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◆◆◆◆ペトレイアス(2007年2月)以降
<◆◆◆イラク戦争
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「guradian」:ティム・コリンズ英陸軍大佐によるデイヴィッド・ペトレイアス将軍評
「tnfuk」:Iraq Inquiry (Chilcot Inquiry) 始まる
「VOR」◆(2012/03/02)露大統領;イラクが民主的独立国家となるよう支援を約束
「WP」◆(2010/2/19)War in Iraq will be called 'Operation New Dawn' to reflect reduced U.S. role
「WP」◆(2010.2.23)U.S. plans for possible Iraq exit delay
「WP」◆(2010.3.11)U.S. military reassesses election violence in Iraq
「ワレYouTube発見セリ」:Iraq, April 2006
【質問】
ISG報告書の内容は?
【回答】
2006/12/6にブッシュ大統領に提出された諮問委員会の提言「ISG報告書」のエッセンスは以下の通り.
・イラク情勢は深刻.悪化を続けている.
最も重要な提言はイラクと周辺国が新しく外交・政治努力を呼びかけること
・イラク駐留米軍は2008年初めを目標に,大部分の戦闘部隊の役割を完了すべし.
・駐留米軍は治安維持,戦闘主体から,イラク治安部隊訓練などの支援任務に移行
・米国はイラクで大規模部隊を無期限に展開すべきではない
・イラクのことはイラク人に任せよ.米はそれを裏から支える役割に徹するべき
・イラク国民が治安を改善できなければ,米政府はイラクの政治・軍事・経済面での支援を削減する
・イラン,シリアとの直接対話を実現し,周辺アラブ諸国を含む支援グループを形成すべき
・イスラエル,パレスチナ問題を含む包括的中東和平の実現が必要
・実現に当たっては米の行政府と立法府の協力が不可欠.米国民の連帯がすべての鍵を握っている.
〔略〕
ちなみにISGのメンバーは以下のとおりです.
共同座長
ベーカー元国務長官(共和党)
ハミルトン元下院外交委員長(民主党)
メンバー
イーグルバーガー元国務長官(共和党系)
ミース元司法長官(同)
オコーナー元連邦最高裁判事(同)
シンプソン元上院議員(同)
ペリー元国防長官(民主党系)
パネッタ元大統領主席補佐官(同)
ロブ元上院議員(同)
ジョーダン元大統領顧問(同)
この報告の問題点としては,以下のような点が指摘されている.
以下引用.
軍事専門家達に言わせると,一番の問題は,イラク軍を治安維持作戦ができるように教育訓練することが容易ではないことです.
米軍ですら,叛乱分子やテロリストの脅威と戦うのは得手ではないところ,イラク軍は文字通り1980年代のイラン・イラク戦争時代の,一般住民のことなど考えずに敵軍と戦場で戦うという観念にとらわれており,治安維持作戦においては,一般住民を敵に回さないようにしなければならない,ということを体得させることは容易ではない,というのです.
だから,イラク軍に一応の教育訓練を施した後も,イラク軍に米軍の戦闘部隊と共同作戦を行わせることによって,治安維持作戦能力の向上を図る必要があるのに,米軍の戦闘部隊を報告書のように急速に撤退させてしまうと,その機会を奪うことになってよろしくない,というのです.
2008年までに,イラク軍と連携すべきイラクの警察・ガバナンス・刑事司法システムが整備され,機能するようになる可能性がない状況下においては,なおさら,イラク軍と連携する米軍の戦闘部隊の存在は不可欠だ,と軍事専門家達は力説しています.
軍事専門家達はもう一つの問題も指摘しています.
それは,米軍の実戦部隊がイラクから撤退した後,報告書ご推賞のように,引き続き数千人の米軍顧問がイラク軍と行動を共にするとなると,彼らが狙われて殺されたり人質にとられたりする懼れがあることです.
(以上,ニューヨーク・タイムズによる.)
太田述正コラム #1554 ( 2006.12.8 )
同コラムを無条件に信頼することには問題があるが,上記引用部分に関しては,ソースが明示されており,信頼しても問題ないと愚考する.
【質問】
クルド人勢力がISG報告受け入れを拒否したのは何故ですか?
【回答】
イラク北部のクルド人自治区のバルザーニ議長は8日,「イラク研究グループ(ISG)」がまとめたイラク政策見直し報告書につき,「受け入れられない」とする声明を発表しました.
⇒キルクーク(産油都市)の住民投票を延期すると示唆する内容だからです.
同自治政府はキルクークの併合を目指しています.
ちなみクルドによるキルクーク併合は,イラク国内のアラブ系勢力および隣国トルコから反対されています.
特にトルコは,もしクルドがキルクークを併合する場合,軍事干渉するとの構えを見せています.
ちなみにISG報告についてもう一方の巨大勢力シーア派は受け入れる方針です.
【質問】
イラクは2007年現在,内戦なのか?
【回答】
内戦だと言える.
米国防総省が2007/3/14公表した,議会に提出したイラク治安情勢に関する報告書によれば.昨年十月から十二月の三ヶ月間での駐留米軍・民間人に対する攻撃回数や犠牲者は二〇〇三年以降最悪のレベルとなり,
「一部は内戦と表現することが妥当」
と指摘しています.
この報告書は三ヶ月ごとにまとめられるものです.
エッセンスは以下のとおりです.
1.紛争の諸相が変化している
⇒イスラーム教スンニ派武装勢力による米軍等への攻撃からシーア派,スンニ派両派の主導権争いや組織的犯罪へと変化している
2.内戦という言葉で紛争の複雑さを十分表現できないが,宗派対立,難民発生などの点で内戦に相当する.
3.バグダッドでの攻撃は,一日平均四十五件にのぼり,周辺三州を含め,攻撃全体の八割を占めている.(昨年十一月〜今年二月)
4.バグダッド等で,アルカーイダとシーア派民兵組織「マハディ軍」が影響力を誇示しあっている.
また,世界銀行による「内戦」の定義に照らしても,内戦であることは間違いない.
【質問】
ペトレイアスはどんな人物か?
【回答】
ペトラユース(David Howell Petraeus.1952年〜)米陸軍中将は,先の大戦中に米国に避難してきたオランダ人船長の息子として生まれ,米陸軍士官学校のすぐ近くで育ち,この学校に入学します.
やがて彼は米陸軍指揮幕僚大学校を首席で卒業します.
更にプリンストン大学で国際関係論の博士号を取得します.
〔略〕
その後彼は,暴発した小銃の弾が当たって緊急手術を受けて一命をとりとめたり,60フィート上空でパラシュートがこわれて地上にたたきつけられて骨盤を骨折したりします.
〔略〕
ボスニア紛争の経験があったペトラユースは,2003年の対イラク戦の時に米101空挺師団を率いて5月にイラクの北部地方の都市モスル(Mosul)を占領した際,指揮下の約20,000人の兵士でもって現地の治安を見事に確保し維持したことで一躍その名を米国で知られるようになります.
彼は,占領後わずか一週間以内に市評議会(city
council)の選挙を行い,学校の清掃,工場の再開,地面の穴ぼこの補修,レクリエーション・プログラム作成のための資金を供与しました.
しかし,そんなことは軍人ではなくソシアル・ワーカーの仕事だと考えていた,当時のラムズフェルト国防長官以下の国防省上層部は,冷ややかな目でペトラユースを見ていました.
また,ペトラユースは,米軍兵士に市街を警官のように巡回させるとともに,兵士を市街の中に分屯させました.
兵士にイラク市民に敬意を持って接するようにも指導し,ドアを蹴破るのではなく,ノックをするように改めさせました.
作戦行動をとった後には,近隣地区に特殊任務部隊を送って残骸を片付けさせたり損害賠償を行わせたりしました.
要は,作戦行動で敵を一掃する際には,それより多くの敵を生み出さないように細心の注意を払ったということです.
こうしてペトラユースは,フセインの二人の息子を追いつめ,射殺することができたのです.
ところが,2004年1月にラムズフェルトは,モスル地区駐留米軍を101空挺師団から,できたてほやほやのストライカー旅団(コラム#1616)に置き換えたのです.
この旅団には兵士が5,000人しかいなかったこともあり,市街を歩いてパトロールをすることはなくなり,装甲車両で駆け抜けるだけになってしまいました.
そして米軍は,建設者としてではなく占領者として,市民生活を全面的にイラク人の手に委ねたのです.
この結果,何ヶ月も経たないうちにモスルはむちゃくちゃになってしまいました.
その年の6月にペトラユースは,イラク軍を訓練する多国籍軍部隊(the
Multi-National Security Transition Command)の責任者に任命されます.
そして2005年9月には彼は米陸軍統合軍事センター(U.S.
Army Combined Arms Center=CAC)(注2)の司令官に任命され,ここでペトラユースは,対叛乱作戦教範(The
counter-insurgency warfare manual)の編纂を行うのです.
(注2)指揮幕僚大学校のほか17の学校,センター,訓練プログラムを所管している.
昨2006年に出版されたこの教範には,
「より多くの部隊を用いれば用いるほど,その効果は減少する」
とか,
「部隊を守ろうとすればするほど安全ではなくなる」
といった禅問答めいた箇所が含まれています.
また,教範の中で具体的に記述されている戦術は,1990年代にニューヨーク市警等で採用され,犯罪防止に劇的な効果があったとされる戦術と似ています.
そして,このような戦術をとるためには,兵士はこれまでのように命令に従っているだけではダメで,創造的な意思決定ができなければならないことが強調されています.
今回のイラク米軍増派案は,将官クラスではペトラユース自身の他,(ブッシュ大統領が昨年12月に面談した専門家達の1人である)キーン(Jack
Keane)元米陸軍参謀副長,佐官クラスでは(ペース統合参謀本部議長が昨年秋に設けた佐官諮問会議のメンバーである)マクマスター(H.R.
McMaster)(コラム#1615) やマンスール(Pete
Mansoor),そしてキーンとともにイラク戦略に係る提言を発表してきたアメリカン・エンタープライズ・インスティテュート(AEI)のネオコン研究員のケーガン(Fredrick
Kagan)らのアイディアです.
(以上,
ワシントン・ポスト(1月8日アクセス),
タイムズ(1月13日アクセス),
ガーディアン(1月13日アクセス),
BBC(1月27日アクセス),
及び
英語版ウィキペディア(1月28日アクセス)
による.)
〔略〕
太田述正コラム#1641(2007.1.29)
同メール・マガジンは,情報源としては問題ある部分もあるが,上記情報についてはソースが明確であり,事実関係については特に疑う理由はないと愚考する.
ネットでは,
イラク多国籍軍司令官・Petraeusの記者会見ビデオ(63分34秒)
Pentagon Briefing 26 April 2007
GEN David Petraeus
Multi-National Force-Iraq Commander GEN David
Petraeus speaks with reporters at the Pentagon,
providing an update on ongoing security operations
in Iraq.
というPetraeusの記者会見ビデオが公開されている.
これはペンタゴン・チャネルで,下部のリストから「Pentagon Briefing 26
April 2007」を選ぶことで見ることが出来る.
これを見ると,この人のスタイルが伺えて大変興味深い.
派手な格好をつけるタイプの軍人の逆で,ローキーなスタイルだけれど,イラクで起こっているポジティブな変化をしっかり述べながら,
「しかしまだまだやるべきことが山積している,今後被害も増えるだろう」
と,全く楽観的ではないコメントをするあたりが実に渋い.
Q&Aの中で,イラクのアルカイダがシリア経由で国際的なアルカイダのネットワークに深くつながり,世界的アルカイダ運動の中の中心的戦闘地域になっていて「センセーショナルなテロ」を繰り返している,と述べている. 月当たり何ダースもの外国人テロリストがイラクに来ているという.
また,アルカイダの「センセーショナルなテロ」が,多国籍軍の一歩一歩積み上げているポジティブな動きをメディアから見えにくくしている,とも述べている.
この,記者とのQAは,しばしば(周波数が)食い違っているような気もする.
Petraeus は現場のファクトベースの現実的な話(慎重な)をしているけれど,メディアは政治的スピンで,何らかの原質をとろうとしていて滑稽に見える.
Petraeusの立場は政治的スピンや,そういう議論に踏み込まないし興味も無い,と言った風に見えて,軍人と,スペキュレーション命のメディアの食い違いがくっきりしている.
イランの工作部隊のイラクでの活動についても明確に述べていて,イラクでのイランの撹乱工作の文書などの証拠を押収していると言っている.
シリアについてはアルカイダのテロリストの主要なイラクへの移動径路になっていると明言している.
Petraeusは,イラクでのテロリストの壊滅作戦をこれから拡大するので,その作戦に伴い,アメリカ軍やイラク軍の被害は大きくなる,と明言している.こういうことを記者の前で平気で言うあたりが,この人の面白さとも思える.
この1時間余りの記者会見ビデオを見た,全体としての感想は,アメリカ軍は大変優秀な,面白い指揮官を持っていて,ラッキーなことだ,といったもの.
この人は,アメの大企業や組織の高位にいるような大物ぶったキャラクターではなくて,一見したところ爪を隠すタイプのようで,話し方にも慎重なところがあるけれど,知識と経験は矢鱈豊富でアタマの回転はすばらしく速いというもので,到底記者(ごとき)のかなうところではないような.
マックス・ブートが
「ブッキッシュな知識人(国際関係学のPh.D.)でありながら,行動派の現実的な軍人」
と書いていることの意味がわかるような気がする.
Can Petraeus Pull It Off?
A report on the progress of our arms in Baghdad,
Baqubah, Ramadi, and Falluja.
ウイークリー・スタンダード:イラクの現状評価,Petraeusは上手くやれるか?
by Max Boot 04/30/2007, Volume 012, Issue
31
という記事は,CFR(外交評議会)のシニア・フェローで外交,政治評論を書いているマックス・
ブートによる,イラクの現状評価.これは4月初旬に2週間のイラク視察を行なった結果をまとめたもの.
視察(取材)とはいえ,部隊と行動を共にしてバクダッド,ラマディ,ファルージャ他をみており,イラク多国籍軍Petraeusの指揮官と会談していて,マジなレポートになっている.
現地取材して前線の部隊と行動を共にする外交評論家というのもアメリカらしい話なのだけれど,マックス・ブートのイラク取材は何年も前から定期的にやっていて,Petraeus司令官とは数年前からの知りあいだという.
ラマディ,バクダッド,ファルージャの現状が楽観でも悲観でもないタッチで書かれている.
ラマディはアルカイダ(Islamic State of
Iraq.)がその「首都」を宣言していた根拠地であるが,3月には完全にアルカイダ勢力を駆逐して安全になったと書いている.
バクダッドも市内からはアルカイダなどの過激は勢力が駆逐されたが,バクダッド郊外からの自動車爆弾攻撃は続いている.
スンニ派のマジョリティを占めるラマディの報告が興味深くて,地域の住民は多国籍軍が「完全に」勝利することを確認するまでは協力しない,と書いている.さもありなん.
地域の住民が(アルカイダの復讐を怖れず)多国籍軍に協力したり,諜報情報を提供するようになっているのは完全な駆逐の証拠なのだという.
後半部に,マックスブートの知り合いであるPetraeus司令官について書いていて,この軍人の姿を印象的に描いている.
文武両道の人のようでプリンストンで国際関係学のPh.D.をもち,本も書いているというブッキッシュな面と,若い部下と力比べを楽しむような
行動派の軍人の両側の側面がある.ローキーな姿勢でもったいぶらない男だと言う.
何度かの事故で命を落としそうになって,大きな手術を受けて回復している.
Petraeus司令官はブッシュ大統領と,週一回,衛星回線のビデオで報告をかね会議をすると書いている.
この報告は,イラク特殊部隊の養成の現状(上手く言っていると書いている)からイラクの政治情況まで,様々な要素に言及していて,イラクの現状の明るい面と暗い面を書いているけれど,全体の評価は悪くないもので,困難が続くが新しい希望がある,といったところ.
【質問】
イラクに配備されたV-22 オスプレイは使い物になるのか?
【回答】
Combat, With Limits, Looms for Hybrid Aircraft
NYT:V22のイラク配備で懸念が広がり,用途は限定的
By LESLIE WAYNE Published: April 14, 2007
という記事によれば,この開発中の航空機が,如何に問題が多いかを書き連ねている.
NYTの記事だけあって,思いっきりネガティブなものになっている.
この記事には7分51秒のビデオが添付されている.
これはV22の飛んでいる映像や,事故を起こした際の映像などとともに,V22計画を批判するコメントのちりばめてあるもの.
批判はともかくとして,飛んでいる映像や事故映像は興味深い.
▼ その後,VM-22実戦投入後にGAOは,イラクでのMV-22の活動について,以下のように評価した.
------------
米 GAO (Government Accountability Office) が,V-22 Osprey に関する報告をまとめた.
先に海兵隊が実施したイラク派遣では,比較的脅威度が低い環境下で速度性能・航続性能が改善されたメリットを発揮できたと認めている.
ただしその一方で,以下のような問題点・疑問点を提示.
* コンポーネントの不具合やサプライチェーンの不備に起因する稼働率低下 (イラクに展開した 3 個飛行隊がそれぞれ,68%・57%・61%.目標値は 87%.CH-46E は 85%)
* ローターを折り畳んでも CH-46E より大柄なので,揚陸艦に CH-46E なら 12 機搭載できるところが,MV-22 だと 10 機しか搭載できない
* ローターが発するダウンウォッシュが強すぎて危険
* 現時点でヘリコプターが担当しているすべての任務を置き換えられるほどの適合性・有用性があるのか
* 機動性や状況認識に関する制約が,脅威に対して適切な回避行動をとる際に影響しないか
* NBC (Nuclear, Biological, and Chemical) 環境下,あるいは高標高地域や悪天候下で課せられる運用制限の存在
また,コストについても,当初は 10 年がかりで 1,000 機ほどを製造して単価 3,770 万ドルを見込んでいたものが,調達機数が半減して単価は 9,340 万ドル (+148%) に上昇 (全機を揃えるのに 250 億ドルかかるとしている),
RDT&E (Research, Development, Testing, and Evaluation) コストは 200% 以上も上昇,運用経費も倍増して 1 時間あたり $11,000 に上昇した,と指摘.
その上で,海兵隊のヘリ戦力構成について再評価を実施して,V-22 以外の機体で代替できないかどうか検討することと,V-22 の運用コスト低減に向けた戦略を策定することを勧告している.
この勧告を受けて,米下院・政府改革委員会 (House Oversight and Government Reform Committee) では,委員長の Edolphus "Ed" Towns 議員 (D-NY) が V-22 の製造中断を主張.
「V-22 にできないことのリストは,V-22 にできることのリストより長い」
とコメントしている.
http://www.kojii.net/news/news090626.html(リンク切れ)
------------
軍事板,2009/06/27(土)
青文字:加筆改修部分
一方,青木謙知は,イラクでの「アスプリー(オスプレイ)」の活動について,以下のように評価している.
------------
この作戦で際立ったのが,同様の任務に使用されているCH-46Eに対して,遥かに優れた搭載/航続距離能力を示したことである.
標準的なミッションでは,CH-46Eは兵員12人を乗せて75nmの戦闘行動半径しかないが,MV-22Bは24人を乗せて325nmの戦闘行動半径を得ていた.
勿論飛行速度も大幅に速く,より速やかに,より多くの人員を,より遠くに運ぶことができる能力を実証したのである.
また,活動初期の2009年4月までの実績では,12機が作戦に参加し,4600以上の戦闘ソーティを実施して,その飛行時間は9700時間以上であった.
飛行頻度は月平均48時間で,98%のミッション達成率を記録した.
ちなみにこの間に輸送したのは,人員4万人以上,物資1134t以上であった.
また,OIF〔「イラクの自由」作戦〕でVMM-266所属のVM-22Bは,長距離の後送ミッションも実施した.
これは,展開先であるイラクのアル・アサド基地からトルコのボーダーとインシルリクを経由して,クレタ島のソウダ・ベイへ飛行したというもので,距離1179nmを5時間半で飛行している.
------------青木謙知「夢のティルトローター『オスプレイ』の今」(『丸』 2011年12月号),p.98
▲
【質問】
イラクに増派された米兵は,どういう任務に投入されるのでしょうか?
武装集団対策なら,ヘリボーンできる部隊とか特殊部隊の増派のほうがいいのでは?
【回答】
バグダッドに5個旅団,アンバル州に2個大隊投じられる予定.
バグダッドへ向かう部隊は,ごく小さい単位でイラク治安部隊の警察署などに拠点を構えて,地区を巡回する.
つまりおまわりさん役というか,イラクのおまわりさんや軍部隊など各種治安部隊と組んで治安を回復するのを目的としている.
特殊部隊はすでに手一杯.
アフガニスタン,フィリピン,アフリカの角,ソマリア,グルジア,イラクとあちらこちらで使われまくっているので,規模を増強する掛け声はあれども,増派というのは難しいというのと,特殊部隊の派遣はあまり声高に叫ばれないので報道で追いにくいというのがある.
また,ヒット&アウェイのテロリスト相手には,ヘリボーンのしようがない.
地元軍は敵対宗派に対抗するのに大忙しの民兵集団だったりする上,やはり急ごしらえで,能力は優れているとは言い難い.
誰かが『軍事研究』に書いてたが,撤退するにしても一旦きっちり締め上げて,なんだか治安ができたみたいにしてから逃げないとかっこ悪い〔国家の威信に関わる〕.
で,イラク・クオリティの治安維持をしようとすると軍隊と言うことになる.
【珍説】
■ラムズフェルド追放くらいで満足するな
〔略〕
〔ラムズフェルド国防長官〕更迭劇もフセイン裁判と同じく,批判をかわすためのパフォーマンス的な色合いが濃いと思われる.
イラク戦争開戦,そして占領の継続を推し進めてきたのは,他でもない大統領その人なのだから.
【事実】
第1に,ラムズフェルドは以前から辞職を求めており,辞任はそれが認められたに過ぎません.
第2に,ラムズフェルド辞任後の,ペトレイアス司令官任命,および3万人増派を見るに,単なるパフォーマンスではなく,
「今までのやり方は失敗だった.やり方を変えよう」
というものである可能性が最も高いでしょう.
詳しくは上記のそれぞれの項目を参照されたし.
written by エリック・シンセキ(うそ)
【質問】
2007年からの米軍の兵力増強に対する評価は?
【回答】
比較的リベラルで,外交評論のベテランであるDavid
Ignatiusでさえ,バグダードで宗教対立暴動が減少した点については評価している.
だが一方,困難なことはイラク国内の宗派や民族の和解と,統合政府の構築にあると見ている.
After the Surge
The Administration Floats Ideas for a New
Approach in Iraq
WaPo」イラクへの兵力増強作戦の後で
By David Ignatius Tuesday, May 22, 2007;
Page A15
という評論によれば,ひとまず宗教対立暴動の沈静化(特に首都において)が成功しているので,今後の政策
オプションをどうするかについてブッシュ政権内部で幾つかの政策議論があると書いている.
(全面撤退ではなく,妥当な程度の安定を保ったアメリカ軍の削減の有り方とか)
David Ignatiusによれば,こうした安定化コースが上手くいくかは,二つの点にかかっている.
第一はマリキ政権がイラク国内のコンセンサスを作り上げ,より強い政権基盤や支持を得られるか.
第二にはアメリカ国内でブッシュ大統領とペロシ議長などの民主党が適切な(国益上の観点からの)妥協に進めるかどうかだと言う.
以下引用.
----------------------------------------
The wild cards in this new effort to craft a bipartisan Iraq policy are the Republican and Democratic leaders, President Bush and House Speaker Nancy Pelosi.
They both say they want a sustainable, effective Iraq policy, but each is deeply entrenched in a partisan version of what that policy should be.
America is in a nosedive in Iraq. Can these two leaders share the controls enough that Iraq will become a U.S. project, rather than George Bush's war? There's a bipartisan path out of this impasse, but will America's leaders be wise enough to take it?
----------------------------------------
このDavid Ignatiusの評論はペロシらの反戦左派のイラク政策の非現実性を,インプリシットに批判するトーンがあるようにも思える
(ただしブッシュ擁護でもないけど)
David Ignatiusはリベラル傾向の人に見えるけれど,NYTのような極左反戦志向の評論家とはレベルの違うベテランなので,イラクの兵力増強作戦の評価すべきところは冷静に評価し,問題点を指摘するという態度で,それなりに落ち着いて読める評論になっている.
また,
Beyond the surge
An Iraq plan should be in place now for what
comes next
AFJ:イラクの兵力増強の次に来るべきもの
BY JOSEPH J.COLLINS
という記事は,前防衛省副次官補,国立軍事大学の軍事戦略の教授という軍人のプロの書いている,ストレート・フォワードなイラクの軍事戦略論.
論旨は明快で,参考になる.
To succeed, this plan would require a force
of about 32,000 troops in Iraq, as well as
a regional stability force of 35,000 troops
in Kuwait. Along with regional air and naval
assets, forces in Iraq would be divided into
an advisory element of 10,000 officers, NCOs
and civilians to train and advise Iraqi military
and police forces; an in-country protection
and support force of three mobile brigades
(roughly 15,000 troops) to serve as in extremis
combat force and as a second line of U.S.
protection for advisers and reconstruction
teams; a 2,000-soldier Special Forces element
to combat foreign terrorists in Iraq; and
a 5,000-person headquarters, logistics and
air-support element.
〔略〕
Regardless of strategic options, the U.S.
should step up diplomacy with its friends
in the region. Specifically, the U.S. could
ask them for more help in training Iraqi
police and military forces and participation
in the regional stability force in Kuwait.
We should also talk directly to Iran and
Syria, but it won't be pleasant. Allowing
insurgents, Iranian special forces, or weapons
and explosives to cross into Iraq is beyond
the pale and, when verified, should become
the subject of immediate, proportional counteraction
by the coalition.
【質問】
2007年2月からのバグダード治安回復作戦の状況は?
【回答】
「民間犠牲者8割減」治安作戦の成果を強調…イラク軍
読売新聞,2007年3月15日11時57分(カイロ=柳沢亨之)
という記事によれば,民間人犠牲者は8割減少,武装勢力の死者・逮捕者は4倍増となったとしている.
イラク軍のムサウィ報道官は14日,首都バグダッドで記者会見し,イラク,米両軍が2月14日から大規模な治安作戦を行っている首都で,1か月間の民間人犠牲者数は265人となり,作戦開始直前の1か月間と比べて約8割減少したと語った.
〔略〕
また,報道官によれば,作戦開始後の1か月で武装勢力の死者数と逮捕者数はそれぞれ94人,713人と,作戦開始前と比べ,ともに4倍以上の増加を示しているという.
一方,駐留米軍のコールドウェル報道官は14日,別の記者会見で,2月の首都での車爆弾テロの被害が過去最悪を記録した,と語った.
具体的な件数や死傷者数は明らかにしなかった.
ただ,過去1か月の暗殺テロ件数は,作戦開始前の1か月と比べ,半減したという.
この2月から2ヵ月間の作戦については,AEIが以下のような評価を出している.
Friends, Enemies and Spoilers
Two Months in, the Consequences of the Surge
AEI:イラクの兵力強化・治安向上作戦の2ヶ月の評価
By Frederick W. Kagan Posted: Monday, April
23, 2007
さすがにAEIの研究者だけあって,うまいまとめ方でリスクや問題点の整理にも目が行き届いている.
Frederick W. Kaganの評価では昨年12月がイラクの状況が最悪であって,2月以降の治安回復作戦は幾つかの面で見るべき成果を上げているが,問題点が無いわけではない.
しかし,この作戦は有効であるので,今これを諦める手はないという.
以下引用.
Today, victory is up for grabs, and the stakes for America are rising as the conflict between us and al Qaeda shifts to the fore. It is no hyperbole to recognize that a precipitous American withdrawal would undermine the current positive trends and increase the likelihood of mass killing and state collapse.
Painful and uncertain as it is, the wisest course now is to support our commander and our soldiers and civilians, as they struggle to foster security in Iraq and to defeat the enemies who have sworn to destroy us.
今日では勝利は手の届く獲得可能なものであり,アルカイダとの対立が前面にシフトして,アメリカにとって掛っているものがより大きくなっている.
今,急にアメリカ軍を引き上げるようなことをすれば,現在のポジティブな状況は悪化し,大量殺戮や国家崩壊の可能性を高めるといっても誇張ではあるまい.
不確定で困難ではあるのだが,最も賢明な選択は我等の指揮官と兵士ら,そして民間人らを支持し,我等を滅ぼすと宣言している敵に対抗する彼らの戦いを支持することである.
御徒町のギャラリーで土日のみ開催の12インチカスタムフィギュアの展覧会,「CUSTOM FIGURE EXHIBITION 2007」より
現用米軍は相変わらずの人気で,これも『SpecFIGURES
3』に特集された,イラクのSEALSチームの競作など,写真でみると1/6だと言う事を忘れそうな,精密な出来映え
よしぞう maro' in mixi,2007/11/25/06:20
青文字:加筆改修部分
【質問】
2007年4月からのバクダッドの治安回復作戦はどんなものだったか?
【回答】
4月9日付,「ビル・ロジオのイラク報告」
The Baghdad Security Operation Order of Battle
April 9, 2007,By DJ Elliott, CJ Radin and
Bill Roggio
から,バクダッドの治安回復作戦の現状について,詳しい報告.簡単にまとめると:
1)バクダッド治安回復作戦は上手く進行していて,3月29日のマーケットの自動車爆弾事件以降に,大規模なテロ事件は起きていない.
2)アルカイダの主力戦闘部隊は,ラマディやキルクークのような地方都市に移動している.
3)バクダッドの治安回復作戦の特色は,地域住民の中にイラク治安維持部隊とアメリカ軍の共同で作った「治安ステーション」(JSS,The
Joint Security Station) とか「戦闘アウトポスト」(COP,Combat
Outpost)を設置して,地域からテロリスト を締め出し,テロ行動をしにくくするような体制を作ること.
54のJSS+COPを設置 して,JSSは成功していると評価されている.
4)JSSがたいへん上手く機能しているので,これを拡大する計画.(54→76→104)
5)先週,アルカイダの上位のテロリストを3人殺害,拘束した.
一人は有名なリーダーでリビア生まれの,Abu
Bara'a Al Libi である.
他に,バクダッドのアルカイダのゲート・キーパーとされるテロ指導者と,自動車爆弾製造工場の指導者が拘束された.
6)地方のアルカイダとの戦闘ではDiyalaでテロリスト30人殺害28人拘束,爆弾貯蔵所多数を押収した.
7)モスルについて,先週のオペレーションで179人のテロリスト拘束,8人殺害.
8)ディワニヤではアルカイダではなく,サドル派のマハディ軍の停戦に応じない武闘派グループが集結し,武装闘争の基地を作ろうとしていて,アメリカ軍,イラク軍が攻撃中.
サドル師はイラク軍とアメリカ軍に停戦を求める声明を発表.
39人拘束,何人かが殺害された模様.
9)ナジャフの「マス・デモンストレーション」は報道によってデモの規模がまちまちで,中東オンラインのように数十万人とするものもある.
アメリカ軍は地上および航空監視によりデモをモニターしていて5000〜7000人としている.
10)イラク政府,マリキ政権はバクダッドの治安回復を喜び,歓迎している.
サドル派の分裂についても政府は歓迎している.
多国籍軍はイニシアチブを奪還し,地方のアルカイダへの戦闘を広げている.
しかしその後,6月30日付のビル・ロジオのイラク報告,
Half of Baghdad Secured
バクダッドの半分を治安回復
By Bill Roggio on June 30, 2007 2:02 PM
によれば,6月29日にバクダッドで記者会見したJoseph
Fil Jr.少将はバクダッドの治安回復に触れて,474個の“mahalas”(地元の隣組)がありテロリストの掃討が進んでいるとしたという.
4月にはバクダッドの19%の治安回復がなされ,35%について作戦進行中で,41%には手がついていない状況であったとする.
「この数字は今日では大きく改善されて,48%が治安回復達成,7%が治安回復の最後の段階で,36%が作戦進行中,16%にはまだ手がついていない.
つまり,2ヶ月余りでバクダッドの治安回復が大きく進み,4月の19%が6月の48%に向上し,手がついていない部分は4月の41%が6月の16%に減少し,35%が治安回復進行中である」――.
つまり逆に言えば,4月の作戦でも多くともバグダードの半分しか治安回復できなかったということになる.
また,同ブログによれば,
「バクダッドの治安回復は,バクダッド市内のアルカイダ一掃で完結しない.
バクダッドを取リまくベルト地帯のDiyala県やAnbar県のアルカイダ根拠地を一掃しないとテロリストのバクダッド攻撃はやまない.そのために,現在のオペレーション・ファントム・サンダーが進行している.
バクダッドでは,残された西部のRashid地区やサドル・シティが今後の目標であろう.
しかし,より大きな戦いはバクダッドを取り巻く地域のアルカイダ根拠地の一掃である」
とのこと.
この記事で,ビル・ロジオの参照しているJoseph
Fil Jr.少将の記者会見は,イラク多国籍軍のオフィシャルな発表では↓
Coalition, Iraqi troops fight terrorists
Saturday
30 June 2007
U.S. Army Maj. Gen. Joseph F. Fil Jr., speaking from Iraq, told Pentagon reporters that the overall trend lines in the city are positive. “The number of attacks, first of all, has come down,” he said. “The effect of those attacks has come down significantly.”
【質問】
2007年4月13日から始まったという.イラク・アルカーイダによる反撃作戦の中身・動機は?
【回答】
2007年4月18日付.ビル・ロジオのイラク報告,
Al Qaeda on the Offensive
によれば,バクダッドの治安回復作戦で進歩が見られルようになったことに対する,また,彼らがバクダッド市内から駆逐され,アンバール県での部族の支持も失ったことに対抗する反撃
この攻撃では,郊外のアルカイダの拠点(Diyala)から自動車爆弾とテロリストが送り込まれて,チグリス河にかかる幾つかの橋,イラク議会,シーア派とクルド族のバクダッドのマーケット,モスクなどが標的にされた.
大規模な自動車爆弾で,最大規模の民間人の殺戮を狙っている.
ビルロジオに拠れば,このアルカイダの反撃は:
1)メディアとアメリカ国民などへの,イラク状況の混迷を印象付け,アルカイダの退潮(最近のシーア派との分裂など)をカバーするイメージを作る.
2)アメリカ軍とイラク治安部隊が,バクダッドとその近郊の治安改善作戦をやっていて,Diyalaに手をつけるのが6月以降になることを計算している.
アメリカ軍のイラク治安回復作戦の失敗のイメージを早期に作る必要がある.
3)シーア派などの宗教対立感情を刺激すべく,モスクやマーケットを狙い,大規模な民間人殺戮を行なう.
ビルロジオは,アルカイダの攻勢に対してクイックレスポンスが必要で,アメリカ本土からの増強兵力の到着を待つのでは遅すぎになると主張している.
ニュース極東板
【質問】
5月の,スンニ派地域で行われた治安回復作戦の状況は?
【回答】
イラクの戦場から報告を送っているので有名なフリーランスのジャーナリスト
MICHAEL YONが,ブロガーのインスタプンディットに,アンバール県から送った電子メール
MICHAEL YON EMAILS FROM ANBAR:
May 16, 2007
によれば,良い方向への変化が起こっているとしているが,大喜びというほどでもないという.
以下引用.
Every thing I am seeing in Anbar does support that there has been a very positive change out here. Attacks are way down, and lots more volunteers for police and Army. (Mostly police.) Marine officers and NCOs I talk with are optimistic -- measured and not jubilant -- but optimistic that if they keep getting good support, they can keep up the good progress. Just don't cut off support too soon, or declare victory too soon. Still lots of work to go and tough days ahead.
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ここアンバール県(スンニ派地域)で見聞きしているものはポジティブな変化が起こっていることを裏付けるものだ.
攻撃はへり,
警察と軍に参加するボランティアが増えている.
私の会話した海兵隊の士官は楽観的ではあるが,大喜びと言うようなものでもない.
彼らは(アメリカ国内の軍のイラクでの行動への)支持が継続するのであれば引き続き成果を上げることが出来ると考えている.
だから,軍への支持(や予算)を今切り捨てるべきではない.
また,今の時点で勝利を宣言すべきでもない.やるべき事は多く残されており,困難な日々が続くだろう.
【質問】
Arrowhead Ripper作戦とは?
【回答】
2007年6月,バクダッド郊外のバクバを中心とした,アメリカ軍とイラク軍による,大規模なアルカイダへの攻勢.
同軍は,土曜日に55人のアルカイダを殺害したと発表.加えて過去数日間で28人のアルカイダがDiyala県で殺害されてているという.
詳しくは
U.S. and Iraq forces kill 90 al Qaeda in
offensive
Sat Jun 23, 2007 12:19pm ET147
を参照.
ニュース極東板・改
マイケル・ヨンの報告
Be Not Afraid
では:
Thoughts flow on the eve of a great battle. By the time these words are released, we will be in combat. Few ears have heard even rumors of this battle, and fewer still are the eyes that will see its full scope.
Collectively, it is probably the largest battle since “major hostilities” ended more than four years ago. Even the media here on the ground do not seem to have sensed its scale.
ビル・ロジオのイラク報告
The Battle of Baqubah II
June 19, 2007 9:38 AM
では:
Dubbed Operation Arrowhead Ripper, the offensive is massive in scale. This is a division sized operation of "approximately 10,000 Soldiers, with a full complement of attack helicopters, close air support, Strykers and Bradley Fighting Vehicles."
同じく<ビル・ロジオのイラク報告>の
An update on the Battle of Iraq
One Week of Operation Phantom Thunder
では以下のように記述している.
General Odierno visited the city and stated most of al Qaeda's senior leadership has fled, while lower level-leaders are believed to be trapped. “We believe 80 percent of the upper level [al-Qaida] leaders fled, but we’ll find them.” said General Odierno. “Eighty percent of the lower level leaders are still here.”
・・・・
The U.S. military commanders continue to state the operations will be ongoing through the end of the summer. The escape of Al Qaeda leaders and operatives from Baqubah and the southern belts will no doubt be touted as a failure in the plan, but this view demonstrates a lack of understanding of the fundamentals of warfare and the purpose of the operation.
・・・・
Second, the purpose of the Baghdad Security Plan and Operation Phantom Thunder is to deny al Qaeda Baghdad and the Belts, and to kill as many operatives and leaders as possible in the process. When al Qaeda attempts to regroup, it will be in the hinterlands, and in some cases, in regions less hospitable to its actions.
ちなみに,ビル・ロジオが分析で予言しているとおりに,そういう浅薄な記事を書いているメディアもある.
イラク米軍の掃討作戦前,アル・カーイダ幹部8割逃亡か (読売新聞)
【ワシントン支局】イラク駐留米軍は22日,米軍が今月中旬にイラク中部バアクーバで武装勢力の掃討作戦を開始したのに先立ち,市内に潜伏していた国際テロ組織アル・カーイダの幹部のうち8割が,バアクーバ市外に逃亡していたとの見方を明らかにした.
米政府が3万人規模の部隊を増派する方針を公表したことで,大規模な掃討作戦の計画が事前に敵に察知された可能性が高いという.[ 2007年6月23日23時36分 ]
こお記事は,バクバ市内に入って状況を確認したGeneral Odierno の言葉を引用したものなのだけれど,その引用自体が中途半端でいい加減なもの.
General Odierno visited the city and stated most of al Qaeda's senior leadership has fled, while lower level-leaders are believed to be trapped. “We believe 80 percent of the upper level [al-Qaida] leaders fled, but we’ll find them.” said General Odierno. “Eighty percent of the lower level leaders are still here.”
発言の後半部の重要なところを省くというのは,古典的な歪曲方式なのだけれど,読売記事にしてこの始末……
IBDは社説
http://www.ibdeditorials.com/IBDArticles.aspx?id=267405225211303
において,イラクで進行中の最大規模の作戦,Arrowhead
Ripperが,まともに報道されていないことについて,以下のように論じている.
Iraq War: You've no doubt heard of Paris Hilton, and of Rosie O'Donnell as well.
We're pretty sure you know what Barry Bonds is up to. But have you ever heard of Arrowhead Ripper? The likely answer is no.
But if that's the case, it's not your fault. Arrowhead Ripper isn't an athlete, a TV star or a person famous for being famous. It's the code name for a massive U.S.-led assault under way in Iraq's Diyala province ― an undertaking that has garnered token media coverage since it began Tuesday.
Surprisingly, only Reuters seemed to get what was going on. Its headline said: "U.S. troops set trap for militants near Baghdad."
(後略)
IBD社説の言うように,この件ではロイターが比較的マシなのだけれど,それでも前線に参加して記事を送っているマイケル・ヨンやビル・ロジオの分析に及ばない.
一つの原因はメインストリームメディアの記者が前線にいないことで,TVは絵が無い事件を報道しない.
良くも悪くも,TVメディアの限界がそのあたりに;
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