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<◆◆戦史 目次
<◆イラク 目次
<中近東FAQ目次
(画像掲示板より引用)
『検証 官邸のイラク戦争 元防衛官僚による批判と自省』(柳澤協二著,岩波書店,2013/3/20)
【質問】
イラク戦争において,ブッシュ政権のコアリション戦略は成功と言えるのか?
【回答】
マイケル・オハンロン Michale E. O'HANLON
によれば,実際は一国主義的な行動を取っており,明らかなミスだという.
以下引用.
[quote]
しかしブッシュ政権がイラク戦争直前,コアリションの形成によって一国主義のイメージを払拭することに成功したかと言えば,そんなことはない.
イラクに対して最後通牒を突きつけた時期,コアリションに参加していた国々の意向を殆ど聞き入れず,アメリカ一国の決断によって作戦を開始した.
これはブッシュ政権の明らかなミスだ.
コアリションと言う言葉を使ったにも関わらず,実際は一国主義的な外交政策を行使する結果となった.
[/quote]
―――『SAPIO』 2004/2/25号,p.23
事実,ブッシュ政権もその誤りに気づいたようで,その後は徐々に軌道修正を図っている模様.
気づくのが遅かったけれども.
【質問】
フランスやロシア,中国が最後までイラク攻撃に反対したのは何故ですか?
【回答】
イラクとの間の利権が絡んでいるからです.
「『食糧のための石油』輸出において,イラク政府に唯一自由が認められている余地は,輸出相手企業の選別であった.イラクは,どの国に石油を売るかを選択的に行うことで,イラクに対する政治的支持を,都国国連安保理常任理事国から得ようとした.
1996年末から2002年現在に至るまで,一貫して最も多くの石油購入契約を獲得した国はロシアであり,石油輸出量全体のほぼ3〜4割をロシア企業が買い取っている.フランスは2000年までそれに次いでいた.
また,イラク政府はこれらの国に対し,初めて外国企業の油田開発への参入を認めた.中国企業がクート南のアフダーブ油田(推定埋蔵量14億バーレル)開発計画,ロシア企業が西クルナ油田(150億バーレル)開発計画の契約を得ている.
つまりこの戦略は,イラクの経済制裁が解除されない限り実現しない油田開発という『餌』を,先進国企業の前にぶら下げる,というものであった.
こうしてイラクは,自国以上に制裁解除を待ち望む「制裁解除支持派」を,ロシア・フランスを中心として作り上げることに成功した.
ロシアやフランスが「親イラク・ロビー」としてイラクに取り込まれていった理由は明白である.これらの国はいずれも,70〜80年代に軍事輸出を含めてイラクへの最大の輸出国であったが,今もなおその代金を回収していない.ロシアの債権はソ連時代からのもので推定160億ドル,フランスが最低でも45億ドルと伝えられる」
(酒井啓子『イラクとアメリカ』,岩波新書)
また,米議会調査によれば,
「国連のイラク石油食糧交換プログラムをめぐる不正事件において,同プログラムの不正資金が渡ったのは,1999年1年間だけでロシアやフランスなどの政党,政治家など合計約50カ国約270に達し,特にフランスではシラク大統領の元側近や元内相など現政権にとっての重要人物が含まれている」という.
米国上院政府問題委員会の,国連イラク石油食糧交換プログラムの不正を追及する公聴会では,イラクでの大量破壊兵器などの調査にあたった米国政府調査団のチャールズ・ドルファー氏らも証言し,フセイン政権が同プログラムでの石油バウチャー(保証引換券)や不当リベート,食糧購入の不当リベートなどからの利益をロシアの有力政治家のジリノフスキー氏,フランスの元内相のパスクワ氏,国連幹部のスベン氏,シリアのジャーナリストのナナ氏らに贈っていた証拠を提示している.
なお,後にフランスは英米支持を表明している.
フランスが米英支持を明言
【パリ1日時事】 フランスのドビルパン外相は1日,当地のテレビ局とのインタビューで,
『対イラク戦争でわれわれは米国と英国の側に立つ』
と言明した.
戦争に反対していたフランスの政府首脳としては,ラファラン首相が先に,
『敵を間違えてはいけない』
と米英支持を示唆していたが,これだけ明確に表明したのはドビルパン外相が初めて.
戦後のイラク復興や,欧州安保などを見据え,米英との関係修復が必要との判断に加え,市民レベルでの両国での反仏感情の広がりを懸念したものとみられる.(以下略)」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030402-00000332-jij-int
【質問】
ドイツはイラク戦争にどんな協力をしたか?
【回答】
地中海には艦艇と海軍兵士を,クウェイトには大量破壊兵器早期発見探査機〔原文ママ〕と陸軍兵士110人を,トルコには空中警戒管制機と空軍兵士を派遣しており,医療チームも活躍している.負傷兵は海外では最大規模の,ドイツ南部所在の米軍病院で手当てを受けることになり,そのヘルプに携わるのだ.
さらに,イラク戦争で召集を受け,無人となった米軍基地におけるテロなど不測の事故防止のために,日夜警護に当たっているのもドイツ連邦軍である.
ちなみに,欧州における米軍の駐留規模は,ドイツがダントツの欧州一である.
米軍は欧州各国に駐留しているが,各国は嫌々それを受け入れているわけではない.駐留軍による地域への経済効果もあるが,最大のメリットは,米軍が持つ様々な情報を交換できる点にある.特に,大量の移民を抱えるドイツでは,このメリットは計り知れない.
表面上は対立しているように見えても,机の下ではガッチリ握手――これが国際政治である.国連での猿芝居を信じていても,現実は見えてこない.
(クライン孝子,ノンフィクション作家,from SAPIO 2003/4/23, P.49,抜粋要約)
【質問】
中国政府は,イラク戦争をどのように報道したか?
【回答】
中国国営の中国中央電視台(TV)は,共産党政権始まって以来,初めて24時間ぶっ続けで戦争報道を行った.
しかも,アメリカ側の戦果を挙げるだけでなく,この戦争は「正義の戦争ではない」と指摘し,米英軍の攻撃によってイラク国民に多数の死者が出たことを,ことさらに強調してみせた.
さらに重要な点は,中国中央電視台はイラク戦争の報道を,愛国主義や民族教育を高揚させることに利用したのである.
とりわけ中国指導部は,イラク政府の主権侵害の非道性を強く主張した.
これは,米軍の北韓攻撃を牽制するための布石ともいうべき「妙手」であろう.
(ウィリー・ラム,a journalist, from "SAPIO" 2003/5/28)
【質問】
イスラエルは,イラク戦争に対してどのような動きを見せているか?
【回答】
ニューヨーカー誌,セイモア・ハーシュ記者の記事によると,イスラエルはイラク北部のクルド人地区でクルド人に訓練を施している.
その目的は,
・シーア派の民兵に対し,均衡を保つため
・クルド人と協力することで,彼らをイラン,イラク,シリアに対する「イスラエルの目と耳」にするため
元イスラエルの情報部員の話では,
「イスラエルはサダムに対しバランスを取るため,敵の敵は味方ということで,クルド人を常に支援してきた
.
そうすることでイスラエルはイラク,イラン,シリアに対する目と耳を得ることができる」
とのこと.
【反論】
日本国内の親米ポチ論客は「国連無用論」を唱えていたが,当のアメリカが,月に約5000億円に上る駐留経費や平和維持部隊の派兵や,イラク再建費用などで,国連に協力を求めることを検討し始めた.
(小林よしのり from SAPIO 2003/8/20 & 9/3合併号, p.79)
【再反論】
「それが何か問題でも?」
と言う他ありません.
「新ゴー宣」に登場した,「国連無用論を唱えていた」とされている「親米ポチ論客」とは,岡崎久彦・中西輝政しかありませんが,この2人がそう唱えていたなどというのは,小林の誤読または捏造です.別項参照.
小室直樹や落合信彦のように,国連無用論を唱えている人達は確かに存在します.
しかし,古森義久が「国連幻想」において述べているような,
「国連を日本にとって多数ある外交の道具の一つとして扱わねばならない」
すなわち,国連には使える部分もあるから闇雲に捨てることもない,と考える人が大半ではないでしょうか.
そして,「国連による援助」は,国連の数少ない「使える部分」――無駄が多いと言う人もいますし,事実,問題を抱えてもいるようですが――だと考えられているものです.
ですから,
「自国の負担を軽減する」
という目的で,アメリカがこれを利用しようとするのは,むしろ当然と言えるでしょう.
ところで,小林について,かつて松沢呉一はこのような指摘をしています.
つまりオウム(真理教)には相当の疑惑があることは大前提だと.
しかし報道はひどすぎるんではないか.
そのニ点に関して触れるだけで,数字を2までしか数えられない小林さんは,「オウムの敵か味方か」の人ですから,どっちかに入れなければ頭が壊れるので,我々もつまりオウムの味方だという風に思い始めるわけですね.
(『教科書が教えない小林よしのり』P73)
上の「当のアメリカが,〜」の文章からも,この「2までしか数えられない」性質が窺えます.
「数字を2までしか数えられない小林さんは,『国連の敵か味方か』の人ですから,どっちかに入れなければ頭が壊れるので,岡崎・中西も国連の敵だという風に思い始めるわけですね」
【質問】
反戦団体「ANSWER」とは?
【回答】
国際A.N.S.W.E.R.は,9月11日以降に設立された国際行動センターであり,労働者世界党(Workers
World Party)のフロントグループである,という.
以下引用.
労働者世界党は,
●1989年の中国政府による天安門虐殺事件を支持していた
http://www.workers.org/ww/tienanmen.html
●金正日の朝鮮「社会主義」人民共和国を支持している
http://www.workers.org/ww/2002/korea0425.php
●イラクのサダム・フセインを,反帝国主義抵抗運動の立標だとみなしている
http://www.workers.org/ww/2001/iraq0125.html
こうした理由だけでなく,労働者世界党と他のグループとの悪い関係もあり,来る1月18日の反戦抗議行動も含めてA.N.S.W.E.R.の行動には参加しない人たちもいる.
その良い面を見ればA.N.S.W.E.R.は,大規模デモを非常にうまく組織することを示してきた.
このグループの抗議行動に参加した人々の大部分は,その実際の政治的学習内容については何も知らずに,単に,イラクでの戦争に対して反対を表明しようと思っているだけなのである.
A.N.S.W.E.R.が大量虐殺独裁者たちを支持していることに嫌悪感を抱いている多くの人々と多くのグループも,その反戦抗議行動に参加する事を決めているが,その理由は,イラクに対する戦争を止めることが緊急を要すると感じているからである.
例えば,ZマガジンのQ&Aにある以下のトピックを参照して頂きたい(A.N.S.W.E.R.は,#8で論じられている)
http://www.zmag.org/content/showarticle.cfm?SectionID=15&ItemID=2527
読者の意思決定の手助けとなるよう,この問題に関わる多くの著作へのリンクを以下に示しておく.
様々な政治スペクトルから様々な論点について述べられており,事実を述べているだけのものもあれば,論争を巻き起こしているものもある.
●国際行動センターの政治を膨大で詳細に暴露している
http://slash.autonomedia.org/article.pl?sid=01/12/03/1946241&mode=nocomment&
●労働者世界党に関するアナキストの批判
http://www.infoshop.org/texts/wwp.html
●A.N.S.W.E.R.による11月26日のワシントンDC反戦デモに対するデヴィッド=コーンの批判
http://www.laweekly.com/ink/02/50/news-corn.php
●「サロン」のリポーターによるA.N.S.W.E.R.などの極左反戦グループの批判
http://www.salon.com/politics/feature/2002/10/16/protest/
●コーンなどのA.N.S.W.E.R.中傷者に対する批判的回答
http://www.zmag.org/sustainers/content/2002-11/11dominick.cfm
●A.N.S.W.E.R.と他のグループとの関係の一例
http://www.thenation.com/doc.mhtml?i=20020513&s=featherstone
●A.N.S.W.E.R.スタイルの政治動員が本質的に人々を無気力にする理由
http://www.journalofaestheticsandprotest.org/1/BenShepard/index.html
http://authoritarianopportunistswhocozyuptogenocidaldictators-forpeace.org/
なお,9.11テロ直後に,学習院女子大学国際文化交流学部教授,石澤靖治が,こんな予想をしている.
〔9.11〕テロ直後は恐怖と興奮から,何かをしなければならないというムードが充満していたわけですが,日が立つに連れてその意識がだんだんと薄れていき,消えていくということがよくあるということです.
そういう中で,単に戦争に反対することで,自分に思慮があり,知性があるんだと主張しようと思っている人達の元気が良くなるという傾向もあります.
良い悪いは別にして,これからは戦争に反対するほうがファッショナブルになるという状況は想像できます.
( from 「収縮する世界 閉塞する日本」,
日本放送出版協会,2001/12/25, p.54)
【反論】
「国連」に関しても,今回のイラクの件で,
「機能停止している」
と,親米保守派は口をそろえた.
だが逆だ.
国連安保理が,珍しく存在を誇示した!
アメリカの言い分を承認しなかった.
米英は国連での多数派工作に敗れた.
(小林よしのり「戦争論」3,p.107)
【再反論】
当時の国連機能不全論を誰が言ったか知らないが,安保理常任理事国に拒否権を認めたため,国際連盟よりチョイマシ程度の紛争防止能力しか持たなくなったという批判は,半世紀前から言われ続けていた.
安全保障はスピードが肝要にも関わらず,拒否権発動の度にイチイチ再提議では,実際には何処も動けないという事だからな.
で,イラク戦争前もフランスが拒否権チラ付かせてまで,自国のイラク武器輸出利権を守ろうとしたわけだから,こういう旧来からの批判も一気に盛り上がったわけだ.
んで,蓋を開けてみれば,フランスを初めとする反対派各国の要人だけでなく,アナン事務総長までイラクO-f-F汚職に関する疑惑を追及されている始末.
結果的に見ても,イラク戦前当時の
「国連は機能不全に陥っている」
と分析した人間のが当たっていた.
フセインがイラク共和国の財産たる石油をくすねて作った汚い金をポッポに入れてすましてた連中が,唯でさえ機能不全気味な矛盾を抱えた国連を,さらに正常に機能させまいとして頑張っていたわけだから.
それと,よしのり的な国連の存在意義ってのは,アメリカにNOを言う事らしいが,何時ものように彼は何かを根本的に勘違いしてるんでないかと思ってしまうのは,俺だけじゃあるまいて.
◆◆◆◆◆日本の動向
【質問】
イラク戦争支持を表明した日本の態度を,アラブ世界はどう見ているか?
【回答】
むしろ驚きの目をもって見ている.
アメリカと組んだのはけしからん,といった受け止め方よりも,日本はなかなか立場を明らかにしない国だと思っていたが,今度は偉く思い切りよく物を言ったな,という感じのほうが強い.
中東問題に関わっていく上では,人の恨みを買わぬよう上手に立ち回ろうとしても無理です.
結局,現在の中東の姿と形は,力と力がぶつかり合う中で自ずからできあがったもので,和やかな話し合いで丸く収まるような生易しいものではない.
どの陣営にも属さず,手も汚さないというような態度だけでは,何もできないのです.
今回の件で,日本に対する反発が,思ったほど生じていないのは,アラブの人々にとって,いずれかのサイドに身を置くことは当然だろう,という割り切りがあるからだと思います.
(山内昌之〔東大教授,歴史学者〕 from 「諸君!」,2003/6号,P.59)
【質問】
対米協力することで,日本にどんなメリットがあったか?
【回答】
イラク戦争支持と自衛隊派遣を梃子にして日本は日米の信頼関係を強め,極東三馬鹿を牽制し,国際社会での地位を高め,米国が仏独と対立する中でこれらの国々とも友好を保っている.
また,国内の安全保障体制も前進している.
その延長として台湾情勢に日本が積極的に関与していくという展望も描ける.
メリットだらけじゃないか.
イラク戦争に反対してたら,日米関係には齟齬が生じ,安全保障論議は後退し,国際的地位を高めるチャンスを逃し,それどころか低めることになり,極東三馬鹿にはせせらわらわれる.
さぁ,どっちがいいよ?
さらに,拉致問題に関し,アメリカの協力を取りつけることができた.
例えば,米国のテロ報告書への拉致明記により,日本側は無理に六者協議で拉致を取り上げる必要が無くなった.
これによりに,下記報道の(2)の段階での拉致解決が米国から北朝鮮に突き付けられた.
今,六者協議で拉致を取り上げて釈明したいのは,北朝鮮の側だろう.
そこですかさず「二国間問題」.
六者協議で核が解決しても拉致は別,「二国間」の問題ですので,日本が満足しない限り「解決」にはならない.
六者協議の「核」に引き摺られて「拉致」で妥協させられる事もなく,
拉致が解決しないまま「テロ支援国家」指定が解除される事もなく,
拉致が解決しても核が解決しない事には援助のしようもなく・・・
(1)北朝鮮の「完全核放棄」確約後に「安全の保証」供与を約束
(2)核廃棄検証措置を確立し「テロ支援国家」指定解除を協議
(3)米朝国交樹立と朝鮮戦争休戦協定に代わる「恒久平和体制」構築に向け協議
さらに,拉致解決まで援助禁止する法案を,米下院が可決するに至っている.
以下引用.
米議会は北朝鮮の人権状況を非難する決議などを採択したことはあるが,日本人拉致問題を含めて状況改善を要求する法案が可決されたのは初めて.法案は上院に送付され,上院で可決後,大統領の署名を経て正式に成立する.
法案は,日本人と韓国人の拉致被害者に関する情報の全面開示と,被害者全員の帰国を認めるよう北朝鮮に強く要求.表現や信教の自由などと並び,拉致問題に「実質的な進展」がない限り,北朝鮮政府に対し,食糧など人道支援以外の援助はできないと規定している.
さらにまた,例え同盟国であっても信頼は一日にしてならずなので,隣に核を持ってるかもしれないキチガイ国家を抱えている我が国としては,同盟国の強固な信頼を勝ち取る事は,我が国の安全保障に直結する.
その点では,以下の記事に見られるように,明らかに米国の強固な信頼を勝ち取る事に成功している.
さらにまた,外務省が15日発表した2004年2月から4月に実施の「米国における対日世論調査」によると,「日本は信頼できる同盟国ないし友好国」と回答した一般人は68%で,調査を始めた1960年以来最高を記録した.有識者でも89%と,過去最高の91%に迫る高レベルだった.
外務省は「テロとの戦いや,イラク復興支援での自衛隊派遣などが好意的に受けとめられたのではないか」と分析している.
日米協力関係を「良好」「極めて良好」と回答したのも有識者で82%と,設問が導入された92年以来最高.一般人でも02年と並ぶ過去最高の60%となった.今回初めて聞いた「米国と価値観を共有しているか」との問いでは,一般人の80%が「共有」と回答し,英国(83%)に次ぐ2位.有識者でも95%に上り,英国(98%),ドイツ(96%)に次いで3位だった.
事実,谷口智彦によれば,「日本を「並の」同盟国から格上げし,「特上の」同盟国として扱う動きが,最近ワシントンに現れている」という.
以下にそのコラムを引用する.
特に,中国との対比が興味深い.
主として国防総省筋に目立つ傾向で,英語ではmega ally(メガ・アライ)という.「mega」は,メガトン級とか,メガ・コンペティションというときの「メガ」だ(日経ビジネス5月23日号「時流超流」に関連記事).
〔略〕
メガアライとして米国が重視する国々は,たったの3国.英国,オーストラリア,そして日本である.
英国と豪州は一応おいて,日本は一体何をしたから,米国「王将」に対する「飛車・角」みたいな地位を得たのか.思いつく限りで時系列を追ってみよう.
▼「英国・豪州並み」にさせたのは
1:
2001年「9.11」から3カ月経たないうちに海上自衛隊補給艦隊をインド洋へ派遣,1年後,これにイージス艦を加わらせた.以来今日まで,米国をはじめ各国海軍艦船に燃料と水の洋上補給オペレーションを続けている.
イージス艦の派遣には,情報を日米間で共有する重要な意味があったと思われる.
また艦船行動のうち難易度が極めて高い洋上補給を常時して見せることで,海自は中国やインドという新興勢力に日々能力を誇示している.
さらにパキスタン海軍などは,日本の供給する燃料を当てにして作戦へ参加することが可能になった.
海自はその意味で,同盟に「乗数効果」をもたらす存在である.
2:
2002年8月以降,米フロリダ州タンパの米中央軍司令部に陸海空各自衛隊から,昔で言えば大佐か中佐クラスの連絡官を常時派遣.「有志連合」の正員として認知させるとともに,日米制服間の情報共有度を高めた.
3:
この間2002年4月には,西太平洋潜水艦救難訓練を実施.日本が主催する初の多国間共同軍事訓練となった.
4:
2003年4月以降,航空自衛隊は空中給油訓練を米軍の指導下に実施.日本を離れた遠隔地まで航続距離を伸ばす能力を身につけつつある.
▼ミサイル防衛に対する高評価
5:
2003年12月,ミサイル防衛システムの導入を閣議決定.イージス艦を使う方式として,米国以外で実施する唯一の国となった.レーダー能力の拡張とあいまって,米国戦略軍(USSTRATCOM)首脳が「全体システムにおける不可欠の一翼」と評するものとなっている(米ネブラスカ州にあるUSSTRATCOMは,ミサイル防衛や宇宙軍を束ねる中枢組織).
6:
このとき,防衛力を外交力とほぼ同列に扱う戦後初の決定がなされている(上掲日経ビジネス記事参照).
7:
また同年同月,「人道復興支援」を目的として,イラクへ自衛隊を派遣,今日に至る.オランダをはじめ諸国派遣軍が退く中,非戦闘要員とはいえ,自衛隊は古参となった.
8:
2004年,北海道から九州・沖縄方面へ,とりわけ「島嶼(とうしょ)」防衛へ,戦略の重点を大きく移し変えた.
9:
憲法改正議論の中で,米国との「集団的自衛権」を認めることは,次第にほぼ確実となっている.
▼3年強で30年分の変貌
と,このように列挙してみると,ここわずか3年強で,日本が大きく舵を切ったことは明らかだ.
上記「5」で触れた米戦略軍首脳はこの点に触れ,
「日本の自衛隊が近々数年で遂げた変化は,それ以前20〜30年の状態に比べ真に驚くべきものだ」
と筆者に述べた.
これは国防総省でアジアを担当する別の人からも同様に聞いた評価で,米軍関係者の少なくない人々に共有されつつある認識だと考えられる.
こうした推移を経て,今や日本はほかならぬ軍事面において,英国,豪州と肩を並べる「特上」扱いになった.
〔略〕
▼絶好の機会を逸した中国
中国はかねてから,北京大学国際関係学院院長・王緝思(ワンジーズー・おうしゅうし)氏の表現を借りると,
「日本はアジアのフランスか,ドイツになればいいと思っていた」(先頃米ブルッキングズ研究所での発言).
欧州でフランスやドイツがそうであるように,日本もアジアにおいて米国と緩やかな関係を保ちつつ,一定の距離を常に置く国であることが中国の利益にかなうと思っていたようだ.
それが本心ならば,この間に幾度もあった千載一遇の機会を,北京はみすみす逸してきたと言える.
例えばかつてソ連を共通の敵として米中が事実上の同盟関係にあった時代なら,中国はイラクに本格派兵していなかったとは限らない.
しかも中国軍を米軍指揮下へ編入し,危険な地域を担当させさえすれば,世界中の茶の間へ,連日連夜,中国軍犠牲者の数が伝えられたことだろう.
かたや日本の自衛隊はオランダや豪州軍の庇護下にあって一滴とて血を流すまいとしていたのだから,日米同盟を一瞬のうちに空洞化するにはこれほどの良策はなかった.
国内問題にかまけざるを得ない共産党現指導部には,そこまでの戦略眼がもてなかったようだが,逆に言うと過去3年強,日本が矢継ぎ早に進めてきた対米同盟強化策は,常に薄氷を踏む道筋だったと見ることができる.
(日経ビジネス Express ダイジェスト◇2005.05.30 月曜日)
日本―イランの間のアザデカン油田開発も,米政府は意図的にこれを黙認したのではないかという報道が出ている.
ただし,
「アザデガン油田には採算を疑問視する声があるのも事実である.地表が石灰岩質で覆われているため,効率的採掘は困難とする見方や,油質への疑問もある.
また,2000年に失効したアラビア石油のサウディアラビア・カフジ油田を巡る交渉失敗の挽回を狙う経済産業省,05年3月に廃止される石油公団の天下り先確保,経済再建中であるトーメンの生き残り作戦,などの思惑が複雑に絡む事業となっている」
(園田義明「最新・アメリカの政治地図」,講談社新書,
2004/4/20,p.207-208,抜粋要約)
ジェンキンス問題にしろ,日米関係がこれほど緊密でなかったとしたら,もっと問題が悪化していた可能性が高い.もし緊密でなかったら,今頃はジェンキンスは軍刑務所に拘置されていたかもしれない.
そもそも,条約があるか ら何もしなくていいという姿勢自体にも批判がある.
「条約があるか ら何もしなくていい」という姿勢では,米国から安保条約を破棄される事態がいつ起こっても不思議ではありません.
日米同盟をあたかも空気のよう に,そこにいつもあるものと感じている人も多いようですが,想像以上に脆 いものであることを理解する必要があります.
そのためにも,米国との関係が 円滑に進むよう常日頃から心がけなければなりません.
営業マンは,重要得意先をつなぎとめるため,必死になって相手からの注目を 得つづけようとする戦略・戦術を練り,実践します.
それは自社に利益をもた らすためであり,得意先に利益をもたらすことは第二義的なことです.
日米同盟の本質もそれと同じで,大国ではないわが国が,大国である米国中枢から関心を失われることのないよう,日々努力することが大切と思います.
見識ある先人たちが,これまでこういう地道な努力をしてきたおかげで,今の わが国の安定と繁栄があります(不況ではありますが,夜の町を歩けないほ ど治安は悪化しておらず,国民の多くは携帯を持ち歩き,車を乗り回し,電車の中で眠りこけることもでき,停電の頻発はなく,餓えも日常になっていません.
これまでわが国は,
『軍事面で貢献できないけど,経済面で貢献します』
との姿勢で日米同盟の維持に対応してきました.
基本的にはその路線でいいとおもいま す. 今の憲法がある限り,自衛隊の実力発動機会は減らすべきで,自衛官が死ぬか もしれない状況を極限まで少なくする必要があると考えます.
しかし,ここぞというときは米国中枢向けに,『身体を張って友邦を助ける国・日本』との姿勢を示すことが必要でしょう.
国際社会の中でわが国が生き残るための戦略である日米同盟を考える際は,こ のように,国内だけで片がつく問題ではないのだということを理解する必要があると感じます.
イラクでテロリストに殺害されたフリー・ジャーナリスト橋田信介は,以下のように「安易な中立」を批判する.
幻覚の平和主義が〔日本で〕唱えられるようになったのは,私の記憶ではヴェトナム戦争辺りからだったろう.
そのころは,
「アメリカはヴェトナムから出ていけ」
というのが主なスローガンだった.
その時期にべ平連(ベトナムに平和を!市民連合)という新しい組織が登場する.「どっちも悪い」,あるいは「どっちも良い」,「とにかくどうでもいいからヴェトナムに平和を」という主張である.
「殺すか,殺されるか」,「正義か,不正義か」,そういう戦場の中間で平和を唱える.
血みどろで戦う当事者にとっては迷惑な話である.
当人達は安全地帯で唱える説教とはいえ,やはり無責任である.
だが,今の日本ではこういう「幻覚の平和主義」が主流になっている.
戦争を終わらせ,平和を取り戻すためには,中間や中立の立場は存在しないというのに.戦争を終わらせるには,その政治的理由と経過を分析し,自らの立場を明確にした上で,どちらかの勢力に肩入れしなければならない.
2000年春,NATO軍が旧ユーゴスラビアを爆撃した.NATO軍はアルバニア勢力に加担して戦争を終わらせた.
アルバニア勢力に絶対の正義があるわけではない.旧ユーゴスラビアが100%悪いのでもない.戦争は双方が悪いのだ.
しかし相対的に見て,どちらがより悪いのかを判定しなければならない.まあまあでは,戦争という悲劇はいつまでも続くからだ.
NATO軍はギリギリのところで,悪いのは旧ユーゴスラビアだと判定し,ベオグラードを空爆した.
判定はしばしば間違うこともある.
しかし戦争を終わらせるには,むごいほどの決断を必要とする.
アメリカはヴェトナムから出ていけ――それは,ヴェトナムに肩入れする正しい平和主義だった.
あの頃の日本は,まだまともだったのだ.
(「戦場特派員」,実業之日本社,2001/12/20, P.333-334)
【珍説】
結局,北朝鮮に関してもアメリカ頼みなのだから,アメリカが何もしてくれないと分かったら,打つ手がなくなって呆けてしまう.
それが「親米保守」の正体.
「イラク攻撃に協力すれば,その後,北朝鮮もアメリカが何とかしてくれる!」
それだけが「ポチ保守」の信仰.
(小林よしのり「新ゴーマニズム宣言」 from "SAPIO" '03 Feb. 26)
【事実】
「呆ける」どころか,遅まきながら偵察衛星を打ち上げようとし,不審船対策用の巡視船を新造し,法制を整え,JDAMを導入するなど,アメリカ頼みとならなくても,ある程度なんとかできるように着実に対策が講じられつつあるのが現状.
今までそうした対策ができなかったのは,それに強く反対する野党勢力や与党内の親北朝鮮勢力があったためと言われており,「アメリカ頼み」は別に信仰ではなく,そうした政治状況があったがゆえの現実.
同盟関係は,紙切れ一枚で保証されるものではなく,不断の維持努力が必要であることは,日英同盟が壊れた原因を見ても明らか.
現在の外交姿勢には疑問がないわけではないが,同盟維持のための努力としてのイラク攻撃協力は,一つの選択肢ではある.
「ポチ保守」という言葉に至っては,極めて定義が曖昧であり,単なるレッテル貼りのための言葉にしかなっていないため,論外.
ちなみに小林は,自著「戦争論」において,レッテル貼り行為を激しく非難している.自らの行為なら彼は許しちゃうんだね.さすが反論(マルチ・スタンダード).
【反論】
『朝まで生テレビ』に出たが,また欲求不満で終わった.
〔略〕
結局,最後はぶち切れてしまった.
「北朝鮮が怖いから,イラクの子供達よ,死んでくれ!
北朝鮮が怖いから,アメリカ軍の若者よ,死んでくれ!
そんなことでいいのか―――っ」
(小林よしのり from "SAPIO" 2003/5/28)
【再反論】
小林,愉快な朝生逆ギレコメントを完全隠蔽しております.
曰く,
「話がみみっちくて面白くねぇんだよぉ!」
「国際関係には道義が必要に決まってんだろぉ!」
以上の朝生における小林二大格言を完全隠蔽(爆笑
原音声を聞きたい方はこちら.
http://esehoshuwatch.tripod.co.jp/asanama.mp3
ちなみに,この号では他にも,TAKUROへの抗議メールについて,
「さらに,左翼過激派が,保守のふりして,過剰なアメリカ寄りの好戦的意見を撒き散らして,かく乱戦術をとっていたりね」(P.61)
などと陰謀論一歩手前まで,脳がいっちゃっております.
【珍説】
日本のマスコミはブッシュを批判したいが,覚悟がないため,フセインの独裁や残酷も,同じにスキャンダラスに報じていた.
この相対主義がアメリカの侵略に口実を与える結果にしかならなかった.
(小林よしのり from SAPIO 2003/4/23, P.57)
【事実】
相対主義とは無関係.
敵国を悪く言うのはプロパガンダの常套手段.
フセイン・イラクのメディアはアメリカを何と呼んでいたか,ご存じないのかな?
情報操作に踊らされるな!と常日頃声高に叫んでいる(SAPIOの,これの前の号の欄外でもそう書いている)奴が,このようにがっつりプロパガンダに踊らされている姿は失笑もの.
それにまた,戦争当事国の一方の側の批判はしていいが,もう一方の側の批判はしてはいかんというのは,報道管制ではないのかね? アルジャジーラが証券取引所から締め出されたことを指して「報道の自由がない」と叫んでいる(しかも,これと同じ号で)当人が,報道の自由を否定してどないすんねん.
【珍説】
「日本は一切戦わなくていい,血の一滴も流さなくていいから
米国を支持だけしていれば米国は北朝鮮から日本を守ってくれるはずだから!
・・・一国の首相がそう説明したのである」
(小林よしのり from SAPIO 2003/4/23, P.61)
【事実】
そんな説明したか? はなはだしく曲解してるだけだろ.
小泉が「戦わない」というのはそもそもイラク戦争においての話だろ.
小林は対イラク戦,対北,どっちと考えて言っているのだろう.
前者だとしたら,イラクに派兵しろということになる.
後者だとしたら,小泉発言をまるで理解していないか,あえて捻じ曲げてるか.
だいたい何のための有事法制論議だと思ってんだ?
【反論】
日本の親米保守派は,アメリカの共和党の保守が本来,どういうものかすら知らなかったのである.
だから今回,ネオコンが民主党から共和党へ入り込んだ「過激派サヨク」であることすら見抜けず,「自由」と「民主」というリベラル・デモクラシーの理念を世界に拡大させようという「血迷った共和党」を,日本の親米保守派は一斉に支持したのだ.
(小林よしのり「戦争論3」 p.72)
【再反論】
その勢力を支持したからといって,その理念まで盲目的に支持することになるとでも思っているワケ?
あ〜コヴァ(小林信者)は確かにそ〜ゆ〜生き物であることには違いないわな(笑).
>ネオコンが民主党から共和党へ入り込んだ
なんて事実もないし.
小林・西部両氏の主張の誤りは,現実的な日本の立場に置かれた外交政策から現在の共和党外交を支持する事が,あたかも日本の保守主義の理念とネオコン理論が一致しているから,日本の保守派はネオコン外交を支持しているのだと勘違いしているからではないでしょうか?
つまり,日本の保守主義とネオコン外交の理念は一致しない.
しかし,日本は自由主義・民主政治を否定する先軍国家の中国・ロシア・北朝鮮と一衣帯水にあり,韓国は西側なのかどうかもあやしくなってきた.
台湾独立問題も含め,これらの脅威に対抗する術は今の所日米同盟しかない.
ところが小林はあたかも幻想的慕米派がいるかのように語り,それを批判している…
幻をみているのは小林の方.
ネオコンが「小さい政府に反する」とか言ってるけど,経済界の要望から生まれた考え方だし,リストラや減税も続行中の米国に当てはまる反論ではない.
ネオコンは思想性はともかくとして,行動力があるよな.とにかくやってみようみたいな,米国伝統のプラグマティズムが.
小さい政府だろうと,やる事はやってもらわなきゃ困るわけで.
そこで大事なのはタイムリーさだよな.その面で行動力ある勢力は評価できる.
イラク捕虜虐待に関しても,結果から言えば勿論大失敗だし,大ざっぱ過ぎるマニュアルなんだけど,占領初期の緊急時には有効な手段となり得るものだったのも事実だろう.
▼ 「軍事評論家だった父〔天川勇〕が,福田赳夫元総理や福田派の外交・安全保障問題のアドバイザーだったこともあり,私が生まれる前から家族ぐるみの付き合いだった」という天川由記子(帝京大学・短期大学助教授)は次のように証言する.
――――――
ホワイトハウスと官邸が緊密な関係になれたのは,福田官房長官の力量だろう.
それは福田氏が,アメリカのイエスマンにならなかったからだ.
福田氏は丸善石油の会社員だった時代,ロスアンゼルスに駐在した経験がある.
アメリカ人との付き合いを心得ている福田氏は,ダメなものはダメと言い,なぜ「ノー」なのか丁寧に説明する.
従順なイエスマンを嫌うアメリカ人にとって,真のパートナーとなりえたのだ.
マスコミは,小泉首相のことを「ブッシュの忠犬」「対米追随」と批判することが多かったが,実態は違った.
イラクへの武力行使に傾こうとしていたブッシュ大統領に,「国際強調」の必要性を直接進言したのは,誰あろう小泉首相である.
北朝鮮問題でも,アメリカが最も嫌がる「米朝2国間協議」を,小泉首相はブッシュ大統領に説き続けた.
さらに言うと,一時期,首相は大統領からの電話会談を避けていたことすらある.
郵政民営化法案に邁進していた頃,米国産牛肉の輸入再開問題などは考えたくなかったのだろう.
小泉首相は電話階段を拒み,ホワイトハウスを困らせていたほどだ.
それでも,ブッシュ大統領の小泉首相に対する信頼は揺るがなかった.
米国議会で,靖国神社参拝を非難する声が上がり,牛肉問題では
「日本に制裁を加えるべきだ」
として,具体的な経済制裁案まで浮上した.
特に,食肉団体は政治的な力が強い.
ブッシュ大統領の選挙の時期だったこともあり,選挙を担当していたカール・ローブ大統領上級顧問は,ホワイトハウスや国務省に圧力をかけてきた.
しかし,ブッシュ大統領はこう言って庇った.
「小泉はイラク問題を一緒にやってくれた.牛肉だけで,制裁はしたくない」
義理堅い友情であるが,これはブッシュ政権の基本的戦略でもある.
この政権には,前述したアーミテージやグリーンといった知日派がいた.
彼らは,昔の米政府のように「外圧」では日本が変わらないことを熟知していた.
外圧は逆効果で,日本国内に「嫌米派」を増やすだけだ.
だから,大統領以下,日本政府への言葉遣いは,一貫して非常に練られた丁寧なものだった.
一方,日本の官邸側は,イエスマンにはならず,言いたいことははっきりと言う姿勢である.
かつての日米関係にはない,絶妙なバランスの上に立つ官邸外交であった.
これをアーミテージ国務副長官は,
「日米関係最良の時代,ゴールデン・エイジ」という言葉で表現したのである.
――――――「週刊文春」2006/10/12号,p.28-29
「忠犬」なんて物言いは難癖に過ぎないことが,このことからも分かる.▲
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