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◆◆◆経過(2006年8月〜)
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イスラエル内閣,レバノンへの地上攻撃拡大を承認=当局者

 [エルサレム 1日 ロイター] イスラエルの当局者によると,オルメルト首相率いる同国内閣は1日未明,レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対する地上攻撃の拡大を承認した.
 イスラエル軍は攻撃の拡大を勧告していた.
 同当局者によると,「内閣は地上作戦の拡大を異議なしで承認した」という.
 イスラエルは先週,攻撃拡大の可能性に備えて少なくとも1万5000人の予備役を招集している.

ロイター,2006年8月1日9時21分

イスラエル軍による地上攻撃,リタニ川までのヒズボラ退却が目的=当局筋

 [エルサレム 1日 ロイター] イスラエル当局筋は1日,レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラへの地上攻撃拡大について,レバノンとの国境から北20キロ地点にあるレバノンのリタニ川までゲリラを退却させることが目的だと述べた.
 同筋の話によると,国際部隊が配備されるまでの間,ヒズボラを追い戻すことがイスラエル軍の目的だという.
 〔略〕

ロイター,2006年8月1日10時50分

イスラエル軍,過去48時間でヒズボラ兵士20人殺害

 [エルサレム 1日 ロイター] イスラエル軍は1日,過去48時間に行ったレバノン南部への新たな侵攻で,イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの兵士20人を殺害したと発表した.
 イスラエル軍の広報担当官によると,それらの被害は,レバノン国境から数キロに位置するタイベ,アダイセなどの村での交戦中に発生したという.
 軍の声明は当初,1日の戦闘のみに言及していたが,後に7月31日に出た死者数も含めて修正された.
 ヒズボラ側は,この戦闘で新たに深刻な被害が出たことを否定.ヒズボラの広報担当官は,7月12日に始まったイスラエルの攻撃で死亡したヒズボラ兵士は合わせて43人としている.
 イスラエル側の死者数は兵士・民間人を合わせて51人.イスラエル発表によるヒズボラの死者数は200人超となっている.

ロイター,2006年8月1日18時20分

 【エルサレム=林路郎】
 〔略〕
 軍発表によると,地上軍は1日,レバノン南部アイタシャブに新たに侵攻した.対戦車砲で応戦するヒズボラとの激しい戦闘となっている模様だ.
 イスラエル放送は同日午後,レバノン国内からの目撃情報として,イスラエル軍がレバノンとの国境沿いの7地点を突破し,レバノン南部を北上し始めたと伝えたほか,AP通信によると,リタニ川沿いの複数の目標に対して計3波のイスラエル空軍による空爆があったという.

読売新聞,2006年8月2日2時50分

イスラエル軍が戦闘拡大,オルメルト首相は停戦可能性に言及

 [ベイルート 1日 ロイター]
 イスラエル軍は1日,イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが主要な拠点としているレバノン・バールベック近郊にヘリコプターで兵士を地上に降ろすなど,戦闘は拡大している.一方,イスラエルのオルメルト首相は,停戦の可能性に言及した.
 イスラエル軍は南部の戦闘で同国兵士3人が死亡したと発表.
 一方,ヒズボラはイスラエル北部マツバにロケット弾を複数打ち込んだとし,イスラエルは国境を挟んだ交戦で同国兵士5人が負傷したとしている.

 〔略〕

ロイター,2006年8月2日9時52分

空爆で民間人15人死傷=イスラエル部隊,ヒズボラ戦闘員拘束−レバノン東部

 【ワシントン1日時事】米CNNテレビが1日伝えたところによると,イスラエル軍の空挺(くうてい)部隊がレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの拠点として知られる同国東部バールベック近くにヘリコプターで降下し,病院を捜索,ヒズボラ戦闘員数人を拘束した.
 また,ロイター通信によれば,イスラエル軍は現地時間2日,バールベック近郊の村を空爆し,少なくとも民間人15人が死傷した.

時事通信,2006年8月2日13時0分

 【カイロ=加納洋人】
 〔略〕
ヒズボラ側は拘束されたのは民間人だとしている.

産経新聞,2006年8月3日8時2分

古代遺跡のバールベック市内は空爆で破壊 上空にイスラエルの無人観測機

 【アルジャジーラ特約3日】アルジャジーラのクリスチャン・ヘンダーソン記者はこのほど,レバノンの古代遺跡で有名なバールベックを訪れ,イスラエル軍の空爆後の状況をルポした.以下は,同ルポの要点である.全文はアルジャジーラ・ネット英語版で.

 バールベックの8月は普段ならアラブのみならず世界文化を祝福する国際的な祭りの時期なのだが・・・.この都市はキリスト教徒の住民も多いが,1980年代からイランの革命防衛隊が駐屯して,ヒズボラを訓練してから,同グループの拠点となっている.

 ●ベカー峡谷を抜けてベイルートの東部に至る道路はほとんど通行が途絶え,道沿いの給油所はすべて爆撃されていた.

 ●古代ローマ遺跡がある市の中心部に進んでいくと,携帯無線を持つヒズボラのメンバーが現れ,助力を申し出た.

 ヒズボラは今次戦役が始まってから,市の治安を管理しているようにみえた.

 ●ヒズボラのガイドは「市内の観光は問題ないが,「センター」には連れていけない」と言う.「センター」とは市を見下ろす丘の上にあるヒズボラの根拠地を意味した.

 ●イスラエルの空爆で約250戸の民家や建物が破壊されていた.多くの住宅,学校,宗教建造物が無人となっていた.ヒズボラに近い救援組織がさまざまな施設を運営していたが,軍事用に使われているようには見えなかった.

 使われているの多くは民家であり,それは瓦礫の中にテディベアなど子どものおもちゃや台所用具などが埋まっているのでわかった.

 ●イスラエルの無人機の爆音が上空で聞こえた.案内役はアラビア語で「MK」とよんでいた.無人機は主として爆撃目標のGPS(位置)を観測する目的だが,大型のものは小型ミサイルを搭載している.

 ●ガイドの無線機に,イスラエルのF6戦闘機〔原文ママ〕が接近中との情報が入り,バールベックを離れるよう指示された.

 ●帰路,2週間前に空爆で破壊されたという「リバン・レ」ミルク工場を見た.まだ煙を上げており,こぼれて腐ったミルクにハエが群がっていた.

 ●農業地帯のベカー地域は今回の戦役で「陰の前線」と呼ばれ,イスラエルの空爆で民間人100人以上が殺された.
 少なくとも5つの製造工場が破壊され,約1500の仕事がなくなった.レバノン・シリア国境は閉鎖され,ベイルートーダマスカス間の道路は交通が途絶えていた.

 ●バールベックから南にあるチャツラの町では,中東第2のガラス工場が廃虚と化していた.5発ないし6発のミサイルが機械を破壊した.所有者はインド人で,インド人2人が空爆で死んだという.

 ●ベイルートに向かう山間の道路には,トラックが何台も破壊されていた.ヒズボラへの武器輸送車とみられたと思われる.
 タンクローリー車の運行は危険で,白い旗や多国籍企業の旗を掲げても効果は薄いようだ.
(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)

2006年08月03日17時12分,アルジャジーラ

 【エルサレム=三井美奈】
 〔略〕
 2日未明(日本時間同日朝)には,50人以上の死者を出したレバノン南部カナでの空爆後にイスラエル軍が実施していた48時間の空爆停止期間が切れたが,イスラエル軍は期限を待たず,1日夜,レバノン東部や,南部のティール近郊タイベなどを空爆した.
 〔略〕

読売新聞,2006年8月2日14時34分

 イスラエルは48時間の空爆停止を声明していたが,レバノン治安当局者や目撃者によると,イスラエル機は同日,シリアに近いレバノン南部を爆撃した.
 イスラエル軍の声明によると,この空爆はヒズボラへの「武器の移送を防止」する目的で行われた.
 イスラエルはこれまで,空爆は対ヒズボラと地上軍支援のために使用されたと述べていた.

 イスラエルの砲兵部隊はまた,レバノンのアイタ・アル=シャーブ村周辺の国境地域を砲撃したが,そこではヒズボラがイスラエル部隊との交戦で戦車1両を破壊,建物から建物への近接戦闘で35人を死傷させたと声明していた.
 イスラエル兵士の死亡は3人と伝えられている.

 アルジャジーラ特派員によると,レバノン南部では,カフィール・ショバへの激しい砲撃とアル=キヤム町への空爆があった.

 〔略〕

 シャフール准将は〔略〕イスラエルはリタニ川をほぼ制圧したが,その一部は空からの攻撃ないしは長距離砲撃だけで,地上軍なしで支配できると述べた.
 〔略〕

2006年08月02日15時11分 アルジャジーラ

ロケット弾,パレスチナに着弾=レバノン国境から70キロ

 【エルサレム2日時事】レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが発射したロケット弾が2日,ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニン付近の農地に着弾した.
 ロケット弾がパレスチナに撃ち込まれたのは初めて.ジェニンの当局者によると,死傷者は出ていない.

時事通信,2006年8月2日23時0分

ヒズボラがロケット弾大量発射=イスラエル軍,6000人規模で侵攻−レバノン

 【エルサレム2日時事】レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラは2日,イスラエル領内に200発前後のロケット弾を撃ち込み,イスラエル北部ナハリヤで住民の男性1人が死亡した.
 このほか各地で約20人が負傷した.これだけの数のロケット弾が発射されたのは7月12日にイスラエルがレバノンでの軍事作戦を開始してから初めて.
 イスラエル国内では最近,ロケット弾の着弾数が減少傾向にあったことからヒズボラの弱体化を指摘する声も出ていたが,依然高い戦闘力を保持していることが示された形だ.
 〔略〕

時事通信,2006年8月3日3時0分

<レバノン>ヒズボラがロケット攻撃 最多の230発

 レバノンのシーア派民兵組織ヒズボラは2日,イスラエル北部に230発以上のロケット弾を撃ち込み,7月の戦闘開始以来,1日当たり最多の発射数を記録した.
 〔略〕

毎日新聞,2006年8月3日11時49分

ヒズボラは同日,国境から70キロのイスラエル北部ベイトシアンにロケット弾を放ち,紛争開始以来,最も遠距離となる攻撃で応戦している.

読売新聞,2006年8月3日3時10分

 【カイロ=加納洋人】
 〔略〕
 一方,イスラエル軍は2日,レバノン南部国境から20キロまでのレバノン住民に退避勧告を出した.

産経新聞,2006年8月3日8時2分

<イスラエル>空爆民家はヒズボラの隠れ家 人間の盾と非難

 レバノン南部カナで7月30日,イスラエル軍が民家を空爆し,多数の子供を含む56人が死亡した事件について,軍当局は3日,調査結果を発表した.
 この民家がヒズボラの隠れ家として使われ,民間人はいないとの情報に基づいた誤爆だったことを認める一方,ヒズボラが民間人を「人間の盾」として利用していると非難した.

毎日新聞,2006年8月3日12時36分

 報告によると,調査は2日に終了.イスラエル軍は空爆した建物を「テロリストの隠れ家」と判断してから2発のミサイルを撃ち込んだ.このうち1発は不発だった.
 報告は「建物内に民間人がいることを示唆する情報があれば,攻撃は行われなかった」としたうえで,カナおよび周辺村落の住民には数回にわたって避難するよう警告していた,と説明している.

ロイター,2006年8月3日16時31分

 なお,カナ空爆での死者は60人ではなく28人だと人権団体が報告している.
 報道写真を鑑定したところ,救助隊員が同じ女の子をかかえて数時間も様々なポーズを取っていたことが判明.「虐殺」は演出だとの見方も出ている.(2006年8月3日付けイスラエル各紙)

イスラエルが空爆再開 ヒズボラは六ケット弾300発以上による最大の攻撃

 【アルジャジーラ特約3日】イスラエルは2日から3日にかけて,レバノンの首都ベイルートの破壊された郊外地区への空爆を再開,さらにシリアとの北部国境,東部のベカー峡谷も空爆した.
 一方,前日,ヒズボラはイスラエル領に対して数百発のロケット弾を撃ち込む今次戦役で最大の攻撃を加えた.

 ●目撃者によると,3日,ベイルートでは少なくとも4回の爆発が街を揺るがした.これはミサイルが郊外のダヒーハに撃ち込まれたためで,同地区は3週間前の戦闘開始から繰り返し爆撃されていた.
 この空爆はレバノンの首都南郊に対する攻撃としては1週間ぶり.

 ●レバノンのラジオによると,イスラエル軍のジェット機は2日から3日にかけて,シリアとの北部国境で道路や橋を爆撃した.
 これは過去24時間で2回目の攻撃で,同地区から北のトリポリ港を結ぶ橋が破壊された.

 ●ベイルートから南東約75キロのベカー峡谷では,目撃者によると,イスラエルのジェット機が夜間,道路に対して2発のミサイルを放った.

 〇ヒズボラは2日,イスラエルの町アフラに対して300発以上のロケット弾を撃ち込んだ.
 同町はこれまでで最もイスラエルの国境から離れた標的である.

 この間,複数の国連当局者によると,米,英,仏3国は向こう1週間以内に,停戦と国連レバノン暫定軍をより強力な軍が編成されるまで強化することを求める国連安保理決議を実現させたいと望んでいる.

 しかし,戦闘を早期に終息させようとする外交的な動きは,米国と新国際軍の中心となるフランスとの間で,停戦の時機をめぐって意見が分かれているため,行き詰まっている.

 エルサレムでは,オルメルト・イスラエル首相が,イスラエルは国際軍がレバノン南部に到着するまで,戦闘を続行すると言明した.しかし,休戦が実現せず,なんらかの持続的な停戦協定が成立しない限り,軍部隊を派遣する意向を表明しようとする国はない.

 同首相は,イスラエルはすでにヒズボラの軍事力の大半を破壊したと述べ,国際的な戦闘部隊がヒズボラの軍備解除を求める国連決議を遅行するよう要請した.

 イスラエル軍はレバノン南部に兵力約1万人を投入して,ヒズボラ戦闘要員と戦っている.

■死傷の状況は次の通り.

 レバノンでは,これまでの民間人の死者は少なくとも643人.イスラエル側は56人.

 ●2日,北部国境のナヒリヤ町に近い協同農場,キブツ・サールで,防空壕に逃げ込もうとした米国生まれのイスラエル人1人が殺害された.
 これで,イスラエルでのロケット弾による民間人の死者は戦闘の開始以来,19人.

 ●イスラエル軍が3日,確認したところでは,国境に近いアイタ・アル=シャーブ村での戦闘で,イスラエル兵士1人が戦死,4人が負傷した.
 これで,過去23日間の戦闘でのイスラエル将兵の死者は37人となった.

 〇米国に本部がある人権団体の「ヒューマンライト・ウォッチ」によると,イスラエル軍の空爆を受けたレバノンのカナ村では,28人の遺体が収容されたが,13人が依然,行方不明.レバノン側の公式発表は死者54人.
(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)

2006年08月03日16時09分,アルジャジーラ

<レバノン情勢>イスラエル軍攻撃強化 ベイルート南郊空爆

 【カイロ高橋宗男】イスラエル軍は3日,レバノンへの攻撃を継続し,首都ベイルート南郊を約1週間ぶりに空爆した.レバノン南部国境付近ではイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエル軍の激しい交戦が続いているほか,同軍は東部ベカー平原,北西部の国境付近も爆撃.南部カナの爆撃を受けた48時間の空爆停止の期限が切れ,レバノン全土への攻撃が強化されている.
 レバノンのシニオラ首相は同日,マレーシアで開催されているイスラム諸国会議機構緊急首脳会議へのビデオ声明で「これまで900人以上が死亡し,3000人が負傷した.うち3分の1は11歳以下の子供たちだ」と強調し,イスラエル軍の攻撃が「我々の国土を荒廃させ,経済を壊滅させた」と訴えた.首相はまた100万人が避難を強いられていると述べた.
 レバノンの人口は約350万人.二重国籍を持つ国民の多くはすでに国外に脱出しており,国民の3人に1人が避難生活を強いられている.
 AP通信によると,ベイルート南郊では同日未明,イスラエル軍がヒズボラの拠点を少なくとも4発のミサイルで攻撃,複数のビルが破壊された.南部一帯への空爆も強化され,国境付近の村タイベでは同日午前,同軍のミサイルが民家を直撃,一家3人が死亡した.
 イスラエル軍はベカー平原のヒズボラ拠点バールベックとシリアを結ぶ幹線道路や,北西部のアッカール地方の橋を破壊するなど,北部国境付近にも爆撃を加えており,ロイター通信によるとレバノン全土での攻撃対象は約70カ所に上っている.
 一方,イスラエルメディアによると,同国北部に対するヒズボラのロケット弾攻撃は3日,130発以上に及び,北部の港町アッコーで2人が死亡するなど民間人計7人が死亡.またレバノン南部での戦闘で兵士2人が死亡したという.

毎日新聞,2006年8月4日0時30分

イスラエル軍が南部20村占拠か=各地で空爆,ヒズボラは反撃−レバノン

 【エルサレム3日時事】イスラエル軍は3日,レバノン南部で地上部隊による侵攻作戦を継続した.
 地元テレビは,同軍地上部隊は国境地帯から6キロほど入った地点まで進軍し,南部の20村の要衝を占拠したと伝えた.
 2000年5月までレバノン南部に設置していた「安全保障地帯」に相当する地域が再びイスラエルの統制下に置かれることになる.
 イスラエル軍は国際部隊が派遣されるまで占拠を続ける方針だが,イスラム教シーア派武装組織ヒズボラの反撃は続いており,完全に制圧するのは容易でない.
 レバノン各地での空爆は激しさを増し,犠牲者は拡大の一途をたどっている.

 イスラエル放送によると,同国政府高官は国境から約20キロ離れたレバノンのリタニ川付近まで軍の管理下に置き,ヒズボラのロケット弾発射台の有無などを確認するよう指令を出した.
 一方,イスラエル軍はヒズボラの拠点とされるベイルート南部やレバノン東部ベカー平原など各地で空爆を継続,ヒズボラの行動を封じる目的で橋や道路などインフラの破壊を続けた.
 軍スポークスマンによると,2日夜から3日未明にかけての夜間の爆撃は120発以上に及び,夜が明けてからも激しい空爆が続いている.
 レバノンのシニオラ首相は3日,イスラム諸国の指導者に向けたビデオメッセージの中で,これまでの攻撃によりレバノンでは900人以上が死亡,3000人が負傷し,100万人が避難民化したと述べた.

時事通信,2006年8月4日3時0分

リタニ川まで進出準備を命令=占領地さらに拡大へ−イスラエル国防相

 【カイロ3日時事】イスラエルのペレツ国防相は3日夕,レバノン南部への地上軍侵攻の第2段階として,国境から約20キロ北を流れるリタニ川まで支配地域を拡大する準備を開始するよう軍に指示した.地元紙ハーレツ(電子版)などが伝えた.
 イスラエル軍は3日までに国境から約6キロまで進出,約20の村を占拠したが,これだけではイスラム教シーア派武装組織ヒズボラによるロケット砲攻撃を防ぐには不十分とみて支配地域を拡大するとみられる.
 〔略〕

時事通信,2006年8月4日9時1分

レバノン ベイルート南郊,度重なる攻撃で廃虚に

 【ベイルート山科武司】3日未明に再びイスラエル軍のミサイル攻撃を受けたレバノン・ベイルート南郊のダハヒ地区.ヒズボラの拠点とされるハレトハレク地区は,度重なる攻撃で廃虚と化し,人々にはイスラエルへの憎しみだけが満ちていた.
 同日午前11時過ぎになって,地区を支配するヒズボラからミサイル落下現場への立ち入り許可が出た.
「撮影は急いでくれ.1分後に何が起きるか分からない」
 耳を澄ますとかすかに爆音.イスラエル軍機だ.
「あの音が近づくとどうなっても知らないからな」
 思わず足が速まった.

 現場はビルが無残に崩れ落ちていた.周囲のビルもいくつかがこれまでの攻撃で破壊されていた.
 車がガレキの山に埋もれ,破壊力のすさまじさを象徴していた.
 別の場所では廃虚からまだ煙が上がり,焼け焦げたにおいが周囲に満ちていた.

 ハレトハレク地区の一般住民はすべて避難し,残るのはヒズボラ関係者とその支援者だけ.
 廃虚の中をバイクで巡っては不審者が立ち入っていないか警戒を怠らない.
 破壊されたガソリンスタンドの写真を撮ろうとすると,小銃を抱えたヒズボラの民兵が「許可を得てくれ」とさえぎった.
 この日,崩壊したビルの正面にあったマンションは7月28日に破壊された.
 前日にヒズボラの強い警告を受けて4人の家族と最後に立ち退き,九死に一生を得たスレイマン・サスさん(62)が自分の家がどうなっているか確かめようと現場を訪れたが,ヒズボラに拒否された.
「10万ドルの価値はあるマンションだったが,すべてはゼロだ.普通の人々を苦しめるのがイスラエルのやり方なのか」
 無念そうに語った.

 ハレトハレクに南接するボルジェル・バランジェ地区にも人々が住み続けていた.避難しようにもその資金もないパレスチナ難民たちだ.
「昨日の爆撃は花火のようだった」
とムハンマド・アトウテさん(40)は言う.攻撃が始まった直後は驚いたが,今では慣れたという.
「オーストラリア,カナダ,ノルウェー.外国人はすぐに逃げ出した.我々には逃げる場所もない.ここで死ぬしかない.我々はヒズボラとともにある」
 そう言い切った.

毎日新聞,2006年8月4日9時58分

<レバノン>ヒズボラ指導者,条件付で停戦を示唆

 イスラエル軍の攻撃を受けるヒズボラの指導者ナスララ師は3日夜,ヒズボラ系テレビのアルマナルが放映したビデオ声明で,イスラエル軍の「民間人攻撃」停止を前提条件にイスラエルに対する攻撃を停止する用意を示した.
 7月12日の戦闘開始以来,条件付きながらもヒズボラが停戦に応じる可能性を示唆したのは初めて.

毎日新聞,2006年8月4日12時23分

イスラエル軍,首都ベイルートを連夜空爆

 【エルサレム=本間圭一】イスラエル軍は4日未明,レバノンの首都ベイルートの南部を空爆した.
 ベイルート空爆は2日連続.また,イスラエル軍幹部3日,イスラム教シーア派組織ヒズボラが同日,テルアビブ攻撃を警告したことに対し,「脅しが実行に移されればレバノンのインフラを破壊する」と言明した.
 〔略〕

読売新聞,2006年8月4日12時8分

イスラエル軍がトラック空爆,シリア人など33人死亡

 【エルサレム=三井美奈】
 レバノン攻撃を続けるイスラエル軍は4日,ベイルートやシリア国境沿いの橋や道路を空爆し,ロイター通信によると,東部ベカー高原のカア村近郊で果実をトラックに積み込んでいた農場労働者が被弾,シリア人を含む少なくとも33人が死亡した.
 空爆による死者数としては,50人以上が死亡した7月末のレバノン南部カナ事件に次ぐ惨事となった.
 南部で続く地上戦では,イスラエル軍は約20村を含む国境から6〜7キロ・メートルの地域をほぼ制圧したが,一部でヒズボラとの交戦が続いており,同軍によると同日,南部マルカバで兵士2人が死亡した.

 イスラエル軍のベイルート空爆は4日,南郊のヒズボラ拠点のほか,キリスト教徒居住区の同市北郊のジュニエにも広がり,レバノン兵1人を含め5人が死亡した.
 シリアとレバノンを結ぶ橋,道路への集中的な空爆は,シリアからヒズボラへの武器補給路の遮断を狙ったものと見られる.

読売新聞,2006年8月5日1時46分

 【カイロ=加納洋人】イスラエル軍とイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘が激しさを増している.ロイター通信などによると,同軍は4日,レバノンの首都ベイルート北側の近郊を初めて本格的に空爆.キリスト教信徒が住む同地区のシリアに通じる4カ所の橋や幹線道路を破壊した.
 ヒズボラの武器などの補給路を断つ狙いとみられるが,空爆で5人が死亡,12人が負傷した.
 国際社会によるレバノンへの人道支援にも大きな支障が出ている.
 〔略〕
 さらに,同軍は南部の150カ所以上で空爆を実施.地上部隊は国境から6キロ〜7キロのレバノン領内の20の村を制圧.ヒズボラ民兵5人を殺害,多数を拘束したが,マルカバなどで対戦車砲による反撃などに遭い,激しい戦闘の中で,軍兵士5人が死亡した.
 〔略〕

産経新聞,2006年8月5日8時2分

<レバノン>空爆で災厄をこうむる普通の人々 現地ルポ

 イスラエル軍によるレバノンの首都ベイルート近郊への空爆が激しさを増している.
 ベイルートは人口約150万人.地中海に面し,“中東のパリ”とも呼ばれる港町.
 しかし,容赦ない空爆は,イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとは無関係の地域にも広がり,市民生活を直撃している.
 一方,ヒズボラ側はイスラエル最大の都市テルアビブへの報復を予告するなど,双方の戦闘は危機的状況になりつつある.
 4日早朝に空爆されたベイルート北部を走る高速道路の四つの橋は,国連の支援物資輸送の“命綱”だった.
 イスラエルが保障した「人道支援の回廊(輸送路)」は,ぷっつりと途切れてしまった.
【ジュニエ(レバノン中部)で山科武司】

 ベイルートから海岸線を眺めながら高速道路を北に約20キロほど進み,ジュニエに入るとレバノン軍に車を止められた.約1時間前(4日午前7時過ぎ)にこの道路が爆撃されたという.
「上空にイスラエル軍機がいる.気をつけて」
と,指揮官が念押ししたうえで先に進むことを許可した.

 約200メートル先の橋が陥没し,ワゴン車と乗用車が落ち込んでいた.
 周囲にはまだ土煙がたちこめ,乗用車のついたままのラジオから音楽が流れていた.
 この空爆で民間人14人が負傷し,うち数人は重体だという.

 空爆で穴が開いたのはシリアからベイルートに向かう上り車線のみだ.
 警備の警察官は
「イスラエルは,この道でヒズボラが武器をシリアから搬入していると見ているようだ」
と説明した.
 さらに1キロほど北にある同国有数のカジノ「カジノ・デュ・レバン」近くの橋でも上り車線に穴が開き,火が付近のがけに燃え移っていた.
 ジュニエはキリスト教地区.普段はカジノを訪れる多数の観光客でにぎわうエリアだ.
 爆風で破壊された店のガラスを片付けていた眼鏡店経営,エドガルド・シャプティニさん(33)は
「店を開いて12年になるが初めてのこと.被害は窓が破れただけだが,この状況で客が来てくれると思うか? これがイスラエルのやりかただ」
と怒りを隠さなかった.

     ◇
 ベイルート中心部から南へ6〜7キロ.ベイルート国際空港に北接するアレワザーリ地区の漁港も4日未明に空爆され,多数の漁船が木っ端みじんとなった.ヒズボラの拠点であるハレトフレーク地区の西に位置し,ヒズボラが漁船で海から攻撃するのを防ぐための空爆だとみられている.
「我々はヒズボラとは無関係.2カ月前にレバノン軍が出漁を禁止して以来,一隻も出港していない」
とハッサン・ガーフィルさん(23)は言った.
 フセイン・アンカティブさん(30)は持ち船を3隻失った.
「災厄を被るのは結局,我々のような普通の市民だ」
 漁港では爆撃で左前足を負傷した野良猫が弱々しく鳴き,やがて動かなくなった.

毎日新聞,2006年8月5日13時32分

<イスラエル>ヒズボラの攻撃 テルアビブに迫る

 【エルサレム樋口直樹】レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは4日,同国南部の国境から南へ約80キロ離れたイスラエル北部の町ハデラに初めてロケット弾を撃ち込んだ.けが人は無かった.
 〔略〕

毎日新聞,2006年8月5日12時59分

<レバノン>イスラエル軍がティールでヒズボラと交戦

 【カイロ高橋宗男】イスラエル軍は5日未明,レバノン南部の主要都市ティール近郊を空てい部隊で急襲し,イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラと交戦した.
 またイスラエル軍報道官は5日,レバノン第3の都市サイダで全住民に退去を要請するビラを投下したことを明らかにし,
「ヒズボラのロケット弾攻撃拠点に空爆を加える」
と語った.
 大規模空爆を行う可能性が高まっている.
 レバノンからの報道によると,イスラエル軍の部隊は5日未明,ティール北郊に上陸し,地上とヘリコプターから2階建てアパートを攻撃した.レバノン当局者によると民間人4人とレバノン兵1人が死亡した.
 このほかティールでは5日,イスラエル軍の空爆でオートバイに乗っていた男性2人が死亡した.
 一方,ヒズボラのイスラエル北部へのロケット弾攻撃は5日も続き,イスラエル民間人3人が死亡した.
 またレバノン南部での戦闘ではイスラエル兵1人が死亡し,戦闘開始以降のレバノン側の死者は734人,イスラエル側は78人となった.
 AP通信によると,イスラエル軍報道官は5日,レバノンに対する空爆が過去36時間で計160回に及んだことを明らかにした.4日は88回,5日は70回以上に上ったという.

毎日新聞,2006年8月6日0時58分

イスラム教シーア派組織ヒズボラも4日から5日にかけて,イスラエル北部一帯にロケット弾約260発を撃ち込むなど激しく応戦,停戦に向けた国際社会の交渉を尻目に戦火は拡大の一途をたどっている.
 イスラエル軍は避難を呼びかけるビラをサイダにまいたという.ロイター通信によると,サイダはイスラム教スンニ派住民が多く,平時の人口約10万人に加え,レバノン南部各地からの避難民が数万人滞在しているとみられる.
 実際に空爆が始まれば,多数の犠牲者が出る可能性が高い.

 〔略〕

ヒズボラ側は4日,190発ものロケット弾をイスラエル北部に撃ち込み,うち1発は国境からこれまでで最も遠い約80キロ先のハデラに着弾した.
 5日には約70発をイスラエル北部一帯に発射するなど反撃を続けており,うち1発が民家を直撃して女性3人が死亡した.
 ヒズボラの指導者ナスララ師は,ベイルートが攻撃を受けた場合,国境から約120キロの商業都市テルアビブを攻撃することを警告している.
 〔略〕

産経新聞,2006年8月6日8時2分

ロケット弾でイスラエル兵11人死亡=レバノン軍事作戦長期化も

 【エルサレム6日時事】イスラエル北部キリヤトシモナ近郊に6日,レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが発射したロケット弾が着弾し,ロイター通信によると,予備役のイスラエル兵11人が死亡した.
 イスラエルがレバノンで軍事作戦を開始した7月12日以降,ヒズボラのロケット弾攻撃で一度にこれだけの死者が出たのは初めて.ヒズボラは連日のイスラエル軍の攻撃で大きな打撃を受けているが,依然として戦闘意欲が衰えていない.
 〔略〕

時事通信,2006年8月7日1時1分

〔略〕
 ロイター通信によると,死者の多くは予備役の兵士と見られる.7月12日の戦闘開始以来,1か所のロケット弾攻撃の死者数としては最悪となった.
 これに対して,イスラエル軍は6日,ヒズボラの弱体化を狙い,レバノン全土約80か所で空爆を行った.南部最大の都市サイダ郊外で市民ら6人,南部アンサールで5人が死亡した.
 北部トリポリ近郊や東部ベカー高原の道路や橋も爆撃.
 また,地上戦では,南部のヒズボラの重要拠点ビントジュベイルなどで6日未明,激しい銃撃戦が展開され,ヒズボラメンバー計12人が死亡した.
 南部アイタシャブでは5日夕,ヒズボラの対戦車砲攻撃を受け,イスラエルの予備役兵1人が死亡した.

読売新聞,2006年8月7日2時7分

ロケット弾で3人死亡=住宅地などに30発着弾−イスラエル北部

 【カイロ6日時事】イスラエル北部の港湾都市ハイファが6日夕,レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラのロケット弾攻撃を受け,地元紙ハーレツ(電子版)によれば市民3人が死亡,約40人が負傷した.
 これに対し,イスラエル軍はレバノン南部カナに設置されていたハイファ攻撃に使われたロケット砲を破壊したと発表した.

時事通信,2006年8月7日7時0分

イスラエル軍が空爆継続,レバノンで民間人10人死亡

 [ベイルート 7日 ロイター] イスラエル軍は7日もレバノン空爆を続行,レバノンでは空爆により民間人10人が死亡した.
 国連安保理では,常任理事国が7日に停戦決議案を協議をする.決議案をめぐっては,レバノンがイスラエル軍の撤退を盛り込むよう求めているが,これまでのところ決議案修正をめぐる合意は成立していない.
 戦闘に沈静化の兆しはみられず,レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエルの双方が,戦闘継続の意向を表明.戦闘開始以降,レバノンでは民間人を中心に少なくとも769人が死亡,イスラエルでも94人が死亡している.
 レバノン南部の村では7日,イスラエル軍の空爆で家族7人が死亡.南部の別の村でも空爆により民間人2人が死亡,4人が重傷を負った.
 イスラエル軍は,ヒズボラの拠点があるベイルート南郊や,レバノン東部ベカー平原も空爆.ベカー平原では民間人1人が死亡した.

ロイター,2006年8月7日15時31分

<レバノン>イスラエル軍攻撃で死者行方不明者1000人に

 イスラエル軍は7日,レバノン南部を中心に空爆を続行し,少なくとも14人が死亡した.レバノンのハリファ保健相は同日,イスラエル軍のレバノン国内への攻撃で,戦闘開始(先月12日)以来の死者・行方不明者が計1000人に達した,と述べた.レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラによる反撃も続いている.

毎日新聞,2006年8月7日21時57分

レバノンの死者1千人突破=イスラエル軍が攻撃拡大−生活基盤さらに破壊も

 【エルサレム7日時事】イスラエル軍は7日,レバノンでの空爆と地上作戦を続行した.
 AFP通信によると,7月12日以降の軍事作戦によるレバノン側の死者数は1000人を超えた.9割以上は民間人という.
 イスラエル軍は,6日のイスラム教シーア派武装組織ヒズボラのロケット弾攻撃により,国内で15人の死者が出たことを受け,軍事作戦をさらに拡大する方針.犠牲者の増加に歯止めが掛かる気配はない.
 イスラエル紙ハーレツが軍高官の話として伝えたところによると,イスラエル軍は新たに「戦略的な社会基盤施設」や「レバノン政府の象徴的な施設」を標的にする計画.
 同軍は既に発電所など住民の生活基盤を繰り返し爆撃しており,攻撃がさらに激化すれば,ヒズボラ以外のレバノン当局者や民間人の巻き添えが拡大するのは必至だ.

時事通信,2006年8月8日1時1分

アラブ連盟が米仏停戦案拒否,安保理に修正要求へ

 【ベイルート=柳沢亨之】ヒズボラとイスラエル軍の戦闘をめぐり,アラブ連盟(22か国・機構加盟)の緊急外相会合が7日,当地で開かれ,シニオラ・レバノン首相の包括停戦案支持を柱とする声明を採択した.

 米仏両国の決議案拒否でアラブ諸国が一致団結したもので,ムーサ連盟事務局長は8日にもニューヨーク入りし,米仏案の修正を国連安保理に求める.

 7月26日のローマ国際会議で提示された首相案は,即時停戦後に,
〈1〉イスラエルとの収容者交換
〈2〉イスラエル軍の撤退
〈3〉係争地「シェバア農場」の国連管理
〈4〉レバノン軍と国際部隊の南部展開
――など7項目を実現するという内容.
 レバノン政府は,米仏案が〈1〉〜〈3〉の各項目を無視しているとして反対している.

読売新聞,2006年8月8日3時4分

<イスラエル>レバノン南部に外出制限を宣言

 【エルサレム樋口直樹】イスラエル軍は7日,レバノン南部の住民に対し,同日午後10時(日本時間8日未明)からの外出制限を宣言した.対象はレバノン国境から北へ約20キロ離れたリタニ川以南の地域で,自動車による移動を禁じた.
 こうした外出制限は初めて.
 命令を無視すれば空爆などの対象になりうるとしている.
 ヒズボラの掃討を目指すイスラエル軍は,同地での陸上戦の一層の拡大を検討している模様だ.
 軍当局によると,外出制限は昼夜の区別なく,無期限で実施される.
 上空からの印刷物の投下や地元メディアなどを通じて住民に通知したという.
 報道官は,ヒズボラに対する武器弾薬の供給を断つとともに,イスラエル領へのロケット弾攻撃を阻止するのが狙いだと説明している.

毎日新聞,2006年8月8日10時56分

イスラエル軍撤退後に部隊展開=ヒズボラ出身の閣僚も支持−レバノン

 【エルサレム7日時事】ベイルートからの報道によると,レバノン政府は7日の臨時閣議で,イスラエル軍の撤退を条件に,イスラム教シーア派武装組織ヒズボラが事実上治安権限を握る同国南部に1万5000人規模の部隊を展開させることを決定した.ヒズボラ出身の閣僚も賛成した.
 レバノン政府が南部での部隊展開を明言したのは初めて.レバノン軍は展開に際し,予備役を招集して要員を確保する方針という.

時事通信,2006年8月8日9時0分

ロイター,レバノン人契約カメラマンの写真を削除

 [ロンドン 7日 ロイター] ロイターは,フリーランスのレバノン人カメラマンが同社のために撮影した写真920枚すべてを7日,データベースから削除したと発表した.
 レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエルの間の戦闘をめぐる写真のうち2枚を改ざんしていたことが,調査の結果判明したため.
 ロイターでは今回の措置は予防的なものとしているが,2枚改ざんしていたという事実によってこのカメラマンの写真すべてに対する信頼が損なわれた,と説明している.

ロイター,2006年8月8日14時5分

ベイルート空爆で15人死亡=ヒズボラ偵察機を撃墜−イスラエル軍

 【エルサレム7日時事】イスラエル軍は7日夜,レバノンの首都ベイルート南部のイスラム教シーア派居住区の人口密集地を空爆し,ロイター通信によると,少なくとも15人が死亡した.
 現場では爆撃を受けたビルが崩壊し,多数の市民ががれきの下敷きとなった.イスラエル軍のこの日の軍事作戦で,レバノン各地で計50人以上が犠牲になった.
 また,イスラエル軍スポークスマンによると,同軍はイスラエル沖合上空を飛行中のイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの無人偵察機1機を撃墜した.同機はイスラエル領空内に侵入しようとしていたが,目的は不明という.

時事通信,2006年8月8日9時0分

イスラエル軍がベイルート南郊を攻撃,15人死亡

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍は7日夜,ベイルート南郊の建物を攻撃し,ロイター通信によると少なくとも15人が死亡した.

 爆破されたのは,イスラム教シーア派教徒が多く住む地域の建物.攻撃が空爆によるものか,レバノン沖のイスラエル軍艦艇からの砲撃によるものかは不明.

 同国軍の空爆は7日,レバノン南部やベカー高原に広がり,地中海岸のティール近郊では,民家が全壊して7人が死亡した.ロイター通信の集計によると,レバノン側の死者はこの日だけで55人にのぼった.

 一方,レバノン南部で続く地上戦では7日,イスラエル兵3人が死亡した.
 イスラエル側はこれまでに,ヒズボラ兵約400人を殺害したと主張しているが,レバノンの治安筋はヒズボラ兵の死者は90人程度としている.

読売新聞,2006年8月8日11時33分

レバノン南部の激戦続く イスラエル軍はリタニ川南岸へ

【アルジャジーラ特約8日】ニューヨークの国連本部でレバノン・イスラエル軍事紛争を解決する外交的努力が続く中,レバノン南部では7日も戦闘が激化した.

●ダベル村周辺の激戦

 イスラエル軍部は7日,同国軍がレバノン南部の国境から8キロの地点を確保して,ヒズボラとの戦闘を続けていると言明した.
 ヒズボラ側はこれを確認,激戦がダベル村のそばで続いていると報じた.7日の戦闘でイスラエル兵4人を殺害した.それに先立ち,イスラエル軍機はレバノン南部とベイルートを再び爆撃した.

●ガジイヤ空爆

 イスラエル軍のミサイルが地中海に面する港湾都市,シドンの南東にあるシーア派の町,ガジイヤで葬列のそばに落下,パニックに陥った1500人の葬列参加者の一部が逃げ惑った.
 目撃者と救急関係者によると,1人が死亡,4人が負傷した.
 ガッダル・ガジイヤ町長によると,その30分後,イスラエル軍機がさらに4回の空爆を加え,建物2棟を破壊した.
 同町の3病院の集計では,12人が死亡,13人が負傷.
 目撃者によると,破壊された建物の1つはヒズボラと近しい聖職者,ムスタファ・カリファ師の居宅.同師の安否は不詳.
 ほとんどのヒズボラ幹部は,戦闘が始まった1カ月近く前,自宅やオフィスを離れていた.
 最初の空爆の後,柩を囲んだ葬列の中から
「アラー・アクバル(神は偉大なり)」
の叫びが広がった.
 一部の人は葬列を離れたが,他の人たちはそのまま進んだ.

●ティル市へのビラ投下

 イスラエル軍機は7日,レバノン南部の港湾都市ティルに飛来,リタニ川の南岸を走行するすべての車両は攻撃されると警告するリーフレットを投下した.
 リーフレットはまた,ティル市民に対して退去勧告を繰り返した.
 ティルはリタニ川の南,約8キロにある.
 イスラエル軍機はすでにティルに至る道路や橋をすでに切断してしまっている.
(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)

2006年08月09日15時13分,アルジャジーラ

レバノン紛争,イスラエル側死者が100人超す

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍は7日夜から8日にかけて,レバノン南部の国境付近でヒズボラ兵と激しく交戦し,イスラエル軍兵士3人が死亡した.
 国軍の発表によると,イスラエル側の死者は兵士が65人,ロケット弾などで死亡した住民が38人となり,100人を超えた.ロイター通信によると,レバノン側の死者数は8日現在,少なくとも961人に上る.

 〔略〕

 レバノンからの報道によると,国軍は8日,リタニ川以北のコサイバやヨムルに砲撃を加えた上,付近の住民に退避勧告を出しており,攻撃拡大に備えた動きと見られる.
 8日の地上戦は,ナクラやビントジュベイルなど国境から約6キロ・メートルの地域に集中した.

読売新聞,2006年8月9日3時9分

イスラエル軍が葬列を空爆,14人死亡…レバノン南部

 【エルサレム=本間圭一】イスラエル軍は8日,レバノン南部ガジエを空爆,住民14人が死亡,約20人が負傷した.
 イスラエル紙ハアレツによると,住民は7日の空爆で死亡した15人を埋葬する葬儀に参列していた.葬列には約1500人が加わっていた.
 ガジエはイスラム教シーア派住民が多い村で,空爆は,同派組織ヒズボラ関係者の自宅などを狙ったものと見られる.

 9日未明には,レバノン南部サイダ近郊で,国内最大のパレスチナ人難民キャンプがイスラエル軍艦艇からの砲撃を受け,少なくとも1人が死亡,3人が負傷した.
 AP通信によると,7月12日の戦闘開始以来,難民キャンプへの攻撃は初めて.

読売新聞,2006年8月9日10時38分

イスラエル・レバノン最新情勢=9日現在

 [9日 ロイター] イスラエル,レバノンの最新情勢は以下の通り.
 *イスラエル,レバノンで戦闘を拡大するかどうかを決定へ.国連は停戦決議案めぐる協議続ける.
 *戦闘開始以来の死者,レバノンで約1000人に達する.イスラエル側の死者は100人を越える.
 *イスラエル軍と,レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラ,国境付近で小規模な戦闘.イスラエル軍は,レバノン南部・東部を空爆.
 *国連のレバノン休戦決議案,採択は今月10日以降となる可能性も.
 *アラブ連盟,レバノン政府の求める即時停戦・イスラエル軍の早期撤退が受け入れられなければ,内戦につながる恐れがある,と警告.
 *イスラエル軍がレバノン南部シドン近郊のパレスチナ難民キャンプを空爆,ファタハ系戦闘員1人が死亡=病院関係者.
 *イスラエル軍がレバノン東部ベカー平原の町を空爆し,少なくとも5人が死亡=病院関係者.

ロイター,2006年8月9日18時22分

<レバノン>南部で激戦 イスラエル,ヒズボラに死傷者続出

 イスラエル軍とヒズボラの激戦が9日も続き,双方に多数の死傷者が続出している.
 レバノン国境の北側6〜8キロの地点まで進出した同軍は,7日から8日にかけてヒズボラの主要拠点ビントジャベルなどで兵士9人を失った.
 同軍当局によると,8日以降の戦闘でヒズボラ側にも20人以上の死者が出たという.

毎日新聞,2006年8月9日21時14分

レバノン地上戦拡大を決定=国境から20キロ先まで進軍−戦闘長期化・イスラエル

 【エルサレム9日時事】イスラエル政府は9日の治安閣議で,イスラエル軍地上部隊がレバノン南部で展開中の作戦の拡大を承認した.これにより,地上部隊は少なくとも国境から約20キロ離れたリタニ川付近まで進軍することが可能となった.
 地上部隊は現在,イスラム教シーア派武装組織ヒズボラの掃討を目的に,主に国境から6−8キロ以内の地点で作戦を続けている.イスラエル放送によると,イスラエル軍高官は今後1週間以内にリタニ川付近まで進軍し,一帯の制圧には4−6週間かかるとの見通しを示した.

時事通信,2006年8月10日1時0分

ヒズボラと交戦,イスラエル兵15人死亡…1日の最多

 【エルサレム=本間圭一】イスラエル軍は9日,レバノン南部4か所でヒズボラと交戦し,兵士計15人が死亡,約40人が負傷した.
 イスラエル軍によると,7月12日の戦闘開始以来,イスラエル兵の1日の死者としては最多.ヒズボラのメンバー約40人も死亡した.ヒズボラのロケット弾発射拠点の壊滅を目指して攻勢を強めるイスラエル軍は,侵攻拡大を前にヒズボラとの戦闘激化で犠牲者を増やしている格好だ.
 イスラエル紙ハアレツなどによると,死者を多く出したのは,9日午前に予備役兵4人が死亡した南部の村アイタシャブと,同日午後に予備役兵9人が殺害された南部の村ディベル.いずれも,ヒズボラから対戦車砲を受けたとみられる.

読売新聞,2006年8月10日14時18分

レバノン南部の制圧進める=作戦拡大は様子見−イスラエル軍

 【エルサレム10日時事】イスラエル軍地上部隊は10日,レバノン南部のイスラエル国境から8キロ離れた町マルジャユンに進軍するなど,6〜8キロまでの地域で作戦を継続,南部制圧に向けた作戦を進めている.
 また,首都ベイルートでは中心部のラジオ塔を空爆したほか,空中から住民に攻撃を警告するビラをまいた.
 一方,9日の治安閣議で承認された国境から約20キロ離れたリタニ川までの作戦拡大について,オルメルト首相はこれまでのところ最終的な展開命令を出していない.
 マルジャユン一帯ではヒズボラとの間で激しい交戦が続いている.ヒズボラは侵攻する同軍部隊に対して対戦車砲で応戦,複数の装甲車両が破壊され,イスラエル兵に多数の死傷者が出ているもようだ.
 イスラエル軍放送によると,治安閣議メンバーのヘルツォグ観光相はレバノン危機の打開を目指す国連安全保障理事会での議論を踏まえ,しばらくは作戦拡大を控えるべきだとの考えを示した.

時事通信,2006年8月11日1時0分

<レバノン>イスラエル軍が国境付近の村を制圧

 ロイター通信によると,イスラエル軍は10日,レバノン南東部の国境から8キロ北に位置するマルジャユーンや近郊の村を制圧した.
 イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラはイスラエル軍に対する攻撃で戦車11台を破壊したとしている.
 同日午前までの死者数累計はレバノン側1011人,イスラエル側116人に上っている.

毎日新聞,2006年8月11日0時38分

イスラエル 地上作戦を延期 レバノン停戦決議案考慮

 【カイロ=村上大介】イスラエル軍放送は10日,同国のオルメルト首相とペレツ国防相が,レバノン停戦決議案をめぐる国連安全保障理事会での外交交渉に時間を与えるために,9日に閣議承認したレバノン南部での大規模地上侵攻作戦開始の延期を決めたと報じた.
 同放送は期限には触れなかったが,イスラエル高官はAP通信に対し,「首相は今週末まで待つ用意がある」と語った.
 軍放送によると,作戦延期の決定は,首相が9日午後,ライス米国務長官と電話会談した後に下された.米政府は,国連での協議が続いている中でイスラエルが軍事作戦をさらに拡大すれば停戦決議案採択が遠のくことを懸念し,イスラエル側に強く延期を要請した可能性が強い.
 レバノン南部での地上作戦拡大は,国境から約20〜30キロ北を流れるリタニ川より南の地域を制圧し,ヒズボラのロケット弾発射拠点などを一掃するのがねらいで,作戦期間は「約1カ月」とされている.
 しかし,国境から5キロ以内の範囲に展開して戦闘を続けるイスラエル軍は戦闘開始から約1カ月経ったにもかかわらず,現在の展開地域内ですらコントロールし切れておらず,イスラエル国内では,作戦拡大に懐疑的な見方も出ている.
 ペレツ国防相が党首を務める労働党の国会議員,ヤトム将軍(予備役)はAP通信に「(作戦拡大は)壁に自らの頭を打ちつけるようなものだ」と指摘.
 10日付イスラエル紙ハアレツ(電子版)は,作戦が1カ月で終わらず,2カ月はかかるとの別の想定もあるとと報じた.

 一方,イスラエル軍は10日未明,国境から約10キロ北にあるレバノン南部の町,マルジャユーンを支配下に置いた.
 マルジャユーンはキリスト教徒の町で,イスラエル軍が2000年にレバノン南部占領地から撤退するまで,傀儡(かいらい)の「南レバノン軍」が本拠地としていた.
 ロイター通信などによると,イスラエル軍はマルジャユーンには抵抗なく入ったが,その手前でヒズボラ側との戦闘があり,イスラエルの戦車2台が破壊されたもようだ.

産経新聞,2006年8月11日8時2分

 マルジャユン近くのクライヤでは10日,イスラエル軍とヒズボラとの戦闘で,イスラエル兵1人が死亡した.
 イスラエル軍は11日未明には,シリア国境に近いレバノン北部を空爆し,7人が死亡した.

読売新聞,2006年8月11日14時22分

レバノン南部のマルジャユンを制圧 ヒズボラと激戦のイスラエル軍

 【アルジャジーラ特約10日】中東の衛星テレビ局,アルジャジーラは10日,イスラエル軍部隊がレバノン南部の町マルジャユンに侵攻,イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラと激戦を展開した後,同町を制圧したと報じた.
 ベカー高原南部で最も大きいマルジャユンは,イスラエルとの国境から約8キロ北に位置し,リタニ川からも近いことから戦略的要衝とされている.
 イスラエル軍の地上部隊は同日未明,戦車と装甲車とともにマルジャユンに向けて侵攻を開始.
 これに対しヒズボラ側が同町周辺で激しく抵抗,「イスラエル軍戦車7両を破壊し,同軍兵士たちを死傷させた」との声明を発表した.
 マルジャユンの市民がロイター通信に語ったところによると,ヒズボラの部隊は同町近くで,イスラエル軍戦車2両を炎上,破壊させたという.

 マルジャユンの役場関係者はアルジャジーラの取材に対し,
「激しい戦闘が(現地時間)10日午前3時半ごろから始った.町の周辺に大量の砲弾が撃ち込まれた.ガソリンスタンドが燃え,民家1軒が砲弾の直撃を受けた.その後イスラエル軍部隊が戦車ととともに町に侵入してきた」
と話した.

 イスラエル軍の戦車および装甲車部隊は9日夜,自国北部の町メトゥラからレバノン領内に侵攻した.
 その間,同軍は地上および空からの砲撃を繰り返したという.
 これに対しヒズボラ系のテレビ局,アルマナルによると,ヒズボラ部隊は10日,マルジャユンの南部に位置するレバノン領ヒアムに向かっていたイスラエル軍部隊および戦車などに「猛攻撃」を加えたという.
 イスラエル軍放送も,レバノン領に侵攻した同軍部隊がヒズボラのロケット弾などで激しく攻撃されたと報じた.

 イスラエル政府当局者は9日,国連などでの外交交渉に時間を与えるため,地上軍部隊のレバノン侵攻を控えるとの方針を明らかにしたが,今回のマルジャユン侵攻は同発言からわずか数時間後に開始された.
 イスラエル軍は現在,兵士約1万人規模の兵力を今回の作戦に動員,レバノン南部地域侵攻を進めている.
(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)

2006年08月11日01時35分,アルジャジーラ

イスラエル軍がレバノンの避難民車列空爆,7人死亡

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍は11日,国境から8キロ・メートルにあるレバノン南部マルジャユンから北方に向かう避難民の車列を空爆し,ロイター通信によると少なくとも7人が死亡した.
 同軍は同日,マルジャユンに攻め入り,国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の誘導で,マルジャユンに駐留するレバノン軍兵士や警察350人と,住民約3000人が集団で避難していた.
 イスラエル軍報道官は,事件は武器を移送するヒズボラの車列だと誤認したのが原因だと認めた上で,
「安全上の理由から通行制限を課していたが,車列は事前許可を得ていなかった」
と述べた.

読売新聞,2006年8月12日11時9分

レバノン停戦決議を採択=イスラエル軍に撤退要求−国連軍を大幅強化・安保理

 【ニューヨーク11日時事】国連安全保障理事会は11日夜(日本時間12日午前),外相級会合を開き,イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラに「全面的な敵対行為の停止」を求めるとともに,国連レバノン暫定軍(UNIFIL)を増強し,停戦監視に当たるとした決議案を全会一致で採択した.
 決議はイスラエルに対し,レバノン政府軍の同国南部展開に合わせ,同地から軍部隊を撤退させるよう求めた.
 イスラエルのギラーマン大使は「安保理の求めに応じる用意がある」と語り,決議受諾を表明.レバノンも受け入れる方針だ.
 イスラエル軍が7月12日にレバノン領内での軍事作戦を開始して以来ちょうど1カ月を経て,安保理はようやく戦闘停止に向けた実質的な措置を講じた.
 当初想定されたレバノンへの国際部隊派遣に関しては,駐留中のUNIFILの組織・任務を大幅に拡充し,レバノン軍の展開支援や戦闘停止の監視に当たるとの計画に変更された.
 このため,国際部隊展開を承認する決議採択の必要はなくなり,決議1本で戦闘停止から恒久停戦までの包括的枠組みが提供された.

時事通信,2006年8月12日13時0分

<イスラエル>ヒズボラ掃討は13日まで続行

 【エルサレム樋口直樹】イスラエルのオルメルト首相は11日,国連安保理のレバノン停戦決議を受け入れる方針を示した.ロイター通信が政府当局者の話として伝えた.首相は13日の閣議で決議受諾の承認を得るという.
 首相はこれに先立ちレバノン侵攻拡大を命令しており,13日までイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの掃討作戦を続ける方針だ.
 AP通信によると,国連安保理のレバノン停戦決議採択後の12日未明,イスラエル軍はレバノン南部と北部を空爆した.
 〔略〕
 イスラエルの民放テレビ「チャンネル2」によると,オルメルト首相による11日夕のレバノン侵攻拡大命令を受け,レバノン国境沿いに集結していた大規模な陸上部隊が越境を始めたと伝えた.
 13日の閣議を前にヒズボラ掃討作戦に拍車をかける方針とみられる.

毎日新聞,2006年8月12日13時9分

イスラエル軍が地上戦拡大=安保理の停戦決議直後−レバノン

 【エルサレム12日時事】イスラエル軍は12日,レバノン南部での地上作戦を拡大した.
 国連安全保障理事会は11日にレバノンでの戦闘停止を求める決議を採択したばかりだが,イスラエル軍はイスラム教シーア派武装組織ヒズボラによるイスラエル領内へのロケット攻撃を封じ込めるため,逆に攻撃強化に踏み切った.
 ハルツ同軍参謀総長は,部隊を3倍に増強したと述べており,約3万人規模に兵力が増強されたもようだ.
 一方,ヒズボラ指導者のナスララ師は12日,テレビで演説し,イスラエル軍が軍事作戦を停止するまでは,対イスラエル攻撃を続ける考えを示した.
 同軍はこれまで,レバノン南部のイスラエル国境から約6〜8キロの範囲内に限定して地上部隊による作戦を続けていたが,12日は国境の北11キロの村などに兵を進めた.
 イスラエル政府は,国境から約20キロ離れたリタニ川周辺までの部隊展開を承認しており,部隊がさらに北上する可能性もある.

時事通信,2006年8月13日3時7分

ヒズボラ指導者,停戦決議を受諾

 【ベイルート=柳沢亨之】ヒズボラ指導者ナスララ師は12日夕,自派のテレビ「アル・マナール」でビデオ声明を発表し,国連安保理の停戦決議について「レバノンとイスラエル(両政府)が停戦合意するなら従う」と述べ,受諾する意向を表明した.
 ナスララ師はただ,イスラエル軍に対する武装闘争を「当然の権利」と強調.同軍の出方次第では「反撃する」と語った.

読売新聞,2006年8月13日1時15分

きょう停戦決議発効=イスラエルが受諾−直前まで激戦続く・レバノン

 【エルサレム14日時事】イスラエル政府は13日,イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラに1カ月余にわたった戦闘の停止を求める国連安全保障理事会決議の受け入れを閣議で正式決定した.
 決議はグリニッジ標準時14日午前5時(日本時間同日午後2時)に発効する.レバノン政府も閣議で決議受諾を決定.ヒズボラのナスララ師は,イスラエル軍がレバノン南部から撤退すれば基本的に決議に従う方針だが,現地では決議発効の直前まで激しい戦闘が続いた.
 イスラエル紙ハーレツ(電子版)によると,オルメルト首相は決議の期限よりも早く,現地時間14日午前2時(同14日午前8時)から自衛を除き,停戦を順守するよう軍に命じた.
 レバノンからの報道によると,12,13両日の交戦で,イスラエル兵約30人が死亡.一方,イスラエル軍は11日以降,ヒズボラ側の50人以上を殺害したとしている.
 イスラエル軍は空爆も続行し,ロイター通信によると,13日にはレバノン各地で17人以上が命を落とした.
 ヒズボラもイスラエル領内へのロケット弾攻撃を拡大.この日だけで少なくとも250発の着弾が確認され,北部ナハリヤ近郊で70歳の男性1人が死亡した.
 イスラエル軍は,国連レバノン暫定軍(UNIFIL)部隊が増強されるまで駐留を継続する方針で,ヒズボラがこれを「占領継続」とみなせば今後も一触即発の状況が続くことが予想される.
 また,ヒズボラの後ろ盾であるイランが,決議が定めた武装解除に反発しており,ヒズボラは今後,決議履行を拒否する恐れもある.

時事通信,2006年8月14日13時1分

停戦発効迫るなかイスラエルの空爆続く,ヒズボラもロケット弾発射

 [ベイルート 14日 ロイター] イスラエルとレバノンのイスラム系シーア派民兵組織ヒズボラとの戦闘は,イスラエルとレバノンとで合意した14日0500GMT(日本時間午後2時)の停戦発効が迫る中,イスラエルの空爆が続いた.
 イスラエル軍は,13日深夜,シリアとの国境に近いレバノン東部の村を空爆.医療関係者によると,少なくとも民間人9人が死亡,33人が負傷した.まだ,がれきの中に埋まっている人々がいるもよう.
 イスラエル軍が南部の港湾都市タイヤも空爆した,との情報もある.
 〔略〕
 ヒズボラは13日,戦闘開始以来,最大級のロケット弾攻撃を展開.治安筋によると,250発以上のロケット弾が発射された.これにより,70歳の男性が死亡したほか,少なくとも91人が負傷した.
 一部はイスラエル中部の港湾都市ハイファの中心部に着弾したが,いまのところ死傷者がでたとの報告はない.
 イスラエル軍によると,13日の戦闘で,兵士5人が死亡,25人が負傷した.
 一方,レバノン治安当局筋によると,イスラエルの空爆で13日,少なくとも22人が負傷した.

ロイター,2006年8月14日9時26分

イスラエルとヒズボラの停戦発効…直前まで激戦

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦が現地時間の14日午前8時(日本時間同日午後2時),国連安全保障理事会の決議に基づき発効した.
 先月12日の戦闘開始以来,レバノン側で約1000人,イスラエル側で約150人の死者を出した紛争は,ようやく解決に向けて動き出した.

 イスラエル軍報道官によると,14日昼,国境地帯のハダサでヒズボラ兵の発砲にイスラエル側が応戦し,ヒズボラ兵1人が死亡したが,このほかにイスラエル軍の攻撃は報告されていない.
 ヒズボラもイスラエル北部に対するロケット弾攻撃を停止した.
 レバノンでは避難民数千人が南部への帰還を始めた.

読売新聞,2006年8月14日20時29分

「歴史的勝利」を宣言=武装解除は拒否−ヒズボラ指導者

 【カイロ14日時事】レバノンからの報道によると,イスラム教シーア派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師は,同組織のテレビ局アルマナールで14日夜に放映された演説で,イスラエル軍との戦いで「われわれは全レバノンにとっての戦略的かつ歴史的勝利を前にしている」と語った.
 イスラエル軍とヒズボラの停戦が同日朝に発効したのを受け,「勝利宣言」したものだ.
 一方,ナスララ師は,南部に展開するレバノン軍や国際部隊にはレバノンを守る能力がないと指摘,ヒズボラの武装解除について現状で語るのは誤りであると主張した.

時事通信,2006年8月15日7時1分

<イスラエル>占領拠点の一部,国連暫定軍に明け渡しへ

 【エルサレム海保真人】イスラエルの各メディアは15日,イスラエル軍が一両日中にレバノン南部の占領拠点の一部を国連レバノン暫定軍(UNIFIL)とレバノン政府軍に明け渡すと報じた.
 イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとの停戦が続くうちに本格的な部隊撤退を早めたい方針という.
 だが,ヒズボラは既にレバノン市民にまぎれて南部に帰還し始めているとの情報もあり,警戒の度を緩めていない.
 イスラエル軍は停戦が発効した14日,南部から一部部隊の撤退を始め,レバノン側の報道では15日までに,国境から北へ約12キロの町マルジャユーンと同約15キロのガンドゥリエから撤退した.
 だが,これらは兵員の削減という意味合いが強く,20カ所以上といわれる占領拠点は保持したままだ.
 イスラエル政府はUNIFILとレバノン政府軍が展開するまで,主要拠点にはとどまる姿勢を強調している.

 各報道によると,同軍は「比較的重要でない」小規模の拠点を優先的に,当初の想定よりも早く明け渡しを始める方針だ.
 既にUNIFILとレバノン政府軍との3者協議は進んでいる.理由としてはUNIFILの後続の展開を早急に促したいほか,非常時に際して招集した大勢の予備役兵の任務を解除したいとの考えがあるという.
 ハルツ・イスラエル軍参謀総長は15日,順調ならば7〜10日で明け渡しと撤退が完了できると述べた.
 だが,増強されたUNIFIL全体の展開完了には10日以上かかるとの見方もある.
 イスラエル紙マーリブによると,多くのヒズボラのメンバーは14日,難民にまぎれて南部の活動場所へ戻り始めた疑いがあるという.
 イスラエル軍と政府は特にヒズボラの活動再開を懸念しており,情勢をにらみながら拠点の明け渡しと本格撤退を進めることになりそうだ.

毎日新聞,2006年8月16日2時36分

イスラエル参謀総長,開戦前に「株売り抜け」疑惑

 【エルサレム=三井美奈】15日付イスラエル紙マアリブは,同国軍のホルツ参謀総長が7月12日にヒズボラへの攻撃を始める直前に,所有株式を売却していたと報じた.
 テルアビブ株式市場の平均株価は開戦から2日間で8%以上下落しており,参謀総長の「売り抜け疑惑」が浮上している.
 同紙によると,ホルツ氏が電話で12万シェケル(約300万円)の株式売却を指示したのは,ヒズボラがイスラエル軍兵士を拉致した3時間後だった.
 ホルツ氏側は売却の事実を認めた上で,
「この時点では戦争を予想していなかった」
と主張したという.
 イスラエル軍は15日,この報道内容を確認するとともに,「個人的な問題だ」とする声明を出した.

読売新聞,2006年8月15日20時53分

シリア要人2人の資産凍結=レバノンでヒズボラなど支援−米

 【ワシントン15日時事】米財務省は15日,イスラム教シーア派武装組織ヒズボラなどレバノン国内のテロ組織を支援していたとして,アサド大統領側近を含む2人のシリア要人について,在米資産の凍結,米企業や米居住者との取引禁止措置を発令した.
 2004年5月にブッシュ大統領が発動したシリア制裁の大統領令に基づく措置.

時事通信,2006年8月16日7時1分

レバノン軍,南部展開を開始

 【ベイルート=柳沢亨之】レバノン政府は16日夕,閣議を開き,イスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエル軍の停戦を定めた国連安保理決議1701に基づき,レバノン軍1万5000人の南部展開を17日から始めることを決めた.
 これを受け,軍の一部は同日早朝,南部への移動を開始した.
 軍が進軍するのは,ヒズボラが実効支配してきた南部リタニ川以南の地域.レバノンのシニオラ首相は閣議直後のテレビ演説で,
「軍の武器以外に武器は存在しないようになる」
と述べ,軍展開を通じて,決議の求める「ヒズボラ武装解除」が実現されるとの立場を強調した.

 ただ,内閣の一角を占めるヒズボラは武装解除拒否を明言しており,「南部に武器を隠匿する」(地元記者)との見方が強い.
 地元報道によると,閣議はヒズボラ武装解除問題を棚上げし,軍の南部展開だけを協議した.

読売新聞,2006年8月17日12時14分

仏,レバノン増派200人止まり 国連,月内展開へ4000人確保

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連で17日に行われた国連レバノン暫定軍(UNIFIL)増強に向けた要員派遣国会合でバングラデシュなど5カ国が最大で4000人の要員派遣を申し出た.国連が先遣隊として予定していた3500人という目標を上回り,月内の展開が実現する見通しとなった.
 しかし,焦点のイスラム教シーア派組織ヒズボラの武装解除が進展する兆しが見えてこないことから各国はいらだちを募らせている.
 国連当局はこの日,増強部隊はヒズボラの武装解除には当たらないことを明言した.
 一方で,その役割を担うことになっているレバノン政府軍も軍事力でヒズボラに劣っており,レバノン政府はヒズボラの武装解除に及び腰だ.
 会合には49カ国が参加し,バングラデシュが機械化歩兵2個大隊(1個大隊は約800人),インドネシア,マレーシア,ネパールがそれぞれ1個大隊を派遣する方針を明らかにした.このほかイタリア,トルコ,スペインも2000〜700人規模の要員派遣を検討しているとされる.
 しかし,増強部隊の主力になるとみられていたフランスが200人の工兵部隊増派にとどまっている.シラク仏大統領は国連のアナン事務総長に「増強部隊の任務,交戦規定,武器について明確にするよう」求め,イタリアのプローディ首相も同調した.
     ◇
《矢面の仏,国連軍に不信》
 【パリ=山口昌子】17日夜(日本時間18日未明),200人の増派を発表したフランスに対し,2000人から4000人の増派を期待した国連は「失望」(マロックブラウン副事務総長)を隠していない.
 アリヨマリ仏国防相は18日,200人について「工兵部隊と10数人の将校」と説明.多数の橋などが破壊されたレバノンで工兵部隊はレバノン軍の展開を支援,将校は来年2月までUNIFILの指揮を取るフランス人将軍を援護するという.
 さらに同国防相は仏が1978年創設のUNIFILにすでに200人を参加させていることや,7月12日の紛争勃発(ぼっぱつ)以来,レバノン周辺に人道援助のため展開している1700人は残留することをあげ,今回の増派は少数との批判に反論した.
 しかし少数増派にとどまった背景には,仏軍の国連軍への「不信感」(仏軍事筋)があると指摘される.
 83年にレバノンで58人がテロの犠牲になったほか3年半に及んだボスニア紛争では国連防護軍(UNPROFOR)として84人が死亡,約700人が負傷した.
 加えて,武装放棄を拒否しているヒズボラをはじめ,ヒズボラを支援するシリア,イランからも仏は「復讐(ふくしゅう)の対象」(ルモンド紙)とみられているとの情報があるという.
 ヒズボラとの関係は最悪で,2000年に当時のジョスパン首相がヒズボラ全体を「テロリスト」と非難.04年にはシラク政権がヒズボラ解体も狙った国連決議1559を米国と共同提案した.
 イランからは核開発停止問題で先頭に立ったことやイラン・イラク戦争でイラクに武器供与したことで恨みを買い,仏・社会党がレバノン紛争解決のためシリアとの対話の必要性を主張したが,シラク大統領が突っぱねた経緯がある.

産経新聞,2006年8月19日8時2分

イスラエル首相 西岸の一方的撤退を凍結

 ■レバノン戦争の余波/パレスチナ和平に影響
 【カイロ=村上大介】イスラエルのオルメルト首相は,シャロン前首相から引き継いだヨルダン川西岸から撤退するという「パレスチナの一方的分離政策」を凍結することを決めた.
 対レバノン攻撃でイスラム教シーア派組織ヒズボラ(神の党)の壊滅に失敗したことで,国内からは首相の「戦争指揮」に強い批判が出ており,さらなる撤退は政治的に難しいとの判断からだ.
 約1カ月に及んだ“レバノン戦争”の余波は,パレスチナ和平の行方にも深刻な影響を及ぼすことになりそうだ.
 18日付のイスラエル紙ハアレツによると,首相は「親密な閣僚,与党カディマの幹部」との協議の中で,「パレスチナ問題を無視することはできない」としつつも,「(ヒズボラのロケット弾攻撃で被害を受けた)イスラエル北部の再建に全力を挙げる必要があり,いま(西岸撤退を)話すのは適当でない」と表明した.
 カディマ関係者は同紙に「予見しうる将来に(西岸からの)撤退が実施されることはないだろう」と語り,首相側近もロイター通信に報道内容を確認した.
 オルメルト首相は,今年1月に倒れたシャロン前首相が打ち出した「パレスチナの一方的分離政策」の継続を訴え,3月末の総選挙に勝った.
 シャロン前首相は2005年夏にガザ地区からの撤退を実現し,オルメルト首相にとっては,大規模なユダヤ人入植地をイスラエルに併合しつつ小規模な入植地は廃止し,「西岸からの部分撤退」を実現するという複雑なプロセスに国民の支持を取り付けることが大きな課題となっていた.
 首相は「北部復興」を表向きの理由に挙げているが,今回のレバノンでの戦闘で,イスラエルがロケット弾攻撃に極めて脆弱(ぜいじゃく)であることが表面化したことが背景にあるのは明らかだ.
 右派強硬派リクードのネタニヤフ党首(元首相)は,労働党のバラク元首相が実現した2000年春のレバノン南部撤退やシャロン前首相のガザ撤退が「完全な失敗」だったと批判を強めており,停戦直前までヒズボラのロケット弾発射を阻止できなかったオルメルト首相にとって,イスラエルの“防衛線”をさらに後退させることになる西岸撤退を提案できる状況ではなくなった.
 パレスチナ側は,イスラエルが将来の国境線を交渉抜きで決めることになる「一方的分離政策」には強く反対してきた.
 しかし,オルメルト首相の方針転換は和平交渉再開に向けた政治プロセスの完全停止とイスラエルの西岸占領継続をも意味し,どちらに転んでもうれしくない事態だ.

産経新聞,2006年8月21日8時2分

イスラエル軍,ヒズボラの拠点を攻撃=レバノン治安関係者

 [ベイルート 19日 ロイター] レバノン治安関係者によると,イスラエル軍は19日早朝,レバノン東部にあるイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの拠点を空爆した.
 レバノン東部ベカー高原のバールベック西方の村付近を目標に,イスラエル軍は戦闘機とヘリコプターで夜明けに攻撃を行ったという.
 イスラエル軍スポークスマンは,現在確認中としている.
 攻撃が確認されれば,国連の仲介による停戦発効以来初めての空爆となる.

ロイター,2006年8月19日14時42分

イスラエル軍がベカー平原急襲=レバノン首相,停戦違反と非難

 【カイロ19日時事】レバノンからの報道によると,イスラエル軍の特殊部隊が19日未明,レバノン東部ベカー平原を急襲し,イスラム教シーア派武装組織ヒズボラと交戦した.
 イスラエル軍は,この戦闘で同軍兵士1人が死亡,2人が負傷したと発表した.
 レバノン治安筋はロイター通信に対し,ヒズボラ側にも3人の死者が出たと述べたが,ヒズボラはこれを否定している.
 同筋によると,特殊部隊はヘリコプターに搭乗.2台の軍用車両と共にベカー平原に着陸し,ヒズボラ幹部の事務所があるボダイ村に向かっている途中,ヒズボラに発見され,攻撃を受けた.
 特殊部隊は空軍の援護の下に撤退した.
 特殊部隊がレバノン軍の制服を着ていたとの情報もある.

時事通信,2006年8月19日21時1分

イスラエル軍が特殊部隊派遣,レバノン東部で銃撃戦

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍は19日,イスラエル国境の北方約100キロ・メートルに位置するレバノン東部ボダイにヘリコプターで特殊部隊を派遣し,イスラム教シーア派組織ヒズボラとの銃撃戦で国軍兵士1人が死亡した.
 ロイター通信によると,標的はヒズボラの現地事務所で,ヒズボラ側にも3人の死者が出た.
 付近の橋がイスラエル軍のミサイル攻撃を受けたとの情報もある.
 〔略〕

読売新聞,2006年8月20日0時33分

伊,レバノン国連軍を主導も=規模最大か,首相が新決議求める

 【ジュネーブ21日時事】イタリアからの報道によると,プローディ同国首相は21日,国連のアナン事務総長に対し,イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの停戦監視に当たる国連レバノン暫定軍(UNIFIL)で主導的な役割を果たす用意があることを伝えた.同国政府は18日,レバノンへの派兵を正式に決めている.
 派遣されるイタリア軍の規模は明らかになっていないが,2000〜3000人規模になるとみられる.レバノンでのUNIFIL増強をめぐっては当初,フランスが主力になると期待されていたが,国内世論への配慮などから派兵規模は200人にとどまっている.〔略〕

時事通信,2006年8月22日9時0分

イスラエル軍,レバノンでヒズボラ兵を射殺

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍は21日,レバノン南西部シャマでイスラム教シーア派組織ヒズボラ兵に発砲し,少なくとも2人を殺害した.イスラエル軍報道官が認めた.
 同報道官は,ヒズボラ兵数人が発砲してきたため応戦したと説明し,「自衛措置であり,停戦決議には違反しない」と主張した.死亡したヒズボラ兵は3人との報道もある.
 〔略〕

読売新聞,2006年8月22日11時24分

 ヒズボラ側は直ちに,戦闘員の死亡も含め,イスラエル軍の発表内容を否定した.

産経新聞,2006年8月22日16時27分

<レバノン情勢フランス増派,2000人に 大統領発表

 シラク仏大統領は24日,レバノン情勢についてテレビ演説し,イスラエルとヒズボラの停戦に伴い増強される国連レバノン暫定軍に対して仏軍2大隊(1600人)を増派し,計2000人を参加させると発表した.
 フランスが当初発表した増派は200人で,米国などが「小規模すぎる」として派遣規模の拡大を求めていた.

毎日新聞,2006年8月25日10時39分

<レバノン首相「南部で大量の武器回収」と表明

 レバノンのシニオラ首相は29日,仏紙ルモンドなどに「レバノン南部に展開しているレバノン軍は現地で大量の武器を回収している」と述べた.
 首相は「ヒズボラから回収」とは明言していないが,レバノン政府はこれまで「武器回収は任務外」としており,回収を確認したのは初めて.

毎日新聞,2006年8月30日11時59分

<シリア大統領国連軍展開に反対 アナン総長との会談で

 アサド大統領はアナン国連事務総長との会談で,国連レバノン暫定軍のレバノン・シリア国境への展開に反対を表明.ヒズボラへの武器供与を警戒するイスラエル側の要求は満たされなかった.
 イスラエルは国連レバノン暫定軍がレバノン・シリア国境に展開するまで,海上と空からのレバノン封鎖を解除しないと警告している.

毎日新聞,2006年9月1日23時15分

停戦監視のイタリア軍900人,レバノン南部に上陸

 【ティール(レバノン南部)=長谷川由紀】イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦監視にあたる国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に参加するイタリア軍兵士約900人が2日,レバノン南部のティールや暫定軍司令部のあるナクーラに到着した.
 先月14日の停戦後,一度に現地入りするUNIFIL増強部隊としては最大規模.
 暫定軍は戦闘前から駐留している約2000人に加え,フランス兵の一部などが段階的に現地入りしており,これで計3000人を超え,南部への本格展開に向けた動きがようやく加速する見通しとなった.
 イタリア軍部隊は,空母ガリバルディなど艦船5隻で,ティール沖に到着し,2日早朝からゴムボートやヘリなどでティールに次々と上陸.
 また,ナクーラ港には,装甲車や装備輸送のための軍用トラックなどが強襲揚陸艇で到着,ティール近郊の駐屯地に向かった.

読売新聞,2006年9月3日0時32分

 国連レバノン暫定軍増強のため,レバノン南部ティールの浜辺にボートで上陸したイタリア軍部隊.

2006年9月2日19時18分

<イスラエル軍>レバノン封鎖解除へ

 【エルサレム樋口直樹】イスラエル首相府は6日,海上と空から続けてきたレバノンへの封鎖措置を7日午後6時(日本時間8日午前0時)に解除すると発表した.ロイター通信が伝えた.
 レバノンに展開し始めている国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に空港や港湾の治安権限を引き渡すためという.
 イスラエルはレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとの停戦後も,シリアなどからヒズボラへの武器密輸を阻止するため,空と海からレバノンを封鎖してきた.

毎日新聞,2006年9月7日3時7分

 これを受けて,イスラエル軍艦船に代わり,イタリア,フランス,ギリシャなどの海軍艦船がレバノン沖の海域でのパトロールを同日午後から開始した.AFP通信などが伝えた.

時事通信,2006年9月9日1時1分

 2006年9月27日,ヒズボラの武装解除など国連決議が完全履行されるまでは,レバノン上空の偵察飛行は続けるとIDFが発表.一方,国連軍はイスラエルの領空侵犯が国連決議違反だとして中止を求めている.(P,Y)

 2006年9月27日,南レバノンの9割の地域は国連軍とレバノン軍に引き渡されたとIDFが発表.国連軍の努力で,ヒズボラのイスラエルに対する挑発行為は抑えられていると評価.(H,P)
イスラエル軍,レバノン南部から撤退完了

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍は1日,レバノン南部に駐留していた部隊の撤退を完了し,支配地域を国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に引き渡したと発表した.
 7月12日にイスラエル軍がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ攻撃を開始して以降,約3か月にわたったイスラエルの対レバノン軍事行動は終了した.
 レバノン南部には現在,UNIFIL約5000人,レバノン軍約1万人が駐留.UNIFILは来年,国連安全保障理事会決議に基づき,紛争前の7倍以上に相当する1万5000人規模に拡大する見込み.
 〔略〕

読売新聞,2006年10月1日20時33分

 ただ,イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが拉致したイスラエル兵2人の解放やヒズボラの武装解除など,停戦条件としてイスラエルが掲げた要求は依然実現しておらず,衝突再燃の火種を残したままの撤退となった.

毎日新聞,2006年10月1日19時29分

 レバノン日刊紙アルバラドのシャルベル編集長は
「ヒズボラは当面,対イスラエルではなく国内での権力闘争に向かうだろう.深刻な内部抗争を引き起こす恐れがある」
と分析する.

毎日新聞,2006年10月2日11時35分

 2006年10月2日,IDFの完全撤退を受け,国連軍とレバノン軍が引き続きレバノン南部に展開中.クリスチャン系住民など,ヒズボラから迫害を受けていた地区の住民は,レバノン正規軍を歓迎した.(H,P)
 IDFは今後もレバノン上空の偵察飛行や,国境上にあり,ヒズボラの侵入拠点となっているガジャル村の監視も続ける構え.レバノン政府とヒズボラは「挑発行為」だとイスラエルを非難した.(H)
 2006年10月3日,国連,レバノン紛争に関してイスラエルとヒズボラの双方に民間人への無差別攻撃など人権侵害があったとする報告を発表.(H,Y,P)

 2006年10月3日,国連軍は,管轄地域内でヒズボラ等によるイスラエルへの敵対行為が行われた場合,武力を行使して中止させる方針を発表.(H,Y)
<イスラエル軍機>レバノン沖でドイツ海軍の艦船に発砲

 【ベルリン斎藤義彦】ドイツ国防省は25日,レバノン沖で国連レバノン暫定軍(UNIFIL)指揮下で活動しているドイツ海軍の艦船に24日午前,イスラエル軍の戦闘機が発砲したと議会に報告した.
 船には命中せず,負傷者もなかったという.
 イスラエル政府は発砲を否定している.
 〔略〕
 ドイツでの報道によると,イスラエル軍の戦闘機6機が24日,低空で独艦隊に近づき,1機が機関砲を2発撃ったという.
 イスラエル国防省は「ドイツの船から連絡がないままヘリが飛び立ったため,戦闘機が緊急発進した」と説明している.
 両国国防省は25日に連絡を取り「協力続行」を確認した.
 イスラエルはレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとの停戦が8月に発効した後もレバノン側への領空侵犯を続けている.
 UNIFIL側は抗議しているが,イスラエルは「ヒズボラの監視に必要」と主張している.
 〔略〕

毎日新聞,2006年10月26日18時23分

 2006年10月28日,レバノン戦争においてイスラエルが実験的なウラン使用兵器を使ったと英紙が報道.IDFは使用を否定している.(H,P,Y)
 2006年11月25日,レバノンの国連関係者がイスラエルの設置した対人地雷で負傷したとして,IDFを非難.レバノンには双方が長年にわたって多数の地雷を設置しており,真相解明は困難と見られている.(H)

 2006年11月26日,ヒズボラがレバノン開戦前の状態までミサイルを補給したとタイム誌が報道.シリアとイランが供給したと見られている.(P)

 2006年11月14日,ヒズボラの戦闘員がレバノンの国境地帯に戻っていると,IDFが報告.私服でIDFの偵察や情報収集を行っているもよう.(P)

 2006年11月14日,国民の71%が,IDFのハルツ参謀長の辞任を希望.(Y)

 2006年11月15日,ソマリアのイスラム勢力700人がレバノン戦争に参加していたと国連の内部報告.両勢力は関係を深めているもよう.(H,P)

 2006年11月15日,レバノン国境をまたぐガジャル村で,北側の住民を移住させて国境を塞ぐことをIDFが検討中.村民の反対で村が分割できないため,村はテロ組織の侵入や麻薬取引の拠点となっていた.(P)
 2006年12月7日,シニオラ政権がイスラエルと共謀してヒズボラの武器供給を断っていると,ナスララが演説.武力対決への言及は避けつつ,親西欧のシニオラ政権を打倒すると宣言した.(H,P,Y)
 2006年12月3日,レバノンとの国境にあるガジャル村のレバノン側からIDFが撤退へ.代わって国連の平和維持軍が管理を行う.同村は村内に国境フェンスが無いため,テロ活動や麻薬取引の舞台となっていた.(H,Y)

 2006年12月3日,ヒズボラが大量のミサイルをシリア経由で補給していたことが判明.
 シニオラ政権の不安定化を受けて,再びイスラエルに攻撃を仕掛けてくる可能性は高いと見て,IDFは警戒を強めている.(P)

 上記,短信ニュースについては,http://www.zion-jpn.or.jp/p0404.htmより引用
[情報源略号表]
 P=エルサレム・ポスト  http://www.jpost.co.il/
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/
 7=アルツ7       http://www.israelnationalnews.com/
 I=イスラエル・トゥデイ http://www.harvesttime.tv/israel_today/
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/


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