

 軍事消息筋によると,米軍が8月に入ってから各種の戦略,戦術偵察機を動員して朝鮮に対する空中スパイを行った回数は,170余回に達する.
 そのうちU2高空戦略偵察機は連日,軍事境界線地域の上空を東西に往復飛行して,朝鮮の縦深地域に対する撮影と電子偵察に血道を上げた.
 1日には,海外基地から飛来したE3指揮機が空中戦闘訓練と地上目標打撃訓練,空中目標捕そく訓練などの各種戦争演習に狂奔する戦闘機を指揮すると同時に,最前線一帯の軍事対象物に対するスパイを行った.
 P3哨戒機とEP3電子偵察機も朝鮮の東西海上を反復飛行し,朝鮮の海岸と海底に対する探索に狂奔した.
 一方,「ウルチ・フォーカスレンズ05」合同軍事演習を開始した8月22日には11機,8月23日には12機のRC7B,RC12などの戦術偵察機が相次いで出動し,前線と海岸沿線地域に対する空中スパイを行った.(朝鮮通信)

 また,報道によれば,F-117は2005年10月上旬までに,全機が米本土に帰還したという.
 以下引用.

韓半島配備のステルス機,全て米本土に帰還

 今年6月から韓半島(朝鮮半島)に配置され,地形把握訓練等に用いられてきた米軍F-117ステルス戦闘機15台のすべてが,先週末,米国本土の基地に帰還したことがわかった.
 軍の消息筋は7日,
「群山(クンサン)基地に配置され,地形把握および作戦計画の向上訓練に携わってきたステルス戦闘爆撃機が,先週末約4か月間の訓練を終えて米ニューメキシコ州のホロマン空軍基地に帰還した」
と語った.
 また同消息筋は,
「ステルス機の帰還は,当初計画していた訓練日程の終了に伴うもの」とし,「ステルス機は今後も毎年韓半島に派遣され,一定期間の訓練が終われば米国本土に帰還することになる」
と伝えた.
 ステルス戦闘機は2003年と昨年に引き続き韓国に配置されたもので,北朝鮮の核問題に関連し,武力示威として配置されたのではないかという見方が提起されていた.
 北朝鮮も,ステルス機が北朝鮮爆撃のために配置されているとし,すぐに撤収を要求するなど強く反発していた.

(朝鮮日報,2005/10/10)

 在韓米軍当局者は〔略〕
「全機が撤収を終えたかは確認できない」と述べたが,韓国の通信社,聯合ニュースは
「10月初旬にすべて(米国に)帰還した」
と報じた.

(産経新聞/共同,2005/10/10)

右側にいるのが,烏山 AB の食堂でターキーをよそっている PACAF 司令官殿

(画像掲示板より引用)


◆◆◆◆在韓米軍撤退問題

 【質問】
 在韓米軍撤退はありうるか?

 【回答】
 可能性は決して低くないという.
 以下引用.

 〔'02年〕12月26日には,ニューヨーク・タイムズが大物コラムニスト,ウィリアム・サファイア氏の評論を載せた.その要旨は以下のようだった.
「アメリカは北韓の恐怖の大量破壊兵器の保有を防ぐことを戦略目標とするならば,在韓米軍の撤退を始めねばならない.アメリカは帝国主義パワーではないから,民主主義の外国で軍事駐留を望まないという国民の意思が明示されれば,引揚げるべきだ」
「在韓米軍はそもそも,北韓の百万以上の部隊の攻撃を阻止するために配備されているのではない.攻撃を受ければ必ず戦闘の当事者となり,米空軍,米海軍,そして韓国の地上部隊の介入を自動的に招くトリップ・ワイヤーとしての機能が最大の役割なのだ」
「だが,このトリップ・ワイヤーの抑止は時代遅れとなった.アメリカはソウルを守ることより,アメリカ本土への核ミサイルでの攻撃を防ぐため,北韓からの攻撃に対処せねばならない.その対処には,北韓の核兵器施設を破壊するための行動の自由が必要となり,38度線近くの地上に米軍歩兵部隊がいれば,敵の人質となる」
 サファイア氏は野にあるとはいえ,かつてニクソン政権の高官だった共和党系の実力者である.今のブッシュ政権にも近いそんな人物が,これほど過激な新政策を提案するようになったのだ.

(古森義久 from "SAPIO" '03 Mar. 26)

在韓米軍,1000人のみ残留の可能性も

 米国が在外米軍再編計画(GPR)によって在韓米軍の削減を推進している中,米議会予算局(CBO)が在韓米軍削減の3つの方策を具体的に検討し,上院に報告したことが19日(韓国時間)確認されたと文化日報が20日,報道した.

 CBOが米上院予算委員会の要請を受け分析し,議会に報告した後,同日インターネットサイトに公開した「海外駐屯基地変更方策」という報告書によると,米議会は現在,2万8000人の在韓米陸軍の再編と関連,
▲現兵力の規模に2師団を後方移転
▲地上軍1万3000人削減
▲約1000人残留および残り2万7000人撤退,
の3つの方策を検討したことがわかった.

 米上院予算委員会は,ブッシュ政権および議会の一角の米軍再編および削減に関する論議を土台としてこうした検討を行い,これに対する予算問題を集中分析したと文化日報は伝えた.

(朝鮮日報,2004/05/20 13:00)


 【質問】
 在韓米軍が完全撤退という話は既に既定事実と聞いていましたが,実際は撤退する気はないのでしょうか?
 アメリカは韓国を重要視しているようにはどうも思えないんですけど.
 〔略〕
 五年前のモノで申し訳ありませんがまずここからです.http://www.shinchosha.co.jp/foresight/main/data/frst200304/tachiyomi2.html

ヤン

 【回答】
 いろんな所を回ってみましたが,どうも半信半疑な情報ばかりで今ひとつ信用できませんでした.
 どうも既定路線は僕の勘違いでした.申し訳ありません.

 後,どうも在韓米軍の撤退と,戦時の指揮権委譲とをゴッチャにしてました.
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=95540
 これも参考にしていたのですが,撤退ではなく,指揮権委譲を2008年から2012年(アメリカは来年に予定)までにとの事です.

ヤン

 韓国における米国の思惑と,韓国内の指揮権委譲を巡るゴタゴタは,月刊「軍事研究」誌の石川巌氏の連載を,バックナンバー3年分ぐらいさかのぼって読み直し,類推するしかないですね.
 指揮権委譲の件は盧武鉉前大統領の政策の目玉でしたし――右派には評判が悪いので,見直し気運が高まっているそうですが――,米国の公式コメントは「同盟関係を維持する」しか無いですから.

 まぁ,1945年からの米軍の戦略の変化と兵器の能力の推移,あと地政学的な中露と半島,それに我が国の立場を総合的に分析すれば,それなりの答えは透けて見えて来ますが(自己研究に成りますが),あくまでも“個人的見解”の範囲なので,他人に披露する物でもありません(床屋談義程度の物ですし).

新所沢の三等兵◆Uk

 ノムヒョン政権の間に米韓の間はずいぶんこじれましたからねえ.
 私も在韓米軍の完全撤退はまったくありえない話だとは思わないですよ.
 そうすれば,朝鮮半島有事の際に米国はさまざまなオプションが取れますからねえ.
 朝鮮戦争が再開されれば真っ先に弾に当たることになるはずだった第2歩兵師団も,後方に移転しましたし.

 私のお勧めは朝鮮日報です.「在韓米軍」とか「戦時作戦統制権」で記事を検索すればいろいろ見つかりますよ.たとえば

【統制権】移譲後は連合司令部に代わり協力本部を設置へ
http://www.chosunonline.com/article/20060827000033

韓半島有事,米軍の支援規模は?
http://www.chosunonline.com/article/20080310000059

統制権:在韓米軍削減方針は不変
http://www.chosunonline.com/article/20070226000044

【統制権】統制権移譲は在韓米軍削減スタートの合図?
http://www.chosunonline.com/article/20061001000011

バグってハニー

 ただし,「朝鮮日報」は資料として使うには,注意が必要では…
 韓国国内情報はマシなのですが,対日本や対北朝鮮情報に関しましては,少々エキセントリックになりがちですし,ハードウェア情報は,かなり誤りが多いですから,その点を考慮して情報を得た方が良いですね.

新所沢の三等兵◆Uk

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より


 【珍説】
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領「(戦時作戦統制権還収を)2003年に発議し,韓国軍が2012年と目途を立てた.長い期間,準備している」
「2009年と(米国側から話が)出たが,それまでの間のいつでも構わないと思う.韓国軍が世界最高水準の軍隊を作ろうとしているので,2012年を目標にしている.
 だが,それより前でも統制権行使には大きな支障はない.今,還収しても(取り戻しても)統制権行使できる.戦時統制権を還収しても,アメリカの情報資産に韓国は協力している.アメリカの利益のためにも,情報活動をするようにするのだ.還収するからといって衛星を降ろしたりするだろうか」

 【事実】
 韓国の専門家によれば,今すぐなんてとても無理だという.
 情報収集能力も,C4Iシステムもなければ,戦略目標の攻撃能力さえないからだという.
 以下引用.

 「今すぐでも可能」という盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の主張に対し,専門家らは「非現実的」と指摘する.韓国軍が主導的に戦争を行うにはまだ足りないことが多いため,準備にはかなりの時間が必要だという.
 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領自身も,かなり多くの準備が必要だ,と言及した.

 韓国に不足している部分とは,
「目」や「耳」の役割をする情報収集能力,
近代戦で中枢神経の役割をする指揮統制(C4I)システム,
有事の際に敵の戦略目標を攻撃できる攻撃能力
などだ.
 韓国軍は戦略情報の95%以上,戦術情報の70〜80%を米軍に頼っている.米軍の支援がなければ,北朝鮮の核開発やテポドン2号発射の動向も分からないのが現実だ.
 韓国ははたして米軍の情報をきちんと受け取っているのかどうかについても疑問視されている.
 戦時統制権の単独行使に備えた戦力増強問題を担当している合同参謀本部のム・チギュ戦力企画部長も,今月3日の記者会見で
「5年単位の戦力増強事業を毎年再検討する‘2007〜2011年国防中期計画’が順調に実施されれば,監視・偵察装備や,正確な攻撃能力が確保できる.
 2012年ごろ,戦時統制権の単独行使能力を備えられるだろう」
と述べ,準備には時間が必要なことを明らかにした.

ユ・ヨンウォン記者 in 朝鮮日報,2006/8/10

 人権屋出身の政治家には軍事知識が欠如している,というのは,どうやら日本だけではなかったらしい.
 それとも,このトンデモ大統領だけが例外なのか?


 【珍説】
◆作戦統制権還収に対する盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の発言

「作戦統制権こそ自主国防の核心だ.そして自主国防こそ主権国家の要だ.実利的に大きな問題がないなら,ある程度の費用を負担してでも必ず備えるべき国家の基本要件だ.
 韓国の歴史を振り返ってみて,いずれにしても自主国家としての地位は必ず立て直さすべきものだ.
 作戦統制権がないのに,大韓民国政府が韓半島における自主的な政府として役割を果たすことができるだろうか.このことについてよく考えてみて欲しい」

 【事実】
 作戦統制権は軍事作戦の効率の上の問題でしかなく,国家の自主権とは無関係.

 以下引用.

 国防大学のある教授は「作戦統制権は軍事作戦の効率の上の問題でしかなく,国家の自主権とは無関係」と話した.
 この教授は「現在の韓米連合体制でも韓国の決定が無視されているわけではない」とし,「むしろ重要な決定を左右できる立場にある.
 作戦統制権は効率の問題であり,自主や自尊心の問題ではない」と語った.

 この教授はまた,「大統領は北朝鮮という当面の安保上の脅威を念頭に置かず,米国,日本,中国,ロシアといった周辺の強国と何の摩擦もない世界を想像しているようだが,現実はそうではない」とし,「現実的に韓米連合司令部は『自主』を守るもっとも安価で効率的な道具」と説明した.

 高麗大の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「北朝鮮は交渉の場で米軍の撤収を要求したことはあるが,作戦統制権が韓米連合軍司令部にあることを問題にしたことはない」とし,「現在,南北軍事交渉で韓国が主導権を行使できないといえるほどの根拠はない」と話した.

 また現在議論されている「作戦統制権」は,李承晩(イ・スンマン)元大統領が韓国戦争(朝鮮戦争)の際に委譲し,主権譲渡ではないかとの論争が起きた「作戦指揮権」とは根本的に違う性質のものだ.

 李相薫(イ・サンフン)前国防長官は「当時はすべての軍指揮権を委任したが,1954年の韓米相互防衛条約で『作戦指揮権』から『作戦統制権』に変わった」とし,「作戦統制権は作戦の効率性を高めるためのものであり,対北朝鮮軍事作戦を想定したもの」と話した.

 そして「韓米連合軍司令部は両国の大統領が総指揮をとることになっている」と指摘した.

権大烈(クォン・デヨル)記者 in 朝鮮日報,2006/08/10

 ノ・ムヒョンが西部邁や小林よしのりとダブって見えるのは,気のせいだろうか?
 大統領の任期が切れた後は,ノ・ムヒョンは漫画家に転身したりして(笑).


 【珍説】
◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領「韓国は自国の軍隊に対する作戦統制権を持たない唯一の国だ.世界で11番目の経済大国であり,兵力でも世界6番目の軍事大国であるにもかかわらず,自ら作戦統制権を行使できない」

 【事実】
 ノ・ムヒョンの言葉は事実ではない.
 NATO諸国も戦時にはNATO軍司令官へ作戦統制権が移る.

 以下引用.

 京畿大の南柱洪(ナム・ジュホン)教授はこれに対し,「事実関係の認識そのものが間違っている」という.
 南教授は「北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍隊の場合,戦時にはNATO軍司令官が作戦統制権を行使する.有事の際にはドイツ軍であれ英国軍であれ同じだ」と述べた.
 南教授はまた,「現在の韓米連合司令部体制の下,韓国の作戦統制権は米国が独占しているのではなく,韓米両国が共同で行使するものだ.
 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の問題提起は,報告を誤解したか,意図的に誇張したものだ」と述べた.

 国防部のある幹部も「世界唯一の分断国家として,北朝鮮という仮想敵国と直接対峙(たいじ)していることも,他国との比較が難しい点だ」と述べた.

安容均(アン・ヨンギュン)記者 in 朝鮮日報,2006/08/10

 「意図的な誇張」のほうに100万偽ドル札.


 【珍説】
◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領「安全保障に問題はない.韓国の国防力はかなり低いといわれてきた.過小評価されてきた.
 安全保障における北朝鮮の脅威を強調する傾向は,民主政権になっても相変わらずだ.
 北朝鮮の軍事的脅威を強調し,韓国の国防力を低く見る傾向は改めなければならない」

 【事実】
 確かに韓国軍の戦力は向上してきてはいるが,北韓の核・ミサイルは依然脅威だといえるという.
 以下引用.

 専門家らは「ハイテク兵器の導入によって,過去10年余りの間に韓国軍の能力が向上したことは事実だが,北朝鮮の軍事的脅威が必要以上に強調されているものではない」という.
 北朝鮮は既に2個から15個程度の核兵器を保有している可能性が高いとされており,またスカッド・ミサイル600発,ノドン・ミサイル200発,計800発もの中距離弾道ミサイルを保有している.
 また北朝鮮は2500トンから5000トンの化学兵器を保有し,「世界3大化学兵器保有国」の一つと言われているほか,特殊部隊も10万人から12万人もおり,その数は世界最大級だ.

 国防部傘下の研究機関・国防研究院の分析によると,韓国の地上軍と海軍はまだ北朝鮮に比べ劣勢にあるという.
 世宗研究所の宋大晟(ソン・デソン)首席研究委員は「北朝鮮の軍事力を分析するときは,従来の兵器だけでなく大量破壊兵器まで含めないといけない.軍事力を総合すると,現在伝わっている北朝鮮の軍事力は決して誇張されたものではない」と述べた.

安容均(アン・ヨンギュン)記者 in 朝鮮日報,2006/8/10

 韓国海軍が北韓海軍に比べて劣勢だという見方は,北韓艦艇の量と質から見て,同意できるものではないが,北韓軍特殊部隊が大きな脅威である事は,小川和久も「日本の戦争力」(アスコム,2005.12)で言及している.


 【質問】
 北朝鮮に中国が侵攻,韓国が同胞を助けるというような名目で参戦した場合,(現在は)韓国の同盟国であるアメリカには戦う義務はあるんでしょうか?

 【回答】
 義務は無いようです.
 米韓相互防衛条約第三条では,「共通の危険に対処する」とされていますが,

>この条約の第三条の下では,他方の国に対する外部からの武力攻撃の場合を除いては,
>その援助に赴く義務を負うものではない.また,この条約のいかなる規定も,
>大韓民国の行政的管理の下に適法に置かれることになつたものと合衆国によつて認められた領域に対する
>武力攻撃の場合を除いては,合衆国が大韓民国に対して援助を与えることを義務づけるものと解されてはならない.
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/JPKR/19540128.O1J.html

ということのようです.

 まあ何にせよ,韓国軍と在韓米軍は一体化していますから,韓国単独での参戦はありえません.
 米がイヤといったら参戦そのものができず,米がやる気なら米と韓国軍と合同で動くことになるでしょう.

軍事板

 ※盧武鉉政権時代に,韓国軍の米軍離れが進行したようではあるが.


 【質問】
 李明博・新大統領に代わって,韓国の戦時作戦統制権はどうなるだろうか?

 【回答】
 韓国では,米からの戦時作戦統制権委譲が2012年に予定されています.
 新しい大統領になって少しは状況が変わったかもしれないと思いますが,実際のところはよくわかりません.

 そこで,高ヨンチョルさんに伺いましたところ,以下のご高見を頂きました.

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 1.在韓米軍の戦時作戦統制権は2012年に委譲される事になっていますが,予定どおりされるかどうかは,はっきり,断言できないです.

 2.理由ですが,韓国の保守右派グループと軍出身右派団体が米韓の合意に強く反対しているからです.

 3.また,北朝鮮が核・ミサイルを廃棄するという条件でないと在韓米軍の撤退や戦時作戦権の委譲は北の赤化統一の環境を造成するからです.
 過去の事例としては,1975年,パリにおける北ベトナムとアメリカの平和協定後,米軍が撤退することにより,間もなくベトナムが赤化統一された前例があります.

-----------------------

 以下の記事も参考になさってください.
【コラム】 北に赤化統一環境を提供した米軍の作戦権委譲――味方の応援軍団を自ら追い出した韓国――
2007.3.10
コリア国際研究所 首席研究員 高ヨンチョル(コウ・ヨンチョル)

おきらく軍事研究会,平成20年(2008年) 5月25日


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