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◆「あたしリカちゃん.パパはリビアで大佐をしてるの」
<中近東FAQ目次
「Al Jazeera」
アルジャジーラ英語版
HP中央,Libya Live Blogは毎日更新中
「Strategy Page」◆(2013/03/31) LIBYA: Racists, Bigots And Thieves Prevail
「WP」◆(2013/05/11) Benghazi e-mails show clash between State Department, CIA
「WSJ」◆Middle East Turmoil
時間軸付き中東地図
「ザイーガ」:「砂漠の狂犬」,「アラブの暴れん坊」の異名を持つリビアの首相,カダフィ大佐のフォトスナップ
「中東の窓」◆(2011/02/28)リビア・コネクション(ロッカビー事件に対するカっダーフィの直接の関与疑惑)
「中東の窓」◆(2011/02/28)リビア情勢(ブレア前首相とカッダーフィとの関係)
「日本語で読む中東メディア」◆(2010/04/17)カッザーフィー大佐,米のリビア空爆から24周年の記念日にオバマ大統領への支持を世界に呼びかけ (Al-Ahram紙)
『カダフィに狙われた男』(浮貝泰匡著,戎光祥出版,2011/11)
●MAP
「BBC」◆(2011/03/11)Key maps of Libya
戦略拠点,軍事施設,オイルラインなどに表示を切り替えられる
「CIA The World Factbook」◆North Africa
pipelines Map
北アフリカの石油パイプライン地図
1973年の古い地図だが,チュニジアからリビア西部の200万分1地図
http://www.lib.utexas.edu/maps/ams/africa/txu-oclc-6589746-sheet3-4th-ed.jpg
町の位置を知るぐらいならこの大きさが丁度いい.
トリポリはチュニジアとの国境から,そう遠くないところに大きく書いてある.
そのすぐ西が,よく名前の出るザーウィヤ(Az
Zawiyah).
ミスラタ(ミスラータ)はトリポリの東,海岸線が南に曲がるところにある.
東部の地図(縮尺同じ)
http://www.lib.utexas.edu/maps/africa/banghazi_1973.jpg
――――――軍事板,2011/02/27(日)
リビアの民族分布
http://www.lib.utexas.edu/maps/africa/libya_ethnic_1974.jpg
【質問】
リビアの石油生産能力を教えてください.
【回答】
2006年時点で,
ラスラヌフ製油所(精製能力:日. 量 22 万バレル)
ザウィア製油所(同 12 万バレル)
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/05001260/05001260_001_BUP_0.pdf
ただし上記ソースの,日本企業によるアップデートはチャラになったような……
2008年でも能力まんまだね.
http://www.jetro.go.jp/jetro/activities/oda/model_study/oil/pdf/h17_08.pdf
面白いので抜き書きしとく.
――――――
http://www.jetro.go.jp/jetro/activities/oda/model_study/oil/pdf/h17_08.pdf
(2008年時点)
リビアの石油・ガス関連の政府機関は行政改編で公社化されて国営のリビア石油公社(NOC,National Oil Corp.)が所管しており,リビアの石油・ガス関連事業のほとんどは,直接または 100%子会社の関連会社が運営している.
リビアには
国営のリビア国営石油(NOC,National Oil Corp.) が直接運営している Tobruk,Sarir 製油所と
100%子会社の Az-Zawiya Oil Refining Co.の Az-Zawiya 製油所,
同Ras Lanuf Oil & Gas Processing Co.の Ras Lanuf 製油所,
同 Sirte Oil Co.の Marsa el-Brega 製油所
の 5 製油所がある.
また,今後の新設計画としては,内陸部の戦略的拠点である Sebhaに2万b/dの製油所の新設計画がある.
現在する 5 製油所は全て,Topping もしくは,ハイドロスキミングタイプであり,ガソリンはアザウィア製油所のみで生産可能である.
(略)
リビア国営石油は
直接運営のトブロク,サリールの 2 製油所,
100%子会社のアザウィア,ブレガ,ラスラフーフの 3 製油所,
合計 38 万バレル/日の精製能力を有しているが,全て設備は老朽化している.
また,製油所には 2 次装置がほとんど無く,国内の自動車用燃料等を供給できず,輸入に頼っている.
製油所の省エネルギー,高効率化により製油所の近代化(省力化含む)による競争力強化は,喫緊の課題であり,その解決を目的とした本調査(プロジェクト実行前提とした)を行う事とした.
対象製油所はリビア国営石油は(NOC)との協議により,首都トリポリに近いアザウィア製油所(12 万バレル/日の精製能力)を選定した.
――――――
欧米が,二次装置の技術を教えない方向で一致してるんだっけか,確か.
自分達の車を動かす為には,必ず輸出しなきゃならんという状況にするとかなんとか.
エジプトとかガソリン高かったんじゃなかったっけ?
よ〜知らんけど
内戦勃発後は,主要な外国人は欧米に脱出して稼動停止中.
軍事板,2011/03/06(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
リビアでの,1969年の反王制クーデターについて教えてください.
【回答】
1969年9月1日、ナセル主義者だった27歳のムアンマル・カッザーフィー(カダフィ)大尉と,同志の青年将校たちによる無血クーデター.
トルコにて療養中だった国王イドリース1世は退位し、カダフィが事実上の元首となった.
以来,社会主義路線をとるカダフィ独裁が,40年以上続いてきた.
【参考ページ】
http://www.uraken.net/zatsugaku/zatsugaku_70.html
http://markethack.net/archives/51689809.html
http://www.b-cause.co.jp/09world/096.html
【ぐんじさんぎょう】,2011/02/22 12:20
を加筆改修
▼1969年9月のカダフィによるクーデタ,「エルサレムの日」作戦;
ベンガジでカダフィ隊蜂起;
・自由将校団が神輿に担ごうとしたモハンマド将軍,「俺様への尊敬の念が低い」とへそ曲げ,脱落.
・カダフィ,放送局占領に向かうが,部下全員がいつの間にか道に迷い,カダフィ一人に.
・陸軍バルカ基地制圧を終えた部隊を収容し,再び放送局に向かうが,王国軍側は無防備.当直の歩哨以外,放送技師もいない状態.
・楽に放送局陥とせたから,まあいいかと納得したが,自分らの中にも,放送機器扱える人間がいないことに気づく
・早番の放送局職員が出勤してくるのを,1時間以上局内で待つ.この間,トリポリの蜂起部隊と通信できず.
トリポリでは
・蜂起部隊LOのオマル大尉,ベンガジからトリポリに空路向かおうとするが,どの便も満席.
・リビア航空のパーサーやってる友人に,搭乗券を回してもらうが,トリポリ市内から基地への足が無い.
・やっとタルフーナ基地に到着.ここで武器も入った荷物を,ベンガジ空港へのタクシーに忘れてきたのに気づく.
・タルフーナ基地の蜂起部隊,武器庫を襲撃するが,居るはずの当番兵が鍵持ったまま,オールナイトの映画館に行ってた.
・蜂起部隊員,朝の上映終了まで映画館前で待ち,出てきた歩哨を確保.
・奪った武器をMk.VIII巡航戦車に満載して出撃…した途端に,戦車のエンジンが火を噴き炎上.
・王宮襲撃部隊,トラックや乗用車で皇太子宮殿に急行するが,運転誤り玉突き衝突.
ちなみに,よく比較される,ベトナムでの政権奪取(1945年の8月革命)
1. ベトミン,日本の明号作戦・仏印処理(45年3月)を受け,仏敗残兵や墜落した米飛行士を救出し,中国領内へ護送,連合国との連携深める.
2 日本が樹立したベトナム帝国政府(バオダイ政権)内に,同調者をつくる工作.
3 ベトミン派遣のOSS(米戦略事務局)経由とみられる情報網で,日本のポツダム宣言受諾準備をキャッチ.
4 8月13日,ホーチミンが総蜂起命令発令.日本降伏とフランス権力復帰の間隙をついて,政権奪取を指示.
5 同17日,帝国政府のキム首相を支持する官製国民集会@ハノイを,主催者側に浸透したベトミンが乗っ取り,完全独立を求める大衆デモに.
6 同19日までに,ハノイの政府・治安機関をベトミンが,ほぼ無血接収.政府内のベトミン浸透者が引き継ぐ.ポツダム宣言で日本軍動けず.
7 同23日,帝国首都フエをベトミンが接収.王宮内のベトミン浸透者による,バオダイ皇帝への帰順・合流説得始まる.一部日本兵によるベトミン連絡工作も,このころ開始.
8 同25日,インドシナ最大の都市サイゴンを,ベトミンが接収.翌26日,ホーチミンがパクボ根拠地からハノイ入り.
9 同30日,バオダイ帝が退位勅書.民主共和国最高顧問の座と引き替え.
10 9月2日,米艦ミズーリ号で日本の降伏調印,同日にハノイで,ホーチミンがベトナム民主共和国独立宣言.
軍事板,2011/03/20(日)
青文字:加筆改修部分
▲
▼ リビア最高指導者カッザーフィーは,1969年に無血革命(軍事クーデター)により,当時のリビア国王・イドリース1世を追放して共和制にすると,大尉だった自分の階級を大佐にしました.
これは彼が尊敬するエジプト革命の立役者で,後にエジプト大統領となったガマール・アブドゥル=ナーセルを倣ったというのが有力説ですが,異説もあります.
ムアンマル・アル=カッザーフィー - Wikipedia
イドリース政権下では国際石油資本による石油開発が進められたものの,その富は国民に還元されず,国民の不満は高まる一方で,しかも汎アラブ主義への高まりもあり,カッザーフィーの革命は国民に歓迎されました.
カッザーフィーは石油による利益を,国民に還元する一方で,ジャマーヒリーヤと呼ばれる国家体制に移行しました.
これは「大衆によって支配される共和国」という意味です.
カッザーフィーの革命では,イスラム法とアラブ民族主義・社会主義を合わせた体制が作られました.
また,カッザーフィーは西側の政党政治による自由民主主義体制を否定し,国民が全員参加する直接民主制を行う事を主張しました.
リビアでは,国民が地方の各コミューンと人民会議を通じて,政治に関与するとされています.
そのため現在のリビアの国名は「大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国」です.
しかし実態は,カッザーフィーの独裁を容認するための翼賛組織に成り下がっているというのが実情です.
というかこんなのが文字通りになっていたら,カッザーフィーはとっくに辞任しているはずでしょう.
カッザーフィーは後継者をなかなか出さず,野党といえる指導者も,カッザーフィーの粛清でいなかったという事情もあります.
ジャマーヒリーヤ - Wikipedia
なお,カッザーフィーの執務室には,明治天皇の御真影が飾られていたそうです.
おそらくカッザーフィーの革命は,明治維新を想定していたのでしょう.
しかし明治大帝は,臣民への攻撃は命じませんでした.
(秩父事件や西南戦争は別.
あれはむしろ〔略〕武装反乱というべきです.
リビアのような平穏なデモではありません)
カダフィ氏「大佐」の理由 執務室には「明治天皇の写真」:BIGLOBEニュース
1970年代からIRAやETA,日本赤軍などのテロリストを庇護し,1980年代からは自らもテロに参加したリビアのカッザーフィー政権.
日本の左派はこぞって,自主独立と革命を成し遂げたカッザーフィーを持ちあげていました.
それが今では,反政府デモに空爆や対空機関砲による攻撃を行う始末.
この人々は今のリビアを,どう思っているのでしょうか.
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年02月23日09:58
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
リビアのカダフィ Muammar el Kadafi は,なぜいつまでも大佐のままなのか?
【回答】
ずっと大佐なのは,ニックネームとして本人が気に入ってるから.
リビア革命評議会で将軍の称号を贈る議決がされた時は,そう言って辞退してる.
ちなみに,革命時のカダフィはリビア王国陸軍中尉.
http://www.galenfrysinger.com/qadhafi.htm
革命の翌年には軍籍を離れている,
正式な肩書きは「革命指導者(=リビア元首,最高指導者とも訳される」
他に首相等も兼任していた時期もあり.
それがなぜ大佐を名乗ったかといえば,52年にエジプト革命を起こしたエジプトのナセル陸軍大佐に憧れていたから.
要はケンタの創業者が「カーネル」サンダースと呼ばれてるのと一緒
なお,リビアには大将以下複数の将官がいる.
【参照】
「リビアのカダフィ大佐って何者?」
http://www.uraken.net/zatsugaku/zatsugaku_70.html
【質問】
「カダフィは事実上の国家元首」とよく聞くけれど,「事実上」とはどういうこと?
【回答】
「リビアは大佐が国家元首って言ってるけど,法律上は直接民主制で,国家元首という概念さえ存在しない.
テロリストの引渡し交渉で,大佐自ら,
『リビアは国家元首いないし,自分は公職にも就いていないので,交渉には応じられない』
…みたいなトンチ問答のようなことをやってたりして.
じゃあ,最初から出てくるなよって話なんだけど…」
とか解説したら,周囲の人間にかなり唖然とされました(苦笑)
2011年02月22日 19:20 ソフトヒッター99
大佐自らそんなことを(笑)
まあ,日本の天皇のごとく,みなし元首ってことでよろしいんじゃないですかね.
あと,まあ,現実の最高権力者と国家元首は,別物のことのほうが多いのではないかと.
2011年02月22日 21:23 ゆきかぜまる
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1512608&media_id=52
王族がUPし始めました.
2011年02月23日 16:11 バルセロニスタの一人
【質問】
カダフィによる,部族対立の政治利用というのを,具体的に言ってくれ.
そんな話聞いた事ないんだが.
【回答】
そうか?
カダフィの出身部族カダドゥファ族は,中部シルト(シルテ)が本拠で,ここがカダフィ派の拠点だとか,反体制派もそれを気にして,
「出身部族には責任はない」
と言ったりという話が報道されている.
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110227/mds11022720230011-n1.htm
また,
――――――
Col Gaddafi himself comes from the Qadhaththa tribe and during his 41 years in power he has appointed many of its members to key positions in his regime, including those for his personal safety.
Just as Saddam Hussein did in Iraq and President Saleh has in Yemen,
Col Gaddafi has been adept at playing off one tribe against another, ensuring that no one leader risks posing a threat to his regime.
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-12558066
――――――
朝日の記事にも,部族対立の詳しい話があった.
朝日の3月3日朝刊の記事から
――――――
(前略)
「我々はカダフィ兄弟にいう.彼はもう兄弟ではない」
反体制派支持に回った,リビアの大部族の一つワルファッラ部族の有力者が,カタールを拠点とするアラビア語衛星テレビ,アルジャジーラに語った.
反体制派勢力は2月19日に,リビア東部の都市ベンガジを制圧し,その後,リビアの部族は続々とカダフィ氏から離反した.
ワルファッラ部族はかつてカダフィ氏を助けて,軍や治安部隊,情報機関の要職についていた.
しかし,1993年に体制転覆を目指すクーデター計画が事前につぶされ,カダフィ氏はワルファッラ部族による陰謀として,同部族のメンバーを政府の主要ポストから排除した.
今回,ワルファッラ部族がいち早く反体制派勢力についたのは,民主化を支持したというよりも,カダフィ氏に対する遺恨があるからだろう.
(略)
リビア社会について,カダフィ氏の次男セイフル=イスラム氏が,
「我々はチュニジアやエジプトとは違って,市民社会も政党も存在せず,部族の連合がある」
と,国営テレビの演説で語った.
当初,体制内改革派と見なされた同氏の本音だろうが,
「内戦となれば,60年も70年も昔の状態に逆戻りする」
と警告した.
――――――
そういう状態に放置してきたのはカダフィ自身で,それが問題.
他にも,部族のことは,探せばいくらでもあるよ.
「利用」という言葉の解釈の問題かもしれんが,出身部族を厚遇することが,他の部族に不満を持たせるのだから,部族対立を温存しているわけで,それを政治的に解消する方策を採るべきだったと思う.
軍事板,2011/03/04(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
既得権益を独占している旧支配層を,どうにかして一掃しないと,近代国家と言うのは産まれないのではないですか?
【回答】
結果と過程を取り違えてるね.
たしかに一見すると,近代化は貴族なんかの既得権益を有する層が,一掃されていく過程のようにも見える.
でも,実態は産業構造の変化や経済圏の拡大によって,行政の役割が拡大することに起因している.
例えば,封建制や部族制っていうのは,領主や部族の単位ではじめて生産活動が成立するから,必然的に成立する政体なんだ.
でも,例えば流通が盛んになって,手工業でも食っていけるようになれば,領主や部族に従わずにも生活が成り立つようになる.
同時にこの段階では,支配領域がぶつ切りの領主や部族では,物理的にも財政基盤的にも行政の役割を果たす事が難しくなるというか,領主や部族による家政がもはや統治でなくなってくるからこそ,行政が必要になってくる.
そして,行政権拡大は,国民生活にとって行政が必須になると同時に,国家に強力な権力を与えて,これが近代国家の基礎になる.
ちなみに,ソースはエストライヒとかウェーバー,オットー・ブルンナー,大塚久雄らへんの組み合わせね,
だから,リビアのように部族が国家に反乱を起こせるような段階では,近代国家の基礎が出来ているとはいえないし,近代国家の基礎たる行政権の拡大は,内戦で培われるものでもない.
むしろ,内戦を通じて国家の力が低下すると,相対的に部族の勢力が大きくなる.
こうなると,ソマリアみたいな失敗国家が出来る可能性が大きくなる.
だから,行政が国民生活の必須の要素となると同時に,国家が反乱を力で潰せるくらいにならないと,民主化みたいな分裂の危険を孕む政策は危険なんだよね.
だから,日本の利益って観点からも,産油国は強固な独裁がよいと思うよ.
なぜオバマが今回の反乱をあおってるのか,よく解らん.
軍事板,2011/03/05(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
なぜリビアのカダフィは,反米強硬路線をやめたのか?
【回答】
リビア国内のイスラーム過激原理主義反政府ゲリラに対抗するため.
88年に米国のパンナム旅客機がスコットランドの空港で爆破され,270人が死ぬという事件があった.
このテロの容疑者がリビア人で,母国に逃げ帰っていることが判明したため,米国が容疑者の引き渡しを求めたがカダフィ氏は応じず,米国は問題を国連に持ち込んだ.
国連はリビアに武器や石油生産関連機材の輸出を禁止することを決議し,その後2001年まで,経済封鎖が続いた.
欧州の国々の中には,イタリアなど,エネルギー供給をリビアからの石油輸入に頼っている国があり,米国主導のリビア経済制裁を厳格には守っていない部分があった.とはいえ経済制裁でリビア国内での輸入品価格は高騰し,石油の売上げも落ちたため,人々の生活は苦しくなっていた.
サウジアラビアなど,石油収入に潤う他のアラブ諸国の人々の生活レベルが非常に高いことと比べると,リビアの人々が反カダフィに傾いてもおかしくはなかった.
こうした事情を背景に,リビア東部にある第2の都市,ベンガジでは,95年当時から反カダフィのゲリラ組織が作られ,東部の山岳地帯ではゲリラ戦の訓練も行われるようになった.
軍関係者の中にも,トリポリのゲリラを密かに支援している人々がいるとされ,そこから武器供給や軍事訓練などの援助が行われたようだ.
この反カダフィ・ゲリラ集団をイスラーム過激原理主義者とカダフィは見なしている(ただし,実際には欧米型民主主義を目指している反カダフィ・グループもいる模様)ため,米国のイスラム原理主義者攻撃は国内のテロ集団をやっつける援軍と思っている.そのため,カダフィは対テロ戦では,米国の味方になった.
例えば,パンナム旅客機の犯人引渡し,賠償にも応じることになったし,米国のアフガーニスタン攻撃が始まると,
「米国の攻撃は正当.タリバンはイスラムではなく,無神論者だ」
と述べている.(2001年10月8日)
また,米国としてもリビアの石油補給がイラク戦争で中東の石油情勢が不安定になるため,リビアが重要と考え,カダフィのリビアを米国対テロ戦争の味方にし始めている.
これはチェチェンに苦しみ,かつ石油があるロシアと同様な立場になったと考えた方がいいようである.
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k4/141012.htm
【質問】
カダフィの息子の,サッカー選手としての実力は?
【回答】
息子サーディは,リビア代表チームのキャプテン(2004年夏に引退)であり,リビア・サッカー協会会長であり,国内リーグ2強のアル・イテハド,アル・アリ(トリポリ)※でエース・ストライカーだった.
また,ユヴェントス,トリエスティーナの大株主としても知られ,現在はペルージャでプレイ.
本人曰く,左足を得意とし,アシストも可能なファンタジスタとのことだったが,特別上手くはないとの評判.
「力強くタックルに行けない」
とう黒い噂も付き纏っている.
なお,上記2強はカダフィによる財政支援があり,イタリアから若手選手を借りるなど,他のクラブとは一線を画していたが,カダフィがリビアを離れると,2003-04年シーズンは,田舎クラブ,アル・オリンピックが優勝.
新しい風が吹く予感がある.
(Koly Football Production編「全世界サッカー完全読本」,
東邦出版,2004/11/19, P.186,抜粋要約)
※アフリカ・コンフェデレーションズ・カップ優勝3回の,20世紀のアフリカ最優秀クラブとされるアル・アリ(エジプト)とは同名の別チーム.
なお,カダフィには4人の息子がいるが,それぞれ以下のように見られている.
長男 馬鹿
次男 優秀かつみんなから慕われている.カダフィ大佐の路線変更も彼の助言による.
三男 医師だが馬鹿
四男 サッカー馬鹿
この中の誰かがおそらく次期後継者になるのだが,……当たりくじを引く確率は4分の1.
▼ 【追記】
まともだと思われていた次男だが,リビアで大規模な反政府デモが発生した際,父親に代わってTV演説して,
「暴徒は叩き潰す」
と言ってしまい,父親に劣らぬDQNであることを露呈してしまった.
この発言は,反政府運動を煽り立てる結果になり,内戦の一つのきっかけを作った.▲
【質問】
リビアの化学兵器について教えてください.
【回答】
リビアはマスタードガス10トンを,トリポリ南部の街にある施設に保管している.
2003年に化学兵器の全廃を約束し,2004年に砲弾や爆弾は,国際監視下で破壊していた.
しかし,兵器になっていない化学物質がまだ残っており,2010年末までに破棄するはずが,スケジュールが延びていた.
兵器の形になっていなければ使用は困難とみられるが,2011年内戦情勢の行方次第で,過激派の手に渡ることを懸念する声もあるという.
【参考ページ】
http://edition.cnn.com/2011/WORLD/africa/02/24/libya.mustard.gas/index.html?hpt=T2
【ぐんじさんぎょう】,2011/02/27 09:30
を加筆改修
【質問】
リビアの生物兵器開発(?)について教えてください.
【回答】
これは,反政府側に身を投じたアブドルジャリル前法相が,カダフィ政権が生物化学兵器を使用する危険を警告したことによるもの.
アル・ジャジーラが報じたと言う.
(毎日新聞,2011年2月25日(金)21時1分)
また,内戦により,黄禹錫・元ソウル大教授がリビアから脱出したことことから,黄がこれに関係していたのではないかという疑念を持つ者もいる.
黄はES細胞論文捏造事件で,2006年にソウル大教授職から退いた人物.
2010年,ソウル高裁で研究費横領などの容疑で,懲役1年6月・執行猶予2年を言い渡され,その後,スアム生命工学研究員でES細胞の研究を行っていた.
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=137780&servcode=A00§code=A00
しかし,その後の続報が全くなく,上記も論拠としては弱いことから,ガセである可能性も高い.
カダフィは2003年に化学兵器同様,生物兵器全廃を約束している.
軍事板,2011/02/27(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
内戦直前までの,リビア海軍の潜水艦戦力を教えられたし.
【回答】
Submarines
Libyan Foxtrot class submarine, 1982.6 ×
Foxtrot class submarine (2 left but probably
abandoned)[6]
Originally Libya received six submarines
from the Soviet union in 1982. But there
were no patrols since 1984 and one submarine
is reported sunk in 1993 and another one
was abandoned in Lithuania due to international
sanctions. There were reports about one submarine
being refitted in 2003 but it is very unlikely
that the submarines are still operational
http://en.wikipedia.org/wiki/Libyan_Navy#Submarines
6隻受け取って,1隻沈んで,1隻国外で放棄.
1984年以来,活動は観測されていない.
2003年に1隻修理したとの情報もあるが,おそらく作戦は出来ないと考えられる.
By 2001 the six Foxtrot class submarines
were non-operational.
One was trapped in Lithuania due to sanctions
on Libya and was eventually scrapped, one
sank in port and has been hulked.
Only recent activity was use of two units
as surfaced patrol ships circa 1995.
These two Foxtrot-class (Project 641) submarines
- Al Khyber 315 and Al Hunain 316 - have
a capacity of 44 mines in place of torpedoes.
However, the overall operational effectiveness
of the navy is very low and by 2010 the operational
status of the the submarines is doubtful.
ソース,グローバルなんとか.
一瞬だけ見える部分を,お金払わずすばやくコピペした,スマン,
「2隻のFoxtrot-classがあり,魚雷の代わりに44個の機雷を搭載する能力がある.
しかし,海軍の活動能力はとても低く,2010年までの潜水艦の活動能力は疑わしい」
潜水艦はメンテナンスとレスキュー体制が大変だからな.
平時でもいい加減にあつかっていると,永遠に浮上しなくなる.
小国の海軍(エンジニア不足)には,荷が重すぎたのではないか.
まだ魚雷艇とかミサイル艇の方が実用的かな.
結論,大佐に海の守りはないな.
Foxtrot classの性能緒元:
Test depth: 246? m (807? ft)
Armament: 10 × torpedo tubes (6 bow, 4 stern)
22 torpedoes
Complement: 12 officers, 10 warrants, 56
seamen
300メーターくらい潜って,魚雷発射管10,魚雷22本,56人乗り
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Cuban_Foxtrot_submarine.jpg
軍事板,2011/03/20(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
リビアは本当にキロ型潜水艦を購入するのか?
【回答】
リビアが,ロシアと兵器購入契約を結ぶと報じられております.
http://lenta.ru/news/2008/04/21/libya/
契約総額は,23〜30億ドルと見られており,内訳は,以下の通りです.
・многоцелевых истребителей
Су-35(Su-35多用途戦闘機)12機
・танков T-90С(T-90S戦車)48輌
・зенитно-ракетных комплексов
(ЗРК) 高射ロケット複合体3タイプ
С-125 "Печора"(S-125「ペチョーラ」)
Тор-M2Э(「トールM2E」)
С-300ПМУ-2 "Фаворит"(S-300PMU-2「ファヴォリート」)
そして,
дизель-электрические подводные
лодки проекта 636
(プロジェクト636ディーゼル・エレクトリック潜水艦)も含まれる,との事です.
更には,
ЗРК "Оса-АКМ"(高射ロケット複合体「オーサAKM」)とтанков
T-72(T-72戦車)の
修理と近代化改装も含まれているそうです.
キロ級こと636型ディーゼル・エレクトリック潜水艦は,現在,アルジェリア向けの2隻と,インドネシア向けの2隻が,サンクト・ペテルブルク市アドミラルティ造船所で建造中であり,これに加え,ベネズエラも4隻程度を購入すると見られています.
(http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/30696630.html参照)
リビアが,636型を何隻購入するのかまでは明らかにされていませんが,おそらくは2隻程度でしょう.
現在,リビア海軍には,ソヴィエト連邦時代に購入した641K型(フォックストロット型)潜水艦2隻が在籍しておりますが,もはや潜航する事は出来ないようです.
リビアは,1976〜1983年に掛けて,641K型6隻を購入しました.
・S311「アル・バドル」:1976年12月引渡し,1993年沈没
・S312「アル・ファテフ」:1978年2月引渡し,1990年,ラトビアへ回航され修理に掛かるが
ソ連邦解体により,1992年,ロシアのクロンシュタットへ回航,そのまま放置.
・S313「アル・アハド」:1978年3月引渡し,1990年代に除籍
・S314「アル・ミトラガ」:1982年2月引渡し,1990年代に除籍
・S315「アル・クイベル」:1982年4月引渡し,いちおう在籍
・S316アル・フナイン」:1983年2月引渡し,いちおう在籍
というわけで,実働戦力とは言い難い状況に有ります.
リビアが新たに購入するであろう636型は,641K型を代替する事になるでしょう.
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/4/27(日) 午後 2:46
【質問】
リビア空軍の勢力は?
【回答】
2011年の内戦前は,推定兵力23000.
数の上ではMiG-25戦闘機が主力で,125機が輸入されたが,殆どが稼動状態にない模様.
内戦では数機が,反政府側に鹵獲されたと見られる.
ミラージュF1は70年代に32機輸入されたが,殆どが姿を消したという.
他に
MiG-21戦闘機×25
Su-22攻撃機×39
Su-24攻撃機×3
Soko J-21軽攻撃機×13
エアロL-39軽攻撃機/練習機×110
エアロ=マッキSF-260WL初等練習機×20
Soko G-2 Galeb軽攻撃機/練習機×116
ヤコブレフYak-130練習機×6
ダッソー・ファルコン20輸送機×3
アントノフAn-26中型輸送機×10
ガルフストリームII軽輸送機×1
ダッソーファルコン50 軽輸送機×1
イリューシンIL-76大型輸送機×17
Let L-410 Turbolet軽輸送機×15
ロッキードC-130Hハーキュリーズ大型輸送機×10
アントノフAn-124大型輸送機×2
イリューシンIL-78空中給油機×4
ミルMi-24ハインド攻撃ヘリコプター×38
ミルMi-14汎用ヘリコプター12
ベル206ジェットレンジャー練習ヘリ×4
ベル212ツインヒューイ軽輸送ヘリ×2
ボーイングCH-47「チヌーク」大型輸送ヘリ×8
ミルMi-8「ヒップ」中型輸送ヘリ×25
ミルMi-17
対空ミサイル他
しかしカダフィは軍を信頼していなかったため,戦闘機や攻撃機は大半が稼動状態にない.
空軍には,カダフィの出身部族のカダドゥファ族が,多数起用されているという※1が,にも関わらず,叛乱を警戒して,戦闘機に地上爆撃用のミサイルを搭載することは許されず,パイロット養成課程でも実弾発射の訓練は意図的に省かれていたという.※2
【参考ページ】
http://www.globalsecurity.org/military/world/libya/af.htm
http://en.wikipedia.org/wiki/Libyan_Air_Force
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110225/mds11022522000014-n1.htm※1
朝日新聞朝刊,2011.2.26付※2
【ぐんじさんぎょう】,2011/03/06 09:10
を加筆改修
稼動状態にある作戦機は,軽攻撃機兼練習機のL-39とG-2が,大部分を占めているのが分かる.http://en.wikipedia.org/wiki/Libyan_Air_Force
軍事板,2011/03/02(水)
青文字:加筆改修部分
▼ 上述の※1に関して,以下引用.
――――――
Vengence from the Skies
Libyan Air Force Could Be Gadhafi's Trump Card
(前略
Libya's air force is made up of roughly 18,000 men and women, most of whom are staunch supporters of the regime.
The elite military branch recruited from followers who were 100 percent loyal to the regime,
and members of Gadhafi's Gadhadfa tribe and its closely allied Magariha tribe were given preference during the selection process for recruits.
They have shown a blind obedience to their commander in chief.
Only a handful of pilots and officers have switched sides to join the opposition.
(後略
――――――
空軍は殆どカダフィのGadhadfa部族や,同盟関係にあるMagariha部族の出身者で構成されているそうで.
軍事板,2011/03/05(土)
青文字:加筆改修部分
▲
ムバラクが空軍司令官だったエジプトにも言えることかも知れんけど,途上国では陸軍と海軍・空軍ってのは微妙に距離があるような感じ.
住民を鎮圧するのは普通は陸軍なんだけど,陸軍は庶民出身が多い
(貧困層でも軍に入れば生活は保障される,ただし海軍や空軍は機械を扱うから,教育受けてないと入るの難しい)
からか,同じ軍部とひとまとめにするのは難しいんだろうね.
あと,特殊部隊とか特別編成の隊があって,ここが必要以上に幅を利かせてると,主流派とは齟齬を来しやすい.
これで最終的に軍が動けなくなったのが,1998年のインドネシア.
Ryuju ◆RlujhF6VrA [sage] 投稿日:2011/03/01(火)
(軍事板に転載)
青文字:加筆改修部分
マルタ島ルカに飛来,亡命したリビア軍ミラージュF1
翼下に装備しているのはマトラM-155 ロケットランチャー
faq110223lb3.jpg
faq110223lb4.jpg
faq110223lb5.jpg
ゆずこせう in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2011年02月23日 08:33
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