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◆◆◆◆◆内戦突入 Kötőjel a Polgárháború
<◆◆◆◆経緯 Története
<◆◆◆シリア内戦
<◆◆戦史
<◆シリア
<中近東FAQ目次
【質問】
シリア内戦の「内戦本格突入期」(仮称)について,3行で教えてください.
【回答】
2011年5月30日,政府系報道機関は,「telbisaで治安部隊の兵士4名が武装テロリストにより殺された」と報じる.
想像するに,反政府勢力の武力による反撃は,それ以前よりあったに違いないが,政府系報道機関が報じなければならないほど無視できないほどの反撃力を見せるようになったのが,この頃だったと思われる.
事実,その2日後の6月1日には,トルコのアンカラにおいて,シリアの反政府組織の最初の会合「変革のためのシリア会議」が開かれたが,会合当初から分裂含みで,その後の反政府勢力の運命を示唆していたと言えよう.
<年表(内戦本格突入期期以降)>
(こちらによる死者数の数字は,殆どが反政府側発表のもの)
5月30日,同日付のal jazeerah net によれば,治安部隊が戦車とともに,ホムス郊外のいくつかの町と村(名前の挙がっているのはtelbisa
とal rastan)に突入し,子供を含む14人を殺害.
政府系の報道は,telbisaで治安部隊の兵士4名が武装テロリストにより殺されたと報道.
また,同日付のal qods al arabi net によれば,幾つかのシリアの町で,ヒズボッラがシリア政府を助け,民衆弾圧に参加していることに対する反発から,ヒズボッラの書記長ナスラッラのポスターが燃やされている,とのイスラエル情報筋の情報.
6月1日,トルコ南西部のアンタリアにて,シリアの反政府組織の最初の会合「変革のためのシリア会議」開催.参加者は各種グループから300名.
会議の開かれれたホテルの周辺では,アサド政権支持者による会議反対デモが行われたが,ホテルへ向けての行進は警官隊が阻止.
6月3日,ハマにおいて,最大5万人規模の抗議デモ.ホムス,アレッポ,ダマスカス等の多くの町,多くの中小都市でも数千人の参加した抗議デモ.
治安部隊の弾圧により,al jazeerah netによれば,シリア各地で34~数十人が死亡.
また,シリアの人権団体によれば全土で150名死亡.そのうち,,ハマでは氏名の分かっている死者が46名,負傷者は100名.
BBC放送によれば,ハマの死者30名以上.
alqods al arabi net によれば,最低10名死亡.
同日以降,シリアにおいて全土的にインターネット規制?
6月5日=ナクサ(完敗)の日,ゴラン高原で多数のパレスチナ人及びシリア人が越境しようとして,シリア政府によれば22名死亡,数百人負傷.
イスラエル政府は「死傷者は総てシリア内にいたので確認できない」として肯定も否定もしていない由.
イスラエル政府は,この事件はシリア国内の弾圧から世界の目をそらせようとするシリア政府の企みであるとの立場を表明.
6月6日,中東の報道ネットによれば,ダマスカス郊外のパレスチナ難民キャンプtarmouk で,前日の死者の葬儀の際に多くのパレスチナ人がPFLG-GCの事務所に押しかけ,彼らの死はその扇動によるものとして非難.
al qods によるとデモを行ったのは難民10万人で,PFLP-GC事務所に放火するとともに,アハマド・ジュブリル等の指導者を非難したとのこと.
これに対して警備のPFLP-GC警備員が発砲.
al qods al arabi net では少なくとも死者14名,負傷者43名,al jazeerh net によれば負傷者20名.
同日,その前の週末から治安軍等が包囲し,群衆に対する弾圧を続けてきた北西部の町jisr al shghour において,武装勢力の攻撃で治安部隊等に120名の死者が出た,とシリア政府が発表.
内相は,「シリア政府は反政府の武装勢力を徹底的に断固制圧する」と述べ,多数の戦車,装甲車等が同市へ急行.
民衆の間では,同市を軍が攻撃し,市民を虐殺するための口実でははないかとの疑いが広まる.
一部報道では,市民への発砲を拒否した部隊とそれを強制させようとする部隊との間で銃撃があった由.
同市からは,政府軍の鎮圧を恐れ,主として女性からなる120名の住民が,許可なしにトルコ国境を越境してトルコ国内に避難.
国境地帯には既に250名の難民が滞在.
6月8日,同日付のal qods al arabi net によれば,jisr al sheghour の周囲に40台の戦車,装甲車が集結.
難民のトルコ入りの動きも続く.
6月9日,同日付のal qods al arabi net 及びイスラエルのy net news によれば,過去24時間以内トルコに避難した難民の数は1000名を超え,これまでの数と合わせて1600名が難民用テントに収容.
以下,jisr al sheghour から逃げてきた難民の証言;
(治安部隊の一員で一般市民ととも逃げてきた21歳の兵士)「部隊は本部から抗議者は全員殺すようにとの命令を受けた.5人の兵士が命令を拒否し,自分の目の前で射殺された.其れから司令官,兵士が同士撃ちを始め,検問所にいた180名の兵士のうち120名が射殺された.武装勢力が兵士を殺害したのではなく,司令官たちが殺したのである.このため多くの兵士が逃亡し,我々のグループには60名の兵士が混じっていた」
「週末にかけて,軍はイラン兵士を jisr al sheghur に連れて来て,これらの兵士はシリア市民を殺した.maher(注:悪名高いアサドの弟)は誰でも手あたりしだい殺している」
(18歳の難民)「maherの部隊は女子供を含めて誰でも殺している,彼らはヘリコプターを動員したし,町をバズーカ砲で攻撃した」
6月10日,シリア軍は jisr al sheghour(※Jisr ash-Shugurとも) 及び周辺の農村への攻撃を開始した模様.
トルコ側へ越境したシリア難民は口々に,シリア軍がjisr al sheghour とその北にある村を攻撃し,畑を焼き払い,マ-ケットを破壊し,怪我をした者たちを女子供にかかわりなく殺害しており,また水源に毒を入れ,水を飲んだ者が死亡した等の話をしたとのこと.
同日,人権団体によれば,シリア政府は初めて抗議運動鎮圧にヘリコプターを投入.
少なくともヘリコプター5機が maarat al numaan にて,群衆を解散させる為に機関銃を発射.
ヘリの攻撃での死者は不明だが,地上では軍が5名を殺害.
11-12日付の中東のメディアはいずれも,シリア軍が jisr al sheghour (※ Jisr ash-Shugurとも)及びその近郊で,攻撃ヘリも動員して軍事作戦を続け,30名程度を殺害し,難民多数がトルコに避難――と報道.
目撃者談によれば,シリア軍の第4軍(悪名高いアサドの弟の指揮する軍)が,これらの地域の攻撃をしており,jisr al sheghour への道路は総て閉鎖され,兵士は無差別で殺傷をしており,また戦車30台,装甲車60台が鎮圧に加わっている由.
6月12日,12~13日付の中東各紙によれば,シリア軍はjisr al sheghour を制圧しつつあり.
6月13日,同日付のal jzeerah net 及びal qods al arabi netによれば,シリア軍はjisr al sheghour 及び近辺の農村を占拠し,広範囲で住民を逮捕.
トルコへの難民の数は7000人.その他数千人が田園地帯に隠れている.
トルコへ逃れてきた難民及び元兵士などは,いずれもシリア軍が同士撃ちをやっていると証言.戦車同士の撃ち合いを見たという証言も少なくない.
アサドの甥でダラア地区の治安責任者であった男とダラアの知事がダラアでの事件に関連して,出国禁止を命令さる.
6月17日,レバノン北部のスンニ派の町トリポリにおいて,シリア政府反対及び抗議運動支持のデモが行われたが,これに爆発物が投げ入れられ,親シリア派と反シリア派が衝突.
自動小銃やロケット弾も使用され,6名死亡.
政府軍が投入され,治安を乱すものに対しては断固取り締まるとの声明が出たにもかかわらず,その後も衝突が断続的に継続.
同日付のal qods al arbi netによれば,トリポリの衝突はスンニ派の地区住民とアラウィ派(アサドの宗派)の地区住民との間で行われたとの由.
同日,毎週金曜日の金曜礼拝後,シリア各地で抗議行動.
ダマスカス,ホムス,ハマ,ダラア等の他,ラタキア,アレッポでも初の大規模デモ.
これを政府軍が激しく弾圧し,シリア全土で少なくとも20名が死亡し,アレッポでも1名死亡.
6月19日,同日付のal jazeerh net とal qods al arabi net によれば,シリア軍は主としてトルコ国境に近い北西部での活動を続け,いくつかの町を包囲し,住民のトルコへの越境を防ごうと検問所を設置.
各種人権団体及び目撃者談によれば,先週来から攻撃の中心であったjisr al sheghour では過去数日間に,シリア軍は130名を殺し,1000名以上を逮捕.
抵抗組織の方は夜間の抗議デモを呼びかけ,各地でデモ.
抵抗組織はまた23日全国的なゼネストを呼びかけ,アサドと関係の深い人物との取引,製造品のボイコットを呼びかけ.
6月20日午後,アサド大統領はダマスカス大学にて,予告されていたスピーチを行う.
殆ど具体的な改革の約束はなく,その骨子は
・シリアは昔から多くの陰謀に曝されてきtが現在も陰謀に直面している
・抗議者の中には,正当な改革要求を有する者,打ちこわし者,過激主義者の3が居る
・このうち正当な改革要求者とは対話を継続して具体的な改革を話し合う用意がある
・残りの2者に対しては断固として対処しなければならない
・避難した者に地する報復はないので,なるべくは早く正常な生活に戻ってほしい
と言うもの.
演説直後から抗議運動が.
6月22日,アレッポにおいて大学生218名の学生が逮捕され,近くの町では130名が殺されたとも言う.
6月23日,同日付のal qods al arbi netによれば,これまで比較的静かであった第2の都市アレッポ方面でも,シリア軍はアレッポからトルコ国境へ至る主要道路に軍隊と治安機関を集結したとの目撃者談.
この道路は欧州から中東へのトラックが多数通る主要交通路.
23日には,装甲車を伴った多くの兵士と秘密警察が,各所に障害物を設置.
そして国境から25km地点に多くの兵士が到着し,周辺で数十人を逮捕した.
また,政府はアレッポの騒動を阻止するために規制を強めており,住民は盗聴を恐れてトルコの携帯電話を使用している.
アレッポの住民はトルコ側の住民にも親戚知人がおり,この辺りには無数の密輸道路があるので,今後シリア軍の攻勢が激しくなれば,トルコに逃れる難民の数は増大しようとの予測も.
6月24日,金曜礼拝後,全土で抗議デモが行われた模様.
中東関係のメディアによれば,ダマスカス郊外,ホムス等で少なくとも15名はシリアの治安部隊により射殺.
トルコへ逃げてきた難民の中のアレッポ大学の学生は,「抗議運動に参加したため,秘密警察のブラックリストに載せられており,大学へ復帰できない」と証言.
6月25日,同日付の英sunday times 紙は,イスラム主義の武装勢力が政府軍を攻撃していると報じる.
同紙によれば,少なくとも4の町でイスラム主義者の武装勢力が政府軍に銃撃を加え,北西部のmaarat al naaman では4名の治安部隊員が死亡したという.
6月26日,シリア軍は更にトルコ国境の村に近づいたが,新政府側の人間がトルコへ越境しようとしているとの情報があった為,トルコとの間の検問所が一時閉鎖.
但し国境閉鎖のニュースは,トルコのメディアでは確認できず.
シリア軍はまたレバノン国境にも迫り,特にkseir では多くの町民が{一つの報道では数百人)が町を捨てて,レバノンに避難.
同日付のal qods al arabi net は,シリア当局者がCNNに語ったところでは,武装勢力により殺害された治安部隊関係者は1300名に上ると報じる.
記事はまた,反政府団体によれば,治安部隊に殺された市民の数は1600名に上る,とも.
6月29日,これまで大学を除けば基本的に平静であった第2の都市アレッポにて,数千人規模のデモ.
同日午後,シリア軍の発表によれば,29日の夕刻待ち伏せ攻撃にあって包囲されていたシリア軍部隊を,特殊部隊が救出.特殊部隊には損害無し.
但し,救出された部隊の人数や所属部隊等は全く不明で,また特殊部隊の人数等も不明.
他方武装勢力側には人的損害を与え,逮捕者もあるとのことだが,この武装勢力とはそもそも何者であるのかの説明もなし.
6月30日,依然としてシリアの多くの町で抗議デモが続けられ,他方特にシリア北部,北西部では政府軍及び治安部隊が,新しい村や町を制圧.
7月1日,「追放の金曜日」と言う呼びかけに応じ,全土でアサド政権の退陣を求める抗議デモ.
参加者は,中東のメディアによれば数十万人,同日朝のBBC放送は未確認ながら300万人.al sharq al awsat net によれば,中部のハマだけで50万人.
各地で兵が発砲し,住民に相当の被害が出た模様.BBCによれば,ハマにおいて9名死亡.
シリア全体では,人権団体情報によれば24~28名との未確認情報.
多くの報道が,最も多くの死者が出たのが北西部で,最近シリア軍が掃討作戦を行っていた地域であると一致して報じる.
7月2日,アサド大統領はハマの知事を解任.50万人デモを阻止できなかった責任を取らされた模様.
同日,スイスが同国のシリア資産を凍結.
7月4日,al jzeerah net によれば,北部におけるシリア軍の制圧行動が余り伝えられないことから,トルコ領内に避難していた民衆のうち,267名が帰国.
同日,ハマには依然として戦車部隊を伴った治安部隊が介入,民衆と衝突して,al jazeerah によれば,死者14名.過去数日の逮捕者は500名に上ると報じる.
7月8日,le figaro internationl netによれば,ハマにおいて,アサド政権に抗議する50万人の抗議集会.
記事によると市内には同日,治安部隊の姿は全く見られなかったが,町は80台の戦車で取り囲まれており,住民は1982年の大虐殺を思い出して恐れているとのこと.
治安部隊が姿を見せなかった大きな理由は,仏及び米国大使がハマを訪問していたため.
7月8~9日,バニアスで25名が逮捕さる.
7月9日,同日付のy net news によると,ハマ在住であった歌手のibrahim kashush が先日のハマの抗議集会で,群衆の前で反アサドの歌を歌ったところ,ハマの治安部隊による制圧後仕事の帰りに行方不明になり,2日後に喉を切られた状態で捨てられてるのが発見さる.
彼の歌「バシャールよ,お前の正当性は失われた,嘘つき者よ,早く消え失せろ・・・」は革命のシンボル・ソングになったが,彼の遺体写真はyoutube
に載せられ,革命のシンボルに.
7月10日,ダマスカスにて国民対話の初会合が開かれ,シャラ副大統領が,「今対話は先例にない{大胆な)試みで,シリアを民主的多党制国家に転換することを目的としている」と挨拶したとのこと.
対話には約200名の独立系,学者,文化人等が出席したとのことですが,反政府派はボイコット.
同日,ホムスに治安部隊が突入,実弾を発砲し,多くの者を逮捕.
7月11日,ダマスカスの米大使公邸,米大使館,仏大使館,カタール大使館に,青年を中心とした多数の群衆が押し寄せる.
群衆は施設に乱入しようとの姿勢を見せ,投石などをしたために,大使館の警備が催涙ガスを発射して乱入を防止し,いずれの大使館でも人員の被害はなかったが,窓ガラス等が破壊さる.
米仏大使がハマを訪問したことを怒ったシリア政府のやらせと見られる.
7月12日深夜~13日未明,al qods al arabi net によれば,ダマスカス東部のdir al zur 地方のal tiyanh とal basirahで(以上の地名はいずれもアラビア語からの音訳)において,ガスを送付するパイプラインが2か所で爆破された音を住民が聞いたとのこと.
ここは通常,非常に警戒の厳しい所.
この地方の部族長の一人は電話で,
「住民は,この爆発は政府が平和的な抗議運動に罪をなすりつけるための自作自演と考えている.何となればこれだけ厳しい警戒の中で,このようなことができるのは政府の手のものしかいないからである」
と語ったとのこと.
7月13日夕,dir l zour 近くでパイプラインが爆破さる.
ただし,活動家はガスのパイプラインとしているのに対して,政府の方では送油管としている.
7月14日,ホムス,ハマ,バニヤス,ドウマ,ディールッズール等でゼネスト.
7月15日,al jazeerah netによれば,前日のゼネストを受けて,シリアの多くの都市で抗議行進があったが,その中にはホムス,アレッポ等も含まれ,参加者は100万人を超えたという.
他方al qods al arbi netによれば,ハマとディールッズ-ルの2か所及びその近郊で,それぞれ50万人規模の抗議デモが行われたとのこと.
7月16~17日,ホムスにおいて,政府側と反政府側の群衆の間で衝突があり,24時間以内に30名以上が殺され,人権委員長は「今やシリアは内戦の危機にある」として,このような対立を煽っている勢力を非難.
7月17日,同日付のアラブ紙(ネット)によれば,政府は東部のdir al zur県のal bukmal 市を戦車部隊で包囲し,軍の突入に備える.
また,同市には特殊部隊が空挺突入.
さらに,ダマスカス郊外でレバノンに近いal zubdaniも,第4師団(アサドの弟maherの指揮するエリート部隊)が制圧.
その他,各地で政権は活動家の逮捕を続けており,有名な作家も逮捕さる.
7月22日,al jazeerah net によれば,全国で120万人が金曜日デモに参加.中でも最も多かったのがハマとホムス.民間人9人死亡と報じる.
一方,al qods al arabi net によれば,全国で数十万人規模.ダマスカス,ハマ,ホムスの他,ラタキア,ダラア,ディールッズール等でも抗議デモ発生.民間人の死者は最低でも11人と.
また,同紙によれば,クルド人に対する弾圧が初めて行われ,クルド人居住地域のal kamishliにおいて,軍及び民兵がクルド人抗議者に催涙ガスや棍棒を使用して数十人を負傷さす.
7月23日,同日付のy net news によると,シリアの中部ハマの近くで,アレッポ発ダマスカス行きの列車が脱線.運転手が死亡し,14名が負傷.
ハマの知事は「これは反政府勢力によるサボタージュの結果で,彼らは列車の乗客全員を殺害しようとした」と主張しているが,記事は知事の見解に懐疑的.
7月27日,カイロのアラブ連盟の前で数十人のシリア人が抗議デモを行い,アラブ連盟がシリアの弾圧に対して明確な立場をとるよう要求.
7月28日,同日付中東各紙は,シリア軍が海岸の町ラタキアに戦車4台を突入させ,街の周囲を戦車数十台で包囲していると報じる.
また,同日付のal qods al arabi net によれば,シリアの人権NGOの話として,3月15日以来2918名が逮捕後行方不明になっていると.
他にこれまで1634名が殺害され,26000名が逮捕され,そのうち12617名が依然として拘留中とのこと.
さらに同紙によれば,シリア政権はラマダン月を前にして,民衆への弾圧,特に大量逮捕を進めているとのこと.
7月29日,al qods al arabi net によれば早暁,ホムスの近くで送油管が爆破.
ホムスの知事は,
「破壊分子がtel housh ダム(灌漑用のダムか?)の近くで,午前4時ごろ,爆薬で送油管を爆破したが,犯人はダムの近くと言う重要個所を選び,このダムは広範囲に給水しているために,大きな被害をもたらす可能性がある」
と非難.
このダムはホムスをタルトウスかの広範囲の農地を灌漑している由.
7月31日,ラマダン虐殺
al jzeerah net の記事が伝えるところでは,活動家及び目撃者談によると,シリア軍の戦車が約1月の同市の包囲の後,早朝,4方面から銃砲撃を加えながら,町に突入して,市民の間に24名の死者.
また,病院によれば数十名の負傷者が運び込まれ,また市の一部は停電しているとのこと.
シリアの北東部のdir l zour 県でも広範囲な軍事行動がみられ,6名の市民が殺害されたとのこと.
さらに,軍の一部が離反し,解放軍を組織し,アサド政権打倒のために戦うと声明したとも報じる.
al jazeerah net の続報によれば,ハマの130名以上を含め,シリア治安機関による市民の殺害は150名に.
BBCやCNNでは死者14名,イスラエル紙は100名以上と報道.
また,ハマでは300名が負傷し,現地の病院では血液の提供を呼び掛けており,また,医薬品も欠乏しているとのこと.
シリア軍は自動小銃や機関銃等の銃器のみならず,戦車砲,更には対空砲等を市民に向けて使用した模様.
CNNは「シリア政権がラマダンの開始を前に,抗議運動を力でねじ伏せようとして,暴力に訴えた」として,これをラマダン虐殺と呼称.
8月1日,シリア軍,治安機関は全国的に弾圧行動を継続.
多数の戦車,装甲車等がdir l zour ,ダマスカス郊外のarabiin に侵入し,戦車砲を発射.
イラク国境に近いal boukmalには,4方面から戦車部隊が侵入して,戦車砲を発射し,店やその他の建物に放火.
ハマではシリア軍が再び攻撃を開始.
同市では戦車砲や大砲が使用され,特に市内の2の病院を攻撃.病院が炎上.
dir al zour 等でもシリア軍が住宅地域を砲撃.
また,狙撃手も多数動員され,犠牲者の数も増加.
8月3日,シリア軍は全国的に反対派への攻撃を続け,各地で死者.
ハマは未だ軍により包囲,封鎖されていて,更に戦車,装甲輸送車に先導された増援部隊が送り込まれた.
al jazeerah net によれば,シリア軍の戦車は,戦車砲や大砲の射撃の後,ハマの中心に侵入して,町の中央広場を占拠.
また,ハマは総ての外部との通信手段が遮断され,電話もインターネットもつながらない状況に.
その他シリア軍の活発な活動が報告されたのはホムス,ラタキア,dir zour ,adlib県の町村等であるが,ダマスカス郊外でもzubdani等が攻撃され,死傷者が出ている.
ホムスの中央刑務所で,活動家が座り込みをしていたところ,シリア軍がこれを攻撃し制圧したが,多くの政治犯が負傷した(死亡者のニュースはない)
政府報道によるとハマの司法省の建物が破壊分子に襲われ,放火さる.
国連は,シリア政府の市民に対する暴力行使と広範な人権無視を非難する議長声明を採択(安保理決議ではなく)
8月4日,al jazeerh netによれば,5日の金曜日(反政府派はこの日を「神我とともにあり」と名付けて大規模抗議運動の日としている由)を前に,特にハマでの弾圧を強める.
ハマの中心に進入した戦車の銃砲撃で,少なくとも45名が死亡し,1500家族が町から避難.
また,ハマに対する電気,水,総ての通信手段の遮断は4日も継続され,食料等が不足し,特に電気がないためにパンを焼けず,パンの不足が深刻とのこと.
ハマ以外に,ダマスカス郊外,ダラア,ホムス等でもシリア軍の攻撃が続き,死傷者多数.
8月5日夕刻,クウェイトのシリア大使館の前で約3000人,クウェイト国会の前で約1000人が,シリア政府に対する反対およびシリア民衆に対する連帯を叫んで,抗議デモ.
8月6日夜,多量の武器弾薬を積載したレバノン・プレートのトラックを,ホムス県で逮捕した,とシリア政府の発表.
8月7日,それ以前よりシリア軍により包囲されていた,シリア東北部の町dir al zurにおいて,シリア軍は多数の戦車を先頭に町に突入.
haaretz net によれば,突入した戦車は200台,al jazeerah net によれば,突入したのは戦車及び装甲車合せて250台.
車輌には「シャッビーハ」民兵が随伴しており,あらゆる種類の武器を使用したとのこと.
この日はシリア全土で52名が殺害されたが,そのうち42名がdir al zur で殺害されたもの.また,同市では100名が負傷.
対してシリア政府発表によれば,ホムスの近郊のal rustan の郊外で武装勢力の待ち伏せがあり,政府軍の士官1名,兵士2名が死亡し,その他2名が負傷.また,ハマの近郊では治安部隊の兵士を埋めた集団墓地が見つかり,これは武装勢力による虐殺の証拠と思われる,と主張.
アラブ連盟のnabil al arabi 事務局長およびサウディのアブダッラ国王が相次いで,シリアが暴力行使をやめるよう呼びかけ.サウディは駐シリア大使を召還.
8月8日,シリア軍はシリア各地で弾圧活動を続け,ダラア市で9名,東北のdir al zur で3名を殺害.
アズハリ総長ahmad al taiib が,アサド政権は早急に弾圧,暴力行為を中止して,この悲劇に終止符を打つべきであると声明を発表.
8月9日,today's zaman によれば,シリア各地における弾圧行為のため,さらに数十人が死亡.
また,シリア北西部の町bansh において,シリア軍の攻撃により4名が殺害さる.
8月10日,シリアは各地で弾圧活動を続け,人権団体等によれば全土で20名以上が殺され,そのうちホムスだけで18名が死亡.
また,シリア軍はホムス等で砲撃を続けるとともに,adlib等で大量逮捕.
alqods al arabi net によれば,トルコ首相はトルコの大使がハマを訪問し,戦車が撤退し始めたことを確認したと発言したが,ハマの住民は撤退報道を否定.
さらに同紙によれば,トルコ国境から30kmの,シリア北西部のtaftanazの町では,12両の戦車,装甲車が攻撃し,女性1名が死亡.
8月11日朝,北西部のadlab県のsaraqibとホムス県のqasirの2の市で,シリア軍は戦車,装甲車等による砲撃を先頭に町への攻撃を開始.
8月12日,「圧力に屈しない金曜日」と命名され,シリア各地で抗議運動.特にホムス,ハマ,ダラア,ドゥマ,アレッポ,サブカ,バンシュ等.
これに対して,シリア軍は発砲で対抗し,少なくとも18名死亡(al jazeerah .al qods al arabi によれば11名)
シリアの各地の都市で,治安部隊及びバース党の民兵がモスクを攻撃破壊.
8月13日,シリア軍はシリア各地で都市,農村に対する攻撃を続行.特に名前が挙げられているのは,ハマ,ホムス,ラタキア,ダラア,dir al zur ,アレッポ郊外,等.
都市では戦車に支援された軍,バース党民兵(シャッビーハ)が機関銃を発砲したりしながら攻撃.特にラタキアでは23台の戦車及び装甲車が攻撃に参加.
al jazeerahによれば,少なくとも9名が死亡.al qods al arabiは,16~19名死亡との報道.
このうち2名は,al jazeerahによればラタキアでの死者.al qods al arabi によれば,ラタキアでの死者は1名.
8月14日,alqods al arabi netによれば,シリアの海岸都市の南の近郊を海軍艦艇(複数)が砲撃.多数の死傷者が出たが,攻撃は陸上からも数か所から行われており,死傷者の数についての確認は困難との報道.
al jazeerah netによれば,
「シリア軍はラタキアに対する海上及び陸上からの砲撃,攻撃を続けた.海上からは艦砲射撃,陸上からは戦車砲の砲撃が行われた.
このため少なくとも21名が死亡し,数十人が負傷した.人権団体によれば,ほとんどの死傷者が町の南部で生じている.
艦砲射撃では少なくとも4つの建物が破壊された.
当局はラタキアへの電話,およびインターネットを切断した.またシャッビーハが墓を暴いて死体を回収している.
ラタキア以外でも,ダマスカス郊外,ハマ,ホムス,ダラア等でもシリア軍は引き続き,制圧行動を続行中である」
8月15日,シリア軍は引き続きラタキアを砲撃するとともに,ハマ,ホムス等でも戦車とシャッビーハを伴って攻撃を拡大,民間の被害及び逮捕者が出ている模様.
ラタキアでは新しく6名が殺され,13~15日の3日間の犠牲者は34名に.
al jazeerah net とal qods al arabi netによれば,ラタキアにある南ramul・パレスチナ難民キャンプも攻撃され,犠牲者の数は不明なるも,5000~10000人の難民が避難したとのこと.
トルコはシリアに対し,軍事作戦の無条件・即時中止を要求.
8月16日,同日付のal jazeerah net とal qods al arabi netによれば,ラタキアではシリア軍が攻撃続行.
また,ホムスではシリア軍の攻撃により,18名を下回らない住民が死亡.
北西部のdir al zurにおいては,al jazerah によれば,シリア軍はいまだ同市及び周辺道路に展開.一方,al qods al arabi は現地にいるAFPを引用して,同地ではシリア軍は南および北東の2道路から撤退を始めており,撤退に当たっては住民がシリア軍との連帯を表明していると報道.
8月17日,同日付のal jazeerah net などによれば,シリア軍,治安機関,民兵(幽霊)が多くの町の攻撃を続けており,特にラタキア,ホムスでは住宅地への攻撃で死傷者.
また,同紙によれば,ラタキアのパレスチナ難民キャンプでは,死者4名に軍服が着せられ,シリア軍の死体に偽装されたとの,人権組織による未確認情報.
8月18日,同日付のal jazeerah net などによれば,国連のパン事務総長は,アサド大統領が電話にて軍事作戦を中止すると語ったと述べたが,その後もシリア軍は各地で軍事行動を続行.
米国のオバマ大統領が,初めてアサド大統領に退陣を呼び掛け,これに英,独,仏,カナダ等が追随.米国はまた,シリアに対する経済制裁を発動.
8月19日(金曜日),al jazeerah netによれば,シリア治安当局は各地で弾圧を継続.全土で最低22名が殺害さる.そのうち,15名はダラアで,5名がホムスで,2名がダマスカス郊外.
al qods al arabiによれば,シリア内外の活動家組織を統一するためにgeneral organizaton for syrian
revolutionが組織さる.
8月20~25日,毎日どこかの町で抗議デモが行われ,これを政府軍が鎮圧し,死傷者・逮捕者発生,という繰り返し.
8月26日(金曜日),「認定と不屈の金曜日」と名付け,シリア各地の都市で抗議デモ.ホムスでは15000人が抗議行進をした他,dir alzur やダラア等でも大規模デモ.
これに対して,シリア軍は全土で戦車も使った鎮圧活動を進め,人権団体等によれば,8名が死亡したとの未確認情報.
8月27日,al jazeerah netによれば早朝,シリア軍等がダマスカスのqafar susa及びal midan 及びal maliki地区のモスク周辺で,激しい銃撃とともにこれらのモスクを攻撃したため,最低1名死亡,10名が負傷.
このため,市内および近郊の複数のモスクから出た群衆が,上記2広場に集まったという.
8月28日,al sharq al awsat 紙(ロンドン発行)が,ロンドンに拠点を有する革命評議会(この組織の重要性とか傾向は不明です)が,同日シリアの反対派は武力闘争に踏み切ることに決したと声明したと報道.
8月29日,朝までにシリア軍の攻撃で少なくとも15名が死亡.特にホムスの郊外,ダマスカスの郊外等で激しい銃声.
また死者はダラア,ラタキア等でも生じ,dir al zurやその他でもシリア軍は行動を続けており,逮捕され拷問死した者も.
シリア軍はレバノン国境から2kmのhitの町に戦車,装甲車等を侵入させ,29日早朝にも銃撃.
ダマスカスでは,北東部の郊外で抗議の民主に発砲するようにとの命令に抗議して,数十名の兵士が戦線を離脱し,ダマスカス郊外の果樹園地帯であるゴータの森の中に逃走.これを追って政府軍が攻撃し,ゴータの森では数時間銃撃戦.
同日付の al qods al arabi net によれば,アンカラで「移行評議会」が設立.
記事によると,評議会の目的はシリア内外にいる反アサド勢力を結集して,民主的シリア政府の樹立を目指すというもので,評議会のメンバーは94名.
そのうち42名がシリア内在住,残りは外国に居住.
評議会の議長にはパリ在住の学者 burhan gharyoun (アラビア語からの音訳,以下同じ)が選出.
副議長は3名.1名が faarouq taifour で,シリアムスリム同胞団の指導者.もう一人が riyad seif で,シリア在住の元国会議員.もう一人が wajdi mustafa でアラウィ派の独立系とのこと.
8月30日(ラマダン明けの祭日),シリア軍が,抗議の群衆に発砲し,南部のダラア県で少なくとも7名が殺害され,数十名が負傷.
また,多くの民衆がシリア軍の発砲を恐れ,レバノン国境を越えて避難.
al jazeerah net によれば,ダマスカスでも多くのモスクで,祭日の礼拝の後,多くの民衆が町に繰り出して抗議デモ.一部ではシリア軍の銃撃で5名が撃たれる.
8月31日,同日付のal jazeerah netによれば,シリア人権団体の話として,ラマダン期間中のシリアの死者は473名.うち360名が市民,113名が治安関係者.また,28名が拷問死.
シリア軍がいったんは撤退したとされていたハマにも,戦車を中心に方々の地区にシリア軍が侵攻し,銃撃.また,ハマ郊外の村でも16名が逮捕さる.
トルコ国境に近いadlib 県でも,村民が殺されたが,この地方はシリア軍からの離脱者が多く存在しているところで,その多くはトルコへ逃げ込むか,村落などに隠れている.そうした離脱者をシリア軍は標的に.
9月2日,「辱めよりは死を」とのタイトルで,全国的に金曜日の抗議デモ.南のダラアから,ダマスカス,ホムス,ハマ等から北のアレッポ,トルコ国境に近いdir al zur 等ほとんどの町で抗議デモが行われた.
軍,治安部隊等がこれに発砲して,シリア全土で少なくとも22名(al qods al arabi net によれば13名)が死亡した模様.その中にはダマスカスの郊外での2名や,また16歳の少女も含まれる.
また,軍は多くの町で,金曜礼拝後群衆がデモ行進に出られないように,モスクを包囲.
9月5日,同日付のal jazeerah net は「圧外と政府の暴力が続く」と題し,ホムス,ハマ等やレバノン国境,トルコ国境において,政府軍,治安関係機関,民兵の弾圧が続いていると報じる.
ハマの検事が政権の弾圧に抗議して辞任.その後,彼が過激派に誘拐されたとのニュースが政府側から流されたが,本人はこれを否定.
9月6日,al jazeerah netによれば,相変わらずシリア軍等の弾圧が続けられ,人権団体等の情報では,少なくとも8名死亡.
特にダマスカス,ホムス,dir al zur 等で軍の活動が活発で,これらの町では多くの逮捕が行われたが,市民は夜間になると抗議デモを続けている模様.
また,al qods al arabi netによれば,ロンドンの人権団体の情報として,ラタキアで48歳の男が逮捕後,拷問で死亡したと写真入りで報道.
9月7日,al jazeerah net によれば,シリア軍の多くの町での弾圧活動が続けられ,多くの死傷者が出たが,特にハマでは11名,ホムスでは22名が死亡.
9月10日,al jazeerah net によれば,シリア各所での軍等の弾圧活動の結果,15名が死亡.うち12名はホムスでの砲撃の結果.一方,al qods
al arabi net によれば死者7名.
9月12日,al jazeerah net によれば,政府の弾圧により,ホムスおよびその近郊で12名が殺され,ハマでは1名が殺害さる.
(13日の続報によれば,死者は26名)
また,シリア軍は全土で鎮圧活動を続け,特にdir al zurでは一軒一軒虱潰しに捜索し,また家屋やモスクに向けての銃砲撃があったとのこと.
なお,シリア政府報道官は「シリアの死者は,一般に言われている数の半数で1400だ」と語ったという…
9月13日,al jazeerah net によれば,シリア軍等の民衆に対する攻撃は続き,死者21名.
9月14日,al jazeerah net 及びal qods al arabi netによれば,シリア軍は各地で作戦を続け,ホムス,ハマ,ラタキア,ダマスカス郊外,dir
al zour ,jisr al shgourにおいて9名を殺害.
また,シリア軍はトルコ国境近くで,数十台の装甲車などを持って,反対派及び逃亡兵の大規模な捜索,逮捕を続ける.
さらに,シリア軍はダマスカス郊外で,先に殺された民主化運動家の葬儀に外国の大使4名(米国,仏,デンマーク,日本)が出席して帰った後,葬儀委員会等を襲撃.
さらにまた,シリア軍は14日朝から北西部のal zawia 山地で,大規模な作戦を開始.▲
9月15日,トルコのイスタンブールで開かれた会合で,アサド大統領の退陣を求める反体制派の統一機関「国民評議会」開設.
▼ al qods alarabi netによれば,評議会のメンバーは140名.そのうち約半数に当たる71名の氏名が発表された.
これらのメンバーはシリア内外にいるシリア人が含まれているが,シリア内ムスリム同胞団及びクルド国民グループは,まだメンバーの氏名を発表していないとのこと.
(71名の氏名リストはこちら)
9月16日,al jazeerah net によれば,シリア全土で100の都市,村落で,反アサド政権のデモが行われ,これを政府軍,治安当局が激しく弾圧.16日だけでの死者の数は46名に上った,との未確認情報.
死者内訳は15名がjabal al zawiah,ハマで7名,ダラア郊外で7名,ホムスで4名,ダラアで3名等.
また,治安当局は特にホムス,アドリブ,ダマス郊外で広範な逮捕を行ったとのこと.
ダラアでは市の中心のモスクが破壊さる.
国連難民高等弁務官事務所によれば,9月のレバノンへの避難民の流れが急増して,3580名に達したが,この大部分は合法的にレバノンに入国したとのこと.
9月17日,同日付のal qods al arabi netによれば,シリアとの国境に近いレバノンのal kanisah 村の住民が,シリア軍の銃撃から村民を守るために,レバノン軍の派遣を要求.
シリア軍が過去2日間で村に対して銃撃し,村民1人が負傷したための要請.その後,情勢は沈静化しているが,村民はまたいつ同じことが起きるかもわからない,と危惧.
シリア軍は「村民を逃亡シリア軍兵士と誤認したため」と説明.
9月19日,al jazeerah net によれば,シリア各地で13名の死者.
9月20日,al jazeerah net によれば,ホムスにて2名が殺害さる.同市では抗議のデモ隊を解散させるために,シリア軍および民兵が発砲し,また大砲の音も聞こえるとのこと.
人権活動家によれば,同市で政府からの逃亡兵が戦車3台を破壊.
また,ダマス郊外のal kiswa村を,多数の戦車が包囲しているとのこと.
さらに同紙によれば,抗議運動開始以来の死者が2700名に上り,その中には100名の幼児もいるとのこと.
9月24日,al jazeerah net によれば,人権組織等の情報として,シリア各地で20名が治安軍の銃撃で殺害さる.うち12名はホムスで,5名がダマスカス郊外での犠牲者.
シリア軍はこれらの町及びハマ,ドゥーマ等多くの町に集結し,多数の抗議運動家を逮捕.それにも拘らず夜になると,多くの町で抗議デモが行われている.
シリア軍の中で逃亡者の数が増加.
駐シリア仏大使がギリシャ正教会僧正のもとを出た所,アサド支持の群衆が,彼らに対し石と卵を投げつけて攻撃.
9月27日,ホムス,ダラア等の町において,治安軍の発砲で12名殺害さる.特にホムスの周辺では,軍事ヘリに援護され,多数の戦車が町に突入.
にも拘らず,多くの町で,特に夜間になると,反アサド・デモやまず.
逃亡兵からなる「自由シリア軍」の結成が,ネット動画によって発表さる.ただし,実数は不明.
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/3952465.html
9月28日,al jazeerah net によれば,シリア軍はホムス県のal rastan市に対して,これまでで最も激しい砲撃を加えた.
これに対して,逃亡兵(その多くが自由シリア軍に属している)が抵抗し,戦車多数を破壊,政府兵を殺害したが,逃亡兵の方でも多数が死亡.
同市の教会2と病院も砲撃の対象に.
シリア北部のadlib では自由シリア軍が,民兵(バース党の私兵)を待ち伏せ攻撃し,死傷者多数.
ダマスカス郊外の軍事飛行場には多数の戦車や兵士が集結.自由シリア軍の攻撃の可能性の噂があった模様.
ホムスにて,科学者及び大学工学部の学部長補佐が何者かに暗殺さる.政府は武装反政府勢力によるものとしているが,住民は民兵(バース党の私兵)によるものと見ている.
アムネスティインタ-ナショナルは,ホムスで拷問のの末殺害され,頭部を切断されて,家族の元に遺体が届けられた娘(BBCによると,当局が狙っていたのは彼女の兄の活動家で,彼女は人質として誘拐されたとのこと)に関して,国連に調査を要求.
9月29日,al qods al arabi netによれば,シリア軍の攻撃により,子供2名を含む7名が死亡.
また,al jazeerah net によれば,シリア軍は,ホムスのal rastinを空爆と砲撃.多くの建物が破壊され,27名が死亡.
ダマスカス郊外の町2つも戦車部隊により包囲され,多くの市民が犠牲に.
さらに,adlib 県では,政府軍と政府軍から離脱した兵士との間で衝突.
30日付同紙によれば,28~29日の両日で,47名の市民が殺害されたという.
9月30日,al jazeerah net によれは,同日は「シリア勝利の日」と名付けられ,シリア全土の殆どの町で抗議デモが行われたが,政府軍の銃撃で,少なくとも30名が死亡.
al rastin は250台の戦車・装甲車によって攻撃さる.
また,ラタキアではシリア軍が,金曜礼拝後のデモができないよう,モスクの多くを包囲.
10月1日,同日付のal jazeerah net によれば,al rastan では過去5日間,政府軍と反抗兵士及び武装者の間で戦闘が続いていたが,車輌250両とヘリを動員した政府軍が,町の80%を制圧.
政府は「兵士7名が死亡し,32名が負傷した」と報道.反政府側及び民間の死傷者は不明.
また,同紙はシリア軍筋の話として,シリア軍では反抗分子を摘発する軍情報機関が,逃亡兵摘発を進めており,軍が制圧した後の地域で,まるでゲリラ戦のように逃亡兵狩りが行われていると語っているとも報じる.
10月2日,同日日朝のBBCによれば,ホムス県のal rastan では,政府軍が激しい攻防の末,町の大部分を制圧.ダマスカスでは町の2ヶ所で爆発.詳細不明.
al jazeerah netによれば,イスタンブールでは,全反アサド勢力を結集したと称する,「国民評議会」結成.
ただし,hurriyet net によれば,「国民評議会」結成の会合は初めから内部対立で混乱したとのこと.
まず,会合に招待されなかった,シリア内部のアラブ部族や「街の反対者」と自称する者がホテルの会場に入ろうとして,小競り合いが起き,口論となり,会合は1時間遅れた.
衝突を抑えるために警官隊が導入された.
アラブ部族の代表と言う男は,「自分たちはシリア内部で血を流して,実際にアサド政権打倒の為に戦っているのに,外国在住者の作った評議会では代表を入れられていない.評議会には1月の余裕を与えたが,評議会がその間にアサド政権を倒し,シリア内部の者に自由を与えないのであれば,評議会は非合法と言うことで,別の組織を立ちあげる」と語った.
この要求は評議会により拒否され,シリア内部の勢力も十分代表されているとした.
一方,シリア各地では「国民評議会」設立を支持し,アサド反対を叫ぶデモが行われ,これを軍,治安部隊が弾圧.特にホムス県では,al rastan の弾圧もあり,激しい抗議があった模様.
同紙によれば逮捕者3000人,死者130人.人権団体情報として,街の状況は酷く,死体が公園に埋められているとのこと.
また,やはり人権団体情報として,ハマ郊外の農村では25名の反政府派兵士が治安部隊と戦闘した他,イラクの国境近くでも衝突発生.
同日夕方,al qods al arabi net によれば,アレッポーサマスカス道路において,シリアの大法官(grand mufti)の息子のsaleh husoun(アラビア語からの訳・・母音は不確実)が,複数の武装兵により暗殺さる.
政府系の通信は「saleh husounはアレッポ ーadlab間の道路でテロリストに待ち伏せ攻撃されて,死亡した」と報じる.
また,adlabの警察によると,アレッポ大学の教授の乗った観光用車(乗合タクシーのことか?)が別の車に待ち伏せ攻撃されて,教授は死亡し,同乗していて負傷したsaleh husounもその後死亡.
10月3日,al jazeerah netによれば,ホムス等シリア各地で11名が射殺さる.内訳はホムス県で8名,ダラア,ドゥマ,アルハスカで各1名.
10月4日,安保理はシリア非難の西側決議案を採決したが,ロシアと中国の拒否権でこれを否決.
10月5日午後,al qodsd al arabi net によれば,シリア軍戦車2台がベッカ高原のarsal地区にて4kmほど越境.近くの電池工場に武装兵が潜んでいると勘違いし,これを砲撃.
10月6日,同日付のal jazeerh net によれば,国連人権高等弁務官事務所は,抗議運動始まって以来の死者は2900名に達すると発表.
同事務所によれば,これは種々の情報から確認された数字で,この他行方不明者とされている者のことを考えると,死者の数字はさらに多くなると見積もられているとしている.
これに対し,シリア政府の数字では1500名で,うち800名が治安関係者としている.
10月7日,同日付のal sharq al awsat net によれば,治安機関に逮捕されていた,イラクと国境を接するdir al zur 県のa bakarah族の大部族長(sheikh mashaikh )が,牢獄で拷問の末に死亡.
記事によると,この大部族長nawwaf l bashir はシリアだけでも百万人が属する部族の長であるが,1975年,父親から大部族長の地位を引き継いで以来,民主化運動に携わってきて,アサドの父の前大統領が作った連立政権(要するにバース党の1党独裁ではないことを示す為に御用政党に連立への参加を許していた)をなす政党の一つに属していたということで,抗議運動発生以来,一貫して抗議運動を支持してきたとのこと.
対して政府系のネット等は,大部族長の死を否定.
一方,al jazeerh netによれば,シリア各地で政府軍が抗議運動者を20名殺害.
東部のal qamishliの町では,有名なクルド人の抗議運動家Meshaal Tamo の家に4名の武装者が押し入り,彼を射殺し,弟を負傷させた.(一方,al qods al arabi net によれば,自宅前で殴られたのが原因での死亡,自宅内での射殺,家の前を走ってきt車の中の4人組から射撃されての死亡と,3つのニュースがあるとのこと)
al qods al arabi net によれば,前議員のriyadh seif も,ダマスカスのアルハッサンモスクの前で治安関係者数名に攻撃さる.
ロシア首相メドベージェフは,「アサド大統領は改革を実行するか退陣するかである」と発言.
シリア政府は「クルドの未来潮流」指導者Mechaal Tammo暗殺.
10月8日,トルコ国境に近い北部の町のQamishliにて殺害されたクルド人抗議運動家 Meshaal Tamoの葬儀が行われたが,葬列に治安当局が発砲して6名が死亡した模様.
10月9日,トルコ政府は,クルド人抗議運動家 Meshaal Tamo殺害に関し,シリアを非難.
al jazeerh netによれば,シリア政府はホムスとレバノンの間の道路を閉鎖.
また,同紙によれば,シリア軍は各地で弾圧活動を続行,特にホムスでは激しい銃砲撃.シリア各地で治安当局により殺害された者の数は18名.そのうち9名がホムスで,4名がダマスカスの郊外で,先に殺された者の葬列にてだった.
その後の続報によれば,全体として31名が死亡し,その半数がホムスであったとのこと.政府軍の死者も17名に上り,ホムスでは政府軍と離脱した軍人との間で激しい戦闘があったという.
さらに同紙によれば,エジプトは,シリアのエジプト産品輸入禁止措置に抗議.
10月13日,al qods al arabi net およびal ajazeerh net によれば,ほぼ全国的な夜間の抗議デモ発生.adlib 県のbanshでは,子供を含む民間人10名・兵士15名が死亡し,ホムスでも民間人1名が死亡.ダラアでは武装勢力との激しい戦闘で兵士10名が死亡し,ホムス郊外で治安軍の兵士1名が死亡.banshでは数十名が逮捕さる.
10月14日,同日付の報道によれば,政府が過去数日間にダラア郊外,dir al zour ,ホムス郊外,jabal al zawiya等で数十人の兵士が死亡したことを秘密にして,その遺体を家族に返していないと,人権団体が発表.
また,al ajazeerh net によれば,シリア全土で抗議デモが行われ,少なくとも9名が死亡.そのうち8名はダラア県のdail ,もう1名はダマスカスの郊外での死者.
さらに活動家の情報によると,ダマスカスのミダーン(広場)地区において,死者の葬列に治安部隊が発砲,13名が死亡し,数十名が負傷.
トルコ国境に近いal qamishlyでは先に暗殺されたクルド人民主化運動家を悼み,数千人がデモに参加.
10月15日,治安当局は北西部のアダリブ県等で広範な鎮圧行動.
10月16日,各地での軍等の発砲により,ダマスカス郊外,ホムス,アドラブで9名が殺殺害さる.
10月17日,同日付のal qods al arbi net によれば,レバノンの軍検察官がアルカイダに属するパレスチナ人に対して,シリアの反政府派への密輸のための武器・弾薬を購入した容疑で逮捕状を発行.このパレスチナ人は南部のシドンの居住者で,レバノン人(逮捕を逃れてパレスチナ難民キャンプに逃げ込んでいるとのこと)から武器等を購入し,シリアの反政府派に渡そうとしたとのこと.購入した武器・弾薬の種類,数量等は不明.レバノン・シリア国境は長く,密輸も昔からあったと言われていたところ.
また,al qods al arbi net によれば,政府の弾圧活強化のため,この日の死者は36名に.そのうち27名の民間人はホムス県での死者だが,シリア軍はその後も同県での鎮圧行動を続ける.BBCは「特派員が隠密にホムスに入った」として,映像も交え,ホムスの住民が戦術を変えて,抗議デモは夜間デモとして,昼間のデモは金曜礼拝後のみにとどめながら,政権の弾圧に抵抗,と報じる.
さらに,al qods al arbi net によれば,シリア軍兵士9名がシリア各地で死亡.士官1名と兵士3名が爆弾のIEDで死亡した例を挙げ,逃亡兵士はますますこの手の戦術を使うようになり,それに伴い軍の被害も増大していると報じる.
10月18日,al jzeerah netによれば,シリア各地でシリア軍により15名が殺害.特にダマスカス郊外の町(複数),ダラア,ホムス郊外で,軍,治安機関,バース党民兵が街を攻撃し,多数を逮捕.また,ホムスでは軍,治安機関と脱走兵との間で激しい戦闘が数時間続く.
10月19日,人権組織によれば,ホムスで「シャッビーハ」が民間人9名を殺害.ホムス郊外では,住宅に対する政府軍の砲撃で婦人2名が死亡.
レバノン治安当局によれば同日朝,シリア軍がベッカ高原で1.5km越境.シリア人1名を殺し,その弟を誘拐.住民によれば,シリア軍は活動家及び逃亡兵を追っていたという.
シリア軍からの逃亡兵はさらに増加し,彼等とシリア軍との間で,特にダマスカスの郊外,ダラアの郊外で激しい戦闘.
10月21日,金曜日のこの日,al jzeerah netによれば,殆どシリアの全土で抗議デモが行われ(全体で184のデモ),これに対する政府軍の発砲で,少なくとも30名が死亡.そのうちの大部分は中部の都市ホムスで,同市では政府軍の作戦が継続していて,市街地で無差別に発砲しているとのこと.
カッダーフィの死が民主化運動を勇気づけていて,『アサドよ,次はお前だ」等のスローガンが聞かれたという.
10月22日,人権組織によれば,シリアではホムス,ダラア,アドラブ,ダマスカス郊外で14名の市民がシリア治安軍により殺害された.また,ダマスカス郊外の農村ではシリア軍と脱走兵と思われる武装者の間で衝突が続いた.シリア治安機関はこれらの町を含めて多くのところで,弾圧,捜索活動を行い,アレッポではモスクの導師を逮捕.
なお,人権団体によれば,今月ホムスで殺された者の数は114名に上り,2100名が逮捕されたとのこと.
10月23日,al jazeerah net とal qods al arabi netによれば,政府軍の銃撃により,ハマで市民2名,dir al zoulで1名が死亡した他,(人数不明)複数名が拷問の結果死亡(別の筋では,これらの事件で4名死亡,5名負傷).政府軍は多くの町で弾圧を強化.ダマスカスの郊外では,多くの銃声と爆発音が聞こえ,政府軍と脱走兵との衝突を避けるために多くの市民が脱出.
ハマとアドラブでは,アサドが新しい知事を任命.
10月24日,政府軍のホムス等に対する激しい攻撃が続き,ホムスで9名,アドラブで6名が,政府軍の銃撃で死亡.そうした政府軍の激しい弾圧にも拘わらず,ホムス,ハマ,アドラブ,ダラア,ダマスカス郊外等では抗議デモが続けられ,多くの市民が逮捕さる.
一方,al qods al arbi net によれば,政府軍兵士5名が死亡.
安全を保証できないとして,米国が駐シリア大使を引き揚げたことに対抗し,シリアも駐米大使を引き揚げ.
10月25日,al jazeera net とal qods al arabi netによれば,士官1名を含む政府軍兵士7名が死亡.al qods al arbi によれば,これはイドリブ県において,4輪駆動車,装甲車等40両からなる政府軍車列が,脱走兵と思われる武装集団の待ち伏せ攻撃に遭ったため.武装集団のほうの死傷者数は不明.
また,al jazeerh によれば,バース党民兵1名が誘拐後死亡.
al jazeerah net によれば,アラブ連盟の代表団の訪問に合わせて,国民評議会が26日を全国ゼネストとするよう呼びかけ.
10月26日,アラブ連盟代表団の問に合わせ,市の中心の広場ではアサド支持の大規模なデモ.他方,国民評議会の呼びかけで,全国の幾つかの町でゼネスト.ダラア,ホムス等,反政府勢力の強いところの他ダマスカスの旧市街でも行われたと言うが,どの程度の規模のものかは不明.
人権組織によれば,全国各地で治安部隊の銃撃等で11名死亡.
イラン外相は,アサドに対して改革を実行するための時間を与えるように呼びかけるとともに,イランの同盟国シリアを外国の支持で混乱させている勢力を非難.
10月27日,al qods al arabi net によれば,レバノン地方当局筋の情報として,シリア軍が北部レバノンとの国境地帯のシリア領内に朝から地雷敷設開始.
同日付のal jazeerah net によれば,シリア軍は各地で弾圧活動を続け,各地で合わせて14名の市民が殺害さる.
中国の中東特使がダマスカスにて記者会見.「人民の正当な願望は尊重しなければならない」として,暴力の停止と対話を訴える.
同日付のNY timesは,「トルコがシリアからの逃亡兵の小グループを匿い,トルコ領内から軍事作戦を行うのを許している」と報道.このグループは アサアド大佐の率いる60~70名の兵士で「自由シリア軍」と名乗り,先日もシリア内での作戦で士官1名を含む9名を殺害したとしている.
10月28日,al jazeerah net によれば,シリア各地で治安軍が抗議者に発砲し,少なくとも43名が死亡.そのうち22名がホムス,16名がハマ,3名がダラア,各2名がラタキアとイドリブでの死者.
その後の続報によれば,更にシリア軍,治安機関17名が死亡し,28日の死亡者は全体で60名に上るとのこと.また,その地域では中佐一人と兵士10名が脱走.
夕方,al qods al arabi net によれば,ホムスで政府軍と武装者(脱走兵らしいとのこと)の間で激しい戦闘.兵士の籠っていた城砦が崩壊し,装甲車2両も破壊されたとのこと.双方で40名が死傷.
10月29日,シリア各地で民間人17名が死亡.そのうちの6名は連日激しい弾圧の続いているホムスで,うち1名が女性.
(al jazeerah net では,民間人の死者は2名と報道.また,治安部隊と脱走兵との衝突で兵士50名が死亡.ホムスでは政府の正規兵20名が死亡し,53名が負傷.トルコ国境に近いイドリブ県では,兵士10名が待ち伏せ攻撃で死亡.いずれも脱走兵側の損害は不明)
10月30日,シリア内では各地(ホムス,ダラア,ハマ等を含む)での治安部隊の発砲で,11名が死亡.
10月31日,4名が殺害さる.
11月2日,「暴力行為の停止」「逮捕者の釈放」「総ての武装者及び武装の市街地からの撤収」「アラブ連盟及び国際的報道機関への入国と完全な行動の自由の許可」「シリア政府のこれら措置実施確認後,アラブ連盟が国民会議準備のための政府と反政府化の対話を2週間以内にアレンジ」を骨子とする調停案を,シリアが受け入れたとアラブ連盟は発表.
これに対して国民評議会は,アサド政権の真の意図に対して疑念を表明.その一人は,「アラブ連盟の調停案が提示されてから2週間になるが,その間400名が殺され,当日だけでもホムスで20名が殺害されたと述べる.
al jazeerah net によれば,シリア軍とバース党民兵の銃撃により,少なくとも19名が死亡.このうち18名はホムス,1名はダマスカス郊外での死者.またハマでは狭い市街に戦車,装甲車が突入し,激しい銃撃を加えたため,市民9名が重傷.さらにダマスカスでは,文学部と医学部の学生が抗議デモをして,これをバース党民兵等が攻撃し,学生12名を逮捕.
人権団体は,シリアの抗議運動開始後,市民2701名が死亡し,軍の880名が死亡したと述べる.
11月3日,jazeerah net によれば午前,ホムスにてシリア治安部隊の銃撃で3名死亡.
また,al jazeerah net は,ホムスにおいて少なくとも19名が政府軍の砲撃,銃撃で死亡したと伝える.同市では装甲車が重機関銃を住宅目がけて発射.特に反政府勢力の強いババ地区に集中射撃し,4日続けて電気も切られ,通信系統もジャムされているとのこと.
11月4日,この日,全国規模の平和的デモが呼びかけられていたが,シリア軍は少なくとも8~18人の抗議運動参加者を殺害.
これに対してシリア政府は,al jazeerahによれば,全土で死者が生じたことを否定し,反政府派の陰謀があると非難し,武装勢力に対して1週間の期限で武器を引き渡せば恩赦を与えると発表.
また,映画監督のニダール・ハッサンが誘拐さる.治安当局かバース党民兵によるものと見られる.
一方,同日付のal qods al arabi net によれば,レバノンのミカーテイ首相が,シリア反政府関係者shibli al aismiが5月に,aal
jasim家の兄弟3~4名が3月に,それぞれレバノン滞在中に誘拐されたと認める.同紙によれば,レバノンの国内安全保障局長が最近,シリア人の誘拐にシリア大使館が関与したと確認したという.
11月5日,29名が殺害.その大部分はホムス住民.同市でも特に軍の締め付けの激しいババ・アムルー地区では,戦車砲や重機関銃が発射.
同地区が封鎖されて,水と電気が止められているために,医薬品,食料も不足し,人道的な問題が生じる.
また,シリアの人権連帯によれば,今週多数の女性を逮捕したが,この中には28歳の弁護士も含まれていて,これで弁護士の逮捕者は114名に上ったとのこと.
一方,政府は533名の釈放を発表.また,イドリブで4名のバース党民兵が脱走兵との戦闘で死亡.
同日付のal jzeerah net は,シリア軍が多くの都市で検問所,障害物を設けて,反政府派が市に中心に合流することを阻止しており,ダマスカスでも市の中心には抗議運動が集まれない仕組みになっている為にデモが分散していると報じる.逆に政府支持者に対しては,あらゆる便宜が与えられている,とも.
11月6日,al jazeerah net によれば,シリア各地で抗議デモ.デモは特にホムス,ハマ,バニアス等で大きかったが,これまで余りデモの報道のなかったアレッポでも,3つの広場に抗議運動が集まったとのこと.
これに対し,軍・治安当局の発砲で16名が死亡.うち11名がホムス(大部分がババ・アムル地区で),3名がイドリブ,2名がハマ(1名は女子児童).
11月7日,同日付のal jazeerah net とal qods al arabi net によれば,国民評議会が国連,アラブ連盟,GCCその他の国際社会に対して,ホムス市民の窮状を訴え,救いの手を伸ばすように懇願するとともに,同市を災害地(または不幸に見舞われた地と指定するように要請.同評議会及び人権団体によれば,ホムスではデモが続いているが,その封鎖は連続5日に及び,食料,医薬品も底をつき,また政府軍及びバース党民兵の封鎖はますます厳しくなっていて,町中で発砲が続いているので女性,子供が安全な町の外に避難することもできないとのこと.また,街では方々に死体が放置されていいるが,銃砲撃に為に,これらを収容することも,病院に搬送することもできない状況.
また,al jazeerah netによれば,シリアの複数の都市で夜間抗議デモが行われ,これに対して政府軍は夜間の攻撃および逮捕を実行.このため11名が,ホムス,ダマスカス郊外,ハマ等にて殺害さる.特に,数日間シリア軍の作戦の焦点となっていたホムスのババ・アムル地区には,政府軍とバース党民兵が突入.
同日夕方,イドリブ県ではkhan sheifun市で,軍と脱走兵グループと思われる武装者との間で,激しい銃撃戦.双方の被害は不明.同市近辺には多数のシリア軍が集結.
米国報道官は,脱走兵,特に士官の数が増加しつつあるとコメント.
11月8日,国連人権高等弁務官事務所によれば,シリア政府のアラブ連盟調停受諾後の,民間及び政府軍の死者は60名に.また,同筋によれば,先にシリア政府は553名の逮捕者を釈放したと発表したが,未だに数万人が逮捕されているとのこと.
al jazeerah netによれば,シリア軍はホムスをはじめ各地で更に弾圧を強め,過去2日よりさらに多くの死者が出た(死者の数字不明).国民評議会は,特にホムスのババ・アムル地区では引き続く封鎖のために人道的危機に見舞われていることに注意を呼び掛け.
国連筋によれば,シリア軍は未だにホムスの市街地で戦車及び重火器を使用.ホムスのババ・アムル地区は7日間連続で封鎖されていて,住民は水,電気,食料もなく,悲惨な状況にある由.
イドリブでは脱走兵と見られる一団と軍及び民兵が衝突.脱走兵の待ち伏せ攻撃で政府側に8名の死者.また,ホムス,ハマでも同様の衝突発生.自由シリア軍は,ホムスにおいて政府軍20名を倒したと声明を発表.
11月9日,al jzeerah net によれば,シリア各地で軍及び治安機関が殺害したシリア人は27名に.このうち,ダマスカス,ホムスでそれぞれ8名,ハマ郊外で4名,ダラアで3名が死亡.また,ホムスのal
khalidiah 地区では200名が逮捕さる.
人権団体は,ダマスのbarza地区で,治安部隊が市民を処刑しているという写真を公開.
国連高等弁務官は安保理で,抗議運動開始以来の死者が3500名に達したことを確認し,市民の殺害が続いていることに懸念を表明.
弁務官は軍隊からの脱走兵が増加しつつあることに注意を喚起し,このままでいけばシリアは内戦に陥ると警告.
al jazeerah net によれば,EU諸政府は欧州投資銀行の資金のシリア向け融資を禁止することで合意.
11月10日,同日付のal jazeerah net の記事は,反政府勢力の間で,国民評議会と民主化改革全国調整委員会との間の意見の差が表面化したと報道.
11月11日,人権団体等によると,ホムスを中心に21名の市民が殺害さる.
11月12日,アラブ連盟会合はシリアの資格凍結を決定.シリア政府代表(常駐代表,外相は欠席)は,この決定は違法であると非難.
資格凍結に怒ったシリア政府支持の群衆は,ダマスカスのサウディ大使館やカタール大使館,ラタキアの仏・トルコ総領事館を襲撃.特にサウディ大使館は,棍棒やナイフを持った群衆に押し入られ,ガラスを破られた他,内部も相当に荒らさる.
また,ベイルートではカタール大使館の入っているビルの屋上にアサド支持派のシリア人が侵入し,カタール国旗を降ろして,シリア国旗を掲揚.
al jazeerah net によれば,ホムスを中心に15名の市民が殺害さる.
また,同紙によれば,トルコ国境に近いイドリブでは脱走兵がシリア軍に待ち伏せ攻撃をかけ,治安軍9名が死亡.
11月13日,シリア政府はシリア問題について緊急アラブ首脳会議の開催を呼び掛け.
al qods al arabi netによれば,仏外務省は,仏のラタキア及びアレッポの名誉領事館が襲われた件に関して,在仏シリア大使を招致.同省は,12日夕刻及び13日夕刻のこれら領事館に対する攻撃は,良く組織されたもので,治安部隊は保護のため全く動こうとしなかったとして,シリア政府を厳しく非難.
シリア・オリンピック委員会は,カタールのドーハで開かれるアラブ競技会(アジア競技会のアラブ版)をボイコットすると発表.
11月14日,al jazeerah net によれば,治安部隊との衝突で51名の市民が殺害さる.そのうち20名がダラア,11名がホムスでの死者.シリア軍と自由シリア軍の間でも激しい戦闘あり.特にダラア県ではヨルダン国境から20km地点の高速道路近辺で,シリア軍と武装兵との間で戦闘が発生し,反政府軍人及び民間人に21名,政府軍に20名の死者.
EU外相会議は,シリアに対する追加制裁として,政権に近い18名の人物の資産凍結及び旅行禁止を決定し,欧州投資銀行の資金のシリア向け融資を禁止.
ロシア外相はアラブ連盟のシリアの資格凍結を不適当と批判し,西側が反政府勢力を扇動していると非難.
トルコ外相は議会でアサド政権は信用できないとのべるとともに,中東で民衆の要求にこたられない政府は退陣すべきだとしてアサド退陣を要求.
ヨルダンのアブダッラ国王はBBCとのインタビューで,もし自分がアサドの立場にあったら辞任しているであろう,と述べ,これをメディアはアラブ首脳で最初のアサド辞任を口にしたと報道.
これに対して夕刻,ヨルダン大使館に対し,約120名のアサド派の群衆による抗議デモ.そのうち2名が大使館構内に入りこみ,ヨルダンの国旗を引きずり降ろして,これを引き裂く.シリア警官は彼等を阻止しようとはせず.大使館の人員,建物に損害無し.
【質問】
どうやったら,蜂起の初期段階で反政府勢力が勝てたの?
【回答】
「これはあくまで反アサド闘争であり,シリアと周辺国の関係に影響を及ぼすものではなく,ロシアとの軍事的同盟,特にタルトスの海軍基地の権利は不変である」
と宣言してれば,随分違ったはず.
「我々が求めているのはあくまでも人権と民主主義であり,アラウィ派にスンニ派が取って代わるということでは決してない.
その証として,マイノリティ保護のために,○○の措置を選挙制度や行政制度に組み込むことを約束する」
あと,一番大事だけど,アサドを免責して,絶対に訴追しないことを確約し,保障としてなんらかの措置を検討する.
これを言わなかったのは致命的.
この三点をはやめに言ってれば,必ず勝てたとは限らないけど,だいぶ有利に話が展開したかもしれないと俺は思う.
だけど,反政府勢力は全部において逆をやった.
「アサドを殺す,アラウィ派を皆殺しにする,ロシアとの関係を見直す」
と公言してた.
代償は命で払うことになったが.
軍事板,2012/03/15(木)
青文字:加筆改修部分
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